「すごい、なぁ……」
 マサヒコは呟くと、息をほうっと吐いた。
彼の目の前には、物凄い光景が広がっている。
「マサ、ちゃん……」
「小久保君に、見られてる、見られちゃってる……」
「凄く、ドキドキするよぅ……」
「……ああ、マサヒコ君……」
 天野ミサキ、若田部アヤナ、的山リンコ、濱中アイ。
四人の可憐な女性が、マサヒコの目の前にいる。
揃って、身体には一糸も纏っていない。
それだけではない。
自らの太股に手をやり、大きく脚を開いている。
「こうして見ると、それぞれの違いがよくわかるな」
 当然ながら、秘所の形や色は個人個人でそれぞれ異なる。
だが、如実に違いがわかるのは、その秘所を覆うアンダーヘアの濃さだろう。
ミサキとアヤナは、その髪の色に比べてやや淡く、そして量も薄い。
リンコは本人が常々言っているように、一切生えていない。
そしてアイだが、やはり四人の中で最も年長なだけあって、色と量がともに最も濃い。
とは言っても、そこはやはり女の子、手入れがされており、
いわゆるだらしない感じは全くない。
「あ、あ……マサ、ちゃ、ん……」
 ミサキの目には、情欲の炎がポオッと宿っている。
いや、ミサキだけではない。
他の三人も同じだ。
愛する人の前で、はしたない格好を、自らの意思でしている。
そして、最も恥ずかしい場所を、じっくりと見られている。
その事実が、彼女たちの体をトロトロと焙っている。
「みんな、濡れてきてるよ」
 マサヒコはペロリと、唇を舌で舐めた。
乾きを潤すための行為だったが、
少女たちには、自分たちを食らう狼の舌舐めずりにようにも見えた。
無論、だからと言って恐怖を四人が感じることはない。
逆で、彼女たちは、マサヒコに「食べられたがっている」のだ。
「マサちゃ、あん……はぁ……」
「こ、くぼ……くぅん……」
「身体が熱いよぅ……」
「マサヒコ君、マサヒコ君……」
 床の上で、痴態を露わにする四匹の美しく、そして淫らなケモノたち。
マサヒコに命令されたから、はしたない格好をしているわけではない。
彼女たちは、自らすすんで、己の奥をマサヒコに供している。
ただ、マサヒコを愛するが故に。

 春のうららかな日差しが街の隅々を照らし、
本咲きとなった桜が、優しい風に吹かれ、人々の頭上で軽やかに揺れる。
四月に入って数日、学校でも社会でも、新しい年度がスタートし、
ワクワクとした気持ちが抑えきれないこの頃だ。
 マサヒコとミサキ、アヤナ、リンコ、そしてアイの関係は、昨年から全く変わっていない。
マサヒコは皆を愛し、皆もまた、マサヒコを愛する。
世間一般の常識で測ってみれば、イビツとしか言いようのない、五人の関係。
だが、五人にとっては、イビツでも妙でも何でもなく、これ以上ない完成された愛のカタチなのだ。
恋愛につきものの、嫉妬や羨みなどの感情は、人間なのだから、当然ある。
しかし、そこから綻びが生じることはない。
全てを包み込むマサヒコの男としての器の大きさと、
マサヒコをひたすらに愛するミサキたちの想いの深さ。
五人が五人とも、満たされている。
そう、何かが入り込む余地などない、幸せな世界―――

「あぅ……!」
 ベッドの上で、リンコはぷるっと小さく、身体を痙攣させた。
一番感じる秘所の粒を、マサヒコの人差し指がトントンと叩いている。
滲み出た愛液が、無毛の秘所をねっとりと濡らし、溢れ、飛び散る。
「的山は、相変わらず、敏感なんだ……な」
 マサヒコの声が途切れ途切れになるのは、
ミサキとアヤナ、アイが桜色の舌が身体を這っているからだ。
「くっ……!」
「きゃう……うぅ!」
 唾液の線が三つ、まるで蛇のようにマサヒコの体にぬらぬらと伸びていく。
三人の舌がくねる度に、マサヒコと、そしてリンコが呻く。
間接的に三人が、リンコを責めていると言えるかもしれない。
「あ……ん……っ!」
 リンコは朱が差した身体をぐっと仰け反らせ、顎を突き出した。
秘所から零れた愛液が珠となり、マサヒコの指から手首までに振りかかる。
「リンちゃん、イッちゃった……?」
「ああ、的山は感じやすいから、ちょっと触っただけですぐしょぐし……むぅ!」
 最後まで喋りきる前に、アヤナはキスでマサヒコの唇を塞いだ。
両手をマサヒコの首に回し、ぐいぐいと強引に吸いつき、舌をねじ込む。

