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【定義】

僧侶が、鳥獣魚介の肉を食べることと、妻または夫と結婚すること。

【内容】

肉食妻帯とは、基本的に仏教徒に於ける在家者の姿であり、出家者に於いては声聞戒にて厳禁とされていた。しかし、古来より、中国・日本に於いてこのような習わしが、一部出家者に於いて、或る時は密かに、或る時は公然と行われていた。例えば浄土真宗では、開祖である親鸞聖人以来、宗義としてそれを許容している。また、実際に念仏者には、親鸞聖人以前にも、少なからずの肉食者・妻帯者がいたことが、諸往生伝の記載から明らかである。

日本では出家者の肉食妻帯は、暫く禁止されており、江戸時代なども禁制となっていた(除・浄土真宗)。しかし、明治時代に入り、そのような禁制は解除された。明治5年4月25日付太政官布告第一三三号である。この布告以降各宗派で、肉食妻帯を許容した。

日本曹洞宗でも、同年6月5日に両大本山から、全国末派寺院へ、その旨の布達がされている。更に、尼僧の肉食妻帯についても、翌年1月22日付太政官布告二六号から許容された。

なお、この布告の内容は「僧侶の肉食・妻帯・蓄髪等、勝手為るべき事」というものであり、一応僧侶の自主性に任されていたものであったが、実際には各地で横行した廃仏毀釈という仏教弾圧の影響などにより、僧侶が自主的に決められる状況ではなかった。また、一部の学者は、この布告が余りに全国で安易に受け入れられたことから、実際には江戸時代でも秘密裏に妻帯が進んでいたのではないかとする見解もある。

これ以降、日本に於ける僧侶のアイデンティティーは大きく揺らぐこととなり、現代に至っても未だに超克されたとは言い難い。天皇を中心とした国家神道に邁進することとなった大日本帝国下に於ける悲劇の1つであると見て良いだろう。

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