2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:2-869氏


密着した肌の温もり。

お風呂上がりの甘い匂い。

上気した頬。

潤んだ瞳。

早鐘のように鳴っている心臟の音。

震えるその瞳に囚われて私は動くことも出来ない。

田井中律、ただいまピンチです。

◇  ◇  ◇

もともとは毎度恒例のお泊まり会のはずだったんだ……。
今日は土曜日で澪と一緒に一日中遊んで、そしてそのまま澪の家にお泊まり。
呆れるくらいいつもどおりだ。
……あ、今エロいこと考えたやついるだろ?
お泊まりと言ったって別にそういうことをするわけじゃないぞー。
いくら澪と恋人同士とはいえ、おじさんもおばさんも同じ屋根の下にいる中でそんな大胆なことをする度胸はない。
壁だってそんな厚いわけじゃないんだらな・
いや、したくないわけじゃないだけど。
というか、むしろどんとこいってな心境なんだけど、流石の私だって時と場合くらいは選ぶ。
あと、できればムードも。

ま、そんなわけで。
外から帰ってきて、晩ご飯を食べて、お風呂に入ったわけだ。
二人とも上がってきても時刻はまだ十時前。
寝るにはまだ早い。
なんかないかな〜って探した私の目に入ってきたのは鞄からはみ出たムギから借りたDVD。
借りるときムギが

「是非澪ちゃんと一緒にみてね」

なんて言っていたこともあって、せっかくだから一緒に見ようと思って持ってきたのだ。
……ああ、うん、そうだな。このときに気づくべきだったんだよな。
今考えてみればムギもなんだかいい笑顔してたし。
でもまあ、結局気づかず取り出したそれに澪は当然興味津々。

「なんの映画なんだ?」
「私もまだ見てないから分かんないんだよね。今から一緒に見ようぜー」



近寄ってきた澪に私もそんな風に返して映画を見始めて数十分。
とりあえず何のジャンルかは分かった。
ホラーだ。
私はこういうの全然平気なんだけど、澪がなぁ……。
最初は普通に隣に座っていたんだけど、だんだん近づいてきて今では私の腕を抱き込むようにして見ている。
見るのも怖いが、まるっきり見ないでいるのも怖いらしい。
そして話は冒頭へと戻る。

要するに現在進行形で大ピンチなわけだ、主に私の理性が。
正直映画はかなりそっちのけで澪ばかり気にしている。
澪は恐怖に耐えるのでいっぱいいっぱいで私の様子に全く気づいていない。
ああ、なんか目を閉じるとムギの笑顔がやたら浮かぶなぁ。
しかも「ごちそうさまです」とか言ってやがる。
想像のくせにやけにリアルだな、ちくしょーー!
テレビから悲鳴があがるたびに、ビクッと私の腕を抱く力が強まる。
澪さーん、胸当たってますよー!
正確に言うと当たってるってレベルじゃないんだけどな、正しくは押しつけてるっていうと思うんだコレ。
しかし、相変わらず胸でかいなコイツ。
……はっ、どうにも思考がそっち方向にいってしまう。
うああ、このままじゃまずいって。
自分自身にブレーキをかけながら澪に提案してみる。

「えっとさ、そんなに怖いなら見るのやめない?」
「……やだ」
「やだって……。澪、もう半分泣いてるじゃん」

そういうと澪はこちらを向いた。
あぁ、だからその潤んだ瞳を真っ直ぐこっちに向けるなっての。
ほんと自分の可愛さに自覚がないなぁ。
澪が素直に弱さを見せるのも甘えてくるのも私だけだと分かってるけど、それでも時々不安になる。
こんなの見せられたら誰だってイチコロじゃん。
私が上の空でそんなことを考えてるとき、澪はというと

「だって解決したところみないと呪われそうじゃないか」

そうボソボソと答えていた。




そして結局こんな状態のまま2時間弱の映画を見ることになった。
うん、私は頑張った。
誰も褒めてくれないから自分で褒めよう。よく我慢した、私。
途中、驚いた澪が「ひっ!」と言いながらしがみついてくるとかいうベタベタなアクシデントもあったけど、残ったカスのような理性を総動員して優しく抱き止めるだけにとどめた。
ともかく映画は終わった。
いろいろと眼福だった反面、精神的にものすっごく疲れたけど、終わったんだ。
とりあえず頭を冷やそう。
このままじゃ興奮してて眠れそうにない。
軽く伸びをして立ち上がる。
ホラーものにしては珍しく後腐れもなく綺麗に終わったので、今の澪はだいぶ落ち着いている。
ホラー系は解決したと見せかけて、実は元凶はそのままですよーって終わり方が多いからなぁ。
そんなのだったら今でも澪は震えてただろうから、そうじゃなくて本当に良かった。
今回はそれどころじゃなくて大体しか見てないけど、きちんと見ればなかなかに面白そうな映画だった。
明日帰ったら見直そうかな。
そんなことを考えながら澪に声をかける。

