最終更新:ID:tmrtJY5oSw 2009年06月29日(月) 23:42:01履歴
「はぁ…」
冬の日。放課後、みんなと別れて一人ぼっちの帰り道、駅のホーム。
白い吐息と一緒にため息が漏れて、消えていく。
「さむい…」
少しでも寒さが和らぐようにと、手をすり合わせ息をかける。
電車が来るを待ちながら、私は、りっちゃんと澪ちゃんのことを考えていた。
−−−あの二人は、お互いにお互いが特別な存在で、惹かれ合っている。
りっちゃんのことは澪ちゃんが、澪ちゃんのことはりっちゃんが一番よくわかっている。
りっちゃんが澪ちゃんにしか見せない笑顔を、私は知っている。
これは、残念ながら私の「いつもの妄想」なんかじゃない…。
りっちゃんの隣には、いつでも澪ちゃんがいる。“そこ”は、澪ちゃんの場所。
どれだけ手を伸ばしても、私には届かない場所。
わかってる。でも−−−。
そんなことを考えている間に家に着き、いつものように斉藤が出迎えてくれる。
一言二言、言葉を交わしたあと自分の部屋に向かう。
部屋に入り、ドアを閉めて一人になると、人前で抑え込んでいた感情が
涙になってぽろぽろと溢れ出した。ベッドに顔をうずめて、
声を圧し殺すようにして泣いた。
りっちゃん。もしも、澪ちゃんよりも先に、私があなたと出会っていたら。
その場所は、私のものになっていたのかな。
澪ちゃんにだけ見せるあの笑顔は、私に向けられていたのかな。
そんなこといくら考えたって、何の意味もない。胸が痛くなるだけ。
でも、止まらない。
「りっ…ちゃ……っ…」
くるしい。
心がつぶれてしまいそう。
報われない気持ちなのはわかっている。傷つくこともこわくない。
ただりっちゃんにだけ、わかってほしいの。
私がこんなに、あなたを思っていることを−−−。
おわり。
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切ねえ。・゚・(ノД`)・゚・。