「ん……どう、小久保君?」
「ああ、すげーいいよ……若田部」
「もっと、激しくしてあげる」
「うわ……ヤベーって。その……出ちまいそーだ」
 サウナもかくや、という蒸し暑さのその部屋で、男と女は、愛の営みを交わしていた。
男の名は小久保マサヒコ、女の名は若田部アヤナ。
恋人同士、というわけではない。
少々、ややこしい関係の二人である。
そのややこしさを証明するかのごとく、マサヒコのすぐ横では、もう一人、少女がゴロリと横たわっている。
「胸の間から……小久保君の先っちょが、ほら……」
「くっ……」
 マサヒコはベッドに腰かけ、アヤナはその前に跪いている状態。
そして、アヤナは自身の豊か過ぎる乳房で、マサヒコの固く屹立したペニスを挟みこんでいる。
所謂、パイズリという行為である。
「だ、めだ……出る!」
「あ……!」
 ぶるり、と震えると、マサヒコは白濁の樹液を放出した。
それは、もの凄い勢いで吹き出し、アヤナの顔を、いや、上半身に降りかかっていく。
「う、く……」
「すご、いっぱい……」
 アヤナは、それを嫌がらない。
むしろ、身体が汚されるのを喜ぶかの如くに、笑顔だ。
「何度も出してるのに……小久保君の、ずっと濃いままだね……ん……」
「いや、でも……今日一番、キモチ良かったよ」
「ホント?」
「ああ、マジ」
「ふぅん……」
 アヤナは前髪と、頬に飛び散ったマサヒコの精を、指でかき集めた。
そして、それを掌に落とし、ちろ、と舌先で舐め取る。
「おいおい」
「んん……ニガくて、アツい……」
「そりゃ、そうだろ」
 舐めきれず、手の中に残った精を、アヤナは自分の乳房に塗りたくり始めた。
ねっとりとしたそれは、アヤナの手が動くたびに、豊満な胸をコーティングしていく。
「さっき、一番キモチ良かったって、言ったよね」
「ああ」
「……天野さんの中に、出した時よりも?」
「え? それは……アレだ、その、何て言うか」
 マサヒコの右側には、栗色の髪の少女がひとり、目を閉じて横たわっている。
だらしなく開かれた股からは、今から十分程前に、マサヒコが吐きだした精液が、いまだ乾かずにこびりついている。
「天野さん……まだ起きない。よっぽど、トンじゃったみたい」
「まあ……ミサキは、すごく感じやすいからな」
「首筋とか、お腹とか、朱に染まりっぱなし。今も、イッてるのかしら?」
「まさか、いくら何でも」
「うふふ……」
 アヤナは身体を起こすと、ベッドの上にあがった。
三人分の体重を支えるスプリングが、ギシリと少しだけ、悲鳴をあげる。
「彼女が目覚めるまで……小久保君は、私だけのもの」
 ミサキに覆いかぶさるように、四つん這いになるアヤナ。
マサヒコからは、ぐっしょりと濡れている秘所と、薄い色の、窄まったお尻の穴が丸見えだ。
「ねぇ……小久保君が、欲しい……」
「ああ……」
 マサヒコの、同年代と比べて、いや、男性としても大きい部類に入るペニスは、すでに固さを回復させていた。
今日、すでに片手の指の数を越える程に放っている彼であるが、まだまだ余力はある。
あの母と、母を満足させている父から受け継いだ血は、伊達ではない。
「いくよ」
「うん……っ、あっ、ああんっ!」
 たくましいマサヒコのモノが、ぐぷっという淫らな音をたて、アヤナを深々と貫いた。
子宮に届くまでの、一気の侵入を許し、アヤナはその快楽に、背筋を震わせる。
「あ……ああああ……」

