小久保マサヒコ 15歳の春
家庭教師を交えての勉強(?)の甲斐あって、見事英稜高校に合格した。

一方で、その幼馴染である天野ミサキは、明晰な頭脳を駆使し、進学校である(女子校)へと入学する。
マサヒコへの淡い想いを断ち切れないでいたミサキは、
受験の際、滑り止めとして英稜高校をの入試を受け、聖光女学園は落ちたことにして、
マサヒコと同じ高校へ入学することを企てたが、結局実行しなかった。
優等生としての気質が邪魔をしたのか、勇気がなかっただけなのか、
ともかくも、ミサキはわざと受験を失敗することなどできなかった。

天野家から聖光女学園までの通学時間は約1時間。
小久保家から英稜高校までの通学時間は約15分。

二人が顔を合わせる機会は中学生の頃に比べて、激減していた。
「いつでも来いよ」とマサヒコは言っていたが、何かキッカケがなければ訪問できないミサキだった。
ミサキはどこまでいっても臆病だった。
もっとも、だからこそ、15年間も近くに居たのに、想いを告げられずにいたのだが。

しかし、そんな折、マサヒコの方から天野家に電話が掛かってきたのだった。
母親から受話器を受け取るミサキの手は、少し震えていたかもしれない。
「も…もしもし…」
声も少し震えていたかもしれない。
「あぁ…ゴメンな突然…実はさ、ちょっと相談したいことがあってさ…」
一方で、受話器の向こうのマサヒコの声も少し震えているようだった。
よほど、大事な相談なのだろうか。
とにかく、その場では待ち合わせの場所と時間だけを決めて受話器を下ろした。

翌日の昼過ぎ
待ち合わせの喫茶店にミサキが入ると、既にマサヒコは席に座っていた。
軽く片手を上げて入ってきたミサキを呼び寄せる。
「ゴメン…待った?」
そう言ってからミサキは思った(あ、何だかデートみたい)と。
実際、『相談したい』と言われてからここに辿り着くまで、
ミサキは何だかよくわからない期待感のようなものを抱いていた。
『相談したいこと』とは一体何なのか。
(まさか…離れてみてようやく私の想いに気付いてくれたとか…)
というようなある意味自分勝手な妄想もしたりした。
ともかくも、久し振りに二人きりで会える事で、何か変わるかもしれない。
昨日の夜からここまで、ミサキの気持ちは盛り上がる一方であった。

「実はオレ…好きな人ができたんだ…」

しかし、マサヒコから切り出された話の内容は、ミサキの期待を打ち砕くものだった。
運ばれてきたレモンティーから引き上げた匙が、ミサキの手から零れ落ちる。
「へ…へぇ…そう…」
何とか平常心を保とうとするミサキ。
顔を俯き加減にし、表情を悟られないように努力した。
「うん…一目惚れって感じでさ…こんなの初めてで、どうしたら良いかわからなくて…」
ミサキの表情には気付かない様子で話を続けるマサヒコ。
彼の方にも余裕は無かった。
今まで色恋沙汰には興味無しで過ごしてきた彼が、初めて心を揺さぶられ、戸惑っているようだった。
マサヒコの話によると、
相手の女性の名は、城島カナミ
県立小笠原高校の2年生
マサヒコやミサキからすると、1年先輩に当たる
小笠原高校と英稜高校は距離も近く、部活動や文化祭などで交流が多いらしい
新入生歓迎祭においても、両校の行き来があり、そこで彼女を見かけたそうだ
その後、通学路が似ていることも判り、顔を合わせることも多くなっている
最近では、声を掛けられることもあるようだ

いつも冷静なマサヒコにしては珍しく、顔を赤らめて落ち着かない様子で離す。
その様子を見ていて、逆にミサキが冷静になっていった。
「何で…私に相談するの?…」
話の筋とは関係ないが、ミサキはどうしてもそれだけは確認したかった。
「うん…だって、濱中先生とは最近会ってないし…こういうこと相談できそうなのは、天野しかいなかったんだ」
「リンちゃんは?一緒の学校でしょ?」
「…あいつにこういう話が通じると思うか?」
「……そだね…」

(なるほど…とりあえず身近に私しかいなかっただけか…)
ここまで言われて、ミサキの頭はすっかり冷めていた。
こういう相談をしてくるということは、マサヒコはミサキに対して『友達』としか思っていない。
それ以上でも、以下でもない。
つまり、ミサキのアプローチに対して何ら特別な感情を抱くことは無かったということだ。
「…でさ…その人には、小久保君の気持ちは伝えたの?」
ここからは、優等生のミサキが顔を覗かせた。
「そ、そんなまだまだ!全然…」
驚きの表情を見せるマサヒコ。
今日のマサヒコは表情がコロコロ変わる。
私のことで、それだけ必死になってくれたらな、と、まだミサキの中に少しだけ未練が残る。
「…じゃぁさ、とりあえず言ってみようよ。まずはそれからだよ」
言ったところで、ミサキの心に自虐の念が渦を巻く。
自分ではできもしないことを、何他人に勧めているのか、と。
「待ってたって、その人が自分の気持ちに気付いてくれることなんて、そんなにないよ…」
ミサキは、まるで自分自身に言っているように思った。
もう遅いことかもしれないが。
「…でも…」
「断られたって、とりあえず友達になれるかもしれないじゃない。それからゆっくり…」

