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ラブレターパニック!(唯×梓)




ゆいあずシリーズ EP5
※「逆襲の唯」の続き





.......ある日私は、彼女の新しい一面を知りました.......





「はぁ.....どうしよ......」


思わず溜息をつく私.....。
放課後私は、音楽室前の階段を重い足取りで上っていた。
いつもなら待ち遠しい時間のはずなのに、今日はなぜか行きたくなかった。
私は自分の手に握られた一通の手紙を見る。


「....はぁ」


これで何度目のため息になるだろう.....。
教室からここまで来るのに軽く二桁は越えているかもしれない。
ため息が止まらない理由はこの手紙のせい....。



なぜならその手紙というのは......ラブレター.....だったから.....。



ガチャ
私はいつもより重く感じる音楽室のドアを開けると、すでに他の先輩たちはティータイムを始めていた。


「あ、あずにゃ〜ん♪ 遅かったね!......ほらほら早く一緒にお茶しよ?」


私に気付いた唯先輩がニッコリと微笑み、トコトコとこっちに近づいてくる。
いつもは愛しいこの笑顔も今日はなぜか見るのがつらい.....。
それもやっぱりこの手紙のせいなんだと思う。


「ほらほら〜♪....って、あれ? あずにゃん何持ってるの?」


唯先輩が手紙に気付く。
これからこの手紙について説明しなきゃいけないと思うと気が重くなる。


(でも....ちゃんと説明しなくちゃいけないよね......)

「ええと...その....じ、実はこれ....ら、ラブレターなんです。そ、そのクラスの子に渡されちゃって....あ、あはは....」


私は苦笑いを浮かべる。
唯先輩ならこれくらいのことなんでもないよね、とか思っちゃった私だったけど....



でもそれは大きな間違いだった。






.........なぜなら........









.......唯先輩の顔からさっきまでの笑顔が完全に消えていたから......。











ガタンッッ

「っっ!」


一瞬何が起きたか分からなかった。

唯先輩は私を壁に押し付け、さらには身体を密着させてくる。
私の顔の横に手を付き、真剣な顔で私の目を見つめてくる。
その瞳に映るのは........怒り?.....悲しみ?


「...ゆ、ゆい...せんぱ....」




「今、なんていったの? あずさ」




「っ!」


私は驚きを隠せなかった.....。
唯先輩から発せられた声は、いつもの暖かいものじゃなくて、とても冷めていたから。
呼び方もあだ名から名前に変わってる。


「あ・・・・・・・う・・・・そ、その・・・・ら、ラブレター・・・を・・・」

「もらったの?」

「え......えと......その.......」


私は答えられなかった。
いつもと違う唯先輩の雰囲気にうまく声が出せなかったからだ。
何も答えない私に唯先輩は面白くなさそうな顔を見せる。


「ふぅーん、そっか...私がいるのに、こんなの貰っちゃうんだ? もしかして私のこと嫌いになっちゃった?」


そういいながら右手を私の左手に持っていき、薬指にはまった指輪を撫で始める。
そう、それはまるで『貴女は私のモノ』と主張されているようだった。
これが独占欲というものだろうか....?


「ち、ちがっ・・・・・・んあっ」


唯先輩の問いかけに違うと言おうとしたけれどそれを最後まで言うことができなかった。
なぜなら唯先輩は空いたほうの手で私の太ももに触れてきたからだ。
触れるか触れないかの手付きで優しく私の太ももを撫で回していく。
そのくすぐったさと気持ちよさからか、私は甘い吐息を漏らしてしまう。


「あふ・・・・はぁ・・・・・・・やぁ・・・・」


私はギュッと目を閉じ、唯先輩の愛撫から気を逸らそうとする。
そんな私に妖しい笑みを浮かべた唯先輩は太ももを撫でていた手をスカートの中に差し入れる。
そして私の割れ目の部分を下着越しに優しくなぞる。


