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著者:5-646氏


今しがた、学校の廊下を一人で退屈のまま歩いていたときの話である。暮れかけた放課後、
私は軽音部の部長というなんとも面倒くさい役を自ら引き受けてしまったばかりに、今もこうして生徒会に出向いて、
御偉い様方の話を聞きにいかなければならないのであった。
軽音部の主な活動予定報告やら何やらとかいうのを、わざわざ書いて提出せねばならぬということもあって、
部長である私自ら、歩いてここまで来ているという話である。
つまり先程、私は自らの現況を、退屈。と称したが、あれは、厳密に言うと間違いである。
だが、私にとってはこんな用事は、何も無いことと然程変わりない。


キャッキャッと子犬同士のじゃれ合いのように仲良くしながら、私の横を通り過ぎる二人組の女生徒が目に映った。
私はそれを見て、何だか余計に、こんなつまらない用事はさっさと終わらせてしまいたいと思った。
早いところ、部室に戻ってみんなとお茶タイムにしたい。
そんなことを、実際に呟いたのか、それとも心の中で思っただけなのか、自分自身よくわかんなくなりながら、長い廊下を歩いていた。
――そのときだった。
私の前方から、五人くらいで並んで、こちらに向かって歩いてくる女生徒の集団が見えた。
全員、私の方に向かって歩いてくるのも、一本道なので、当然のことである。
……だが、少し、様子がおかしい。
その前方の五人は、何やら私の顔をちらちらと何度も覗き見て、「早くしなよ」とか「あんたがやってよ」とか、
そんなことを私に聞こえるか聞こえないかという程度の声で話し合っている。
私は、少し気になりながらも、黙ってそのまま横を通り過ぎようとしていた。……そのときだ。




「あっ、あのっ」


ついに、五人の中の一人に話しかけられた。
焦っているような声色の彼女の顔をふと見る。何だかやけに、その子の頬は紅色に染まっている。
私は、五人共全員、自分の見知らぬ顔であることを確認してから、返事をする。


「はい? なんでしょう?」

「あの……ごきげんよぅ……律さまっ」

五人が揃って、私に頭を下げてくる。
妙に統率された軍隊のような動きぶりに、私はビクッと体を震わせたが、そのあとすぐに、何だかひとつ、ふたつ、疑問が浮かんだ。

(律、さま? ……って、私のこと?
え? っていうか……この子たち、誰なんだ? なんで挨拶されてんだ?
あれ? っていうか、ごきげんよう。ってなんだ? それ、どこの挨拶だ?)

ひとつ、ふたつ、みっつの疑問が綺麗に私の頭に浮かび上がる。
私は自分でも恥ずかしくなるくらいに、ドギマギとして、焦っていた。
その女生徒たちの顔を見る。五人全員の頬が、赤く灯っているようだった。
五人はまた、何やら内輪で話し合いをしている。「――ちょっと、早くしなさいよ」とか、「……やっぱり、あんたがやってよ」とか、
そんな言葉が聞こえてくる。
何やら、ひとつの貧乏クジを、みんなして譲り合っているようだ。

「あ、あの。私に何か、御用ですかね?」

と、私が聞くと、五人はまたも、統率された機敏な動きで、「あ、あのっ。少々お待ちください!」と同時に言って、謝る。
なんなんだ、この謎の小集団は……と、にわかに疑問を抱き始めた頃……私は、あることに気がついたのだ。


――五人共、リボンの色が、様々なのである。




五人中二人は、赤色の、一年生が着用するリボンをしている。
そして一人は、私と同じ二年生の生徒が着用する、青色のリボンを。
そして残りの二人は、なんと、黄色のリボンをつけている三年生。……つまり、私の先輩である。
色んな学年の人たちが揃いも揃って、私になんの用事だろう?
先程から、「あんたがやってよ」なんて、貧乏クジを譲り合っているのは、その、三年生の二人である。
何やら私に渡すものでもあるらしい。だが、その役を、お互い渋りあっている。
その三年生二人の顔を見ると、何だか二人共、絵の具の赤でも塗ってあるみたいに、頬が真っ赤に光っていた。