「……そうだな…うん!とにかくやってみるか!」
そう言ったマサヒコは、とても男らしかった。





「あっさりOKされた…」
「へっ?」
次の金曜の夜、マサヒコからミサキに掛かってきた電話の第1声がそれだった。
ミサキは思わず聞き返してしまった。
「うん…だから、城島さん…付き合ってくれるってさ…」
あまりにうまく事が運びすぎている。
彼氏彼女ってそんなあっさり結実するものなのだろうか。
「え?最初は友達から…とかじゃなくて?」
ミサキにはある意味信じられなかった。
じゃぁ、自分もさっさと告白していれば良かったのだろうか。
「うん…明日休みだから、デートするって…」
「そ…そう、良かったじゃない」
また、心にもないことを言ってしまうミサキ。
優等生の悲しい性だった。
「うん、天野のおかげだよ…ありがとう」
「そんな…私なんて…」
そう素直に感謝されると、また自虐的な気持ちになってくる。
『ありがとう』と言ったマサヒコの口調は、心底嬉しそうだった。



そんなこんなで土曜の昼過ぎ
「おーい!マサくん、こっちこっち!」
待ち合わせ場所の駅前にマサヒコがやって来たところ、既に城島カナミが待っていた。
セミショートの黒髪に、大きな瞳。
その笑顔を見た瞬間、マサヒコの緊張もいくらか和らいだ。
「あー、すみません、待ちましたか?」
「んーん、全然!」
何処かで聞いたようなセリフを交わす二人。
来る前は、からかわれてやしないか、と少し不安もあったマサヒコだったが、
明るく笑顔を向けてくるカナミを見て、そういった思いは吹っ飛んでしまった。
(良かった…思ったとおり良い人みたいだ…)
遅すぎず、早すぎず、マサヒコは時間ピッタリにやって来た。
それでもカナミが待っていたということは、彼女は待ち合わせよりも前の時間に来ていてくれたことになる。
からかうつもりなら、そんなことはしないはずだ。
あまりにうまく行き過ぎて、余計な不安を持ってしまっただけのようだった。
(それにしても…)
カナミが真面目そうだったことに安心しつつも、マサヒコは気になることがあった。
(…いきなり『マサくん』か…)
いつもと違う呼ばれ方は少々照れくさい気もしたが、不思議と嫌な気はしなかった。
「それじゃあ…城島さん、行きます…」
「え?もうイクの?」
その時、カナミは突然、マサヒコの方に顔を向けた。
急激な表情の変化に、マサヒコは戸惑ってしまう。
「え?あ…その…どこか行きたい所あります?」
「あ…あぁそうそう!行きたい所ね…」
カナミは何か誤魔化すような笑みを浮かべながら、頭を掻いた。
(あれ?…オレ、何か変な事言ったかな?…)
何だかよくわからない。しかし、カナミの方はもう元の状態に戻っているようだ。
「…あのね、行きたい所はね、昨日ネットで調べておいたんだ」
「そうですか。いいですよ」
「うん、じゃぁ、行こうか」
そう言うと、カナミは歩き始めた。横に並んで、マサヒコも歩き始める。


「せっかくだから、手つなごっか?」
「えぇっ!いきなりそこまで…」
もっと段階を踏むものだと思っていたマサヒコ。
とりあえず今日のデートはお互いの紹介のようなつもりだった。
それが、そこまで行ってしまうとは
「いいじゃない、別に、街中で身体つなごってわけじゃないんだし」
「へ?」
言葉の意味はよくわからなかったが、カナミの方から強引に手を握ってきた。
そして、そのまま繋いだ手を揺らしながら歩いていく。
(あー、知り合いに会いませんように…)
マサヒコはかつて無い恥ずかしさを体験していた。
典型的な現代っ子で、今までどこかしらクールに過ごしてきたマサヒコは、
このように、人前でベタベタするのは苦手だった。
しかし、相手は年上であるし、何より誘ったのは自分の方だ。
無下に断ることは出来なかった。
「…城島さん…パソコン持ってるんですね…」
恥ずかしさに耐え切れず、とりあえずの話題を探したマサヒコ。
先程の『ネットで調べておいた』とのカナミの言葉から、話題を振ってみた。
ネットなら、自分も利用しているし(父のパソコンであるが)、大丈夫だ。
「んー…私のじゃなくて、お兄ちゃんの…」
「へー…お兄さんが…」
兄が居るとは知らなかった。
マサヒコはまた一つ、城島カナミについて知ることが出来た。
カナミはハハハと笑いながら続ける。
「でさー、調べようとしたら、いきなりエロサイトが立ち上がってきて、ビックリしちゃった」
「え…エロサイト!」
まさか、女性の口からいきなりそんな言葉が出て来ようとは。
いや、しかし、平気でそういうことを言う女性が、かつてマサヒコの周りにいた。
(いやいや…『エロサイト』くらい、今や普通のネット用語だろう…)
そう考えて、マサヒコは頭の中でカナミとあの人物を照らし合わせることは止めた。
というより、考えたくなかった。

