2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:10-852氏


朝ごはんを食べていると、お姉ちゃんが私の顔をじっと見て口を開いた。

「そういえば、憂。学園祭の前に私に変装して軽音部に行ったのって本当?」
「うん。いろいろ詰めが甘すぎてすぐばれちゃったけど」

私とお姉ちゃんは背丈も顔立ちもよく似ている。実際、見た目だけでは殆ど気付かれなかった。
さわ子先生は胸のサイズで見抜いていたけれど、普通の人には夏服ならともかく冬服で
あのレベルの見極めは出来ないだろう。

「ねえねえ、今日和ちゃんが遊びに来るんだけどさ」

お姉ちゃんが悪戯を思いついた顔でニヤニヤと笑う。ああ、もう。こういう顔も可愛いんだから!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「おじゃましまーす。唯ー、起きてる?」

「あ、和ちゃん!いらっしゃーい」

お姉ちゃんに台詞だけ自分でしゃべってもらったあと、私が部屋から出て玄関へ向かう。
ただし今の私の姿は、数ある文字入りTシャツの中からハネムーンを選び、髪を下ろし、
前髪を整えてピンで留めている。
もちろん本人お墨付きのそっくりさんっぷりだ。
おまけに今朝の会話のあと「憂は梓ちゃんと遊びに行っちゃった」とメールも送っているのだから、
まさか私とは思わないはず。

「あれ?憂ちゃん、出かけたんじゃなかったの?」

「え?何言ってるの、和ちゃんってばー。憂は出かけてるってメールしたじゃん」

今回はあらかじめ口調も練習して置いた。抜かりはない。これで何とか……
内心ドキドキしつつ平静を装ってお姉ちゃんの部屋に案内していると、和さんの表情が少しやわらいだ。

「そうだったわね。ちょっと似てるから間違っちゃった」
「姉妹なんだから似てるのは当たり前だよー」
「まあ、そうよね」

うまくごまかせたのかな?


「和ちゃんってば、私と憂を間違えるなんて愛が足りない証拠ですわよ」
「そうね、ごめんなさい」

お姉ちゃんとの会話でいくつか上がった台詞の中からピックアップして軽くふざけてみると、
和さんが顔を近づけてきた。

「のど……」
「眼鏡の度があってないのかも。愛は足りてると思うから、もっと顔をよく見せて」

近い近い近い近い。
顔を見るというよりも、見つめ合うというほうが正しいのでは。
もう息が当たるほどの至近距離。ああ、やっぱり整った顔をしているなと見惚れてしまう。
どんなに近づいてもこのまま鼻が衝突して止まるだろうと思っていたのに、
和さんの顔は少し傾けられて私の鼻をスマートに避ける。
ゆっくりと縮まっていく距離に、どうして良いのか分からない。

和さんの瞳に映り込んだ自分の目を見て我に返り反射的に身を引こうとしたけれど、
いつの間にか両肩を掴まれていた。

成す術も無く瞼を硬く閉じる。

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁーっ!」

バァン!と豪快な音を立ててクローゼットが開き、叫び声とともにお姉ちゃんが私たちの間に
突進してきた。
驚くような速さで和さんから私を引き離すように奪い取り、ぎゅっと抱きしめられると、
柔らかくてあったかい腕に包まれて、緊張が一気に解けていく。

「私のかわいい妹になんてことを!いくら和ちゃんでも憂は簡単にあげられないよ!!」
「お姉ちゃん……」

なんて嬉しいことを言ってくれるんだろう。
お姉ちゃんってば可愛いだけじゃなくて時々格好良いんだよね!大好き!
と、感動して一瞬忘れていた和さんのほうへ視線を向けると、下を向いて笑いをこらえていた。

「……えっと、やっぱりバレてましたか?」
「ええ、初めから。ちょっと面白かったから意地悪しちゃったの」

どうやら怒っては無いみたいだ。
和さんは「どうせ唯の思い付きなんでしょう?」と楽しそうに笑ったまま、
お姉ちゃんの頭にコツンと軽く拳を当てた。

「ごめーん。でもなんで分かったの?完璧な変装だったのに……やっぱり胸の大きさなの!?」

全然反省してない口振りでお姉ちゃんが問いかける。

「さすがにそこまで正確な審美眼は持ってないわよ」
「じゃあなんで?」
「だって似てるけど明らかに違うもの。何年あんたたちを見てきたと思ってるの?見分けられて当たり前でしょ」