「先輩たち! いい加減にしてください! ……律さまが、困っておられますっ!」

揉めている三年生の二人と、おどおどしている二年生のその後ろにいた、赤いリボンの一年生が突然そう叫んだ。
(……あれ? っていうか、律さまって……なんで私、知らない一年生に「さま」付けされてんだ?)
先程も浮かんだ疑問を、また改めて思い出して、私は首を傾げた。
一年生の子の、力強い叫び声を聞いて、ビクッと体を震わせた三年生のお二人。「そ、それもそーね……」と三年生の二人が
同時に反省したように言って……それから三年生二人組が、何故か私に深々と頭を下げた。

「律さま! 数々のご無礼、お許しくださいっ!」

「へ? あ、いや……って……律さまっ!?」

一年生の子が私のことを律さまと呼ぶのは……まあ、後輩だし、ギリギリ理解出来るのだが……
目の前の二人は、三年生であり、すなわち私の先輩であるのだ。
そんな人たちが、なんで私に向かって、頭を下げて、しかも「さま」付けなのだろう?……ますます、疑問は深まる。




「あ、あのっ! 律さま! 少しお時間よろしいですか!?」

と、三年生二人組の内の一人が言う。
もう既にこの時点で三分くらい無駄な時間を過ごしているとはいえ、この人たちに悪気はなさそうだし、私は出来る限りの優しい笑顔を装って、承諾した。

「ええ……まぁ、大丈夫ですけど……」

「ああ! 良かった! ではあの、手短に済ませますね!」

三年生二人組の内のもう一人が、心底感動したように言う。
別に、そこまで涙目になられても、正直、どうしていいかわからない。

「あのっ! とりあえず、これを受け取ってください!!」

今度は、五人揃って、またも私に向かって深々と頭を下げて叫んだ。
そして、先頭の三年生の一人が、私に向かって、何やら怪しげな、茶色い封筒を差し出してくる。
「受け取ってください! お願いします!」と、念を押される。
私は、訳もわからないまま、それを受け取った。

「あの……なんですか……これ」

中身はセロハンテープで止めてあって見れないが、手に持った感じ、中々重い。
しかも、何やらとても気になるのは、茶色い封筒にマジックペンで力強く書いてある「りっちゃんを応援し隊・会費」という字……。
なんだこれ……りっちゃんってもしかして、私のことか……?
応援……? 私、この人たちに応援されてんのか……?


「――なにって、見ての通り、ファンクラブの会費でございますっっ!」




私は、耳を疑った。
ファンクラブ? え? それって、私の……っ?




「私に、ファンクラブなんてあるんですかっっ!?」

「ええっ! ご存知なかったのですかっっ!?」

「いや、あの……すいません。知りませんでした……」

私は驚きを隠せないまま、ただただ戸惑っていた。
何故だか知らないが、額の汗がひどい。
私はとにかく冷静を取り戻そうと思い直し、気になっていることを何個か問おうと思った。

「あの……会員の人って、何人くらいいらっしゃるんですかね……?」

「一年生、25名。二年生60名。三年生に42名でございますっ!」

自分の知らないところでめちゃくちゃ大規模になっているファンクラブの存在を知り、背筋が寒くなる。
暗記していたかのように、すらすらっと答える二年生の人。……そーいえばこの人、隣のクラスの人じゃん……。

「……会長とかって、いるんですか?」

……と、私が興味本位で聞いたその質問のせいで、私の中の世界は大いに揺らいで、霞んだ。






「――秋山澪、名誉会長のことですか?」


おしまい

このページへのコメント

澪しゃんwwww

0
Posted by nanashi 2011年12月14日(水) 18:54:35 返信

まさかの澪ww

0
Posted by かなた 2010年05月16日(日) 09:04:52 返信

最後wwwウケたwww

0
Posted by 碧 2010年03月21日(日) 11:46:12 返信

オチがすごいwww

0
Posted by モモ 2010年02月04日(木) 17:27:23 返信

これはwww
笑うしかないww

0
Posted by 名無し 2010年01月16日(土) 00:03:01 返信

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