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著者:3-832氏


ゴツンッ

律「あだっ!」

澪「まったくもう」

紬「うふふ」

唯「…」

紬「唯ちゃん?」

唯「えっ?…あ、あははは」

澪先輩と律先輩は今日も良い感じだ。
紬先輩はそれを見て笑う。いつもは唯先輩も一緒に笑う。
だけど最近の唯先輩は笑わない。
最近の唯先輩は、たまに遠い眼をしたり、顔を赤くしたり、哀しい顔をする。
その理由を私は知っている。

紬「本当に2人は仲が良いわね〜」

律「だろ?昨日から付き合ってんだ!」

紬唯梓「えっ?!」

澪「なっ!…律!それは秘密だって…」

律「良いじゃんか〜仲間には言っといても」

また2人は言い合いになり紬先輩はニコニコ笑っている。
唯先輩は、下を向いていて顔が見えない。
スカートの裾を握る手が震えている。

梓「唯先輩…あの…」

唯「ちょっとトイレ行ってくる!」

勢い良く立ち上がると走って音楽室を出て行ってしまった。
唯先輩…泣いてた。
眼に涙をいっぱい溜めて、零れそうになって出て行ったんだ。

梓「あの、私もトイレに…」

居ても立ってもいられなくなり唯先輩を追い掛けた。


廊下を真っ直ぐ歩く。
私はかなり前から気付いていた。
お茶の時、律先輩とふざけ合って赤くなる唯先輩。
練習中、ドラムの方をチラチラ見る唯先輩。
帰る時、哀しい顔をする唯先輩。
私が見て来た唯先輩は、いつも律先輩を見ていた。

廊下の突き当たり、女子トイレのドアを開け中に入ると1番奥の個室が閉まっていた。

唯「ふぇっ、うっ、くっ」

声を殺した泣き声が聞こえ、胸が苦しくなる…

梓「唯先輩…」

唯「ふぇ?…あ、あずにゃん?」

梓「はい、すいません。ちょっと心配になって…」

唯「…」
カチャ、ギー

数秒の沈黙の後、唯先輩が入っている個室のドアが開いた。

唯「あずにゃんは優しいね…でも、私何ともないから。大丈夫だよ!」

梓「…」

ブレザーの袖が濡れてる。眼も真っ赤で、今にも零れようとする涙を唇を噛んで耐える唯先輩を見ると、こっちが泣きそうになった。
いつも元気でにこにこ笑っていた唯先輩が、こんなに小さく、弱く見えたのは初めてだった。

唯「あず、にゃん…?」

大好きな唯先輩が、こんなに悲しんで泣いてるのが辛くて、見てられなくて、気が付くと私は唯先輩を抱きしめていた。いつも唯先輩がやってくれるように、頭の後ろに右手を置いて、背中に左手を回す。

梓「今、ここには唯先輩以外誰もいません。私は何も聞いてないし何も見てない。思ってる事全部吐き出しちゃって下さい。」


唯「あずにゃん…ふぇ…」

涙を我慢しなくなったのが分かった。

唯「好きだったの…ずっと、好きだったの…両想いなんて誰が見ても分かるし、2人の仲に私が入っちゃいけないのは分かってて。」

唯先輩はポツリポツリと話始めた。

唯「何回も諦めようとしたけど、いつのまにかりっちゃんを眼で追ってて…あんな風に報告されたら、私どうしたら良いか分かんない!あずにゃん…どうすれば良い?!私、もう分かんないよお!」

梓「…大丈夫…大丈夫です…」

何が大丈夫なのか…どう大丈夫なのか…私にも分からない。でも、唯先輩の気持ちは痛い程分かる。唯先輩に対する私と同じ気持ちだから…

今私が唯先輩にしてあげられる精一杯。
頭を撫で、背中を摩ってあげる事しかできず歯痒くなって涙が溢れた。
唯先輩に気付かれないように涙を拭うとまた背中を摩り大丈夫と声を掛ける。
背中に唯先輩の手が回ってきた。

唯「ありがとうあずにゃん…あったかい…あったかいよう…」

私は唯先輩が好き…口に出して伝える事はないだろう。だけど分かって欲しい…そんな矛盾した考えでも言ってはいけない事くらい分かる。
言葉にしない代わりに、唯先輩を抱く腕に力を込めた。

このページへのコメント

なんか・・・悲しい結末だったな

0
Posted by 空我 2010年06月16日(水) 22:05:18 返信

そうですよね、梓はどんなに好きでも気持ちを口に出したりしないはず。
凄くよかったです

0
Posted by ルーリー 2010年06月08日(火) 15:58:17 返信

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