最終更新:ID:QcAUIXWivA 2010年07月19日(月) 14:14:11履歴
合宿の夕方(アニメ一期10話「また合宿!」での、想像上の一コマ)エロなし。
「飯食わせろぉー!」
という律の叫びで、
「じゃあ、そろそろ夕ご飯にするか・・」
となった。
・・私はもうちょっと練習したかったんだけど。
「じゃあ、夕ご飯のお買いものに行きましょうか」
とムギが提案すると、すぐに、唯の、
「ハイハイッ!私、行くーっ!」という元気な声が響いた。
「あ、あずにゃんも行くよねっ」
「はぁ・・」
やや気圧されたあずさの声。
「あたし、お腹空きすぎて、動けない・・」
と、これは情けない律の声。
「じゃあ、りっちゃんはお留守番だー」
と唯が笑う。
それを聞いて私は思わず、
「律一人じゃ、あぶないだろ。もう一人、ジャンケンか何かで・・」
と言いかけた。すると、ムギが、それを遮って、
「じゃあ澪ちゃん、りっちゃんをよろしくね」
と、にっこりした。
「え?ムギ・・」
「さあ、行きましょうか」
「よーし、しゅっぱぁーつ☆」
「あ、ああ・・行ってらっしゃい。気を付けてな〜」
ムギの別荘のベランダで、3人を見送る。外から直接上がれるようになっている、ウッドデッキ。海辺のリゾートって感じだ。
もう5時過ぎだけれど、夏の陽はまだ高い。少し傾きかけた太陽の、オレンジ色の光が私たちを照らしていた。
「今夜はここでバーベキューかぁ!たっのしみだな〜♪」
さっきまであんなにへろへろだったくせに、律は食事のことを考えると、俄然元気になるらしい。
「さてと、ヒマだなー。みお、何するー?」
「そうだな・・」
カードゲーム、テレビ・・やっぱ練習・・と考えていると、律が悪い笑顔になっているのに気付いた。
「あっい、嫌だからなっ」
「まだ何にも言ってないじゃーん?」
「どうせまた、怖い話とか・・」
「当ったり〜♪おととい、テレビで怪談特集やっててさぁ・・」
「ひっ」
「ちょうどこの辺の海でさ、昔〜」
「ヤメローッ!」
ひとしきりふざけ終えると、律は涙目の私を見て楽しそうに笑って、それから再び、うーん、と唸った。
「スーパー遠いって言ってたし、あと一時間はかかるよなー」
その時、ふと私の頭にひらめいたものがあった。
そう、実は、ずっと前から考えていたこと。
「ねぇ、律・・歌ってみない?」
「へ?何を?」
律はきょとん、とする。
「ふわふわ☆時間」
「な、なんで・・?」
本当は、ずっと前から思ってたんだ。この歌を、律に歌って欲しい、って。
「だってさ、律、ドラムだから、普段はボーカルできないだろ。でも、カラオケとか行くと、いちばんはしゃいで歌いまくるの、律じゃないか。だから、本当は、歌うの、大好きなんだろうなと思って・・」
「で、でも、それとこれとは・・」
「な、一度だけ」
「い、いや・・恥ずかしーし」
「ふーん。さては律、歌詞、覚えてないんだろ。」
私はわざと意地悪い顔をして、律にカマをかけてやる。
「ちっ違・・」
「自信ないんだろー」
「や、やってやろうじゃないかぁ!」
(よしっ)
心の中でガッツポーズをする。まんまと引っ掛かった。単純な奴。
スタジオに戻ると、クーラーの風が、汗をかいた肌にはひんやりと涼しい。
二人きりだと、なんだか・・静かだ。
私は愛用のベースを持ち上げ、アンプを確認し、チューニングを確認する。
(よし)
律は口数少なく私の動作を見守っている。緊張でもしているのだろうか。
いつもの自分の席に座れないのが、落ち着かないのかもしれない。
私は律にマイクを渡す。
「・・いい?」
「うん」
「伴奏、ベースだけだけど・・入り方、分かるよな?」
「当たり前だろー」
律は、心外!というように、胸を張って答えた。
「じゃあ・・いくよ」
「おう」
静かなスタジオに、低く、響き始める私のベース。
律が、息を吸い込む音が聞こえた。
そして。
「―――君を見てるといつもハートドキドキ」
ここ、と合図してやろうと思ってた。
でも、そんなの全然必要なかったみたいで。