「『お気に入り』の中もエロサイトばかりでね」
「へ…へぇ〜ハハハ」
マサヒコは何だか嫌な予感がした。
「まぁ、お兄ちゃんの趣味だから、思った通り、アナル系ばっかだったけど…」
そこまで言われて、マサヒコの頭の中には、
かつて自分の家に押しかけてきていたもう一人の家庭教師の顔が浮かんでいた。
「じ…城島さんって、案外気さくな人なんですね…ハハハ…」
とりあえずそういった言葉で済ませておいたマサヒコだった。



「えーとね…確か…こっち」
カナミに引っ張られるようにして歩いていくマサヒコ。
彼自身も、今日のデートについて、いろいろ計画してきてはいたが、それで楽しんでもらえるかという自信は無く、
このようにカナミの方から行きたい所に連れてってくれるのはむしろ安心だった。
(あれ?…何だか段々変な方に…)
ただ、カナミの行く先がどうにもおかしい。
大通りを抜け、どんどんと路地裏の、人気の無い方へと進んでいく。
そして、遂に
「うわぁっ!…こ、ここって…」
路地を抜けると、そこはホテル街であった。
色とりどりの(主にピンク系)のラブホテルの看板が、あちこちに突き出している。
「マサくん、早く!」
面食らっているマサヒコをよそに、尚もカナミは突き進んでいく。

あちこちにカップルが歩いている。
何組か、ラブホテルから出てくるところも見えてしまった。
彼らが何の目的でここに来ているのか。
(まさか…な…)
そう考えると、マサヒコの心臓は鼓動が速くなるばかりであった。
(いやいや…考えすぎだろ…うん。きっと、この通りが近道なんだよ)
マサヒコは内心冷や汗をかきながらも、自分自身にそう言い聞かせてカナミについていった。


「あったあった! ここだよ」
「え…ここって…」
しかし、マサヒコの予想に反して、カナミが立ち止まったのはその通りのど真ん中にある一つのラブホテルであった。
ここが、カナミの言っていた『行きたい所』なのだろうか。
「さ、入ろ入ろ!」
やはりそうだったようだ。
カナミは唖然と立ち尽くしているマサヒコの手を引っ張って、中へ入っていく。
「え…そんな…ちょっと待ってくださいよ!えぇええ!!」
マサヒコは強く抵抗する暇も無く、カナミと共にホテルの中へと連れて行かれてしまった。



ホテルのロビー
といっても誰もいない。
二人の前には、部屋の内部の様子と思われる写真のついたタッチパネルが並んでいる。
ライトが消えているところは現在使用中ということだろうか。
(いやいや、そういうこと考えてる場合じゃないだろ!いいのか?こんな所来ちゃって)
マサヒコの動悸は早まる一方であった。
その一方で、カナミの方はいつもと変わらぬ様子。
いや、むしろ何だか楽しそうに見える。
漫画で言うなら、『わくわく』という擬音が回りに浮かんでそうな、好奇心に満ちた表情をしていた。
「えーと、一番安い部屋でいいよね…」
そう言って、指で追いながら料金表を参照していく。
「あとね、私、お夕飯の支度があるから、『ご休憩』しかできないんだ…ゴメンね…」
「え?えぇ!…いえ!…はい…」
マサヒコはもうワケがわからなかった。
『ご休憩』の何が良くないのか、その意味すらわからない。
「あ!しまった!今日土曜日だから、特別料金の方になっちゃうんだ!…」
カナミはどうやらお金にシビアな性格のようだ。
『お夕飯の支度』もするそうだから、よく言えば家庭的な面があるのかも知れない。
だが、今のマサヒコにはそういうことを考える余裕も無かった。
「…しかも、平日より時間が短い! これは…うん!早く行こ!」
カナミはタッチパネルを押し、出てきたキーを受け取ると、そのまままたマサヒコの手を握ってダッシュした。
「えぇっ!!ちょ…ちょっと待ってくださいよ!」
「え?…なに?」
カナミは立ち止まる様子は無い。
目的の部屋に向かって走っていく。
「な…何でここが『行きたい所』なんですか?」
「…ネットで調べたら、ここがこの辺で一番安かったの」
マサヒコの質問の意図と、カナミの答えとは、微妙に食い違っていた。

「うわー…思ったよりも広ーい!ベッド大きーい!」
カナミは部屋に入ると、部屋まで来た勢いそのままに、ベッドの上へと飛び込んだ。
「うわー、柔らかーい!ふかふかだー」
そして、そのままベッドの弾力にまかせて身体をバウンドさせる。
その部分だけ見ていると、とても無邪気な少女がはしゃいでいるだけに見えた。
ただ、この場所がラブホテルの中で無ければ問題は無かったが。
「よし!これなら多少暴れても大丈夫!!」
カナミはベッドの弾力を確かめるようにバンバンと掌で叩いた。
そんなに暴れるつもりなのだろうか。
「あの…城島さん…」
マサヒコは完全に置いていかれていた。
部屋の入口で立ち尽くし、オロオロするばかりである。
しかし、カナミの方はまったくお構いなしだった。
「えーと、まずは、シャワーだね!私、先に使ってもいい?」
「えぇ…はい…どうぞ…」
カナミはベッドから勢いをつけて下りると、スタスタとバスルームへと歩いていく。
しかし、ドアノブに触りかけたところで、何か思いついたように立ち止まった。
「あっ!…そうか…マサくん…一緒に入りたい?」
そう言って、少し頬を染めながらマサヒコの方を振り返るカナミ。
「いいいいいい!いいえぇ!そんな、滅相も無い!」
マサヒコは全力で首を左右に振った。
さすがにそれは恥ずかしすぎる。
「良かった…やっぱり、それなりに段階踏まないとね…」
そう言い残して、カナミはバスルームのドアをパタンと閉めた。
「……段階って…」
カナミの段階の切り所が、マサヒコにはいまいち理解できなかった。