「ん……」
「む、ちゅ……は、あ……んん、ぷ、はぁ」
 一分程後、アヤナはマサヒコから離れた。
マサヒコとアヤナの唇の間に、唾液の細い橋がつうっと掛かり、
重力に引かれて下に垂れ、そしてぷつりと切れる。
「小久保君……次は、次は私にシテ……」
 瞳を潤ませ、アヤナは情熱的にマサヒコに迫る。
「ああ、若田部」
 マサヒコはミサキとアイをちらりと見やった後、
リンコの愛液でべとべとになった指を、アヤナの秘所に潜り込ませた。
「あっ……! はぁ、っ……!」
 大きな嬌声をあげて、マサヒコの指から送り込まれてくる快楽を貪るアヤナ。
「あ、あ……! 小久保くぅん、キモチ、イイ……っ!」
 マサヒコと関係を持った四人の中で、最も性に対して貪欲なのがアヤナだった。
普段は気高く、強気で、時にキツイと評される性格の彼女だが、
それだけに、愛欲には素直に身体と心が反応してしまうのかもしれない。
「マ、マサちゃん、私も……!」
 負けじと、ミサキもマサヒコにお願いをする。
ミサキとアヤナ、二人が揃ってマサヒコに抱かれる時、
先に激しい行為を要求するのは決まってアヤナで、
ミサキはいつもその後に、やや恥ずかしげに、マサヒコにねだるのがパターンだ。
勉学ではミサキの後塵を拝し続けてきたアヤナだったが、
セックスの場では、積極性で一歩リードといった感じだろうか。
「ミサキ……」
 涙目で求めてきたミサキに、マサヒコはそっとキスをすると、
アヤナを責めているのとは逆の腕を、ミサキの下腹部へと滑らせた。
 マサヒコは積極的かどうかで、行為に差をつけたりしない。
皆に等しく、そして最大限の愛と誠意をもって、優しく、時に激しく、快楽を施す。
それが、小久保マサヒコという男なのだ。
「二人とも……ぐっしょりだな」
「はぅっ……あっ、小久保く、ん、小久保くぅん!」
「マサちゃ、いいよ、凄い、よぉ……!」
 下から突き上げるような快感に、ミサキとアヤナは姿勢を保っていられず、
崩れるようにマサヒコの肩へと寄りかかっていく。
「お……っと」
 腰かけた状態では、さすがに二人分の体重を支えることは出来ない。
勢いに押され、トサリと背中をベッドに預けるマサヒコ。
「あ……」
 アイは艶がかった声を歯の間から漏らした。
ベッドにマサヒコが横たわったことで、股間の膨らみがはっきりとわかるようになったからだ。
「マサヒコ君の、が……」
 トランクスの布地を押し上げる、マサヒコの猛り。
速くトランクスの外に解放してほしい、と言わんばかりだ。

「す、ごい……」
「は、濱中先生!?」
 アイは手を伸ばすと、マサヒコのトランクスに手をかけ、下ろし始めた。
猛ったモノが途中で引っかかったが、アイは構わず、じりじりと力を込め、
足首の方に向かってトランクスを引っ張っていく。
「わ……」
 亀頭にかかったトランクスが外れ、その反動で、マサヒコのモノがぶるりと揺れる。
勢いよく天井に向かってそそり立つマサヒコのペニス。
その逞しさに、思わずアイは感嘆の声を上げた。
「ホント、すごいね……」
「そんな、別に初めて見るわけじゃな……むわわわ」
 マサヒコが指の動きを止めた隙に、ミサキとアヤナがキスをせがむ。
互いの額がぶつかり合うが、お構いなしだ。
「ふふ……」
 ミサキとアヤナに圧し掛かられた形になったマサヒコを見て、アイは微笑んだ。
そして、同じくマサヒコの下半身に覆いかぶさり、いきり立つマサヒコのモノに、そっとキスをする。
「む、あぁ……マサちゃん、マサちゃあん……」
「好き、大好きなの、小久保君」
「ぺろ……はむ、ぅ……、ふふ、マサヒコ君の、硬い……」
 ミサキとアヤナはマサヒコの口と頬に、アイはマサヒコのモノに。
唇と舌を這わせる。
何度も、何度も。
「う……ん……あ、あれぇ……?」
 そこに、リンコがようやく絶頂から覚めた。
目をパチクリとさせて、目の前で絡んでいる四人の姿を見る。
「……あ、ずるいよう、うぅ……」
 気を失っている間に置いてきぼりにされたことを悟り、慌てて輪に加わるリンコ。
アイの隣に身体を寄せると、一緒にマサヒコのモノにしゃぶりつく。
「ちょ、ちょっと皆、わむ、むむむ、むー!」
 いつもいつも、マサヒコのペースでコトが進むわけではない。
ミサキ、アヤナ、リンコ、そしてアイ。
四人が揃ってマサヒコと身体を重ねる時だけが、マサヒコの手から主導権が離れる。

「マサちゃん、そろそろ私に……」
「ダメ、ダメなんだから! 最初、一番最初は私に、アヤナにちょうだい!」
「ああん、ミサキちゃんもアヤナちゃんもズルいぃ……」

 窓の外では、満開の桜が揺れ、
部屋の中では、桜色の肌が揺れる。
穏やかで、優しくて、そして淫らなこの一時。

「三人とも喧嘩しないで、ほら、マサヒコ君も困ってるよ。ふふ……」
「いや、ははははは……」

 マサヒコは皆を愛し、皆もマサヒコを愛する。
五人が五人とも、満たされている。
何かが入り込む余地などない、そう、幸せな世界―――


   F   I   N

ハッピー(セックス)ライフ 5

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

どなたでも編集できます