【定義】
�”垈墜世箸蓮¬擬�性＝空なる事実であり、心性は無自性で、認識の対象だと思うことの誤りを指す。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では18巻、75巻本では8巻。なお、95巻本には19巻目に同名の巻がもう一つあって、そちらは18巻と区別するため便宜的に「後心不可得」巻と通称されている。
��「達磨安心」の問答のこと。詳細は同項参照。
【内容】
�［磴┐弌惷盥簇娘齋弌戮任蓮△海良垈墜世粒鞠阿�多用され、後に中国禅宗でも大きな問題であった「過去心不可得・現在心不可得・未来心不可得」という言葉がある。
��道元禅師は、不可得こそ心であるとされ、それは心が我々が捉えるとか捉えないとかいう認識を超えて現前する存在であることを意味している。それを�，任盖鵑欧拭惷盥簇娘齋弌戞△修靴討修譴鯊蟶爐砲靴親岨垣覺佞醗貲婿劼量篥�を取り上げて示している。この公案の主題とは、老婆が出題した『金剛般若経』の一節が問題である。
ここで、何故過去・現在・未来の心が不可得なのかを考えていきたいが、徳山が学んでいたという『青龍疏』、正式には唐の道氤が編集したという『御注金剛般若波羅密経宣演』（全６巻）である。そこでは以下のような註釈書が引かれて解説されている。
過去心とはすでに滅しており、未来は未だ来ていないから不可得であるとしている。そして、現在は第一義であるわけですが、妄りに分別されたもので、本来はないものだから不可得であるとしている。ここから徳山が呆然とした理由も分かる。いま目の前に示された、餅を食べるのに、どの心も使えない。それを見抜いてしまった老婆は、当然にそこから立ち去る。その辺の俗人だと思っていた老婆に、徳山は敗れてしまった。理論としては精緻なつもりでも、現実に対処できないという辺りに、なるほど道元禅師が「文字の法師」と批判する理由も明らかである。
さて、では道元禅師はこの徳山の見解をどのように批判し、そして何が正しいと提唱していかれるのか。『正法眼蔵』の本文から考えていけば明らかである。そもそも道元禅師は老婆自体がそれほどの大人物ではないと批判する。
途中に示されている「心不可得」の意味だが、文字通り取れば「心を得るべきではない」になってしまう。しかし道元禅師は、それでは老婆と同じだと喝破するだろう。要するに、別の理解の方法があり、そこに徳山の答えるべき解答もあった。しかし、徳山は呆然としてしまい、道元禅師はその呆然としたこと自体を批判し、そもそも老婆も徳山を喝破したのであれば、その後に答えを言って導くべきであると批判する。
結局、道元禅師はその後もこの一件について言葉がなかった徳山を認めず、また老婆も質問だけ有って、答えがなかった、今風で言えば揚げ足取りばかりしているような人は認められないといわれる。なお、道元禅師自身は、どのような結論を持っていこうとしているのか。一人二役で実際に問答をしてみせる。
要するに、両者ともに問答の機会を得たまでは良かったけれども、中途半端、尻切れトンボだったといわれる。だからこそ、「こうとも言える、ああとも言える」と手を変え品を変え、自らの知見を拡大すべく努力すべきだとしている。徳山は、分からなかったのであれば、俗人だと見下すことなく、老婆に法を聞くべきだと述べている。道元禅師は最後まで徳山を認めなかったが、そこには、この自分の見解で全てが分かったように振る舞う増上慢的なところが問題だったとできる。そして、道元禅師は、いよいよ自らが説く「心不可得」を結論付ける。
さて、道元禅師はまさに「画に描いた餅」という意味での「画餅」を『正法眼蔵』の一巻として書かれているが、「画餅」とは、「画餅にあらざれば充飢の薬なし」とされて、仏法が充足していない飢餓状態を改善していくのは、画餅だけだとしている。いわばこれは成仏への道であると同時に、成仏そのものでもあるという修証一等である。だからこそ、飢えを充たす餅でありながら、画に描いた餅であることで、また飢えてしまう。この矛盾的状態を原動力にして、修証は円環的にどこまでも進めていかなくてはならなくなる。