バスルームの中から、ザーーっという水の弾ける音が聞こえてくる。
壁を隔てているのに、今のマサヒコには何故か、殊更はっきりと聞こえた。
(ど…どうしよう…このまま流されていいものか…)
カナミがシャワーを浴びている間、マサヒコは何をするでもなく、ただベッドに座って悶々としていた。
握り締めた手にはじっとりと汗が滲んでいた。

「ふぃーー…お風呂…じゃなかった。シャワー空いたよ…」
「うおぁっ!!」
バスルームから出てきたカナミを見て、マサヒコは思わず顔を手で押さえた。
出てきたカナミはバスタオル一枚を羽織っているのみだった。
「マサくんもさ、早く入ってきてよ。あんまり時間ないし…」
「はっ、はいっ!!」
言うが早いか、マサヒコはバスルームへと駆け込んだ。
これ以上、カナミの姿を直視することができなかった。
「はぁ…はぁ…」
そして、曇りガラスのドアを閉めたところでようやく一息つく。
ドアを閉めたところで、自分の傍らにカナミの着て来た服がたたんである事に気付く。
そして、そこには小さな靴下、パンティ(白)やブラジャー(白)まで置いてあることに気付いた。
(…ということは…やっぱりタオルの下は裸なのか…)
心臓が激しく高鳴っている。
こんなことは初めてだ。
いや、今日は何もかもが初めてだ。
初めて過ぎて、対処しきれない。
(ど…どうしよう…このまま流されていいものか…)
さっきと同じ事を考えていた。
いくら悩んでも、決心がつかない。
だが、それでも言われた通りに手早くシャワーを済ませてしまうマサヒコだった。
昔から、言われたことはきっちりやる男。

(ど…どうしよう…このまま流されていいものか…)
考えの堂々巡りをしながら、バスルームを出るマサヒコ。
カナミに倣って、自分もタオル一枚だけ羽織っていく。
そんなマサヒコの目に、信じられない光景が飛び込んでくる。

「なにやってんだ あんたー!」



「ふぇぇっ!!」
突然のマサヒコの声に驚いて、ビクッと振り向くカナミ。
『あふ…うん…いいん…そこ〜』
彼女がさっきまで見つめていた先、TV画面には善がり狂うAV女優が写っていた。
「あの…ゴメン…いや、タダだし、せっかくだから見ておこうかと…」
マサヒコのツッコミに驚いてちょっと歯切れが悪いカナミ。
「ハッ!」
ここにきて、マサヒコも初めて自分がツッコんでしまったことに気付いた。
(しまった!…ついクセで…)
ヤバい、きつく言い過ぎたかな、とマサヒコは激しく後悔した。
「すいません…あの…ビックリしちゃって…」
「あぁ…いいよいいよ…ツッコまれるのは慣れてるし…」
「はい?」
とりあえず、カナミは気に留めていない様子だった。
マサヒコは少し安心する。
「さぁさぁ…こっち座って…」
そして、カナミはベッドの端に腰掛けて、じぶんの傍らを手でポンポンと叩き、マサヒコに座るように促す。
ここまで来たら間違いない。
もう、ヤルしかない。
そう考えると、マサヒコはガチガチに緊張してきた。
ぎこちない動きで、カナミの隣に腰掛ける。
「あ…あの…うわっ!」
緊張した面持ちでカナミの方を向くと、マサヒコの顔のすぐ近くに、カナミの顔があった。
「まずはね…こっち…」
そう言って、カナミは自分の唇を指差す。
そして、軽く顎を上に向けたまま、目を閉じた。
(うわ…これって、ひょっとして…)
キスを求められているのか。
マサヒコはどうしたらよいか解らず、手を宙に彷徨わせる。
「ねぇ…はやくぅ…」
目を閉じたまま、カナミが誘ってくる。

これ以上待たせたら、カナミを傷つけることになるかも知れない。
そう判断したマサヒコは、意を決してカナミの両肩を掴んだ。
そして、ゆっくりとカナミの顔に自分の顔を近付け、
そっと、唇を重ねた。
(…やわらかい…)
初めて感じる女性の唇。
その柔らかさと暖かさに、マサヒコは感動すら覚えた。
が、

「――――!!」

マサヒコに衝撃が走る。
自分の唇を割って、何かが口の中に侵入してきた。
(これは…城島さんの…舌…)
グニュッとした感触のものが、スルッとマサヒコの口の中に入り込み、動き回る。
「うぁっ!…」
慣れない感触に耐え切れず、思わず顔を離してしまうマサヒコ。
「あぁっ…もう、逃げちゃダメ…」
微かに頬を染めながら、カナミはマサヒコの首に手を回し、また顔を近付けて来る。
「あの…城島さん…」
「…ちゃんと名前で呼んで…」
そう言いながら、カナミはまたマサヒコの唇を奪う。
そして、また無遠慮に舌を侵入させてきた。
「…んっ!…んっ!…んん…」
マサヒコの口の中で、マサヒコの舌が、カナミの舌に絡め取られていく。
(オレ…普通のキスさえしたことないのに…)
それは不思議な感覚だった。
他の人の体温が、自分の口の中で動き回る。
だが、少しも嫌な気はしない。
何だか、頭の中が溶けて、浮ついていくようで、
ぼぅっとしてむしろ心地良かった。

