けいおん！でエロパロ保管庫

ここじゃなく、ジャズ研にでも入ればよかった。
もらったチラシをそのまま無視して、階段を上らなければ、あの扉を開けなければ
よかった。
新歓ライブのときも、「ああ、すごいなぁ」で終わらせてしまえばよかった。
どうして軽音楽部に入ったんだろう。ギターなんてやってなければよかった。
どうしてとか、なんでとか、考えればきりがない、たくさんの後悔。

でもやっぱり、一番の後悔は。



あんなだらしのなくてどうしようもない先輩を、好きにならなければよかった。




だって、そうじゃなければ。









「梓ちゃんっ！」
とても下らないことを考えていた私の意識は、そこで現実へ戻された。
「っ、わ、憂」
「大丈夫？何かあった？」
「うん、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
「考え事って？」
「･･･えっと」
言えるわけがない。ましてや本人の妹に、こんな。
「あ、別に無理に聞いてるわけじゃないから。ごめんね」
憂は優しい。唯先輩とは正反対だ。
だって唯先輩はとても意地の悪い人だから。

言いたい言葉が言えないことが、これほど苦しいとは知らなかった。
知らなくてもいい痛みをくれた先輩を、私はどう思っているのだろう、なんて。
そんなことを考えさせられて、悩まされて、泣かされて。
やっぱり唯先輩は、意地が悪い。

たった１歳の差が辛い。だから当然学年が違うし、澪先輩はともかく一階と二階とで
クラスが離れる。
会えない分、会えたときの喜びは大きい。
離れたときの悲しみも、大きい。


たくさんの壁のようなものが私たちにはあるから、それが邪魔して進めない。
何がいけないんだろう。
何か悪いことをしたのだろうか。

好きで、会いたくて、抱きしめたくて。

何か、違っているのだろうか。
私の恋はそんなに間違ったものなのだろうか。

ただ、好きなだけなのに。





今までは放課後が待ち遠しかった。早く練習がしたくてたまらなかった。
でも今は放課後なんて来なければいいなんて思う。
この部が嫌いなわけでも、ギターが嫌いなわけでもないのに。

たった一人の、先輩のせいで。

先輩に抱きつかれるたび、もう少しと触れたくなる。

「あずにゃん」

そう呼ばれるたび、もっと呼んでとせがみそうになる。






人を好きになることが、こんなにも矛盾だらけになってしまうなんて。