最終更新:ID:5V5Br+/VXA 2010年03月24日(水) 16:29:33履歴
※ネタバレ要素あり
いつからだっただろうか貴女に対する気持ちが大きく変わってきたのは。
きっと部室の西日のあたる場所で貴女を見つけた日から。
−−−−−
普段は5人集まる放課後の音楽室に今日はたったの2人−私とムギ先輩だけ。なぜかというと唯先輩と律先輩が本格的に受験勉強を始めたため。澪先輩は律先輩の付き添い。
ムギ先輩が部室に来た瞬間「構って!」なんて言って抱きついてきたのはかなり驚いた。正直心臓に悪い…でも別に嫌とかじゃなくてむしろ嬉しかった。
私がギターの練習をしようとしたときだった。
「ねぇ梓ちゃん」
「なんです…くぁ?」
目の前にはとても嬉しそうなムギ先輩の顔。そして私の頬にはムギ先輩の人差し指。
「ふふ、ひっかかったー♪」
「なっ!?」
私がひっかかったのが心底嬉しかったのかムギ先輩はその場で飛んで喜んでいた…小学校ですか。
「…そんなに嬉しいんですか?」
「ええ♪」
…可愛い。でもちょっとだけ悔しい。
「…とりゃ」
「きゃっ!?」
私は背を向けて油断していたムギ先輩におもいっきり膝かっくんを仕掛け、見事にひっかかってくれたムギ先輩を見て気分爽快。私の思わぬ反撃にムギ先輩はかなり驚いていた。
「びっくりしたわ…ってなにそれ!?」
「膝かっくんですよ」
「ずっずるい!!」
「…………」
私からしたら綺麗+可愛い顔で上目づかいで睨んでくる貴女の方がずるいと思いますけどね。
「最初に仕掛けたのはムギ先輩じゃないですか」
「ううっ…」
私の一言に少し反省してるみたいだけど、まだ納得していない様子のムギ先輩。確かにずるいかもと反省する反面こんな風にムギ先輩とコミュニケーションをとれるようになってすごく嬉しいと感じている私がいた。
「…でも先輩に対してかなり失礼でしたよね。すみませんでした」
「えっ?」
「お詫びに今日の帰りなにか奢りますよ」
それは貴女との距離を縮めたいがための口実。
「そっそんな悪いわよ、もとわといえば私が悪いんだし…」
「ていうか、いつもお菓子頂いてますしたまには奢らせて下さい」
冷静に言ってるようだけど内心は結構必死。他の先輩たちが来ないとあればムギ先輩も今日は来ても明日からは来ないかもしれないと思ったから。出来るだけ長く貴女と一緒にいたいと思ったから。
「でも…そうだわ!!」
なにか思いついたのかポンと手を打つムギ先輩。…なんだろう
「奢りなんてしなくていいから私のお願い聞いてくれる?」
「えっなんですか?私に出来ることならいいですよ」
ムギ先輩からお願いされるなんて初めてのことだから少し緊張してしまう。
「私にギター教えて!!」
「…へ?…ギターですか??」
「ええ!前に一度教えてもらってすごく楽しかったから…唯ちゃん達が居ない間だけでもいいからダメかしら?」
「だっダメなんかじゃ全然ないです!!」
まさかムギ先輩の方からそんな誘いがくるなんて思ってもみなかった…やばいメチャクチャ嬉しい。やったぁ♪なんて嬉しそうにしているムギ先輩に見えないように小さくガッツポーズ。
「梓ちゃんはきっとスパルタね♪」
「…分かってて私に頼むんですか」
「ええ、だって梓ちゃんがいいんだもの」
そんな些細なムギ先輩の一言に口元がにやけそうになるのを必死で抑える。
「かっ覚悟して下さいね!!」
「ふふ、ドントコイです!」
そんな笑顔を見てるときっときつくなんて出来ないんだろうななんて思えてきた。
「…ムギ先輩」
「なぁに?」
ムギ先輩と過ごす理由はできた。でも私欲張りな人間。
「やっぱり今日の帰り奢らせて下さい。新しく出来たクレープ屋おいしいって評判ですし」
「…じゃあ今日は梓ちゃんに甘えちゃおうかな」
−−−−−
その後、私はムギ先輩にギターを教えてから約束通りおいしいと評判のクレープを奢ってあげた。少々値ははったがムギ先輩がすごくおいしそうに食べていたので全然気にならなかった。
明日も貴女と2人きり。
「早く明日の放課後にならないかな」
ムギ先輩に対するこの気持ちの正体はまだ分からない。ただ一つだけ分かること、それは
彼女と過ごす時間は私にとってかけがえのないものだということだけだった。
−FIN−
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このページへのコメント
いいですね…淡い気持ちの梓。
まだそれが何なのかわからない気持ちだけど、しかし確実に惹かれている梓の、初々しさがキュンときました。
そして、むぎ可愛い
最近原作でやってた梓×紬は至高だった…
作者わかっておる
こ、これは新しいカプだぁ!
GJですー☆
続編希望〜(・o・)ノ
思わぬ新しいカップリングでした!
すっきり読めてたのしかったです!!
続きとか書いていただけると嬉しいですΣ( ̄□ ̄;