岳不群



本名:岳不群(がく・ふぐん)
別名:君子剣(くんしけん)、偽君子(ぎくんし)
身分:華山派掌門
武功:華山派剣法、七十二路辟邪劍法、紫霞神功 等
弟子:令狐冲、労徳諾、陸大有、林平之
家族:妻・寧中則、一女・岳霊珊、女婿・林平之
登場作品:『笑傲江湖』 (邦題:『秘曲笑傲江湖』)


 かつて華山派には剣術を主とする剣宗と、内功を主とする気宗の二宗が存在しており、お互いの目指す目標の違いから内部抗争が起きてしまい、気宗出身である岳不群が勝利を収め、華山派の掌門となった。

 物語前半においては君子の名にふさわしく、堅物ではあるものの堂々とした振る舞いをしていた。だが中盤以降、弟子の令狐冲が自分よりも強くなったことに苛立ち、邪派の面々おちょくられてだんだんと器が小さくなってくる。
 その苦難の日々の涙なしには語れないエピソードとしては、令狐冲が「独孤九剣!」と叫びながら敵を倒しても気付かないで「あ、あの技は何だ!」と驚愕したこと(ドラマ版)、さらには得意技の紫霞神功もそれをめぐって人死にが出た割りにはまったく威力が不明で、今となってはどうやって気宗が勝ったのかすらわからないことなどがあげられる。特に我が子と思い育ててきた令狐冲の造反ぶりは許し難いものがあった。神出鬼没で死んだはずの風清風も顔を見るたび虚仮にする発言をしていく。

 彼の忍耐も限界に近づいていた――そして陰気で狡猾で用心深く野心家の、正しい方向にその才能を生かせばそれはそれは素晴らしい人物であろうこの才人は、このころからすでにとある計画に着手していたのであった。

 そして怒りと屈辱をバネにした彼の本領発揮は物語の終盤からである。

 強さを渇望した彼はついには間違った手段「辟邪剣譜」の力によって最強の武芸を身につけ、嵩山派の左冷禅らを撃破し五岳剣派の盟主となる。その過程においては愛する妻子すら捨てる卑怯なヒールぶりを発揮。物語を陰湿な方法で盛り上げた。最期はあまりにあっけないものの、ドラマ版などでは改変されていることも多い。2001年中国中央電視台版で巍子演じる彼(写真)の人を小馬鹿にしきった口調は、彼の本質を描ききった名演技である。

 長年の鬱憤を明らかに間違った手段で晴らし、中年の悲哀を股間で語った男・岳不群。そのあまりに卑怯でやるせない生き様に人は様々なものを見たに違いない。中国語圏内において「偽君子」の代名詞にまでなった、金庸作品中における悪の中の悪である。

※ この偽君子が!お前の悪行はこれだけではない! って方はどんどん書き足してください。
2005年08月12日(金) 11:49:06 Modified by kinyo_nob

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Uploaded by kinyo_nob 2005年08月09日(火) 22:47:30
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