『弥助』奴隷説について
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mitsuko_tada 2024年09月13日(金) 17:12:11履歴
「信長に仕えた黒人」である『弥助』について、海外だけでなく日本国内でも勘違いをしている人が多いようなので、それを纏めて解説しています。詳細ではないのでざっくりしたものですが。出来るだけ調査し一次史料の内容のみにしていますが、情報汚染も激しい案件ですので、時々、引っ掛かってることが判明し修正もしています。
Linkなどは自由にして構いませんが、調査して分かった内容を増やしていったり修正していったりしますので、変化はしていきます。
『弥助』奴隷説
宣教師の書簡
実は、まったく別の黒人が日本に来ていた記録もあります（他にも幾つかありますが）。
1593年、堺で洗礼を受けた「ジョアン」という黒人がおり、彼は「パウロ」という洗礼名を受けます。
この黒人は奴隷身分で、ポルトガル商人アントニオに連れられて日本に来ています。
宣教師ルイスはジョアンがインドのゴアから逃亡してきた奴隷と述べていますが、本当にインドの逃亡奴隷だったかまでは分かりません。
「弥助」の説で見た事がありませんか？
この「ジョアン」という黒人と「弥助」を混同しているらしい二次史料もよく見掛けます。（「黒人が日本で洗礼を受けてキリスト教徒になった」というのは、この人物の事ですが、弥助の事について調査すると時々「弥助は日本で洗礼を受けた」という説明をしているものに出会う事があります）。また、日本人でも洗礼を受けた人がおりますが、宣教師の書簡では洗礼名で書かれているものもありますので、「洗礼名だから」とそれを「弥助」としている文献も幾つも見掛けました。
Sub Contents
ナショナリズム
黒船来襲後
イエズス会の記録の入手
トンデモ考察
Linkなどは自由にして構いませんが、調査して分かった内容を増やしていったり修正していったりしますので、変化はしていきます。
『弥助』奴隷説 
宣教師の書簡
これは、幾つかの記載で勘違いされているというものです。
そもそもが、宣教師が当時に書いた記録には「弥助は奴隷」というのは記載がありません。
弥助が「奴隷では無かった」というのは、『弥助』の出自や名前なども確認してください。
ですので、ゴアでの洗礼記録がありますから「弥助は奴隷だった」というのは成り立たないわけです。
Sub Contents
そもそもが、宣教師が当時に書いた記録には「弥助は奴隷」というのは記載がありません。
弥助が「奴隷では無かった」というのは、『弥助』の出自や名前なども確認してください。
インドのゴアから来た、東アフリカ出身のエチオピア人で、敬虔なキリスト教徒である。というのはフロイス書簡でも分かることなのです。これを辿って調べていくと、ゴアに残る洗礼記録まで辿り着きます。16世紀のゴアはポルトガル領であり、またポルトガル法が施行されています。この法ではキリスト教徒になれば奴隷でも自由民になると決められています。
ですので、ゴアでの洗礼記録がありますから「弥助は奴隷だった」というのは成り立たないわけです。
Sub Contents
「弥助についての記載」で1581〜1582年の書簡では「モザンビークの黒人」という記載があります。
当時のモザンビークはポルトガルの植民地であり、奴隷が多くいた国です。ここから17世紀のヨーロッパのナショナリズムで「モザンビークの黒人＝奴隷」と勘違いが広まっています。
しかし、16世紀中頃ですと『モザンビーク（Moçambique）』」は「モザンビークという国」を指すだけでなく、「東アフリカ」と広い地域を指す言葉で使われていた単語です。「エチオピア」も「モザンビーク」も『東アフリカ』に入ります。
詳しくはこちらを読んでください。
Sub Contents
当時のモザンビークはポルトガルの植民地であり、奴隷が多くいた国です。ここから17世紀のヨーロッパのナショナリズムで「モザンビークの黒人＝奴隷」と勘違いが広まっています。
しかし、16世紀中頃ですと『モザンビーク（Moçambique）』」は「モザンビークという国」を指すだけでなく、「東アフリカ」と広い地域を指す言葉で使われていた単語です。「エチオピア」も「モザンビーク」も『東アフリカ』に入ります。
詳しくはこちらを読んでください。
Sub Contents
1585年のヴァリニャーノの書簡からは「Cafraria」という記載が「モザンビーク（Moçambique）」に代わり出てきます。
これが後には黒人を侮蔑的な意味で言う「cafre」に繋がるのですが、使われ始めた当時では「cafre」も別に差別的用語ではありません（また、「cafre」という単語は当時の日本宣教師の書簡には使われていません）。この「cafraria」は16世紀末あたりから使われ始めた言葉なのですが、意味は『南東部アフリカ』と、これまた広い範囲を指す言葉で使われた単語です。差別的な意味で使われ始めるのは17世紀後半からですね。
詳しくはこちらを読んでください。
どちらかというと、「ムーア人」という方が北アフリカを中心として広がっているイスラム教徒を指して言う言葉なので、こちらの方が侮蔑的に使われていた言葉です。
Sub Contents
