最終更新:ID:tmrtJY5oSw 2009年07月05日(日) 22:20:50履歴
紬「あがりで〜す」
律「あー、また負けたー!」
昼休み、みんなでトランプで遊んでいた。
あたしはさっきから負けてばかり。
唯にも勝てなかった…
手元にはそんなあたしを嘲笑うかのような気味悪いピエロのカードが一枚。
唯「よし、りっちゃん!罰ゲームだー!」
律「えっ罰ゲーム?何すれば良いんだよ?」
唯「う〜ん…ムギちゃん何かな〜い?」
紬「そうね〜、窓から愛の告白、なんてどうかしら?」
唯「おー!良いねー!流石ムギちゃん♪」
告白と聞いて、頭の中には1人の顔が浮かんだ。
告白なんて、当の昔に済ましていて、今は付き合ってるあいつの顔。
律「こっ…告白って…誰に…」
唯「もちろん…」
唯紬「澪ちゃん!」
あーやっぱり…でも無理だ。いくらあたしでも、恥と言う言葉くらいは知っている。窓から大声で愛の告白なんて良い笑い者だ。
それに澪がどうなるか…
律「却下」
唯「負けた人に拒否権など無いのです!」
律「誰だよ!」
紬「さありっちゃん!桜高の中心で愛を叫ぶのよ!」
律「だから誰だよ!」
唯「助けてくださ〜〜〜い!」
律「……こいつらアホだ…」
唯「よーし!澪ちゃんにメールだ!」
律「っておい!させるかー!」
唯「ムギちゃんパス!」
唯の携帯を奪おうとすると携帯は華麗に宙を舞いムギの手元へ…
紬「はいっ!」
律「おいムギー!」
紬「送信(はぁと)!」
律「………ぎゃー!このー!馬鹿ー!」
わいわい騒いでいるといつの間にかあたし達のクラスはちょっとした人だかりが出来ていた。
これはあれか?悪質ないじめか?!
これ以上人が来たら余計に笑い者だ…もうここはやけくそで行くしかないか…
律「分かったよ!やれば良いんだろ!さっさとやって、次は勝つ!」
窓の前に立つ。周りは急にシーンとなる。クラス中の視線が痛い。
横では唯とムギが目をギラギラさせてあたしが叫ぶのを待っている。
律「…スゥーーー…」
和とお弁当を食べながら軽音部の話なんかをしているとポケットの携帯が震えた。
ヴー、ヴー、ヴー、
携帯を開いて来たメールを見る。
澪「………はっ?」
和「どうかしたの?」
澪「いや、唯からなんだけど…」
私は今来た意味不明なメールを和に見せる。
和「…窓の外に注目。愛の告白…って何これ?」
澪「さあ…窓の外って、ここかな?」
私達はいつも窓際でお昼 を食べていた。
和「何かあるのかしら…愛の告白って…」
わいわいがやがや
澪「…んっ?何かうるさくないか?」
和「…そうね…上かしら?この真上って唯達のクラスよね…」
澪「………」
嫌な予感がするのは私だけだろうか…
…シーーーン……
和「…静かになったわね」
変な汗が出そうになるのを押さえてペットボトルのお茶を飲む。
ごくっ、ごくっ、
「みーおーーー!!!」
澪「…ぶっ!げほっげほっ」
和「ちょ、澪!大丈夫?」
「だーいーすーきーだーーー!!!」
澪「………」
この声はあいつだ。こんな馬鹿な事をするのはあいつしか居ない。
上ではパチパチと拍手の音やキャー!と言う黄色い声援、よっ!りっちゃん!と言う唯の声や、ぐっじょぶ!とか訳の分からないムギの声などとにかくうるさい。
和「…愛の告白…成る程ね…ふふふっ」
澪「笑い事じゃないよ…」
クラスのみんながクスクス笑って私を見てる。
恥ずかし過ぎて涙目になる。顔が熱い。
和「…行った方が良いかもよ?」
澪「…えっ?」
和「上、まだやるみたい」
耳を澄ますとばらばらだった声が一つの言葉で聞こえる。なんと言う団結力……じゃなかった!
「「もーいっかい!もーいっかい!」」
澪「………」
顔から血の気が引くのが分かる。
「みーおーーー!!!」
澪「ごめん和!机直しといて!!」
和「りょうかーい…ふふっ」
みんなの視線が痛いのと、止めないと律はいつまでも叫んでるような気がして私は教室を飛び出した。
*
「「もーいっかい!もーいっかい!―――」」
律「1回やったんだからもう良いだろ?!」
紬「諦めたらそこで試合終了だよ」
唯「安西せんせー!」
……これ以上やったら澪に殺される…まあでも今の時点で30発…いや50発はくるか…もうこの際良いや!
律「みーおーーー!!!…もう一回言うぞーーー!…だーいーすーきーだーーー!!!」
ガラッと教室の戸が開いたと同時に背筋が凍る…
背後からもの凄い怒りのオーラが…
振り返らなくてもそれが誰か分かった。
紬「あらまあ本人登場」
律「あの…これは…その…罰ゲームでして…」
澪「…ちょっと来いっ!」
律「はいぃっ!」
手をぐいぐい引っ張られる。痛いほどに力が強い。
着いてみればそこは音楽準備室。引っ張り込まれ澪は鍵を閉めた。
後ろを向いたまま澪は動かない。
律「あの……澪…ごめん…」
澪「…ばか、あんな恥ずかしい事して…皆にばれるじゃないか」
律「…ごめん…」
澪「…も…い……て…」
律「えっ?」
澪「…っもっかい言って!」
振り向いた澪に涙目で言われたら断れない。
律「澪…大好きだよ。愛してる、だから許してよ」
澪「…ばか…」
ばかばか言う澪にちょっと意地悪したくなった。
律「………で?」
澪「えっ?」
律「さっきのも、今も、罰ゲームとはいえ愛の告白なんだけど?」
澪「……はっ?」
律「告白て言うのは一方通行じゃなくて返事が付き物だろ?」
澪「………!…分かってるくせに…」
律「聞かせてよ」
澪「……私も、律の事…ぁ、愛してる…」
律「知ってる」
澪「…おちょくるな!」
ゴンッ
律「いでっ!…ごめんごめん」
澪「…もう授業始まるから教室戻るぞ」
意地悪はここからだってのに…
歩き出した澪の手を掴み止まらせる。澪から目を放さずに歩み寄る。後ずさった澪は壁まで追いやられ行き場を失う。
有無を言わせない瞳で真っ直ぐ捉えると澪はいつも動く事が出来ない…蛇に睨まれた蛙だ…
澪「り、律?落ち着け…ここは学校だぞ?」
律「ここは誰も居ない音楽準備室。知ってて連れて来たんだろ?鍵までかけて、準備万端だな」
壁に手を突いて顔を近づける。
澪「ちがっ…そんなつもりじゃ…」
頭の後ろに手を置いて強引にキスをする。
澪「んっ、り…ふぁ…ちょ…まっ…」
業と音を立てて舌を絡める。しばらくして離したお互いの唇からは名残惜しむかのように銀の糸が滴り落ちる。
流石に授業サボるのは良くないか…ましてや澪まで…しょうがない。
律「……帰ったら澪に罰ゲームだな…」
澪「っ……」
準備室を出ると目の前には鼻から血を噴き出すムギが倒れていた。
このページへのコメント
ムギちゃん見てたのねWWWW
ムギがwww
さすが夫婦。
罰ゲームを理由に澪への愛を学校で叫びまくるとは・・・。
澪の反応もよかった。もう結婚してしまえ!!
(*´ω`*)百合カワユス