「あんっ......ああ....や...やめ...て....くださ...い....せんぱぃ....」


その甘美な刺激に私は喘ぎ声を上げてしまう。


「やめてほしかったら、ちゃんと答えてよ?....あずさ私のこと嫌い? 好き? どっち?」

「あぁ....ん....そ、そんなこと....」


言わなくても分かってほしかったけど、今の唯先輩には何を言っても無駄のような気がした。
なかなか答えようとしない私に不満を覚えたのか、優しくなぞっていた指を激しく擦りはじめる。


「ひゃうんっ!....あんっ....はぁあん....」

「っ...言ってよぉっ!!」


普段は絶対言いそうにない口調で私に命令する。
私は唯先輩の顔を見つめる....するとその表情にはあきらかに不安や焦りのようなものが見えた。


(もしかして.......唯先輩は........)


そんな唯先輩を見ていられなくなった私は、素直な気持ちを先輩に伝えることにした。


「あん.....はぁ......わ、わたしが.....好きなのは.....唯先輩だけ....です....あぅ...唯先輩...だけを...愛してますっ!」


愛撫によって感じてしまっている私の言葉は途切れ途切れになってしまう。
でもなんとか最後まで自分の気持ちを伝えることができた。
その答えに満足したのか唯先輩は私から手を離し、ホッとしたような顔を見せる。


「そ、そっか.....じ、じゃあそのラブレターは.....」


そうだった。
唯先輩の雰囲気に呑まれてすっかり忘れてたけど、このラブレターのこと説明しなきゃ。


「はぁ.....はぁ......あ、あのっ......」

「ん?」



「こ、このラブレター.......唯先輩宛て........なんですけど.............」



そう....実はこれ、私のじゃなくて唯先輩宛てだったんです........唯先輩って意外ともてるからね。
新歓とか学園祭のライブとかで憧れている子も少なくない。
ホントは受け取る気なんてなかったけど、クラスの子にどうしてもと言われてしぶしぶ受け取ってしまった。


唯先輩はたぶん....ていうか間違いなく私のだって勘違いしてたと思うけど....。



「.........................え?」


それを聞いた唯先輩は笑顔のまま固まる。
.......そして次の瞬間........



「えぇぇぇぇぇーーーーー!?」


唯先輩の絶叫が音楽室に響き渡った。









「ご、ごめんねあずにゃん........」


放心状態から戻ってきた唯先輩は開口一番に私に謝ってきた。
心底申し訳なさそうに俯いている。


「...もう.....唯先輩のバカ.....私いじられ損じゃないですか.....」

「うぅ....ごめんね.....何か分かんないけど....頭真っ白になっちゃって.....」


どうやら唯先輩は自分でもさっきの状態をおかしいと思っているらしい。
たぶん無意識からの行動だったのかもしれない。


「そ、そもそも....私が唯先輩以外を好きになるなんてありえませんっ」

「あ、あずにゃん....」


そう、私が他の人を好きになるなんて天地がひっくり返ったってありえない。
そんな私の言葉に唯先輩は頬を赤く染めて目をウルウルさせている。


「.....そ、それでどうするんですか?.....そのラブレター.....」


私にとってはそれが一番気になるところだった。
まあ.......さっきの様子を見ればぜんぜん心配いらないと思うけど....。
それでも唯先輩の口から聞かなきゃ安心できない。


「も、もちろん....その.....断るよ? あずにゃん以外なんて考えられないもんっ」


そんな嬉しいことをいってくれる唯先輩。
それを聞いたらさっきいじられちゃったことなんてどうでも良くなってくる。


(まあちょっと怖かったけど...ちょっとかっこいいかも...とか思っちゃったし)


でもただ許すだけじゃつまらないのでちょっとだけ困らせることにした。


「そうですか....じゃあ許してあげます。でも一つだけ条件があります」

「条件?」


?な顔して首を傾げる唯先輩は可愛いんだけど、ここで負けるわけにはいかない。


「今度、私の言う事一つだけなんでも聞いてください」


そう、これが私の出した条件。
これくらいいいよね?.......あんなことされちゃったんだし。


「ええ! なんでも!?」

「なんでもですっ!」


私の出した条件に唯先輩は顔を真っ赤にしている。
いったい、なに考えたんだろ.....も、もしかしてエッチなこととか....?
まあ結局、そのことについては今度ゆっくり考えることにしたんだけどね♪

(.......何にしようかなぁ.......)