これが後には黒人を侮蔑的な意味で言う「cafre」に繋がるのですが、使われ始めた当時では「cafre」も別に差別的用語ではありません（また、「cafre」という単語は当時の日本宣教師の書簡には使われていません）。この「cafraria」は16世紀末あたりから使われ始めた言葉なのですが、意味は『南東部アフリカ』と、これまた広い範囲を指す言葉で使われた単語です。差別的な意味で使われ始めるのは17世紀後半からですね。
詳しくはこちらを読んでください。
どちらかというと、「ムーア人」という方が北アフリカを中心として広がっているイスラム教徒を指して言う言葉なので、こちらの方が侮蔑的に使われていた言葉です。
Sub Contents
16世紀の間ですとエチオピアは「エチオピア」や「モザンビーク（東アフリカ）」、16世紀末頃から「カフラリア（南東部アフリカ）」とも記載されています。ですが、17世紀になるとエチオピアとモザンビークはしっかり分けて表記していきます。
ポルトガル語では
つまり、17世紀のイエズス会で「cafre」と書いてあるのは、モザンビークを含む南東部アフリカの人々を指しています。
Sub Contents
ポルトガル語では
▶ エチオピア人を指す言葉として「Etiópia」または「Abissínio」
▶ モザンビークの人々を指す言葉として「Moçambicano」または「Cafre」が使われるようになってきます。
つまり、17世紀のイエズス会で「cafre」と書いてあるのは、モザンビークを含む南東部アフリカの人々を指しています。
Sub Contents
実は、まったく別の黒人が日本に来ていた記録もあります（他にも幾つかありますが）。
1593年、堺で洗礼を受けた「ジョアン」という黒人がおり、彼は「パウロ」という洗礼名を受けます。
この黒人は奴隷身分で、ポルトガル商人アントニオに連れられて日本に来ています。
宣教師ルイスはジョアンがインドのゴアから逃亡してきた奴隷と述べていますが、本当にインドの逃亡奴隷だったかまでは分かりません。
「弥助」の説で見た事がありませんか？
▶ 「インドから来た奴隷」これらは、この黒人ジョアンの逸話から来ているものがあります（他からも来ているものがありますが）。
▶ 「ポルトガル商人に連れて来られた」
▶ 「日本で洗礼を受けた」
この「ジョアン」という黒人と「弥助」を混同しているらしい二次史料もよく見掛けます。（「黒人が日本で洗礼を受けてキリスト教徒になった」というのは、この人物の事ですが、弥助の事について調査すると時々「弥助は日本で洗礼を受けた」という説明をしているものに出会う事があります）。また、日本人でも洗礼を受けた人がおりますが、宣教師の書簡では洗礼名で書かれているものもありますので、「洗礼名だから」とそれを「弥助」としている文献も幾つも見掛けました。
Sub Contents
ナショナリズム
イエズス会の記録でも、最初に「弥助が奴隷」と明確に出てくるのは、調べると1626年著1630年発刊の『日本西教史』から出てくる創作です。
それまでは「弥助は奴隷」というのは出てきません。
Sub Contents
それまでは「弥助は奴隷」というのは出てきません。
Sub Contents
当時、フロイスなどは2つの言語で書簡を書いています。
・1つは、ポルトガル王やイエズス会本部などに送っている「ポルトガル語」です。
・もう1つは、スペイン王やインド教区長などに送っている「スペイン語」です。
書簡量としてはポルトガル語の方が多いですね。
たまにスペイン語が出てくるので、驚かないようにしましょう。
『一次資料』として出てくるのがラテン語であれば、それは写本や編纂された物なので、改竄や歪曲追記があると思えば大体合っています。
また、弥助の事は「黒人」「エチオピアの黒人」「モザンビークの黒人」「カフラリアの黒人」以外だと、「Lacù」「Lasù」「Lazù」という表記（弥助の本名のポルトガル発音記載です。大体「ッンヤス」という発音になりますが、日本人には難しい発音や表記です）になっています。「yasuke」や「cafre」「Issacu」と書いてある様なら偽文と思えばほぼ合っています。
Sub Contents
・1つは、ポルトガル王やイエズス会本部などに送っている「ポルトガル語」です。
・もう1つは、スペイン王やインド教区長などに送っている「スペイン語」です。
書簡量としてはポルトガル語の方が多いですね。
たまにスペイン語が出てくるので、驚かないようにしましょう。
『一次資料』として出てくるのがラテン語であれば、それは写本や編纂された物なので、改竄や歪曲追記があると思えば大体合っています。
また、弥助の事は「黒人」「エチオピアの黒人」「モザンビークの黒人」「カフラリアの黒人」以外だと、「Lacù」「Lasù」「Lazù」という表記（弥助の本名のポルトガル発音記載です。大体「ッンヤス」という発音になりますが、日本人には難しい発音や表記です）になっています。「yasuke」や「cafre」「Issacu」と書いてある様なら偽文と思えばほぼ合っています。
Sub Contents
時代によって単語の意味が変わりますので、訳が変だと思ったら書かれた当時の意味を調査しましょう。
