2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:別1-243氏


私が3年生になってから半年が過ぎた。
もう周りも私も受験に向けて勉強に取り組んでいる。

「こないだの模試やばかったよ!」
「あたしはまぁまぁかな」
「あたしなんかC判定とD判定しかないよぅ」

クラスメートの会話が聞こえる。
自分の成績表を見つめ、溜息が漏れた。伸びてないどころか、少し落ち込んでしまった成績。
もう一度溜息をついた。


この日、私は楽器屋を訪れた。
正直、勉強する気が起きなくて気晴らしをしたかった。
いつもなら家でギターを弾くのが気晴らしなんだけど、今日はなんとなく、なんとなく…ここにやって来た。


「あ、レフティフェアやってる」


入口に置かれた立て札の文字に思わず呟いた。
レフティフェア…か。
思い出すなぁ、高1の頃のこと。
先輩たちのこと。
貴女のこと。


さっきとは違う溜息をついた。
中に入ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。

「あれ?梓じゃないか?」


それは懐かしくて、心地よくて、だけど涙が溢れそうに切なく私の中で響いた。


「み、お先輩?」


私に声をかけた人物。それは私の1つ上の先輩。

「やっぱり梓か。久しぶりだな。」


目の前に広がる懐かしい微笑みが眩しかった。

「澪先輩、どうしてここに?」

先輩は大学に進学し、ここを去って一人暮らしをしてるはず。

「夏休みだから帰ってきてるんだ。…ってレフティフェアやってるのか!?」

澪先輩は私の問いに答え、立て札に気付いた。先輩は目をキラキラ輝かせて笑う。

「梓!入ろう!」



**********




澪先輩と別れ、一人帰路に着く。
あのあと澪先輩と心行くまで楽器を見て、そして喫茶店に入った。
澪先輩の大学での生活のこと、一人暮らしのこと、私の受験に対する不安、試験への愚痴、軽音部での日々…たくさんたくさん話した。
久しぶりに会った澪先輩は元から綺麗な人だったけど、より綺麗にそれでいて可愛くなってた。
高校時代の澪先輩と今の澪先輩を重ね合わせて、私は思うんだ。

想いを伝えなくてよかったって。


「なんか悩みとかあるなら連絡しなよ。」

別れ際、先輩に言われた言葉。
先輩、ごめんなさい。連絡をすることはきっとないです。
私の想いが残ってる内にそんなことしたら、もう止まれなくなりそうなんです。
想いが薄れる日が来たら、この想いが思い出に変わる日が来たら、その時は…。





…澪先輩。
私はずっと先輩のことが好きでした。
そして今も…。


おしまい

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