それにしても.....さっきの唯先輩のアレって、やっぱり嫉妬ってやつだよね?
唯先輩ってやきもち妬くとあんな風になっちゃうんだ.......。
出会ってから随分になるけどあんな唯先輩は見たことがない。
もしかすると恋人同士になったことで唯先輩にもそういう感情が芽生えたのかもしれない。

それにやきもち妬かれること自体はすごく嬉しい。
それだけ私のことを想ってくれているってことだから。



不安にさせちゃってこう言うのもなんだけど、唯先輩の新しい一面をみることができてよかったな......。








〜蚊帳の外〜


「はぁ.........」


律が紅茶を飲みながらため息をつく。


「あたしら.......完全に忘れられてるよな.....?」


律は唯たちから目線を外し、チラッと横を見る。


「はぁ........お〜い、みお〜.....大丈夫かぁー」

「・・・・・・・・」


ため息を付きながら澪に問いかけるが、返事が無い。
どうやら完全に気絶しているようだ。
真っ赤な顔して頭から蒸気を噴き出している。
まあさっきのアレは澪には耐えられるはずもなかった。

律の方はというと、最近は免疫が出来てきたようで何とかなっている。
だがしかし意外なことにもう一人の気絶要因であるはずの紬が気絶していなかった。


「お、おい、ムギ.......お、お前大丈夫か?」


ジーーー
「はぁ.........はぁ........大丈夫よ......りっちゃん.....」


震える手でビデオカメラを回しながら、荒い息で律に返事を返す紬。


「だ、大丈夫って........と、とりあえず、鼻血は拭いといた方がいいぞ....マジで」


そう、律の言うとおり紬の座っている机はすでに鼻血の海と化していた。


「だ、だめよ.....一分一秒だって無駄になんてできないもの......ハァ...ハァ...」


いつもだったら、必要以上のいちゃつきでも気絶寸前の紬なのだが、今日は持ちこたえている。


「む、ムギ.......お前........」

「何も言わないで......私にだって......負けられない戦いといものが.....あるのよ.....ぐふっ!」


なんかカッコいい事を言っている紬だが、鼻血を噴きながら言っても全くきまっていなかった。




そしてここで記録された愛のメモリーは琴吹家の家宝になったことは言うまでもない....。








おしまい





〜あとがき〜
最後まで読んでくださってありがとうございます。
やきもち妬きな唯が見たかった....ということで書いてみました。
なんかやきもち通り越してるような気がするけど。
意外に独占欲が強かった唯の図...です。
一応このシリーズ、ゆいあずシリーズと銘打ってみた....

このページへのコメント

素晴らしい。感動しました。
あぁ、天皇陛下の臣下としてこの国に本当に生まれて良かった。

0
Posted by 皇民 2011年01月02日(日) 23:00:34 返信

もうだめです><

あなたの書く作品が脳内で映像化されてもうキュンキュンして

死にそうです。

次の作品にも激しく期待してます。

0
Posted by みちよ 2010年06月20日(日) 15:53:17 返信

感動です。
唯と梓のレズもう、何回読んでもよかったです。

もっと、もっといっぱい書いて欲しいです。

0
Posted by あずにぁyん 2010年06月09日(水) 01:09:54 返信

もう結婚しちゃえよこの二人wwww
やはりゆいあずは至高!今回もGJでした!

0
Posted by こんにゃく 2009年07月27日(月) 07:46:22 返信

バイト頑張ったり名前呼ぶだけでドキドキして後輩にイジられて逆襲でイジめちゃって…嫉妬して…一途な唯は素敵だと思います♪


しかし部室での公開攻めとか……二人の将来が心配です、変態的な意味d(待

0
Posted by 何時もの名無し1号 2009年07月26日(日) 14:51:40 返信

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