例えば先に出した「モザンビーク（Moçambique）」、これは16世紀中頃までは「東アフリカ」を指す言葉としてよく使われています。フロイスは年齢的に16世紀前半に教育を受けており、1550年代から宣教師として海外に出ていると言う事を念頭に置く必要があります。しかし、16世紀末期からは「モザンビーク」は国としての「モザンビーク」を指す言葉としてのみ使われます。モザンビークはポルトガル植民地で奴隷にされていた人も多いので、そこから「モザンビーク人＝奴隷」という認識がイエズス会を含むヨーロッパで一般化されていきます。そのため、16世紀に書かれている書簡であるにも関わらず、17世紀以降での認識で、「モザンビーク（Moçambique）」を「東アフリカ」という地域として認識せず、「モザンビーク」という国として認識している人が多いです。
また、1585年から宣教師ヴァリニャーノは「Cafraria」という単語を使い始めます。これも17世紀になると「cafre（黒人を侮蔑的に指す言葉）」に繋がりますが、利用され始めた16世紀後期ではそのような意味ではなく、「Cafraria」という単語の意味は「南東部アフリカ」を指す言葉です。「cafre」も「南東部アフリカ人」という使い方ですね。これも17世紀になると侮蔑的な意味へと変化していきます。
「cafre」という単語自体は、当時の日本からの宣教師の書簡では見つかっていません。
最近、「イエズス会の一次史料であるフロイスの書簡で弥助は「cafre」と書いている」という説を聞きましたが、書かれていたのは17世紀後半に書かれた書籍でした。
それぞれの宣教師の書簡も「当時の単語の意味」を調査しながら読まないと、文章を読み間違う場合があります。
Sub Contents
例えば先に出した「モザンビーク（Moçambique）」、これは16世紀中頃までは「東アフリカ」を指す言葉としてよく使われています。フロイスは年齢的に16世紀前半に教育を受けており、1550年代から宣教師として海外に出ていると言う事を念頭に置く必要があります。しかし、16世紀末期からは「モザンビーク」は国としての「モザンビーク」を指す言葉としてのみ使われます。モザンビークはポルトガル植民地で奴隷にされていた人も多いので、そこから「モザンビーク人＝奴隷」という認識がイエズス会を含むヨーロッパで一般化されていきます。そのため、16世紀に書かれている書簡であるにも関わらず、17世紀以降での認識で、「モザンビーク（Moçambique）」を「東アフリカ」という地域として認識せず、「モザンビーク」という国として認識している人が多いです。
また、1585年から宣教師ヴァリニャーノは「Cafraria」という単語を使い始めます。これも17世紀になると「cafre（黒人を侮蔑的に指す言葉）」に繋がりますが、利用され始めた16世紀後期ではそのような意味ではなく、「Cafraria」という単語の意味は「南東部アフリカ」を指す言葉です。「cafre」も「南東部アフリカ人」という使い方ですね。これも17世紀になると侮蔑的な意味へと変化していきます。
「cafre」という単語自体は、当時の日本からの宣教師の書簡では見つかっていません。
最近、「イエズス会の一次史料であるフロイスの書簡で弥助は「cafre」と書いている」という説を聞きましたが、書かれていたのは17世紀後半に書かれた書籍でした。
それぞれの宣教師の書簡も「当時の単語の意味」を調査しながら読まないと、文章を読み間違う場合があります。
Sub Contents
日本では、ポルトガル商戦の蛮行（日本人を奴隷として貿易しようと連れ去る事件が幾つももありますが、『伴天連記』には1590年頃、九州のある港でポルトガル商人が連れ去った人を地元の武士が取り戻そうとした事件が記載されています。）や、日本人が奴隷として売買されたり中国人奴隷の悲惨な状況なども伝わり、ポルトガルの奴隷制度を批難し、伴天連追放令などが出ます。秀吉は奴隷として売買される人の悲惨な状況を目の当たりにし、奴隷売買について禁止をポルトガル王やスペイン王に直接言った事や、それに対してイエズス会に協力を求めた事が確認されていますね。
元々、日本では布教自体は信長は許可はしていましたが、政治的関与や奴隷貿易については否定している立場ですし。
九州の大名だと海外貿易もしていたのですが、その通訳などの為に「家臣として雇った」ときちんと書かれています。あくまで「人として雇っている」のであり、「奴隷としての身分で飼った」というような風評被害のようなものはありません。
詳しくはこちらに記事があります。
ですが、当時のイエズス会は奴隷制度や奴隷貿易に深く関与しており、またブラジルなどではイエズス会が農園を運営しており、奴隷を直接使っていた時代です。奴隷制度や奴隷貿易に反対する者もいましたが、全体的には賛同しており、正当化する発言も多く残しています。
その為もあるのか、当時の書簡ですがその写しは記載内容が少しずつ日本を批難する様な記述に書き換えられていたりします。
日本通信（1581年）の4/11の1583年版にはこのような記載があります。
原文ではかなりフレンドリーに、日本を知らない黒人を案内したようですね。
1583年の写本の記述は「日本人を蛮族として見せる」と考え版案したのであれば、ぴったりくるのではないでしょうか。
さらに1598年には、原文の痕跡がなくなっている記載に変わります。
