「あ…年明けた」
「ちょ、肝心なときに寝ててどうするんだよ!」
寝てるみんなに叫ぶ律。
…確かに。年越しに寝てちゃ、年越しじゃないよな。
でも、みんなでした年越しは。
私を楽しい気持ちにさせてくれた。
軽音部のみんなに感謝しないとな…。
「…律は今年はどんな年だった?」
あ、今年じゃなくて去年か。
不思議だよな、まだわずかしか時はたってないのに。
「…幸せだった、かな」
「幸せ?」
「ああ、幸せだ」
…幸せ、か。
律が幸せだなんて言うとは。
そんな返事、思いもしなかった。
律の幸せ。
律は幸せって、どんな時に感じるんだろう。
「…りつ…」
「なんだ?」
「律の幸せって…なに?」
「え?」
律にとっての幸せって、どんなもの?
律が幸せを感じるのってどんな時なのだろう。
律は幸せを…
誰といるとき、感じるの…?
「…澪」
「…なに?」
「いや、名前呼んだんじゃなくて…」
「……?」
それって…。
私が、律の幸せっていうこと…?
「なぁ、澪。聞いてくれる?」
「……うん」
「私にはね、かけがえのない人がいるんだ。
その人はね…泣き虫で、怖がりで、恥ずかしがり屋で…
でも意志が強くて、優しくて…可愛いくて…」
―――大好きな人なんだよ。
律がそうに言ったから。
私まで、幸せの意味を…知ってしまった。
いや。
私の幸せの意味まで…知ってしまった。
「…な、なーんてな。
そんな人ができたらいいのになー、なんちゃって」
恥ずかしそうによそをむいて律は言う。
「……りつ…」
「……なに?」
…幸せの意味、教えてくれて。
「……ありがとう」
幸せっていいね、律。
私も律が大好きだよ。
「…澪、おいで」
「……うん」
律の隣に座ると…律が私を抱き締めた。
律の腕の中、私は律に寄りかかる。
「ライブ、楽しかったな」
「…うん。律かっこよかった」
「…澪もかっこよかったぞ?」
「…私は緊張で死んじゃいそうだった」
死んじゃいそうだったよ、本当に。
でも…。
「律が後ろにいると思ったら、強くなれた」
そうに言えば、律の私を抱く力が強まって。
「…みお…」
律の顔を見れば、切ない瞳で私を見ていて。
律の気持ちが、触れ合った互いの体から伝わる。
「うん……」
言いたいこと、通じたよ。
私もそんな気分だよ。
律がゆっくり目を閉じて。
ゆっくりゆっくり、近づいて。
私もゆっくり、目を閉じて。
そして……。
(うわぁ、すごいね澪ちゃんたち)
(み、見ちゃだめです!覗き見とか最低です!)
(ききき…きましたわぁ…あぁ!甘い口づけ!)
(むぎちゃんおちついて)
(何よ何よ!私なんて彼氏もいないのに…
この子たちに先を越されたのよ!)
(…さわこ先生ドンマイです)
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最高だった
コメントの一番最初の人
紬が乗り移ってるぞ
うひ〜
素晴らしい
なんだか読んでてドキドキするなぁ///
これは良い律澪
2人とも可愛すぎる