2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:青太郎氏


   ≪はじめから≫
   ≪つづきから≫
 ニア≪新規ルート≫
   ≪アーカイブ≫


≪!注意!≫


≪すでに特定のルートのセーブデータが存在するのでルート選択・変更が制限されます≫ 



 おとうさんとおかあさんにおもちゃやさんにつれてってもらった。いつもはそとからみているだけだったのに、きょうはなかにいれてもらった。
おとうさんが、ひとつだけすきなものをえらんでごらん、とぼくにいった。ぼくはまえからほしかったものがふたつあって、まよったけど、すごくなやんで、ひとつにきめた。


 ニア『このたたくのがほしい』
   『このおすのがほしい』


≪ルートが選択されました≫


 あの時俺に玩具を与えたのは、罪滅ぼしのつもりだったのか、それともただの憐れみだったのか。
まあ、そんなことはどうでもいい。要するにあいつらはくそったれのクズ野郎ってことだ。テメエの都合だけで簡単に他人を切り捨てるクズ。
そんなに自分が可愛いか。反吐が出る。だがそれ以上に俺をムカつかせるのは――――。
 俺の周りにはそういう腐った野郎が大勢いたってことだ。


 ドラムルート  〜中華料理人〜



「屋台の設置場所はここで……あ、一応いっておきますけど、火の扱いには十分気を付けてください」
「ああ、わかってる」
「それから……」
 あの人の頼みとはいえ、なんで俺が女子高の出し物をやらなきゃなんねえんだ。
しかし、逆らうとロクな目にあわんしなあ……。ここはしたがっておくしかねえ。
「……以上です。何か質問は」
「いや、ない」
 俺は渡された書類一式に目を通して、視線を眼鏡をかけた女生徒に戻した。若いくせによく働くものだ。
「それと――これは私見なのですが――笑った方がいいですよ」
 そういって微笑む彼女に、俺は怪訝な視線をおくった。そんなことをする必要がどこにあるのか。
へらへら年下の女の機嫌を取ってでも売れということか。冗談じゃない。俺にそんなものはいらない。
「仏頂面してたら、お客さんが逃げちゃうと思います」
「逃げるなら売らなければいいだけだ」
 女生徒はくすり、と笑って、
「それもそうですね。失礼しました。……自信がおありなんですね」
「これでずっと飯をくってきたからな」
 辛い修行を乗り越え、親方から店を託されて以来、俺はそうやって生きてきた。だから自慢できるというものだ。
「それじゃ、楽しみにしてますね」
「金を払えば作ってやる」
 それだけいって、俺は生徒会室を出た。書類の束を小脇に抱えて歩いていると、無駄に金のかかっていそうな扉から誰か出てきた。
扉横の壁面にあるプレートには『校長室』とある。
「おや、懐かしい顔ですね」
「……けっ」
 あのキザ野郎か。相変わらずの白い服と、ヘラヘラしたツラだ。そいつはチラリと俺の脇のものを見て頷く。
「なるほど。あの方も配慮はしてくれているようだ」
「何の話だ」
「私の独り言ですよ。耳障りなら鳥の囀りとでも思ってください」
 こいつは相変わらず遠まわしでキザだな。俺は鼻を鳴らしてさっさと歩く。するとこいつは隣を歩きだしやがった。
「外部からの出店ですか。真っ当な職につけたようですね」
「どっかの大馬鹿野郎のクソッタレのおかげでな」
 そうだ。本当なら、もっとやりたいことがあったんだ。あいつが邪魔をしなければ……クソッ、思い出すだけでムカムカしてきやがる。
「まだそんなことを」
「うるせえ。事実だろうが」
「あなただって、彼の真意はもうわかっているでしょうに」
「知るかそんなもん。だいたいなあ、俺はお前も許しちゃいねえんだ」
 俺がそういうとこいつは床に視線を落として、深いため息を吐いた。
「自分は悪くない。すべての責任は相手にある……すばらしい思想だ。敬意を表しますよ。見習いはしませんけどね」