これはおかしな話で、日本に居た宣教師の書簡は日本の情報を伝える報告で、宛先がポルトガルやスペイン、そしてインド教区長です。ですので、どちらかと言うと同胞に宛てている手紙になります。このようにキリスト教を賛美するような記載が過剰になっている文書は、そのほとんどが後世に創作された文章だと疑いましょう。
この変化ですが、日本国内や世界の変化を考えると、なぜ、このようにしたのかが分かるかもしれません。
詳細については『弥助』当時の奴隷問題を読んでください。
当時、日本に来ていた宣教師たちも、ポルトガル商人による日本人の奴隷売買の悲惨さをイエズス会に訴えています。
16世紀後半のイエズス会では、奴隷貿易や奴隷制度の関与するイエズス会士も少なくなく、ブラジルではイエズス会が運営する農場で奴隷を使い、奴隷制度を正当化する発言をしているイエズス会士達もいます。もちろん、キリスト教徒の中には、奴隷売買を非道徳的な行為として批判する者もいましたが、それは全体から見ると少数です。
例えば、ルイス・フロイスは『伴天連記』にも載っていますが、奴隷売買は神の教えに反する行為であると主張した書簡を出しています（フロイスは人種差別が大変に少なかった人みたいですね。そういう人物だと知ったからこそフロイスの書簡に「cafre」と書いてある、というのはおかしいと気付けましたし、ポルトガル語原文をラテン語訳する間で「使用人」が「奴隷」に変わっていたのに気付いたのですが）。
宣教師たちは日本におけるポルトガル商人の奴隷売買の状況をヨーロッパに報告し批判を呼び起こしました。これらの報告は、ヨーロッパにおける奴隷制に対する意識改革に一定の影響を与えています。「日本が、酷くなる一方であった世界の奴隷制に対して否定的立場を明言し、世界で奴隷制に対して改革する影響を与えた」と言えます。イエズス会内でも議論を呼び、1591年にはイエズス会の総長が奴隷廃止を宣言しましたが、その後もイエズス会の奴隷制への関与は19世紀まで続きます。
逆に、この後の時代を見ると、奴隷制反対の動きに対するためか日本を貶めるような記載も増えていきます。
現代と通じるものがありますね。
Sub Contents
元々、日本では布教自体は信長は許可はしていましたが、政治的関与や奴隷貿易については否定している立場ですし。
九州の大名だと海外貿易もしていたのですが、その通訳などの為に「家臣として雇った」ときちんと書かれています。あくまで「人として雇っている」のであり、「奴隷としての身分で飼った」というような風評被害のようなものはありません。
詳しくはこちらに記事があります。
ですが、当時のイエズス会は奴隷制度や奴隷貿易に深く関与しており、またブラジルなどではイエズス会が農園を運営しており、奴隷を直接使っていた時代です。奴隷制度や奴隷貿易に反対する者もいましたが、全体的には賛同しており、正当化する発言も多く残しています。
その為もあるのか、当時の書簡ですがその写しは記載内容が少しずつ日本を批難する様な記述に書き換えられていたりします。
日本通信（1581年）の4/11の1583年版にはこのような記載があります。
"E por ser negro, o agarraram, e o mostraram por toda a cidade, como se fosse algum monstro."ですが、これの元になっている1581年版である原本には、
"そして、彼が黒人であったため、周囲は彼を捕まえ、ある種の怪物のように街中を連れ回した"
"E por ser negro, o agarraram, e o mostraram por toda a cidade."と、少しの差ですが随分と記載内容が（そして翻訳が）変わっています。
"そして、彼が黒人だったので、周囲は彼を連れ回し街を案内した"
原文ではかなりフレンドリーに、日本を知らない黒人を案内したようですね。
1583年の写本の記述は「日本人を蛮族として見せる」と考え版案したのであれば、ぴったりくるのではないでしょうか。
さらに1598年には、原文の痕跡がなくなっている記載に変わります。
"Ce anno in Meaco aduenit quidam negro ex India, quem Dux Nobunaga adduxerat, ut ostenderet populo suo, & homines ex ipso caperent admirari, & Deum laudare, qui creavit homines tam diuersorum colorum. Et quia erat res noua & insolita, multos homines ad se attraxit, & nonnulli lapides in eum iactabant, & cum alijs pugnabant, adeo vt quidam grauius laesi fuerint. Dux Nobunaga, vt hominem a tantis molestijs liberaret, & simul vt fidem Christianam commendaret, eum in suam familiam recepit, & ei stipendium & habitationem