要するに、心不可得とは修証し続ける仏祖のことであり、どこかで修証を終えることこそもっとも忌むべきだという道元禅師の指摘は、心はどこかにあるものではなくて、不可得という矛盾的存在であることこそ正しい意義であるとされる言葉にもっとも端的に表れていると出来る、
�”垈墜世箸蓮¬擬�性＝空なる事実であり、心性は無自性で、認識の対象だと思うことの誤りを指す。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では18巻、75巻本では8巻。なお、95巻本には19巻目に同名の巻がもう一つあって、そちらは18巻と区別するため便宜的に「後心不可得」巻と通称されている。
��「達磨安心」の問答のこと。詳細は同項参照。
【内容】
�［磴┐弌惷盥簇娘齋弌戮任蓮△海良垈墜世粒鞠阿�多用され、後に中国禅宗でも大きな問題であった「過去心不可得・現在心不可得・未来心不可得」という言葉がある。
仏、須菩提に告げたもう。そこばくの国土の中のあらゆる衆生の若干種の心を、如来は悉く知る。何を以ての故に。如来は、諸々の心を説きて、皆、非心となせばなり。これを名づけて心となす。所以はいかん。須菩提よ、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得なればなり。 『大正蔵』巻8−751ｂ、原漢文
��道元禅師は、不可得こそ心であるとされ、それは心が我々が捉えるとか捉えないとかいう認識を超えて現前する存在であることを意味している。それを�，任盖鵑欧拭惷盥簇娘齋弌戞△修靴討修譴鯊蟶爐砲靴親岨垣覺佞醗貲婿劼量篥�を取り上げて示している。この公案の主題とは、老婆が出題した『金剛般若経』の一節が問題である。
仏、須菩提に告げたもう。そこばくの国土の中のあらゆる衆生の若干種の心を、如来は悉く知る。何を以ての故に。如来は、諸々の心を説きて、皆、非心となせばなり。これを名づけて心となす。所以はいかん。須菩提よ、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得なればなり。
ここで、何故過去・現在・未来の心が不可得なのかを考えていきたいが、徳山が学んでいたという『青龍疏』、正式には唐の道氤が編集したという『御注金剛般若波羅密経宣演』（全６巻）である。そこでは以下のような註釈書が引かれて解説されている。
過去心不可得は、滅するを以ての故に。未来は未だ有らざる故に。現在は第一義なる故に。かの論大いに同じ。然るに云く、現在心は虚妄分別なるが故に、不可得なり、と。
過去心とはすでに滅しており、未来は未だ来ていないから不可得であるとしている。そして、現在は第一義であるわけですが、妄りに分別されたもので、本来はないものだから不可得であるとしている。ここから徳山が呆然とした理由も分かる。いま目の前に示された、餅を食べるのに、どの心も使えない。それを見抜いてしまった老婆は、当然にそこから立ち去る。その辺の俗人だと思っていた老婆に、徳山は敗れてしまった。理論としては精緻なつもりでも、現実に対処できないという辺りに、なるほど道元禅師が「文字の法師」と批判する理由も明らかである。
さて、では道元禅師はこの徳山の見解をどのように批判し、そして何が正しいと提唱していかれるのか。『正法眼蔵』の本文から考えていけば明らかである。そもそも道元禅師は老婆自体がそれほどの大人物ではないと批判する。
婆子そのとき徳山を杜口せしむとも、実にその人なること、いまださだめがたし。そのゆえは、心不可得のことばをききては、心、うべからず、心、あるべからず、とのみおもひて、かくのごとくとふ。徳山もし丈夫なりせば、婆子を勘破するちからあらまし。すでに勘破せましかば、婆子まことにその人なる道理もあらはるべし。徳山いまだ徳山ならざれば、婆子その人なることもいまだあらはれず。
途中に示されている「心不可得」の意味だが、文字通り取れば「心を得るべきではない」になってしまう。しかし道元禅師は、それでは老婆と同じだと喝破するだろう。要するに、別の理解の方法があり、そこに徳山の答えるべき解答もあった。しかし、徳山は呆然としてしまい、道元禅師はその呆然としたこと自体を批判し、そもそも老婆も徳山を喝破したのであれば、その後に答えを言って導くべきであると批判する。
