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著者:別1-157氏


―恋には思い切りが大切。


私がムギに貰った言葉。

ムギに相談して果たして正解だったのかどうか。
まだ実行には移していないからそれは分からないけど、躊躇うよりまず行動に移す。

ムギが言いたかったのは多分そういう事なのだろう。

とにかくすべては動いてみないと分からない。

何せ、相手はあの唯なのだから。


―――――――

「よし、今日の練習はここまでにしておくか」
「よっしゃー終わりー!眠いー!腹減ったー!」

…こいつは…部長としての自覚あるのか…

「あら、天気が崩れて来たわね」
「本当ですね、今にも雨が降りそうですね」
「マジか、天気予報当たったなあ」

ムギ達の言う通り、どんより曇っていて、もう少しで雨が降りそうだった。
良かった、傘持って来てて。

「あ〜…」

と、後ろから唯のマヌケな声がした。

「どうしたんだ?唯」
「あ、澪ちゃん……傘、忘れちゃった…」
「おいおい、天気予報も降水確率90パーセントだっただろ」
「……ギリギリまで寝てたから天気予報見てないや」

そう言ってヘラヘラ笑う唯。
律は唯のこの笑顔を変な笑顔と言うが、私からしてみれば、唯のこの笑顔こそ私にとっては魅力的。
私のハートを撃ち抜いてしまうには十分過ぎるくらいだ。

でも傘を忘れたのは唯の自業自得、なんだけど。


――恋には思い切りが大切――


そんなムギの言葉が頭をリフレインする。


「…しょうがない、私の傘に入るか?」

ため息をつきながらつとめて冷静に言うけど、今私の心臓はバクバク言っている。

「本当!?いいの、澪ちゃん!」
「あ、ああ」
「わー、ありがとう、澪ちゃーん!」


満面の笑顔とともに唯が抱きついて来た。

……………はっ、しまった、意識が飛ぶところだったっ……!
唯は天然でこういう事をする。
天然って奴は本当に恐ろしい。

「おっ、おいっ、やめろっ、唯っ…!」
「澪ちゃんは恩人だよ、本当にありがとうっ!」
「なんだあの二人」
「…唯先輩…なんだか嬉しそう…」
「あらあら♪(もっともっと押すのよ、澪ちゃん!!)」
「っ…!」
「どうしたの、澪ちゃん?」
「い、いやなんでも…」

なんか後ろから二つの邪気を感じたんだけど、気のせい、だよ…な、多分…


――――――

気持ち悪いくらいニコニコ顔のムギ、何故か恐ろしいくらいこっちを睨んでいる梓、そして一人なんだか分からずにポカーンとしている律と別れ、唯と雨降る道を行く。


「それにしても、澪ちゃんが傘持ってきてて助かったよぉ〜」
「まったく、今回だけだからな?」
「いや〜ん、そう言わずに〜」
「私に頼る前に自分でどうにかした方がいいんじゃないか?ほら、憂ちゃんもいるんだし」
「いやあ〜それが…」
「?」
「憂にも迷惑ばかりかけられないから、今日は一人でやろうとしたら…」
「…傘を忘れた、と」
「…ふい」

唯はちょっと俯いて返事をする。

でもちょっと驚いた。
唯が憂ちゃんから離れて頑張ってたなんて。
…まあ、結果的に空回りしてるみたいだけど。

「…でもこれじゃまだしばらくは憂の世話になっちゃうかな…ハハハ」
「…唯はそのままでいいと思うぞ?」
「本当?」
「ま、まあ、程度ってものがあるけどな。でも唯は少し抜けてた方が可愛いと私は思うよ」
「本当?本当?」

目を輝かせながら私をジッと見る唯。

「あ、ああ、私はそのままの唯が好きだよ」


私達の間にしばらくの沈黙が生まれた。

雨音がシトシトと鳴る以外は、まるでこの世界に私達しかいないみたいに静寂に包まれる。


い、ましか無い。

今なら、唯にこの気持ちを伝えられる。

根拠は無い。

ただ、私の本能がそう叫んでいる。


「ゆ、い…」

唯の手に自分の手を重ねようとした、その時。

「あっ、澪ちゃん、雨上がってるよ!」
「え」



唯に言われた通り空を見ると、いつの間にか雨が上がっていた。

唯は私の元を離れて走って行く。

よっぽど晴れたのが嬉しいのか、その姿はまるで子供の様で。

「澪ちゃん澪ちゃん、晴れたよー!」
「見れば分かるよ」

私ははしゃぐ唯を見て苦笑いを一つ。
そして、すっかり晴れた空気の読めない空を見上げる。


…そっか、私は忘れていたみたいだ。


私の好きな人は平沢唯という女の子だ。


ボケボケで、ギターも上手いんだか上手くないんだかよく分からない、けど、私にはそのすべてが魅力的に見える。


そんな不思議な存在、平沢唯。


そんな唯に真っ正面から想いを伝えても多分伝わらない。

ムギ、ムギがくれたアドバイス、ちょっと付け足さなきゃいけない所があるよ。


――恋は思い切りが大切。

……ただし、唯にそんな正攻法は通用しない。――


焦らず、ゆっくり、ゆっくりとやって行こう。

ゆっくり、唯を私色に染めて行こう。

そうすればいつか、報われる日は来る、ハズ。

「唯」
「なあに、澪ちゃん」


私は駆け回っていた唯に話しかける。

そして少しだけ意地悪く言う。


「ううん、なんでもないよ」



END

このページへのコメント

こういうのいいね(´∇`)

0
Posted by 哀・戦士 2013年02月18日(月) 02:12:44 返信

天然な唯にヤキモキする澪、このもどかしさこそが唯澪の真骨頂ですねw

0
Posted by 通りすがりの唯澪好き 2009年08月05日(水) 21:50:29 返信

唯は天然なところがいいんですよね〜

0
Posted by 唯LOVE 2009年08月05日(水) 11:20:43 返信

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