assignauit. Hic homo, vt postea cognitum est, Christianus erat, & a quodam Rege in India missus fuerat, vt in Iaponia fidem Christianam propagaret. Sed quia nihil scire videbatur de rebus fidei, & Portugallenses eum non admiserant ad societatem nostram, Dux Nobunaga eum ad nos misit, vt eum instrueremus in rebus fidei. Nos vero, cum eum vidissemus, & cognouissemus nihil scire de rebus fidei, nec velle Christianum fieri, cum licentia Ducis Nobunaga, eum remisimus ad Regem, qui eum miserat."日本をより愚かしく蛮族のような描写をする記載に変わっており、キリスト教を賛美する記載が過剰なほど追記されます。
"この年、黒人が一人、インドから京にやってきた。織田殿が連れてきたもので、人々にその姿を見せ、神の偉大さを讃えさせようとしたのである。黒人は人々の目を引き、中には石を投げつけたり、仲間同士で争ったりする者もあった。中には重傷を負った者もいた。織田殿は黒人をこのような苦しみから救い、同時にキリスト教を推奨するために、彼を家来として迎え入れ、俸給と住居を与えた。この黒人は、後にわかったことだが、キリスト教徒であり、インドの某王から日本に派遣されてきたものであった。しかし、信仰のことについて何も知らないようであり、ポルトガル人たちも彼を仲間として受け入れなかったため、織田殿は彼を我々に送り、信仰について教え諭すように頼んだ。しかし、我々はその黒人に会い、信仰のことについて何も知らないだけでなく、キリスト教徒になることを望んでいないことも知ると、織田殿の許可を得て、彼を送り出した王のもとへ送り届けた。"
これはおかしな話で、日本に居た宣教師の書簡は日本の情報を伝える報告で、宛先がポルトガルやスペイン、そしてインド教区長です。ですので、どちらかと言うと同胞に宛てている手紙になります。このようにキリスト教を賛美するような記載が過剰になっている文書は、そのほとんどが後世に創作された文章だと疑いましょう。
この変化ですが、日本国内や世界の変化を考えると、なぜ、このようにしたのかが分かるかもしれません。
詳細については『弥助』当時の奴隷問題を読んでください。
当時、日本に来ていた宣教師たちも、ポルトガル商人による日本人の奴隷売買の悲惨さをイエズス会に訴えています。
16世紀後半のイエズス会では、奴隷貿易や奴隷制度の関与するイエズス会士も少なくなく、ブラジルではイエズス会が運営する農場で奴隷を使い、奴隷制度を正当化する発言をしているイエズス会士達もいます。もちろん、キリスト教徒の中には、奴隷売買を非道徳的な行為として批判する者もいましたが、それは全体から見ると少数です。
例えば、ルイス・フロイスは『伴天連記』にも載っていますが、奴隷売買は神の教えに反する行為であると主張した書簡を出しています（フロイスは人種差別が大変に少なかった人みたいですね。そういう人物だと知ったからこそフロイスの書簡に「cafre」と書いてある、というのはおかしいと気付けましたし、ポルトガル語原文をラテン語訳する間で「使用人」が「奴隷」に変わっていたのに気付いたのですが）。
宣教師たちは日本におけるポルトガル商人の奴隷売買の状況をヨーロッパに報告し批判を呼び起こしました。これらの報告は、ヨーロッパにおける奴隷制に対する意識改革に一定の影響を与えています。「日本が、酷くなる一方であった世界の奴隷制に対して否定的立場を明言し、世界で奴隷制に対して改革する影響を与えた」と言えます。イエズス会内でも議論を呼び、1591年にはイエズス会の総長が奴隷廃止を宣言しましたが、その後もイエズス会の奴隷制への関与は19世紀まで続きます。
逆に、この後の時代を見ると、奴隷制反対の動きに対するためか日本を貶めるような記載も増えていきます。
現代と通じるものがありますね。
Sub Contents
最初に「弥助は奴隷」と明言して書いてあるのは、1626年著130年発刊の『日本西教史』からでしょうか。これは宣教師ジョアンがマカオで纏めて書籍ですね。この宣教6師のジョアンという人物、1610年に長崎奉行所に捕まり、厳しい尋問（拷問）されたが信仰を捨てず、他の宣教師の嘆願もありその後開放。1611年に日本を出る――というのを記録として残している、のですが。この「長崎奉行所に捕まり」というのは、記録が長崎奉行所にもなく、宣教師の嘆願書も見つからないという記録です。
日本を出たのは1611年という説とは別に1610年という説がありますね。
伴天連追放やキリスト教追放令などで、かなり日本に恨みを持っていたようです。
もう1つあるとすれば、これも一次資料にはならないもので、フロイスの書簡を編纂しラテン語に翻訳した『日本史（通称「フロイス日本史」）』でしょう。これは、