 なんだよそれ。いつもそうだ。てめえ――てめえらは全部わかってますみたいな顔して、俺を見下して、除け者にする。
そうやってお前らは自分を守って安心したいんだろ? クソ野郎どもが。 
 話を変えましょう、とこいつは言いだし、窓から見える施設を指さした。
「あそこでライブをやる一団があります。奇遇なことに、人数と使用楽器が我々と同一なのです」
「だからどうした」
「……まあ、見せた方が早いでしょう。少々のお時間をいただきますよ」
「…………ふん」
 まあ、開店には間があったわけだし、外で時間をつぶすよりは校内にいた方が都合がいい。
俺は仕方なく、こいつの提案を受け入れてやった。道中、物珍しそうにこっちを見る女どもに視線を返すと、あわてて目をそらすか、こちらを見続ける。
なんだ、逃げやしねえじゃねえか。
「教職員に男性がいるとはいえ、やはり珍しいんでしょうね」
「知るか」
 そいつらことごとくに笑みを返すこいつは、傍目から見ればたらしだ。
 ――――やっぱりあっちの優しそうな人がいいなあ。
 ――――ええー。わたしはああいうワイルドな方がいいと思うけど。
 ……あの大馬鹿野郎はこういう雰囲気が苦手だったな、そういえば。今はどうしているんだか。ま、知ったこっちゃねえけど。
 講堂の中は見渡す限り、女でまみれていた。ここにあいつがいれば、『女の宝石箱やー!』とでもいったのだろうか。今はもう知るよしもないが。
「立ち見でいいですか?」
「ああ。どうせすぐに出る」
 合唱部のコーラスをぼんやり聞いている横で、白服は何かを探しているようだった。目当ての女でも捜しているのだろうか。
こいつも変ったな。いや、それをいうなら俺もか。もっとも、俺は変わりたくて変わったわけじゃないが。変わらざるを得なかった。
夢をあきらめて、好きでもないことやらされて……。もちろん俺を雇って育ててくれた親方には感謝している。
だけど、俺が本当にやりたかったのは――。
「あ、やはりいましたね」
 白服に肩を叩かれ、そちらを見ると、俺は目を見開いた。アナウンスが軽音部の出番であることを告げるが、そんなことはどうでもいい。
「やはり知りませんでしたか。彼らは、この学校に勤めているんですよ」
 あいつらがいた。俺と白服と共にバンドを組んだ、あいつらが。苦々しい気持ちが胸に満ちていく。
「これが見せたかったものか……」
「これは半分です」
 白服はもうあの二人を見てはいなかった。ステージで今まさに演奏を始めようとする四人を見上げていた。
いや、もしかしたらその中の一人に注目しているのかもしれない。
「私も彼らも、もう後進の育成に力を注いでいます。もう終わったことに執着するのはやめにしませんか?」
「俺の中では終わってねえ。てめえらが勝手に終わりにしただけだろうが……!」
 そうだ、あんなの認めねえ。俺がそういうと、白服は目を細めた。
「やはり私の言葉は届きませんか。あの方の厚意を無下にするのは残念ですが、仕方ありませんね」
 話は以上です、といって、白服は前の方の席へ移動した。その背中を俺はひと睨みしてから、視線をステージに戻す。
『ワン ツー スリー フォー ワン ツー スリー!』
 ドラムの女が、スティックを叩いている。やがて演奏が始まり、四つの楽器が動きだす。全員、楽しそうに演奏している。
実際楽しいんだろう。楽器を鳴かせるのが、楽しくしかたないんだろう。俺もそうだった。毎日が楽しくて楽しくて――――。
「…………チッ」
 何を今更。もう戻りはしないっていうのによ。もう時間も近い。屋台に向かっても早すぎることはない時間だ。
だが、プログラム通りなら、すべて聞いた後でも問題はない。
 …………。
 …………。
 …………。
 ……チッ。
 結局、俺は全部聞いてから行くことにした。…………ところで、作詞した奴はどんな感性してんだ?