双子だって見慣れてしまえば間違えることは無い。そういうことなのだろう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

数時間後、夕食の支度をしているとお醤油を切らしてしまった。
いつもは予備を買っているのだけれど、どうやら今回は買うのをすっかり忘れていたらしい。

「ちょっと買い物に言ってくるね」

お姉ちゃんに一声かけて「ほーい。いってらっしゃい」と返事が返ってくるのを確認した後、
出かける準備をする。
醤油を買ってくるだけだし、一人でさっと行って来よう。

「憂ちゃん、途中まで一緒に行こう。じゃあ、またね。唯」
「うん、ばいばーい」

階段を下りてくる和さんはかばんを持って、もう帰宅してしまうみたいだった。

「夕飯は食べていかないんですか?」
「うん。今日はもう家で作ってくれてると思うから」

久しぶりに和さんとご飯が食べれると思ったのに少し残念に思いつつ、
夕暮れの中を二人で歩いていく。柔らかい日差しが気持ち良い。
何気ないけど楽しい会話は弾み、あっという間に和さんの家の近くまで着いてしまった。
曲がり角に差し掛かり、足を止める。なんだか名残惜しくなって、
もう少し引き止めていたれるように話題を探す。

「あの、きょうはすみませんでした」
「ん?ああ、私も騙された振りしてたし、ちょっと怖がらせちゃったみたいでごめんね」
「そんな、とんでもないです」

元々はこっちが騙そうとしたのが原因だし。
何よりお姉ちゃんに抱きつかれて大切にされてるのが良く分かって嬉しかった。

「でも、憂ちゃんはやっぱりその髪型の方が似合ってる」

いつの間にか和さんは私の方を向いて、高く結んだ髪に触れていた。
その距離は今日のお姉ちゃんの部屋での距離と似ていて、自然と心拍数が上がっていく。
髪に触れていた手は離れ、和さんの顔がゆっくり近付いてくる。
お姉ちゃんはここには助けに来ない。その代わり、私の身体は自由に動かせる。

多分、選択を迫られている。


嫌なら、避ければいい。
顔を逸らすか、身体を離してしまえばいい。それだけのこと。

でも、私は動かなかった。
夕日で長く伸びた影が重なる。

柔らかな感触と一緒に優しい気持ちが伝わる。
唇ではなく、頬にだったけれど。

ワンテンポ遅れて顔が熱くなった。
何で私は動かなかったのだろう。何を期待していたのだろう。
そもそも、和さんは何でこんなことをしてくるのだろう。

私は和さんのことをどう思ってるのだろう。

「唯に怒られるから、今日はこれで我慢しておくわ。簡単にはあげられないってことは、
認めてもらえる余地はあるってことだと思ってるから。まずは憂ちゃんを振り向かせないとね」
「ええと……和さんは、私のこと……?」
「言ったでしょ。愛は足りてるって」

処理速度が追いつかない私の頭を撫でて和さんは穏やかに微笑み、「じゃあ、私はこっちだから」
と自宅へと向かう道へ歩いていった。

取り残された私は、耳まで赤くなっているであろう顔を冷ますべく、ゆっくりとスーパーへ足を進める。

とりあえず、お姉ちゃんはこの事を知ったらどんな反応をするのかを考えておかないと。
どうやらちょっとした悪戯で付けてしまった火はとんだ大火事になってしまったようだった。

このページへのコメント

お互いの呼び名が原作アニメと違うから萎えた

0
Posted by カ 2011年01月18日(火) 14:56:27 返信

4巻より先に和憂とは・・・!素晴らしいです

0
Posted by 名無し 2010年10月16日(土) 03:05:38 返信

和ちゃんカッコよすぎます!
私..惚れました/////

0
Posted by m 2010年05月17日(月) 01:33:22 返信

和テラカッコヨスww

どんだけ男前なんですかっ!!(笑)

ここから憂を巡る唯と和の戦いが始まるわけですね、分かりますww

と言うわけで、是非とも続きをっ!!

0
Posted by フェンダー・ムスタング 2009年10月26日(月) 03:07:59 返信

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