この中身ですが、『弥助』の逸話にも書いてありますが、版が進むにつれてかなり改竄や追記がされています。
ですが、この版が翻訳され様々な言語で出回っているのです。
また、翻訳による意味の改変も多くあります。
ポルトガル語の「serviu」はラテン語で「servus」と訳されています。この「servus」は古ラテン語では「奴隷」と訳せますが、その「奴隷」という訳し方でこの『日本史』の翻訳本では記載されています。他に「エチオピア」という記載が消えたり、「モザンビーク（Moçambique）」を「東アフリカ」と訳さずに「モザンビークの奴隷」と他の言語では訳されていたりしますので、注意してください（それは日本語版でもそう訳されている書籍は幾つも確認できます）。
このような「弥助奴隷説」や「日本戦国時代の誤解」は、創作された部分や改定・翻訳時の改竄や追記で広まります。ヨーロッパでは1670年ぐらいからは「弥助は奴隷」として大きく広げられています。
ところが、日本では「弥助奴隷説」が出てくるのは、もっと遅く18世紀後半。ペリー来航後から、日本が世界の情報を知ろうと海外に積極的に出かけてからです。また、その結果が「植民地制度」であり、日本はその植民地制度に反対した活動をしていき、世界で初めて「植民地制度に反対」する声を挙げた国になります。
「天は人の上に人を作らず」の思想ですね。
Sub Contents
日本を出たのは1611年という説とは別に1610年という説がありますね。
伴天連追放やキリスト教追放令などで、かなり日本に恨みを持っていたようです。
もう1つあるとすれば、これも一次資料にはならないもので、フロイスの書簡を編纂しラテン語に翻訳した『日本史（通称「フロイス日本史」）』でしょう。これは、
▶ 第一部：1598年〜1603年編纂、1615年リスボン発刊：1585年〜1592年執筆分という構成になります。検索してよく出てくるのが、原文の方ではなくこの編纂本の記述なので気を付けましょう。
▶ 第二部：1615年編纂、1624年リスボン発刊：1593年〜1598年執筆分
▶ 第三部：1626年編纂、1636年リスボン発刊：1598年〜1602年執筆分
この中身ですが、『弥助』の逸話にも書いてありますが、版が進むにつれてかなり改竄や追記がされています。
ですが、この版が翻訳され様々な言語で出回っているのです。
また、翻訳による意味の改変も多くあります。
ポルトガル語の「serviu」はラテン語で「servus」と訳されています。この「servus」は古ラテン語では「奴隷」と訳せますが、その「奴隷」という訳し方でこの『日本史』の翻訳本では記載されています。他に「エチオピア」という記載が消えたり、「モザンビーク（Moçambique）」を「東アフリカ」と訳さずに「モザンビークの奴隷」と他の言語では訳されていたりしますので、注意してください（それは日本語版でもそう訳されている書籍は幾つも確認できます）。
このような「弥助奴隷説」や「日本戦国時代の誤解」は、創作された部分や改定・翻訳時の改竄や追記で広まります。ヨーロッパでは1670年ぐらいからは「弥助は奴隷」として大きく広げられています。
ところが、日本では「弥助奴隷説」が出てくるのは、もっと遅く18世紀後半。ペリー来航後から、日本が世界の情報を知ろうと海外に積極的に出かけてからです。また、その結果が「植民地制度」であり、日本はその植民地制度に反対した活動をしていき、世界で初めて「植民地制度に反対」する声を挙げた国になります。
「天は人の上に人を作らず」の思想ですね。
Sub Contents
黒船来襲後
黒船来航以前は、正直、日本では『黒人』を見た人は殆どいません。
特に、江戸の中期から後期に掛けては「黒人」が分からず「異人」としてしか考えておらず、「信長に仕えた弥助」も色白など黒人要素がないものが読み物や芸能として出てきています。歌舞伎『信長記』などでは、18歳色白青年になっていたり、女性になっていたりと、今の日本サブカルチャーに通じる自由な創作をされています。
信長公記や家忠日記などでは「牛のように黒い」なんて記載はあるのですけどね。
ましてや、『奴隷』というのも当時の人々には海外を少しでも知る人にしか分かりません。
なぜなら、日本であるのは「奉公制度」であって「奴隷制度」ではないからです。
Sub Contents
特に、江戸の中期から後期に掛けては「黒人」が分からず「異人」としてしか考えておらず、「信長に仕えた弥助」も色白など黒人要素がないものが読み物や芸能として出てきています。歌舞伎『信長記』などでは、18歳色白青年になっていたり、女性になっていたりと、今の日本サブカルチャーに通じる自由な創作をされています。
信長公記や家忠日記などでは「牛のように黒い」なんて記載はあるのですけどね。
ましてや、『奴隷』というのも当時の人々には海外を少しでも知る人にしか分かりません。
なぜなら、日本であるのは「奉公制度」であって「奴隷制度」ではないからです。
Sub Contents
ところが、1853年のペリー来襲後は海外船が長崎の出島以外にも現れるようになり、その中で「黒人奴隷」の話も伝わります。
1855年には読み物に初めて弥助の事に対して「黒奴」という文字が出てきます。
ただ、人間を物として財産として扱う「奴隷制度」は日本には馴染みが無いので反感を覚える人も少なくありませんでした。