「…んん…はぁっ…ん…んん…」
軽く息継ぎをしてキスを続けるカナミ。
上気して赤くなった顔がマサヒコからも一瞬垣間見えた。
マサヒコも、自分の顔が赤くなってきているのが、自分でも判るほど興奮していた。
「……ぷはっ…ふぅ…はぁぁ…」
カナミがようやく口を離す。
二人の口の間には、二人の唾液が絡まり合って、糸となって伸びていく。
「ふふふ…マサくん…顔が…赤いよ。気持ち良かった?」
「は、はい…あの…えっと…」
「…良かった…さくらんぼで練習した甲斐があったよ…」
「はい?」
呆けたように動けないでいるマサヒコをよそに、
カナミはその目の前で、自らの身体を包むバスタオルを外し始めた。
「うぁっ!カ…カナミさん…そんな…」
薄暗い部屋の灯りの中、カナミの肢体がマサヒコの前に露わになる。
一糸纏わぬ姿。
母親以外の女性の裸を、初めて目の当たりにしたマサヒコは、思わず目を背けてしまった。
「カ…カナミさん…何で、そこまで…」
マサヒコは自分で何を言いたいのか良くわからなかった。
ただ、1回目のデートでここまで来てしまうとは、完全に予想外で、
先程意を決したつもりでいたが、改めて裸体を目の前にすると、それ以上踏み込む勇気は無かった。
「え?…だって、付き合うっていったら…エッチするんじゃないの?…」
カナミはそんなマサヒコの態度も意に介さず、身体をマサヒコの方に近付けて来る。
そして、マサヒコの腰に優しく手を回し、彼をガードしているタオルを剥ぎ取った。
「あっ!そんな…待って…」
「えっ!マサくんってひょっとしてエッチできない人?」
「いや…違います…多分…(EDとか言われてたけど)」
マサヒコがそう答えた途端、カナミの表情が少し沈んだ。
「じゃぁ…ひょっとして…私とはしたくないとか………貧乳だし…」
「いや!そんなことは決して!…」
裸でいるカナミの方を見るのは躊躇われたが、彼女を傷付けまいという心から、マサヒコはじっとカナミを見つめる。
マサヒコに見つめられながら、カナミの表情が、また弛んでいった。

「えへへ〜…じゃぁいいよね…」
そう言って、カナミはマサヒコの内股を掴み、強引に足を拡げさせる。
「え?…いやあの…でも…」
突然のことに、マサヒコは慌てて自分の股間を手でガードする。
「え?まだ何かあるの?」
カナミの頬が、不満そうに膨らんだ。
「いや…そうじゃなくて…もう少し段階を…」
「段階?…あぁ…大丈夫だよ!ちゃんと勉強してきたから。エッチの順番」
グッと親指を立て、前に突き出すカナミ。
自信満々といった様子だ。
「いえ…そっちの段階でなくて…もっと前の…」
「だから!次はマサくんのを勃たせることになってるから!……ほらぁ!!」
「あぁっ!!」
カナミは、股間を覆っていたマサヒコの手を力任せに引き剥がすと、
その先に現れたマサヒコのイチモツをマジマジと見つめた。

「………あれ?……」

怪訝そうな顔をするカナミ。
「な…何か…不都合でも?…」
マサヒコには、カナミの表情の理由がわからなかった。
と言うか、今日の彼女の行動は全てわからなかった。
「……全然反応してない…」
カナミの目の前で、マサヒコのペニスはだらしなく垂れ下がっていた。
「おかしいなー…『ここまでくれば彼のモノは半勃ち』のはずだったのに…」
「何ですかそれは?…」
まるで、何かを参照してきたかのような物言いだ。
「いやその…緊張してるんですよ…」
だが、それよりも、股間を曝け出したままじっくりと観察されている今の状態が物凄く恥ずかしかった。
「…やっぱり…私の身体のヴォリュームが足りなかったとか?…視覚的に…」
カナミが、下からマサヒコの顔を見上げてくる。
ちょうど上目遣いになるので、マサヒコはドキッとした。

もともと顔から憧れただけに、その攻撃が一番効く様だった。
「あっ!…今ピクッて動いた!」
カナミがマサヒコのペニスに顔を近づけてくる。
「そ…そんなに見つめないでくださいよ…」
今にも触れてしまいそうだ。
悲しいことに、マサヒコのペニスは益々反応してしまう。
「よーし!じゃぁ次!」
そう言うと、カナミはペロッと舌を出した。
そして、

