アスモデウス万歳


記録ファイル

第61回   :撤退準備

第62回   :ダヴェリン観光

第63回   :決闘して酒を集める

第64回   :公爵は判断が遅い

第66回   :竜の試練

第67回   :シャチと夢女子

第68回   :尊厳破壊は楽しいね

第70回   :ヘルブランド、完成!

第71回   :王の首と龍の因縁

第71回(裏)

一方その頃
シャルガモンは兵士とは違う匂いを嗅ぐ。これがベリンダの匂いに違いない。
悪竜は匂いのもとへ向かい王宮を駆ける。相対した兵士は全てミトラの下へ送られた。
そしてついに姫の部屋を探し当て、天井を破壊し部屋に入り込む。
そこには姫と、外套を纏った騎士が一人居た。
騎士はまばゆく光る剣を抜き、シャルガモンに立ち向かう。
「最期まで姫を護った騎士として歴史に名を残したいか、弱きものよ」
冷たい笑みを浮かべて、悪竜が問う。
「否」
騎士は返す。
「悪しき竜を討つ」
竜の笑みは怒りの咆哮へと変わる。
我を討つだと?シャルガモンはこの侮辱に耐えられなかった。
怒りに任せ放たれた酸のブレスが、この戦いの皮切りとなった。
それは激しい力のぶつかり合いだった。
騎士の一撃は重く、シャルガモンの鱗に確実に傷をつける。
竜も爪、牙、翼、尾、あらゆる部位で騎士を打撃する。普通の騎士ならば、既に屠っている。
勝負は悪竜に分があった。爪の一撃に、騎士がよろめく。
「愚かなり、小さき英雄よ。その命果てるときが来た」
その時、シャルガモンが予想しないことが起きた。銀のローブを纏った乙女が騎士と竜に割って入る。
悪竜は空気を嗅ぐ。ベリンダの匂いだ。しかしそれ以上に、慣れ親しんだ匂いがする。
「まさか、アンサリア……」
「あら?母に会ったことが?」
シャルガモンの呟きに、ベリンダは返答する。
瞬間、彼女は魔力を開放した。天から四つの巨大な隕石が竜めがけて降り注ぐ。
あまりに強力な隕石の呪文が、悪竜シャルガモンを一瞬にして葬った。
「選ばれしものだ……この闇の時代の、おそらく最後の光……」
その光景を見て、騎士は膝をついたまま呆然と呟く。
「リチャード!怪我は大丈夫ですか?」
「少し油断しただけです、問題ありません」
駆け寄ってくる姫に、騎士リチャードは答える。
「悪竜シャルガモン……彼は独りではありません。彼を動かした黒幕がいる……茨の使徒。彼らは今やどこにでもいる……」
「茨の使徒?一体何者なの?」
「この戦争の根源、この国を覆う病を引き起こした者たち……我々の真の敵です。彼らを討たぬ限り、貴女の身には危険がーー」
「教えてリチャード。貴方の知っている全てを」
姫は騎士に手を伸ばす。騎士はその手を取り立ち上がり、二人でその場を離れていった。

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