1886年の山岡鉄舟『歴史談話』：弥助を「信長の奴隷」と記載。
1888年の村岡寿貞『黒人弥助』：弥助を主人公とした小説。弥助が奴隷として日本に連れて来られ、信長に仕えるという設定
1912年かその少し前に上演された、川上音二郎『弥助』では、弥助は奴隷設定でしたが。これについて国内でも批判が多く出ています。
と言う具合に、ペリー来航後になって初めて「弥助は奴隷だった」というのが日本ではっきりと出てきます。ヨーロッパではもう400年経とうとする『弥助奴隷説』ですが、日本ではかなり新しくまだ140〜150年ぐらいしか経っていない説です。
Sub Contents
1855年には読み物に初めて弥助の事に対して「黒奴」という文字が出てきます。
ただ、人間を物として財産として扱う「奴隷制度」は日本には馴染みが無いので反感を覚える人も少なくありませんでした。
1886年の山岡鉄舟『歴史談話』：弥助を「信長の奴隷」と記載。
1888年の村岡寿貞『黒人弥助』：弥助を主人公とした小説。弥助が奴隷として日本に連れて来られ、信長に仕えるという設定
1912年かその少し前に上演された、川上音二郎『弥助』では、弥助は奴隷設定でしたが。これについて国内でも批判が多く出ています。
と言う具合に、ペリー来航後になって初めて「弥助は奴隷だった」というのが日本ではっきりと出てきます。ヨーロッパではもう400年経とうとする『弥助奴隷説』ですが、日本ではかなり新しくまだ140〜150年ぐらいしか経っていない説です。
Sub Contents
イエズス会の記録の入手
1939年に、東京帝都大学がイエズス会の記録をマイクロフィルムで入手します。そのマイクロフィルムのものを日本語訳しているのが、古い翻訳本ですね。
このマイクロフィルムは寄贈されて今は国会図書館にあります。
このイエズス会の記録ですが、日本語翻訳される際に誤訳されている部分が結構あります。
古い時代の翻訳です、また、翻訳の元にした書籍がいつの版のものかや、参考にした他の言語で翻訳された書籍の影響が鑑みえます。例えば「1581年日本年次報告」であっても、それが何年の版のものかもチェックして利用しないと、史実を確認する一次史料としては使えないので注意しましょう。また、翻訳された物の場合は、その翻訳元がどの資料でどの版かまでチェックする必要があります。
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このマイクロフィルムは寄贈されて今は国会図書館にあります。
このイエズス会の記録ですが、日本語翻訳される際に誤訳されている部分が結構あります。
古い時代の翻訳です、また、翻訳の元にした書籍がいつの版のものかや、参考にした他の言語で翻訳された書籍の影響が鑑みえます。例えば「1581年日本年次報告」であっても、それが何年の版のものかもチェックして利用しないと、史実を確認する一次史料としては使えないので注意しましょう。また、翻訳された物の場合は、その翻訳元がどの資料でどの版かまでチェックする必要があります。
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例えば、1582年イエズス会日本年報にある
ですが、この原文の文章にはそのような事は記載されていません。
原文を説明していくと、こうあります。
この「献上した」という誤訳は1939年すぐの訳の他、1977年の訳もそうですが、実際、広く『弥助奴隷説』が出てくるのはこれらを知られた後からですね。ちなみに、1999年では「紹介した」と訳されています。
ちなみに「da Ethiopia」と「エチオピア出身」ときちんと書かれていますね。
他にも『日本通信』の1581年10月15日に書かれています。
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"hum lacù da Ethiopia, que o anno passado o Padre Visitador trouxe ao Xogum, & o fez Christao."という原文ですが、これをよく
"巡察師ヴァリニャーノが信長に献上し、キリスト教徒としたエチオピア出身の黒人弥助。"と翻訳された物が広まっています。この「献上」から「奴隷だ」という説が生まれています。
ですが、この原文の文章にはそのような事は記載されていません。
原文を説明していくと、こうあります。
▶ 主語となるのが「hum lacù da Ethiopia」、つまり「エチオピア人の弥助」です。ですので、訳すとこうなります。
▶ 「que o anno passado」は「去年」で、これは1582年の書簡ですから1581年にあった出来事を指しています。
▶ 「o Padre Visitador」は「訪問した司祭」という意味ですね。
▶ 「trouxe」は「持ってきた」「連れてきた」という意味の動詞で、「献上」ではありません（「献上する」なら「presente」、「差し上げる」なら「dar」などが使われます）。ですのでこれは「謁見した」「紹介した」と訳す方が正しいでしょう。