「うわぁっ!そ…そんなぁ!!」
硬く尖らせたカナミの舌先が、ペチョッとマサヒコのペニスに触れた。
マサヒコは敏感に反応し、カナミの目の前でペニスが揺れる。
「あ…ひょっとしてマサくん…初めて…」
カナミが、また上目遣いでマサヒコを見つめてくる。
その表情を見るにつけ、またマサヒコは堪らない気持ちになるのだった。
「うぅ…その…」
「へへへ…初めてなんだ…やったね!」
そう言うと、カナミはまたマサヒコの股間に顔を埋めていく。
カナミの柔らかい吐息が、剥き出しのマサヒコのペニスに降り掛かる。
「あぁぁぁ…」
マサヒコはまた1オクターブ高い声を上げた。
カナミが、まだ柔らかいマサヒコのペニスを舌で持ち上げ、優しく口に含んだのである。
「あっ…そんな…あぁぁ…」
フニャフニャで柔らかいペニスを、唇でモゴモゴと弄ぶ。
口の中では、ゆっくりと舌を動かし、亀頭の先の裂け目を弄る。
柔らかく暖かい女性の唇に包まれて、マサヒコはかつて無い感覚に悶えていた。
これが、快感というものなのだろうか。
(あぁ…あったかい…なんだこれ?…気持ち良いのか?これ?…)
よくわからない。よくわからないが、
もっと、もっとして欲しい。
カナミの口の中で、マサヒコのペニスが徐々に硬く、芯を持ち始めていた。

「ふふふ…硬くなってきたね…」
カナミは一旦口を離すと、また舌先を尖らせて、ペニスと陰嚢の境目を突付いた。
「うっ…あう…」
まだ経験の無かったマサヒコは、カナミの舌の動き全てに一々反応してしまう。
カナミは満足気に微笑むと、ペニスの先を摘んで持ち上げた。
そして、直立させたペニスの裏スジを、下から上に持ち上げるように舌先でなぞる。
「うぁぁあっ!」
その瞬間、マサヒコの背筋にゾクゾクッと悪寒が走り、
それに伴って、マサヒコのペニスもビクビクと震え、僅かに膨らんだ。
「あっ…あっ…あぁっ…」
更にカナミの舌が、上から下へ、下から上へと往復を始めたから堪らない。
マサヒコのペニスは、カナミが見守る中、どんどん太く硬く膨張していった。
「へー…マサくんは、仮性包茎さんだね…」
カナミはそう言いながら、マサヒコの余り気味の皮の間に舌を喰い込ませる様に突付き、
指を使ってゆっくりと剥いていった。
「あっ!…ちょ、ちょっと痛いです…うぅっ…」
マサヒコのピンクの亀頭が剥き出しになる。
カナミは構わずに、そのピンクの亀頭に舌を這わせた。
「んっ…ここも硬くなってきてるね…」
そして、亀頭の先の裂け目に口付すると、亀頭の傘の裏に差し込むように舌先を入れ込んでいく。
その瞬間、マサヒコは身体に電流が走ったように感じた。
「あぅっ…ダメです…そこ…すごい…うぅぅ…」
マサヒコのペニスがビクンビクンと震える。
痛いほどに伸び上がっていくマサヒコのペニス。
もう、カナミの支えが無くても直立するほどに勃起していた。
「ふふ…マサくん…この辺が弱いんだ…いいよ…イッちゃいなよ…」
そう言って、カナミはマサヒコの亀頭に吸い付いた。
チュッ!チュッ!と亀頭が吸い上げられ、唾液の爆ぜる音が聞こえてくる。
何だか、とてもいやらしい音だに聞こえる。
一番敏感なところを集中して責められ、マサヒコは内側から段々込み上げてくるものを感じた。
「そ…そんな…ダメですよ…あぁっ…」
言葉とは裏腹に、マサヒコのペニスは爆発しそうなほどに膨れ上がっていた。

「えー、でも、タマタマがピクピク震えてるよ…もうすぐ出そうなんじゃないの?」
口を離したカナミが、指を使ってマサヒコの陰嚢をそっと持ち上げる。
カナミの指の上で収縮し、震える陰嚢は、宛らカナミに弄ばれているようだった。
「ダメです!今触っちゃ…あぁ…」
マサヒコが苦しげに眉を顰め、身体を強張らせて込み上げてくる波に抗っていた。
しかし、カナミはむしろそれを打ち崩そうとしてくる。
限界が近くなったマサヒコのペニスを前に、大きく口を開けると、
まるで頬張るように自らの口の中へ飲み込んでいった。
「ダメです!ホントに出そうなんですってば!…あぁ…なんで…」
そして、カナミはそのままペニスの根元近くまで一息に飲み込んだ。
柔らかい舌全体が、ペニスの竿に絡み付く。
硬く張り詰めた亀頭が、カナミの喉元に貼り付く。
「んんっ…」
そこまで来たところで、カナミも眉を顰める。
膨張したマサヒコのペニスが、少々サイズ過多だったようだ。
口の中一杯にマサヒコの肉棒を頬張りながら、カナミはゆっくりと鼻で息をつき、落ち着こうとする。
「あっ…うぅっ…そんな…」
しかし、カナミが息をつくと喉が収縮し、
そこに貼り付いているマサヒコの亀頭を締め上げ、攻め立てる結果となってしまった。
少し落ち着いたところで、カナミは頬を窄めながらゆっくりとペニスを抜き出していく。
そして、カリ首が唇に引っ掛かるところまで抜き出すと、また喉元まで挿入していく。
そうやって、ゆっくりと口内へのペニスの抽送を開始していく。
「んっ…んっ…んっ…んんっ…」
カナミの頭が、マサヒコの股間でリズミカルに上下する。
「あっ…あっ…うぅっ…」
カナミの口の動きに合わせて、マサヒコからも声が漏れる。
舌が、頬肉が、喉が、マサヒコのペニスを擦り上げ、
内側から込み上げてくる波が大きく、顕著になっていく。
「あぅっ…も…もうダメです…早く…早く頭を退けて下さい…ホントに…ホントに出ちゃいますよぉ…」
自分でも信じられないほどにマサヒコのペニスは張り詰め、カナミの口の中でピンと伸び上がっていく。
マサヒコは申し訳なく思い、せめて口内射精は避けようと、カナミの頭に手を掛けた。