律はぴったりのタイミングで歌いだし、その声は凛として揺るぎなかった。
(きれいな声だな・・それに、良く響く。)
高いのに、不思議な深みを持った、少年のような声。
我ながら甘い歌詞だと思うし、唯が歌うと、歌詞の通りふわふわした甘いマシュマロみたいな歌だ。
それなのに・・
律が歌うと、どうしてこんなにクールで格好良い曲になるんだろう。
無心に歌う律の横顔を盗み見る。
真っすぐに前を向いて、どこか遠い一点を見詰めて歌うその姿は、律を見慣れている私でさえ見とれてしまうほど、きれいだたった。
「ああ神様どうして好きになるほどDream nightせつないの―――」
私の視線を知ってか知らずか、律の声は切なげに響く。
(本当に・・どうしてこんなに、切ないんだ)
いつの間にか、私は弾き終えていた。
歌い終えて息を弾ませた律が、私の方を向いて笑う。
「ほーらな!ちゃんと間違えずに最後まで歌え・・て、みお!?」
律が目をまるくして私の顔を見つめている。
不思議に思って、私は自分の顔に触れた。
私は・・泣いていた。
「どっ・・どーしたんだ!?」
あたふたする律。私はそれがおかしくて、笑う。
「なんだよー」
「いや・・ちょっと感動した。律、歌、上手いな」
そう言うと、律はなぜか俯いた。
「まっまぁなー。私の実力ならこんなもんだっ」
その頬は、ほんのり赤く染まっている。
「もしかして、律・・照れてる?」
「なっなんだよっ このヤロー!」
逆切れ(?)した律が私めがけて体当たりしてくる。
「わっ や、やめろ、律ーっ!」
いつもみたいにふざけあって、もみくちゃになって・・
二人で、思い切り笑った。
私が、この歌詞を、誰を想って書いたか、なんて、関係ない。
今は、この距離で、ふざけ合っていたい。
そう、思った。
※SSを書くのはこれが初めてなので、矛盾とかあったらすみません。りっちゃんに歌を歌って欲しくて、書きました。
BY まに
「飯食わせろぉー!」
という律の叫びで、
「じゃあ、そろそろ夕ご飯にするか・・」
となった。
・・私はもうちょっと練習したかったんだけど。
「じゃあ、夕ご飯のお買いものに行きましょうか」
とムギが提案すると、すぐに、唯の、
「ハイハイッ!私、行くーっ!」という元気な声が響いた。
「あ、あずにゃんも行くよねっ」
「はぁ・・」
やや気圧されたあずさの声。
「あたし、お腹空きすぎて、動けない・・」
と、これは情けない律の声。
「じゃあ、りっちゃんはお留守番だー」
と唯が笑う。
それを聞いて私は思わず、
「律一人じゃ、あぶないだろ。もう一人、ジャンケンか何かで・・」
と言いかけた。すると、ムギが、それを遮って、
「じゃあ澪ちゃん、りっちゃんをよろしくね」
と、にっこりした。
「え?ムギ・・」
「さあ、行きましょうか」
「よーし、しゅっぱぁーつ☆」
「あ、ああ・・行ってらっしゃい。気を付けてな〜」
ムギの別荘のベランダで、3人を見送る。外から直接上がれるようになっている、ウッドデッキ。海辺のリゾートって感じだ。
もう5時過ぎだけれど、夏の陽はまだ高い。少し傾きかけた太陽の、オレンジ色の光が私たちを照らしていた。
「今夜はここでバーベキューかぁ!たっのしみだな〜♪」
さっきまであんなにへろへろだったくせに、律は食事のことを考えると、俄然元気になるらしい。
「さてと、ヒマだなー。みお、何するー?」
「そうだな・・」
カードゲーム、テレビ・・やっぱ練習・・と考えていると、律が悪い笑顔になっているのに気付いた。
「あっい、嫌だからなっ」
「まだ何にも言ってないじゃーん?」
「どうせまた、怖い話とか・・」
「当ったり〜♪おととい、テレビで怪談特集やっててさぁ・・」
「ひっ」
「ちょうどこの辺の海でさ、昔〜」
「ヤメローッ!」
ひとしきりふざけ終えると、律は涙目の私を見て楽しそうに笑って、それから再び、うーん、と唸った。
「スーパー遠いって言ってたし、あと一時間はかかるよなー」
その時、ふと私の頭にひらめいたものがあった。
そう、実は、ずっと前から考えていたこと。