「それじゃ、ココアでも飲んで寝るかぁ。持ってくるからちょっと待ってて」
「!」

澪の家には幼稚園から通ってるんだ、台所に立った数は両手でも足りない。
自分の家と変わらないくらい何がどこにあるのか把握している。
風邪を引いた澪に卵雑炊つくってやったりしたもんなぁ。
歩きだそうとするとクイッと引っぱられる。
ん?と思って振り返れば、立ち上がった私のTシャツを澪がつかんでいた。

「どした?」
「……ココアは、いい」
「あ、そう?」
「…………」

なんか様子が変だな。
戸惑っている私に気づいたのか澪が意を決したように言った。

「怖いから一緒に寝て」

え〜っと、この状況が分かるかな?
私、立ってる。澪、座ってる。
つまり澪と話すと必然的に澪が見上げる形になる。
落ち着いたとはいえ未だに涙目の澪。
そこで出る先ほどのお願い。
簡単に言えば、上目遣いのお願い(涙目)。
結論、断れるわけがない。




ってなわけで、私たちは今二人でベッドの中にいる。
いつもだったら私はベッド脇にふとんを敷いて、そこで寝ているんだけど今日はベッドだ。
結局頭冷やしにも行けてないし、これは徹夜決定かな〜なんて考えていたときに澪の声が聞こえた。

「律、起きてる?」
「んー、心配しなくても澪は寝るまでは起きてるよ。だから安心していいって」

澪の背中に回した手でぽんぽんとなだめるように軽くたたく。
すると澪はくすっと笑った。

「うん、ありがとう」
「お? なんか今日はえらい素直だな。明日は槍が降るかも」
「む、私だってたまには素直にくらいなる。いいから黙って聞け」
「あたっ」

おでこにチョップをくらう。
ようやくいつもの調子に戻ってきたみたいだ。
澪は静かな表情で話し始める。

「私はどこで、誰といるよりも、律と一緒にいるときが一番安心するんだ」
「……」
「どんなに最高の環境にいても、私は律がいなかったら不安でしかたないと思う」
「ほんとにどうしたんだ? 怖いのか?」
「怖い…のかな? そうかも。なんだか幸せすぎて」

「律とこんなに近くになれるなんて夢にも思わなかったから」

そう言って微笑んだ澪の顔があんまりにも綺麗で、私は時が止まればいいのにとぼんやりと思った。
その時私の中を駆け巡った感情をどう表せばいいだろう。
一陣の風が吹いたように様々な感情が身体を巡り、全てを攫っていった。
さっきまであった興奮や変な緊張はなくなり、澪が好きだというただ一つの想いだけが残った。
その想いのまま、私は澪を抱き寄せ、その額にキスをした。
驚いてその大きな目をパチクリとさせている澪。

「おやすみのキス、な。これだけ触れてれば夢じゃないって分かるだろ。まぁ、私としては澪の夢にまで出張したいとこなんだけどな」

そう笑いながらいうと、澪も笑いながら目元にお返しのキスをしてくれた。

「律が夢に出てきたら、すごく騒がしそうだな」
「そうだぞぉ、不安に思う暇がないほど引っ張り回してやるからなー」
「ははっ、それは大変だ」

そしてお互い見つめ合うと、今日最後のキスをした。


しばらくすると澪の寝息が聞こえてきた。
穏やかなその表情を見て私も目を閉じる。
腕の中の温もりを感じながら、今日はいい夢が見られそうな気がした。
漂っているような眠気に身を任せ、私は眠りについた。


おしまい。

このページへのコメント

俗に言う「あててんのよ」ですね!w

0
Posted by ななし 2010年07月20日(火) 19:46:37 返信

ぐわわわわわ、甘いっっっ!!!!!!!

0
Posted by 名無し 2010年04月13日(火) 02:03:22 返信

最強夫婦ww

0
Posted by 匿名 2010年03月17日(水) 16:56:27 返信

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