 マサヒコは手を伸ばすと、重力という物理法則によって真下にこぼれたアヤナの両の乳房を、優しく掌で包む。
数分前に自身がほとばしらせた樹液の残滓、そのぬるぬるとした感触が、マサヒコの指に伝わってくる。
「……うご、かないの……?」
「ん、動いてほしい?」
「バカ、ァ……」
「ちょっと、胸を触らせてくれよ」
「あ、ん……っ!」
 最深部で繋がったままの体勢で、マサヒコはしばし、アヤナの乳房の柔らかさを楽しんだ。
彼が知る女性の中で、アヤナは最も大きなバストを持っている。
90には届かないが、80の半ばから後半という、立派過ぎるサイズだ。
「ねぇ……小久保くぅん……」
「ん?」
「私の、おっぱい……好き?」
「もちろん」
「ふふ……嬉しい」
 アヤナの声は、すっかり艶がかっている。
思春期に入ったばかりの中学生男子が聞いたら、それだけで射精してしまいかねない色っぽさである。
「……私、ね」
「ん?」
「自分のおっぱい、嫌いだったんだ……」
 アヤナは常々、自分の大きな胸にコンプレックスを感じていた。
ミサキやリンコなどからすれば贅沢な悩みであるが、持てる者は持てる者として、色々と思いがあるわけで。
「でもね……小久保君、好きって言ってくれた、私のおっぱいを……」
「ああ……」
「だから、私……自分のおっぱい、好きになったの」
「若田部……」
 一部の特殊な性的嗜好の持ち主でない限り、巨乳が嫌いな男はいない。
もちろん、マサヒコもそう。
もっとも、彼はミサキやリンコの豊かでない胸もまた、好きではあったが。
この辺りは、節操が無いと言うより、愛情が深いと言うべきなのだろう。多分。
「……んんっ、ああ、はぁ……」
「乳首、ビンビンだな……」
「うん、うんっ……感じてる、感じちゃってるから……っ!」
「やらしいんだな」
「ああ……うん、私、やらしいの……! こ、小久保君のせいでぇ……!」
 マサヒコはまだ、腰を動かさない。
アヤナの胸を、ひたすらに責めていく。
「小久保くぅん、こ、くぼくん……!」
 アヤナはすでに、限界を迎えていた。
突いてほしい、マサヒコの大きくて固いペニスで感じたい、
中にいっぱい、どろっとした精子を出してほしいという、性欲の限界を。
「動いて、おまんこ、突いて……! 私に、ちょうだい、小久保君の、ほしいよぉ……!」
 普段の彼女からは考えられない程、卑猥な言葉でマサヒコを誘うアヤナ。
「いいけど……この格好でヤッたら、多分起きると思うよ」
「え……?」
「いや、ミサキが」
 ミサキはまだ、アヤナの下で目を閉じてぐったりとしている。
アヤナから垂れ落ちた汗が、ぽとぽとと彼女の身体を叩いているが、まだ眼を開く様子はない。
「いいの……」
「ん?」
「起きた天野さんに、見せつけたいの……セックスする小久保君と、私を……!」
「おいおい」
 箍が外れたようなアヤナの痴態に、マサヒコは小さく溜め息をついた。
彼と関係を持っている四人(師匠であるリョーコは省く)の中で、性に対してもっとも貪欲なのが、アヤナである。
アイも、ミサキもリンコも、充分に『いやらしい』のだが、アヤナのそれは、少し性格が違っている。
アイとミサキはどちらかと言うと、互いに愛しむようなストレートなセックスを、リンコは愛しみあうと言うより、楽しみあうといったセックスを好む。
しかしアヤナは、愛しむ、楽しむと言うより、激しく責めたてられるセックスに一番、酔う。
ややMっ気があり、淫らな交わりに堕ちるタイプ。
若田部アヤナという女性を形成している、プライドの高さは、被虐性質の裏返しでもあったのだ。

「きて、お願い……!」
「……わかった」
 懇願に応え、マサヒコはゆっくりと腰を繰り出し始めた。
数度浅く、そして一度深く。
リズムを変え、アヤナの奥を貪っていく。
「あ、んんーっ!」
「ん?」
 二度目の最奥への到達、ビクリと背中を震わせ、アヤナは大きく息を吐いた。
「おいおい、もうイッたのか?」
「は……あ……」
「若田部?」
「だ、って……あんなに、じ、らすんだもの……ああ……」
 上半身を支える腕が、ブルブルと震えている。
マサヒコが挿入を再開すれば、ほぼ間違いなく、力を保ちきれずに崩折れるだろう。
「はぁ、はぁ……あんっ……」
「どうする? もう、やめとく?」
 意地悪いマサヒコの言葉。
こういった台詞がさらりと言えてしまうのも、目覚めた『血』ゆえか。
「……いや……! バカァ……!」
「だよなあ」
 マサヒコは笑った。
「じゃ、いくよ……!」
 そして―――それを合図にして、今までの数倍の速度で、ペニスをアヤナに突き立てていった。

           ◆                 ◆

「ああん、あんっ、あ、あ、ああぅ!」
「……声が大きい」
「あっ、だって、だって、だってぇ!」
「あんま叫ぶと、起きちゃうぜ?」
「だってだって、キモ、チ良すぎて、んんっ! マサちゃあんっ!」
 小久保マサヒコと天野ミサキは快楽を交換しあっていた。
ベッドの上、あぐらをかいたマサヒコに、ミサキが向かい合って跨るカタチで。
「んんっ、はああっ! マサちゃん、マサちゃあん!」
「ミサキ……」
 二人のすぐ横では、アヤナがうつ伏せになって、気を失っている。
その尻、ふともも、背中に張り付いた多量の白い精液が、赤く染まった肌と相まって、何とも淫美である。
「若田部さん、にっ……んっ!」
「んん?」
「私も、っ、あんっ、若田部さんに、見てもら、んんんあっ!」
 ミサキが喋るたびに、唾液が銀の粒となって宙に飛び散る。
その銀の滴は自身とマサヒコの身体に降りかかり、汗と入り混じり、揺れに沿って下へとつうっと落ちていく。
「私だって、私だってぇんんっ、マサちゃんが、ううっ!」
「……おいおい、ミサキまで……んっ! そろそろっ、イクぞ……!」
「ああっ、キテ、キテぇ! たくさん、たくさんちょうだい!」

 
 今日、最初にミサキを抱いて一回目。
次に、アヤナを抱いて二回目。
そして、またミサキを抱いて三回目。
快楽に心を飛ばした二人を、交互に貫くマサヒコ。
ちなみに、射精は丁度三回きりでないのは、すでに述べた通り。
ミサキとアヤナの口に、指に、胸に、尻に、そして中に……果たして何発撃ち放ったことか。
おそらく、いや、間違いなく、日本中のどこを探しても、ここまでタフな高校生はいないだろう。

「くっ、出すぞっ!」
「あ、あああーっ!」
 子宮の奥に、今日二度目のほとばしりを受け、ミサキは昇天した。
大きく背筋を反らせ、糸の切れた操り人形のように、後方にぐったりと倒れ込む。
「ふう……」
 細かく全身を痙攣させるミサキ。
そして、その向こうで、むっくりと身を起こす少女が。
「……小久保君」
「ありゃ、やっぱ起きた、若田部?」
「ねぇ……もう一度、抱いて……ぇ」


     F     I     N

ハッピー(セックス)ライフ 6

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