2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:◆U0kc14QpJ6氏


私は小さい頃、おままごとが好きだった。

お姉ちゃんとする、おままごと。

だいたいお姉ちゃんが男役で、私は妻の役をした。

そのころからだったのかな。

お姉ちゃんのために何かをするのを好きだったのは。


「……懐かしい…」


お姉ちゃんは今お風呂に入っている。

ふわふわ時間を歌っているのがわかる。
きっとお湯につかりながら歌っているんだね。


私は夕ご飯の片付けを済ませて、こたつに入ってゆっくりしていた。

……少しだけ眠い。


昨晩見た夢のことを思い出す。

ずいぶん懐かしい夢を見た。

確か、あれは幼稚園児だった頃。
2人でおままごとをしていたあの頃。

私がお姉ちゃんの婚約者だった頃。



◇◇◇



「ただいまー、うい。きょうもつかれたよー」

「おかえりなさーい。しごとおつかれさまー」


おねえちゃんがしごとからかえってきました。

ういとおねえちゃんはおままごとを今日もしています。

おねえちゃんはういのだいすきなひとです。
いつもいつも、ういがおねえちゃんのおよめさんです。

ういはそれがだいすきです。


「はい、ごはんだよー」

「わー、ういのごはんはおいしそうだなぁ!」


しごとからかえってきたから、ごはんです。
ねんどでつくったパンをならべて、いっしょにたべるの。


「いただきます」
「いただきます」


お姉ちゃんったら、ほんとにたべちゃいそうで。
はらはらしちゃう。


「あーおいしかったー」

「じゃあもうねるじかんだよ」

「うん。ういもねよう!」

「うん!」


しんぶんしでつくったおふとんに、ふたりではいるの。

こんなぺらぺらなのに、なんでこんなにあたたかいんだろう。


「おやすみ、うい」

「おやすみ、あなた」

「あなた?」

「うん。あなた」

「パパといっしょにいるときのママみたいだね」

「えへへ。だいすきなひとにそういうんだもん」

「そっかぁ…じゃあうい、目をつぶって?」

「え?」

「いいからー」


うん。あなたはなにをするのかな。

どきどき。


つぶるとすぐに、くちびるにやわらかいものがあたった。

……なんだろう、さっきの?


「ちゅーだよ」

「ちゅう?」

「うん。だいすきなひとにするんだよ!」


そうなんだ…。しらなかった。


「じゃあもうねよう、うい」

「うん、おねえちゃん…じゃなかった、あなた」

「えへへ…」

「あはは…」

「あ、ほら、かたまで入らないとかぜをひいちゃうよ!うい」


おねえちゃんはそういってわたしにしんぶんしのふとんをかけた。



◇◇◇



肩に何かがかかっている、そう気がついたのは自分が寝ていたとわかったあとだった。

隣には、お風呂からあがったお姉ちゃんがアイスを食べていた。


…寝ていたんだね、私。肩には毛布がかかっていて。


暫くして、お姉ちゃんが私のためにかけてくれたのだと気づく。


「…、お姉ちゃん…」

「あ、起きちゃった?」

「毛布ありがとう…」

「えへへ。気持ちよさそうに寝てるんだもん」


微笑むお姉ちゃんを見て、昨日の夜に見た小さな頃のお姉ちゃんが思い出される。

お姉ちゃんとおままごとをよくしたものだ。
毎日のように2人でやった。

楽しくて、楽しくて。

お姉ちゃんのお嫁さんで、幸せだったから。


「お姉ちゃん…」

「ん?なーに?」


あの頃お姉ちゃんとしたキスを、まだ私は鮮明に覚えてる。

初めてのそれはあっというまで。

それなのに、痛いくらいに。
どうしてか覚えてるよ。


…お姉ちゃんは覚えてますか。


「キス…してもいい?」

「え?うん、いいよ」


…普通にOKしちゃうお姉ちゃん。


「…本当に?」

「ういならいいよ〜。あ、誰にでもするわけじゃないんだよ?」


……お姉ちゃん…。

加速する心音。

今、夢が今と重なり合う。

目を閉じながら、ゆっくりと近づく。


「…おねえ…ちゃん…」

「……うい…」


お姉ちゃんの瞳も閉じられて。

吐息がかかるくらいに近付いて…。


「…………んん…」


……甘い…。アイスの味がした。


ああ、今…私…お姉ちゃんと。


「……ん、うい…」


少しだけして離す。


「…お姉ちゃん…」

「えへへ…二回目だね、ういとちゅー、するの」

「え…?」


嘘…。お姉ちゃんも覚えてるの?


「忘れるわけないよ〜。だって、初めての人だよ?」



……お姉ちゃん…。

私はてっきり、忘れていると思った。

私とのキスをまだ覚えていてくれただなんて…。

私、お姉ちゃんが私のお姉ちゃんで本当によかったよ。



「…私、お姉ちゃんのお嫁さんになりたい」

「ええ!?」

「…だめ?」


あの頃からか、そうになりたかった。

ずっと…そうありたくて。


「…うい。それはだめだよ〜」


や…やっぱり、だめだよ…ね。


「おままごとは…おままごと。ういは私の妹だよ」


うん…。うん、わかってる…。

わかって…る…。


「…ふぇえ…ぐすっ…、うぅ…」

「うい…」


涙が溢れる。そんなの望むだけ無駄だと、わかっていた。

わかっていたはずなのに…。

どうしても、去りがたい気持ちがあったから。

どうしても、お姉ちゃんが…大好きだったから。


「っ、お姉、ちゃぁん…!」


私は…たまらなくなって、お姉ちゃんに抱き付いた。


「…ういのこと、私も大好きだよ」


優しく囁くお姉ちゃん。




お姉ちゃんに恋をしたあの頃。

お姉ちゃんが私の全てに変わったあの頃。

あの頃、世界は私とお姉ちゃんの二人だけのものだった。

お姉ちゃんのお嫁さんでいられた、あの頃。


―――あの頃はもう帰らない。

このページへのコメント

ファーストキスは幼少時代だったという件自体切なすぎる…

0
Posted by 名無しさん 2010年10月18日(月) 02:34:23 返信

切ねぇ・・・

0
Posted by 空我 2010年06月08日(火) 22:21:06 返信

悲しいエンドだな

0
Posted by 唯と憂 2010年05月09日(日) 11:12:32 返信

泣くしかねぇよなぁ、憂…俺も泣いてやるぜ!

0
Posted by 山にゃん 2010年02月23日(火) 01:12:52 返信

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