2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:◆U0kc14QpJ6氏


「はい、あーん」

「あーん…んぐんぐ…みかん美味しいねー」

「そうだねー。はい、あーん…」


こたつに入ったままの唯に、みかんを食べさせる憂。
憂にとって、これ以上ない、至福な時。


「あ、これが最後の一つだよ。はい、あーん」

「あーん……んぐんぐ。あー美味しかったー!」


唯が満足そうだから、憂だって満足。


「そうだ…憂、私もみかん食べさせてあげるよ」

「ええ?悪いよ」

「なに遠慮してるのさー。ほら、もう皮剥いちゃったよー。ほら、あーん」

「…あ、あーん……もぐもぐ」

「美味しい?」

「…うん…お姉ちゃんの味がしたよ」

「わ、私の味?」

「変な意味じゃなくて…なんか、いつもよりずっと美味しいかも」

「…これがお姉ちゃんパワーだよ!」

「なにそれ?」


笑いながら聞く憂。


「…さぁ?なんか思いついただけ」


唯も唯でまた、笑って答える。


「お姉ちゃんらしいね」

「でしょー?」


にへらーっと、笑う唯。
そんな笑顔が堪らなく可愛いくて、憂は少しドキッとして。


「でも…お姉ちゃんパワー、確かにあるね」

「ふぇ?」

「いっつも、貰ってるよ…」


それは、元気をくれる不思議な力で。


「ありがとうね、お姉ちゃん」

「…?…うん」


―――ピンポーン―――


「…誰か来たね、憂」

「…出たくないよぅ。面倒くさい…」

「えー!?あの憂が珍しい…」

「…私だってそういうときもあるもん?」


―――ピンポーン―――


「うーん。じゃあ、じゃんけんでどっちが出るか決めよう!」

提案したのは唯だった。

「あ、うん……」

「じゃーんけーん…」

ポン!唯がチョキ、憂がグー。

「…負けたー」

がくっと、うなだれる唯。

「…ごめんね、やっぱり私が出るよ」

「ううん。約束だもん…行ってくるよー」

「お姉ちゃん…!ありがとう…!!」

「ほいほーい」


些細なことだけど。
些細なことに約束を守ってくれるお姉ちゃんだから。
…大好きなんだね、私。

憂は姉をまた強く想う。
恋なんかじゃない。
それはもっと、唯には届かない気持ち。
………
……




「宅配便だったよー。…あ、お父さんとお母さんからだ!」

「本当!?」

「さぁさぁ、あけよーあけよー」

「はい、カッター…」

(はっ!お姉ちゃんが怪我するかも…)

「やっぱり私があけるよ」

「じゃお願いー。なんだろー♪」


しばしば、両親から贈り物がある。
海外で買った甘いお菓子や可愛い小物。
それは唯も憂も楽しみにしていた。
両親のもとからやってきたダンボールを憂がゆっくりと切り、開ける。


「わぁ…お菓子のお土産だよ!」

「ふぉお!すごい!憂、なんのお菓子?」

「クッキーだって」

「美味しそう!!早く食べようよ〜♪」

「うん……あれ?なんかまだ入ってる…手紙?」

「ほぇ?」

「お母さんからのメッセージだ〜!」

「なになに!?なんて書いてあるの!?」


開けたら手紙が入っていた。
お母さんの書いた文字が、ほんのりなんだか懐かしい…。
たしか昔はよくお母さんの書く字を真似したなぁ、だなんて思いつつ、憂は手紙を広げた。


「読むね…。唯、憂、こんにちは」

「こんにちはー」

「私とお父さんは今、ドイツにいます。2人をほったらかしにしてごめんね。
2人にそれぞれ、メッセージを送ります。唯へ……」

「…どきどき…」

「しっかりとやってますか。前見せてもらったギター、かっこよかったよ。
帰ったらなにか演奏してね。でもギターばっかじゃなくて、勉強と両立させるんだよ。」

「し、してる…はず」

「唯が好きそうなクッキー、贈りました。憂と食べてね……だって」

「食べてるよー。もぐもぐ」

「私の分もとっといてよ?」

「わーかってるよぉ。…あれ?憂にはメッセージないの?」

「…あるよ」

「なになに、聞かせてー♪」

「………だめ」

「ふぇ?」


なぜ否定?
首を傾げる唯。


「…は、恥ずかしくて読めないよ」

「なになに!?なにが書いてあるの!?」


手紙を奪おうとする唯。
恥ずかしい内容の手紙が来たらしい。
…むしょーに読みたい。
ものすごく、読みたい。


「あ、やだ!だめ!」


手紙を取ろうとする唯。


「えー、なんでー?私も見たいよー」

「でも…」

「隙あり!」

「ああ!」

「これがお姉ちゃんパワー…なんちゃって。なになに…」


えへへ…。ごめん憂、お姉ちゃん読みたくて仕方ないよ。


「あぁあ……」

「憂へ…」

「声に出さないでよ!!」

「ええー?いいじゃん……憂へ。
いつも家事、ご苦労様。憂の働きっぷりには、お母さんも頭が下がります。
……私だって憂の頑張りには下がっちゃうよ〜」

「……」

「?…えっと……例のことだけど、おめでとう。憂も大人の女性だね。本当におめでとう………??」


……。あれ?
読んでいて、何となくわかってきた気がした唯。

…憂。
ごめんね。


「……………」

「お父さんには内緒にしておいてって憂は言ってたけど、一応報告しました。

ごめんね、憂…。お父さんも心配していたので。今度、帰ったらお赤飯炊こう!」

「……お母さんのばか…」

「憂が欲しがってた調味料、買いました。帰ったら一緒に料理しようね……母より」

「……お、音読しなくたっていいのに…!!」

「…これって…」

「……………………」


手紙から顔をあげてみると、憂は真っ赤になっていた。
下を向いて、こちらを見ない。


「もしかして…まだ来てなかったの?」

「……………うん…」

「ええ!?そうだったの!?」

「……つい最近まで…」

「憂のことだからとっくに来てるかと思ったよー」

「もう!お姉ちゃんのばかぁ…!」


ほとんど半泣きで唯に言う憂。
唯も申し訳なさそうに謝る。


「う、憂…ごめんね。でも、別に恥ずかしがることじゃないよ?」

「そ、そうだけど…」

「…うい、おめでとう…!」

「…お、お姉ちゃん……」

「でも、なんでお赤飯?」

「知らないの?なんかお祝いで炊くんだって…お姉ちゃんの時も食べたよ?」

「あれ?そうだっけ?」

「そうだよー。……ねぇ…お姉ちゃん」

「ふぇ?」

「誰にも言わないでね……遅すぎだもん」

「こんなこと誰にも言わないよー。
……憂も、もう…大人なんだね」

「…うん」

「辛いときは頼っていいんだよー。頼りないかもだけど」

「そんなことないよ!…うん。ありがとう」


姉妹に生まれたから、色々と一緒だね、憂。
いつも一生懸命な妹が、大人になりつつあることに唯はハッとする。

妹を、守ってあげたい。

とっさに思う。

憂はしっかりしているから、姉の私の手助けなんていらないような気がした。

でも、私はそう思ったんだ。


「どういたしましてー。あ、クッキー食べよう?」

「…うん!お茶入れるね!」


少しずつ変わり続ける2人に、甘いお菓子はちょうどよい。

このページへのコメント

確かにこの姉妹はスクランの塚本姉妹みたいだ。

0
Posted by 楔 2010年09月04日(土) 10:17:29 返信

お姉ちゃんパワー…なんかスクラン思い出しました(笑

0
Posted by りん 2010年01月24日(日) 09:16:08 返信

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