アナフィラクトイド紫斑
Anaphylactoid purpura
概念
下肢に好発し,浸潤を触れる紫斑がみられるという特徴ある皮膚症状に,腹痛や消化管出血などの腹部症状,関節痛などの関節症状,血尿や蛋白尿などの腎症状が代表的な症状である.病理組織学的には細小血管の壊死性血管炎であり,IgA免疫複合体の関与が指摘されている血管炎である.
同義語
Schonlein-Henoch紫斑,アレルギー性紫斑病
臨床症状
1,皮膚症状:本疾患に特徴的であり,ほぼ100%の症例にみられる.また,初期症状として出現することが多く,診断に重要である.下肢ことに下腿から足にかけて両側性にみられる.蕁麻疹様紅斑,赤い丘疹,紅斑丘疹性皮疹として出現し,出血性の紫斑色を示すものや点状紫斑などが混在する.
2,腹部症状:腹痛,嘔吐,下血などの消化管症状は症例の2/3以上にみられ,初期の症状となることが多い.稀には潰瘍などによる消化管穿孔など重篤な症状を示すことがある.
3,関節症状:膝や足関節の疼痛,腫脹をみるもので,初期に一過性出現する.器質的な障害を来たすことはない.
4,腎症状:血尿や蛋白尿など何らかの尿所見をみる例は60%ほどであり,その半数は病初期に一過性にみられるが,紫斑性腎炎と呼ばれる腎炎の発症は生命の予後に関連し,慎重に経過をみる必要がある.
5,そのほかの症状:神経症状,眼症状,呼吸器症状など頻度は少ないが血管炎に伴う臓器症状をみることがある.
必要な検査とその所見
細小血管炎であることを皮膚生検により確認する.腎症状については尿検査を長期にわたり行う.病院的には咽頭炎などの感染源の検索,免疫組織学的にIgA免疫複合体の証明
診断のポイント
特徴的な皮膚症状から診断される.腹部症状,関節症状などの有無,皮膚の病理検査にて微小血管炎の所見
治療方針
1,治療の根本は原因の確定とその除去にある.細菌・薬剤,食品,内臓悪性腫瘍などさまざまな原因が指摘されているが,実際には原因不明とせざるをえない例が多い.
2,治療には安静を保つことが最も重要なことであり,入院加療が望ましい.また,腎合併症は予後に関連するので,腎症状の出現に早く対応することが大切である.
治療法
1,安静を保ち,止血剤,血管強化剤などによる対症的な治療を行う.炎症の強い場合や臓器症状が認められる場合にはステロイド剤の全身投与を行う.また,血管炎に対してのDDSや免疫抑制剤の使用を行うこともある.
2,腹痛,関節痛などの疼痛に対して鎮痛薬を使用することもあるが,多くは血管炎の治療によりかかる症状の軽快することが期待される.しかし,重篤な腹部症状がある場合には早急な外科的処置を必要とすることがある.
処方例
下記を併用する.
1,アドナ(10mg)6錠 分3 毎食後
2,トランサミン(250mg) 6C 分3
3,プレドニン 30〜60mg 分3(血管炎がある場合)
4,レクチゾール 50〜75mg 分3 を追加する.
予後と経過
一般には予後のよい疾患とされているが,近年は成人例や高齢者の例も少なくない.そして,高齢者ほど腎障害の程度が強くなり,予後の悪い例がある.
患者説明のポイント
消化管,腎などの障害を来たすことがあることを説明する.
生活指導のポイント
生活指導として,安静を保つこと,長期の尿検査の必要性を理解してもらう.
概念
下肢に好発し,浸潤を触れる紫斑がみられるという特徴ある皮膚症状に,腹痛や消化管出血などの腹部症状,関節痛などの関節症状,血尿や蛋白尿などの腎症状が代表的な症状である.病理組織学的には細小血管の壊死性血管炎であり,IgA免疫複合体の関与が指摘されている血管炎である.
同義語
Schonlein-Henoch紫斑,アレルギー性紫斑病
臨床症状
1,皮膚症状:本疾患に特徴的であり,ほぼ100%の症例にみられる.また,初期症状として出現することが多く,診断に重要である.下肢ことに下腿から足にかけて両側性にみられる.蕁麻疹様紅斑,赤い丘疹,紅斑丘疹性皮疹として出現し,出血性の紫斑色を示すものや点状紫斑などが混在する.
2,腹部症状:腹痛,嘔吐,下血などの消化管症状は症例の2/3以上にみられ,初期の症状となることが多い.稀には潰瘍などによる消化管穿孔など重篤な症状を示すことがある.
3,関節症状:膝や足関節の疼痛,腫脹をみるもので,初期に一過性出現する.器質的な障害を来たすことはない.
4,腎症状:血尿や蛋白尿など何らかの尿所見をみる例は60%ほどであり,その半数は病初期に一過性にみられるが,紫斑性腎炎と呼ばれる腎炎の発症は生命の予後に関連し,慎重に経過をみる必要がある.
5,そのほかの症状:神経症状,眼症状,呼吸器症状など頻度は少ないが血管炎に伴う臓器症状をみることがある.
必要な検査とその所見
細小血管炎であることを皮膚生検により確認する.腎症状については尿検査を長期にわたり行う.病院的には咽頭炎などの感染源の検索,免疫組織学的にIgA免疫複合体の証明
診断のポイント
特徴的な皮膚症状から診断される.腹部症状,関節症状などの有無,皮膚の病理検査にて微小血管炎の所見
治療方針
1,治療の根本は原因の確定とその除去にある.細菌・薬剤,食品,内臓悪性腫瘍などさまざまな原因が指摘されているが,実際には原因不明とせざるをえない例が多い.
2,治療には安静を保つことが最も重要なことであり,入院加療が望ましい.また,腎合併症は予後に関連するので,腎症状の出現に早く対応することが大切である.
治療法
1,安静を保ち,止血剤,血管強化剤などによる対症的な治療を行う.炎症の強い場合や臓器症状が認められる場合にはステロイド剤の全身投与を行う.また,血管炎に対してのDDSや免疫抑制剤の使用を行うこともある.
2,腹痛,関節痛などの疼痛に対して鎮痛薬を使用することもあるが,多くは血管炎の治療によりかかる症状の軽快することが期待される.しかし,重篤な腹部症状がある場合には早急な外科的処置を必要とすることがある.
処方例
下記を併用する.
1,アドナ(10mg)6錠 分3 毎食後
2,トランサミン(250mg) 6C 分3
3,プレドニン 30〜60mg 分3(血管炎がある場合)
4,レクチゾール 50〜75mg 分3 を追加する.
予後と経過
一般には予後のよい疾患とされているが,近年は成人例や高齢者の例も少なくない.そして,高齢者ほど腎障害の程度が強くなり,予後の悪い例がある.
患者説明のポイント
消化管,腎などの障害を来たすことがあることを説明する.
生活指導のポイント
生活指導として,安静を保つこと,長期の尿検査の必要性を理解してもらう.
2006年05月09日(火) 19:22:00 Modified by takomanbo