「うぅ…もう…早く…」
しかし、ペニスを抑えられているため力が入らない。
カナミを退かすことができない。

「も…もう…あ…あ…あぁあぁぁぁ〜…」

マサヒコが端から聞いたら情けないほどに力が抜けた声を出した。
と、同時に、カナミの口の中でペニスがビクンと大きく脈打つ。
そして、先端から勢い欲熱い粘液が溢れてきた。
その動きを察知したカナミは、すぐさま動きを止め、流れ込んでくるマサヒコの精液を口内の広い所で受け留める。
「うっ!…うぅっ!…うっ!…」
小刻みに呻きながら、身体を震わせて、精液を吐き続けるマサヒコ。
若く、勢いのある射精。カナミは、まるで喉に叩きつけられるように感じ、眉間に皺を寄せた。
「ごめんなさい…カナミさん…うぅうっ!…」
カナミはペニスの竿を指で支えながら、コスコスと小刻みに動かし、マサヒコの射精を促してやった。
マサヒコの射精は量も多く、なかなか収まらなかった。
カナミの口の中いっぱいに、マサヒコの熱い精液が広がっていく。
「んんっ!…」
口の中に収まりきらなくなって、カナミはマサヒコのペニスから顔を離してしまった。
シーツの上にペトリと落ちるマサヒコのペニス。
直立するほどの力は無くなり、トロトロと余りの精液が流れ出していた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ようやく射精を終え、荒く息をつくマサヒコ。
目の前では、自分の精液を口内に収めたカナミが、口元を押さえたまま震えている。
「んぐっ…んん…」
呆けたように脱力しているマサヒコが見つめる中、
カナミは懸命に舌と喉を動かして、口内の精液を飲み込んでいった。
「……にが…」
カナミが呟く。
「…そんな…無理して飲まなくても…」
心地良いような脱力感の中、マサヒコは気だるそうに言った。
「え?…でも、飲んでくれた方が嬉しいんでしょ?男の子って…」

そう言って、カナミはマサヒコに顔を近付け、ペロッと舌を出した。
全部飲み込んだことの証明だろうか、確かに口内にはもうなにも残っていないようだった。
「やめてくださいよ…何だか…恥ずかしい…」
マサヒコはまた顔を赤くして目を背けた。
(あ…可愛い…)
だが、それはむしろカナミを萌え上がらせたようだった。
「マサくんのってさ…すっごく濃いの…喉に引っ掛かって大変…」
「やめてくださいってば…」
「…噛めそうだったよ…」
「もう…恥ずかしいな…」
そう言って、マサヒコは顔ごと背けてしまった。

「ふふふ…」
あまりイジメるのも可哀想に思ったカナミは、次のステップへ進むことにする。
「マ〜サくん!こっち向いて」
言われた方を振り向くマサヒコ。
その先にはマサヒコの知らないものがあった。
「うぁっ…」
「もー、マサくんったらそればっかり…」
マサヒコの目の先では、カナミが大胆に足を拡げていた。
「次はねー、私の番。マサくん、ちゃんと濡らしてね…」
目の前に露わになるカナミの女性器。
控えめの陰毛は、柔らかな縦スジを隠し切ることは出来ず、
性器の柔肉の形がはっきりと目で判る。
初めて見る女性の大事な部分。
マサヒコは頭に血が昇っていくのを感じ、自分の性器もまた反応し始めているのを感じていた。


「やだ…マサくんのエッチー…」
カナミに言われてマサヒコはハッとなった。
いつの間にかカナミの股間に見入っていた自分に気付く。
「あ…あぁ…あの…」
しかし、それでも目を逸らせないでいるいる自分がいる。
自分の中にも、こんなスケベな部分があったのかと思うと、マサヒコは何だか恥ずかしくなった。
「ふふっ…ひょっとして、初めてなの?…ココ見るの…」
カナミは決して嫌がってはいなかった。
女性器をマサヒコに見つめられながらも、足を閉じようとはしない。
ただ、少しだけ頬が赤くなっている。
さすがに恥じらいは持っているようだった。
マサヒコの方も、一度射精したことで、ある程度腹を括った感がある。
「はい…あの…初めてで…」
「どう?エッチなマサくん」
「エッチはやめて下さいよ…その…もっとアワビみたいとか思ってたけど…」
マサヒコとて、男子だ。そういう類のメディアに触れたことが無い訳ではない。
ただ、今実際に目の当たりにしているカナミの女性器は、今まで見聞きしたものとは違って見えた。
微かに柔らかく盛り上がった肉感。
真ん中に縦スジが一本あるのみで、その形はとても整って見える。
「ちゃんとあるよ…アワビみたいなのは…」
マサヒコの疑問を見透かしたかのように、カナミが言う。
「……この中に…」
そう言って、カナミは自らの指で陰唇を横にずらして見せる。
白い恥丘の間に、ピンクの小陰唇が少し顔を覗かせた。
ゴクッ…
マサヒコの喉が動いた。
端から聞いても聞こえるほどに、はっきりと生唾を飲み込んだ。
緊張感が解れ、興奮が優先され始めている。
「ねぇ…ここから先は…マサくんが開いてよ…ちゃんとマサくんが濡らさないといけないんだよ…」
言いながら目を閉じてしまうカナミ。
大胆なことを言う割には、時折見せる恥じらい。
実はカナミ自身、こんなことを他人に言うのは初めてで、好奇心と羞恥心の間で揺れていた。

