2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:12-621氏


「そういえば………そろそろクリスマスの時期だよね、梓ちゃん。」

「うん、今年も憂の家でパーティーをするのは聞いてるよね?」

おそらく昨夜も遅くまで練習していたのだろうか、そう言った梓ちゃんの顔は、なんだか眠たげで
それでも朝の寒さは梓ちゃんにも応えるようで、眼をぱっとさせ眼を手で擦っていた。
私は眼を擦る仕草をする梓ちゃんがかわいいなぁと思い、自然と私の頬も緩む。
そんな早朝の寒さには私も身震いがして、眠気が飛んでいくようである。
お姉ちゃんはいいなぁ……………もう少し遅くまで寝る事が出来て。

「お姉ちゃんから聞いてる。
 『あずにゃんと久しぶりに会える〜!!』
 なんて言って、すっごく楽しみにしているみたいだったよ。」

「あ、あはは………。さすがにまた抱きつかれるのは勘弁してほしいかな……。」


きっとお姉ちゃんの事だろう。会った瞬間にものすごい勢いで抱きつかれることは容易に想像できた。
そんな梓ちゃんの困ったような顔を見て、私はちょっと複雑な気持ちになる。
――――去年まではこんな気持ちになった事なんて無かったのに。
私がこの気持ちを抱くようになったのは、はっきりとは覚えていない。
だけど、その原因となるものはわかっているつもりだ。それの所為で私の中の梓ちゃんの存在が大きくなっている事も………。
自分の中では何度も否定したけども、その気持ちが嘘かと聞かれたら多分、私はNOと応えるだろう。
だって私は梓ちゃんの事が――――


――冬――
そろそろクリスマスと言う、一大イベントが始まろうとする季節。
商店街には所々にツリーや派手なイルミネーションが施され、その効果かいつもより活気が溢れているようであった。
私も祭り好きの日本人の血をひいているのか、クリスマスソングが流れたりすると自然にウキウキとした気持ちになる。
この季節になるとやっぱりマフラーと手袋は必要な物で、それがないとまともに外に出られない。
でも今日みたいに梓ちゃんの可愛い仕草が見れるなら、この季節もまんざら悪くないと思う。
息を吐けば、それが白い煙となり、そして消えてゆく。



唯先輩達が桜が丘高校を卒業してから、そろそろ半年と少しが経つ。

四月から一人だけになった軽音楽部はなんとか現状維持を続ける事ができていた。
思い出してみると、あの時が一番大変だったと今でも感じる事がある。
私は先輩達と活動した軽音楽部を廃部にしたくない一心で、部員集めに全力を尽くした。
さわちゃん先生に相談してみれば、どうやら先生も同じ思いだったようで、四月中は二人で新入部員を勧誘するのに必死になっていた。
その効果があったのか、今年は新たに四人の新入部員が入ってくれた。
話を聞いてみれば、去年の学園祭での公演を見て入ろうか迷っていた子が多数いたのだ。
新入部員の子の一人が私の演奏に憧れて入部したいと言っていて、私は少し照れくさくなったのを今でも覚えている。
それから数カ月の間、後輩の指導や合宿、学園祭での公演など部長として積極的に活動に取り組んでいた。

もちろん、唯先輩達とは今でもメール等で連絡を取り合っている。
先輩達は先輩達で、大学の方で新たにサークルとして軽音楽を始めていた。
合宿の時には紬先輩の別荘を貸して貰い、後輩達と先輩達と私で強化合宿をしたこともあった。
後輩の子達もその時の先輩達の指導に効果があったのか、合宿の間にみるみると腕を上げ、
そうして、なんとか学園祭での公演は成功に終わることができた。
これで少しは私の肩の荷が軽くなり、大学受験に本格的に取り組もうと思った矢先だった。
唯先輩から一本のメールが届いたのは

『あずにゃん!!  今年も私の家でクリスマスパーティーやるよ!!


                             平沢 唯  』
※※※

「あ〜ず〜にゃ〜ん!!ひさしぶり〜!!!」

「判りましたから抱きつくのは止めてください!!!」

九割九分判っていたことだが、私が憂の家に入った途端に唯先輩がもの凄い勢いで私の胸に飛びかかってきた。
それを私は跳ね除けたいとは思ったものの、反射神経とかそんな問題じゃなくそれを受け止めるしかすべはなかった。
別に唯先輩に抱きつかれるのは嫌じゃない。それが唯先輩の好意の表れなのだから。
ただその………憂が…………。

「……………………。」

憂はそれを見るや否や、早足でさっき眼で調理を行っていた台所に戻っていった。
確実に地雷を踏んだ、と私は思わずにはいられない。それでもこれは不可抗力な気がしてならない。
知っている、憂が唯先輩の事をどれだけ好きか。
あれだけ仲良しなのだからきっと姉妹の絆以上の何かがあると私はそんな気がしてならなった。
私は憂に申し訳ないと思いつつ、唯先輩を剥がそうと頑張るが、中々唯先輩は離れてくれない。

「いい加減離れてくださいよ先輩!!」

「え〜、だってあずにゃんに抱きつくのひさしぶりなんだもん〜。」

「少しでいいから憂と話させてください!!!」

「むぅー、つれないな〜あずにゃんは。」

唯先輩が腕を解くと同時に憂の向かった台所に向かう。
憂とは先輩達が卒業してからか、昔よりもさらに親交が深くなった。
先輩達が卒業して私が落ち込んでいた時に、一番励ましてくれたのも憂だ。
この数ヶ月で私の中の憂の存在が、どんどん大きくなっていったのだ。
だから…………憂とはあまり険悪な雰囲気になりたくはない。
だって私は――――

「憂、その…………ごめん!!」

何事かと思って振り向けば、突然梓ちゃんが私に謝ってきた。
お姉ちゃんの事で謝っているのだろうか、ちょっとショボンとしている梓ちゃんも可愛いと思ったり。
私は別にお姉ちゃんの事では怒って無い。ただ………ね。

「ねぇ、梓ちゃん。別に私はお姉ちゃんが梓ちゃんに抱きつく事は怒ってないの。
 でもね、梓ちゃん……………私。」

そう、私は―――――

「少しだけ…………………お姉ちゃんに嫉妬してたの。」

それを聞いた梓ちゃんはとっても驚いて、まぁそうなるよね。
でも胸に蠢くこの気持ちは確かにそうだった。

「お姉ちゃんって高校に居た時は事あるごとに梓ちゃんに抱きついてたでしょ?
 私もね……………本当は梓ちゃんにいっぱいいっぱい抱きつきたかったの。
 でもお姉ちゃんが抱きついて、私が抱きついてたら梓ちゃんに迷惑でしょ?
 だからずっと待っていたの。お姉ちゃんが卒業するまでずっと……………。」

お姉ちゃん達が卒業すれば、梓ちゃんは一人。だからこれがチャンスだと思った。
この数ヶ月、ずっと梓ちゃんの傍を離れる事は無かった。部活はさすがに無理だったけど。
梓ちゃんを独占できる。それだけでも私は嬉しい気持ちでいっぱいだったの。

「だからね……………梓ちゃん。」

私はね―――

「お姉ちゃんに負けたくないから。毎日ぎゅっとさせてね?」

そう言って梓ちゃんを抱き締めてみると、梓ちゃんの体温が一気に昇るのを肌で感じた。
やっぱり可愛いなぁ…………梓ちゃんは。

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