「ねぇ、律・・歌ってみない?」
「へ?何を?」
律はきょとん、とする。
「ふわふわ☆時間」
「な、なんで・・?」
本当は、ずっと前から思ってたんだ。この歌を、律に歌って欲しい、って。
「だってさ、律、ドラムだから、普段はボーカルできないだろ。でも、カラオケとか行くと、いちばんはしゃいで歌いまくるの、律じゃないか。だから、本当は、歌うの、大好きなんだろうなと思って・・」
「で、でも、それとこれとは・・」
「な、一度だけ」
「い、いや・・恥ずかしーし」
「ふーん。さては律、歌詞、覚えてないんだろ。」
私はわざと意地悪い顔をして、律にカマをかけてやる。
「ちっ違・・」
「自信ないんだろー」
「や、やってやろうじゃないかぁ!」
(よしっ)
心の中でガッツポーズをする。まんまと引っ掛かった。単純な奴。
スタジオに戻ると、クーラーの風が、汗をかいた肌にはひんやりと涼しい。
二人きりだと、なんだか・・静かだ。
私は愛用のベースを持ち上げ、アンプを確認し、チューニングを確認する。
(よし)
律は口数少なく私の動作を見守っている。緊張でもしているのだろうか。
いつもの自分の席に座れないのが、落ち着かないのかもしれない。
私は律にマイクを渡す。
「・・いい?」
「うん」
「伴奏、ベースだけだけど・・入り方、分かるよな?」
「当たり前だろー」
律は、心外!というように、胸を張って答えた。
「じゃあ・・いくよ」
「おう」
静かなスタジオに、低く、響き始める私のベース。
律が、息を吸い込む音が聞こえた。
そして。
「―――君を見てるといつもハートドキドキ」
ここ、と合図してやろうと思ってた。
でも、そんなの全然必要なかったみたいで。
律はぴったりのタイミングで歌いだし、その声は凛として揺るぎなかった。
(きれいな声だな・・それに、良く響く。)
高いのに、不思議な深みを持った、少年のような声。
我ながら甘い歌詞だと思うし、唯が歌うと、歌詞の通りふわふわした甘いマシュマロみたいな歌だ。
それなのに・・
律が歌うと、どうしてこんなにクールで格好良い曲になるんだろう。
無心に歌う律の横顔を盗み見る。
真っすぐに前を向いて、どこか遠い一点を見詰めて歌うその姿は、律を見慣れている私でさえ見とれてしまうほど、きれいだたった。
「ああ神様どうして好きになるほどDream nightせつないの―――」
私の視線を知ってか知らずか、律の声は切なげに響く。
(本当に・・どうしてこんなに、切ないんだ)
いつの間にか、私は弾き終えていた。
歌い終えて息を弾ませた律が、私の方を向いて笑う。
「ほーらな!ちゃんと間違えずに最後まで歌え・・て、みお!?」
律が目をまるくして私の顔を見つめている。
不思議に思って、私は自分の顔に触れた。
私は・・泣いていた。
「どっ・・どーしたんだ!?」
あたふたする律。私はそれがおかしくて、笑う。
「なんだよー」
「いや・・ちょっと感動した。律、歌、上手いな」
そう言うと、律はなぜか俯いた。
「まっまぁなー。私の実力ならこんなもんだっ」
その頬は、ほんのり赤く染まっている。
「もしかして、律・・照れてる?」
「なっなんだよっ このヤロー!」
逆切れ(?)した律が私めがけて体当たりしてくる。
「わっ や、やめろ、律ーっ!」
いつもみたいにふざけあって、もみくちゃになって・・
二人で、思い切り笑った。
私が、この歌詞を、誰を想って書いたか、なんて、関係ない。
今は、この距離で、ふざけ合っていたい。
そう、思った。
※SSを書くのはこれが初めてなので、矛盾とかあったらすみません。りっちゃんに歌を歌って欲しくて、書きました。
BY まに
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このページへのコメント
私もりっちゃんの歌声はいいと思います!
…あの甘々な歌詞をみおが顔を赤らめ律を想いながらながら書いていたんだと思うと……っ(≧ω≦)
画面みながらにやついてました!
律verとかも書いてくれると嬉しいですφ(.. )!!