いはゆるそのちなみ、徳山、道不得ならんに、婆子なんぞ徳山にむかふていはざる、和尚いま道不得なり、さらに老婆にとふべし、老婆かへりて和尚のためにいふべし。かくのごとくいひて、徳山の問をえて、徳山にむかふていふこと道是ならば、婆子まことにその人なりといふこと、あらはるべし。問著たとひありとも、いまだ道処あらず。むかしよりいまだ一語をも道著せざるを、その人といふこと、いまだあらず。いたづらなる自称の始終、その益なき、徳山のむかしにてみるべし。いまだ道処なきものをゆるすべからざること、婆子にてしるべし。
結局、道元禅師はその後もこの一件について言葉がなかった徳山を認めず、また老婆も質問だけ有って、答えがなかった、今風で言えば揚げ足取りばかりしているような人は認められないといわれる。なお、道元禅師自身は、どのような結論を持っていこうとしているのか。一人二役で実際に問答をしてみせる。
こころみに徳山にかはりていふべし、婆子まさしく恁麼問著せんに、徳山すなはち婆子にむかひていふべし、恁麼則你莫与吾売餅。もし徳山かくのごとくいはましかば、伶利の参学ならん。婆子、もし徳山とはん、現在心不可得、過去心不可得、未来心不可得、いまもちひをしていづれの心をか点ぜんとかする。かくのごとくとはんに、婆子、すなはち徳山にむかふていふべし、和尚はただ、もちひの、心を点ずべからずとのみしりて、心の、もちひを点ずることをしらず、心の、心を点ずることをもしらず。恁麼いはんに、徳山さだめて擬議すべし。当恁麼時、もちひ三枚を拈じて徳山に度与すべし。徳山とらんと擬せんとき、婆子いふべし、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得。もし又、徳山展手擬取せずは、一餅を拈じて徳山をうちていふべし、無魂屍子、你莫茫然。かくのごとくいはんに、徳山いふことあらばよし、いふことなからんには、婆子さらに徳山のためにいふべし。ただ払袖してさる、そでのなかに蜂ありともおぼえず。徳山も、われはいふことあたはず、老婆わがためにいふべし、ともいはず。しかあれば、いふべきをいはざるのみにあらず、とふべきをもとはず。あはれむべし、婆子・徳山、過去心・未来心、問著・道著、未来心不可得なるのみなり。
要するに、両者ともに問答の機会を得たまでは良かったけれども、中途半端、尻切れトンボだったといわれる。だからこそ、「こうとも言える、ああとも言える」と手を変え品を変え、自らの知見を拡大すべく努力すべきだとしている。徳山は、分からなかったのであれば、俗人だと見下すことなく、老婆に法を聞くべきだと述べている。道元禅師は最後まで徳山を認めなかったが、そこには、この自分の見解で全てが分かったように振る舞う増上慢的なところが問題だったとできる。そして、道元禅師は、いよいよ自らが説く「心不可得」を結論付ける。
しかあれば、参学の雲水、かならず勤学なるべし、容易にせしは不是なり、勤学なりしは仏祖なり。おほよそ心不可得とは、画餅一枚を買弄して、一口に咬著嚼尽するをいふ。
さて、道元禅師はまさに「画に描いた餅」という意味での「画餅」を『正法眼蔵』の一巻として書かれているが、「画餅」とは、「画餅にあらざれば充飢の薬なし」とされて、仏法が充足していない飢餓状態を改善していくのは、画餅だけだとしている。いわばこれは成仏への道であると同時に、成仏そのものでもあるという修証一等である。だからこそ、飢えを充たす餅でありながら、画に描いた餅であることで、また飢えてしまう。この矛盾的状態を原動力にして、修証は円環的にどこまでも進めていかなくてはならなくなる。
要するに、心不可得とは修証し続ける仏祖のことであり、どこかで修証を終えることこそもっとも忌むべきだという道元禅師の指摘は、心はどこかにあるものではなくて、不可得という矛盾的存在であることこそ正しい意義であるとされる言葉にもっとも端的に表れていると出来る、
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