「毎度」
 売れ行きは上々だった。なぜか女生徒が大量にやってきて、飛ぶように売れた。
まさかラーメンがここまで女子高生に人気だとは思わなかった。今度からはもっと仕入れよう。
「よっ」
「……うっす」
 あの人――山中さわ子がやってきた。ここで教師をしていると本人から聞いた時は驚いたものだ。
「生徒から聞いたわよー。『おいしいラーメンを作る美形がいる』って」
「どうも」
 注文を受け、さっささっさとつくる。渡すと、「ああ、本当においしいわねー」といって去っていこうとする。
「あの……お代」
「ああ、ツケといて。今月ヤバいのよねえ。やっぱり持つべきものは有能な後輩ね」
 まるでそれが当然のようにあの人はそういって人ごみに消えていった。これだから縦社会はいやなんだ。
 陰鬱な気分で調理していると、さっき見た顔がやってきた。たしか真鍋とかいったか。
なぜか警官がかぶってそうな帽子を頭にのせている。
「売れてますか?」
「これでラストだ」
 代金をもらい、俺は盛って差し出す。受け取った真鍋は、さっそく口にする。
「本当。おいしい……」
「……当たり前だ」
 俺はあらぬ方を見て視線をそらした。こうストレートにいわれると、気恥ずかしいものだな。
 なんて思っていると――――。
「ラーメンを頼もー!」
 かなりの速度でここまでやってきたこいつの顔も覚えがある。さっきステージでドラムを叩いていた奴だ。
「売り切れだ」
「なんだとー!?」
「ごめん、わたしで最後なの……」
 すまなそうに真鍋が言うと、カチューシャの女は、
「和さん、ちょいとそれをいただけやせんかねえ」
 いやらしく両手をにぎにぎさせながら詰め寄る女に危険を感じたのか、真鍋は後ずさる。
「えっと、それはちょっと……」
「よいではないか。よいではないか」
 俺はため息ひとつ吐き出して、カチューシャの女を制した。それから、昔親方が作ってそのままにしていたチラシをその女に渡す。
「そんなに食いたいなら本格的なのを食わせてやる」
「お、意外と近いじゃん」
 視線を紙面に走らせて女が嬉々として言う。近いから出張にきているんだ。博覧会に呼ばれるのなら別だがな。
「ほうほう。よっし、絶対食いに行くからな」
「好きにしろ」
 ていうか、タメ口かよ。真鍋もそのチラシをのぞきんで、
「わたしも行っていいですか?」
「好きにしろ」
 最近の女子高生はこういうのがブームなのか? さっぱり理解できん。ま、客が増えるのはいいことだな。
常連はいるにはいるが、それでもやはりこういう新規の客を育てるのが商売の基本だ。親方の受け売りだがな。
さて、片づけるか。おら、お前らはもう帰れ。
「それじゃ、あとで」
「またなー」
「…………」
 俺は二人を一瞥するだけにとどめ、リヤカーをひいた。“また”とか、“あとで”とか、そういう無責任な言葉は今でも嫌いだ。
そこに確実はない。だから裏切られる。
 だから、嫌いなんだ。
 ――『あとで会いましょう』
 ――『また会おうな』
 そう言った夫婦は、息子を置き去りにしてどこかへ消えた。捜す気はない。捜したところで、過去が戻ってくることはないからだ。
ただ、自分が満足するかどうかの問題。なら、そういうのはさっさと見切りを付けるに限る。なあなあの関係が一番始末が悪い。
 だから俺はあいつらとも縁を切った。裏切ったから。『そうではない。事情があるんだ』? 聞きあきたよ、そんなごまかし。
(結局人間関係ってのは、利がなきゃ成立しねえ)
 それが商売だとか、信用だとか、友情だとか、言い方を変えて存在しているだけだ。
すなわち、信用できるのは互いに利が存在する関係――商いってこった。金に対するサービス。何とも分かりやすい繋がりだな。
 ま、利益があるうちは相手してやるよ。
 その先は、知らねえな。
 俺はいつもの無表情をさげて、因縁渦巻くそこを後にした。



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