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著者:3-220氏


ホーホーと物憂い梟の鳴き声が聞こえた。
その鳴き方は、森の茂みに蒟蒻を持って潜んでいる私を小馬鹿にしたかのようだった。
「誰もこねぇ」
いつの間にか蚊に刺されていた皮膚をボリボリと掻きながら呟く。
孤独感を紛らわそうと独り言を発した直後、無情にも何処からか葉ずれの音が聞こえ、恐怖感まで増幅する形となった。
(み、澪……早く来てくれ)
そんな願いも叶わず、数分が経過しても何故か澪は来なかった。

誰か来ないかと期待を込め、恐る恐る周辺を見渡す。
しかし、周りは背の高い木々が鬱蒼と茂っていて、森が私を閉じ込めているかのようだった。
そんな光景に恐れを抱いた私は両膝を折り、その場にしゃがみ込んだ。
(ダメだ……怖い)

暗闇に飲み込まれそうになったその時、誰かの声が頭上から聞こえた。
「あ、律っちゃん見っけぇ!」
半泣きの状態で顔を上げる。
先程まであった木々の姿はなく、私の視界には目の前に立つ少女だけが映っていた。
「ゆ、唯……唯!」
普段見せない涙を流して唯に抱きつく。突然の行動に呆気に取られながらも、唯は私を受け止めてくれた。
「怖かったんだ……私」
「もう、帰れないんじゃないかと……本気で思って……」
私が泣き言をぶつけていると、唯は抱きしめる力を緩めて、私の瞳を覗き込んできた。

「別荘に戻ろ?」
「あ、うん……」
頬を伝う涙を唯がそっと拭ってくれて、なんだか気恥ずかしかった。
「あれ?律っちゃん……照れてるぅ?」
表情に出ていたのか、にやつきながら私に聞いてくる。
「て、照れてなんかない!」
「でもほっぺた温かいよぉ?」
「え!?……あ」
唯にいわれたとおり、私の頬は若干熱っぽかった。
「ほらー?やっぱ律っちゃん照れてる!」
「うるさいな!し、仕方ないだろ……」
「あははー!可愛いなぁ」
この時、私の頬が一層熱を増した気がした。それは、可愛いといわれたからではない。
「こ、こら!からかうなー!」
「律っちゃん照れ屋さんなんだからぁ」

唯の笑顔が、夜闇を煌々と照らし出す月明かりのように輝いていたからだった。

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