それを知ってか知らずか、マサヒコは言われた通りに、カナミの股間に顔を近付けていく。
「い…いきますよ…」
「…うん…」
今や、マサヒコも好奇心に動かされつつあった。
カナミの女性器をしっかりと見据えながら、ゆっくりと指を近付けていく。
「…んっ……」
マサヒコの人差し指が、ワレメに触れる。カナミの口から、無意識のうちに声が漏れ出す。
(うぅ…や、柔らかい…)
少し力を入れただけで崩れてしまいそうなカナミの恥肉。乱暴に扱うことはできず、マサヒコは逡巡するように、カナミの縦スジを指でなぞった。
「やだ…くすぐったいよぉ…」
マサヒコの指が動くと、カナミの足が振るえ、太股が揺れた。
「大丈夫ですか…」
「うん…でも、変な感じ…自分で触るのとは全然違う…それにしても…」
カナミは自分の性器に触れているマサヒコの指先に目を落とした。
「…マサくん…ちゃんと爪切ってるんだね…良かったよ…」
「そうですね…」
女性のデリケートな部分に触るにはちょうど良かった。
「…ひょっとして、マサくんも最初っからヤル気だったんじゃないの?エッチー」
カラカラと笑うカナミ。
この娘はどんな状況にあっても明るかった。
「な、何で爪切ってただけでそうなるんですか!」
マサヒコが爪を切ってきていたのは初デートに合わせて身だしなみを整えた結果だった。
ただ、それがたまたま功を奏した結果となったのだった。
「…ねぇ…マサくん…あんまり焦らさないでよ…」
軽い冗談で誤魔化しつつも、カナミの身体は微かに震えていた。
やはり、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「…はい……」
この頃になると、マサヒコの頭からは逃げるという選択肢は無くなっていた。
流されるばかりではない。彼女が求めているんだから、答えようという気持ちが起こっていた。
意を決して、もう片方の手を、カナミの股間に伸ばしていく。
「…あっ…んん…」
そして、両手の人差し指をワレメに引っ掛け、陰唇をゆっくりと左右に割り開いた。

「うぅ…」
マサヒコの目の前に、カナミのピンクの小陰唇が露わになる。
正に、人間の内側といった色。しかし、決してグロテスクな感じはしない。
むしろ、それは美しいと感じられた。
「…ぅはぁ…ねぇ…マサくん…わかる?ココ…」
カナミの口から、甘い息が漏れる。
カナミの太股がフルフルと震えている。
今まで、何度も自分で拡げたことはあるが、他人に、しかも男の子に拡げられると、凄まじいばかりの刺激だった。
そのまま崩れてしまいそうになるが、カナミは気丈に、自らの指で膣口を指し示した。
「…ココだよ…ココを濡らすの…」
マサヒコの前に晒されて、カナミの小さな膣口は恥らうようにヒクヒクと収縮を繰り返している。
それを見て、マサヒコは なるほど、と感じた。その形状は確かにアワビを連想させる。
だが、それよりも、もっと魅力的なもの、そして、もっともっと淫猥なものに見えた。
マサヒコは、自分がガラにも無く夢中になっていることを自覚した。
普段は、何事も深く入り込めない性格であったはずなのに、今はそこから目を逸らすことが出来ない。
「はぁ…うぅ…」
自分の息遣いが荒くなっていくのが判る。
心臓が高鳴っていく。
マサヒコは、指でカナミの陰唇を割り開いたまま、その場所に顔を近づけていった。
そして、カナミが自分にしてくれたことを思い出しながら、静かに舌を這わせた。
「やんっ!!」
だが、次の瞬間、マサヒコの両側から、カナミの太股が迫ってくる。
「がっ!」
突然、バチンと閉じられたカナミの内股に挟み込まれるマサヒコの頭。
反射的に閉じてきたのか、手加減は無く、マサヒコは少し痛かった。
「い…いきなり舐めるなんて、反則だよぉ…もぉ…ビックリしたー!」
そう言いながら、カナミは太股で挟み込んで止めたマサヒコの頭を股間から引き剥がす。
「え?…でも、濡らすって…」
マサヒコはワケが解らなかった。
経験が無い中、自分なりに考えて、カナミと同じ行動をしたつもりだったのだが、
何がマズかったのだろうか。

まさか…な… 後編

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

どなたでも編集できます