▶ 「& o fez Christao」は「キリスト教徒になった」と訳せますので、「hum lacù da Ethiopia & o fez Christao」で「キリスト教徒になったエチオピア人の弥助」という意味です（その経緯は、こちらを確認してください）。
"hum lacù da Ethiopia, que o anno passado o Padre Visitador trouxe ao Xogum, & o fez Christao."と訳すものです（「弥助がエチオピア人」という文章は、宣教師フロイスやヴァリニャーノの文章で幾つか見掛けられます）。
"去年、訪問司祭が将軍（信長）に紹介したキリスト教徒であるエチオピア人の弥助。"
この「献上した」という誤訳は1939年すぐの訳の他、1977年の訳もそうですが、実際、広く『弥助奴隷説』が出てくるのはこれらを知られた後からですね。ちなみに、1999年では「紹介した」と訳されています。
ちなみに「da Ethiopia」と「エチオピア出身」ときちんと書かれていますね。
他にも『日本通信』の1581年10月15日に書かれています。
"hum negro que o Padre Valignano trouxe consigo da India, chamado Lasù, o qual o Xogum tanto estimou."と訳しているものを見掛けますが、このポルトガル語原文に「献上」という単語はありませんし、「奴隷」という単語もありません。原文をきちんと読むと、こういう訳になります。
"ヴァリニャーノ神父はインドから連れて来た弥助と呼ばれる黒人奴隷を献上し、将軍（信長）はとても喜んだ。"
"hum negro que o Padre Valignano trouxe consigo da India, chamado Lasù, o qual o Xogum tanto estimou."この書簡の文章は、他にも勘違いの元があります。詳細はこちらを確認してください。
"ヴァリニャーノ神父に同行していたインドから来た弥助と呼ばれる黒人を、将軍（信長）はとても高く評価した。"
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これも勘違いなのですが。
この「serviu」ですが、本来「使用人」と訳します。「モザンビーク（Moçambique）」の訳し方は先に話してますね。
この文章の正しい訳は、
もし「家臣」であったなら、
「奴隷」であったなら、
調査していくと、どうも17世紀のラテン語翻訳本が、さらにフランス語や英語、イタリア語など多国語に翻訳されていくにつれ「奴隷」と訳されていっているようです。
このラテン語が曲者で、ポルトガル語の「serviu」はラテン語で「servus」と訳されています。この「servus」は古ラテン語では「奴隷」と訳されます。その訳し方で他の翻訳本では記載されています。これについてはこちらに詳しく説明しています。
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"Um serviu negro de Moçambique chamado Lacù que serviu Xogum"のような記載があるのですが、これを翻訳では、
"将軍（信長）に仕えたモザンビークの弥助という名の黒人奴隷"と訳しているの見掛けます。
この「serviu」ですが、本来「使用人」と訳します。「モザンビーク（Moçambique）」の訳し方は先に話してますね。
この文章の正しい訳は、
"将軍（信長）に仕えた東アフリカ出身の弥助という名の黒人使用人"となります。
もし「家臣」であったなら、
"Um vassalo negro de Moçambique chamado Lacù que serviu Xogum"という記載にポルトガル語ではなります。
「奴隷」であったなら、
"Um escravo negro de Moçambique chamado Lacù que serviu Xogum"という記載にポルトガル語ではなります。
調査していくと、どうも17世紀のラテン語翻訳本が、さらにフランス語や英語、イタリア語など多国語に翻訳されていくにつれ「奴隷」と訳されていっているようです。
このラテン語が曲者で、ポルトガル語の「serviu」はラテン語で「servus」と訳されています。この「servus」は古ラテン語では「奴隷」と訳されます。その訳し方で他の翻訳本では記載されています。これについてはこちらに詳しく説明しています。
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イエズス会から入手したマイクロフィルムは、一次史料に使える書簡だけではありません（そして翻訳自体は一次資料だけが大事だというわけではありません。あくまで「戦国時代の史実」を調査するための一次史料になるかが、今のこの弥助問題で大事になるのだけです。別の時代で写本や編纂された版も、原本との違いから「当時の認識」や「世論」を知る為の立派な一次史料になります）。
よく知られているのですと『日本年次報告』や『日本通信』ですが、これ自体も写本が存在します。例えば1581年の物は、1583年や1598年にも製作されており、比較すると原文には無かった文章が追加されているものも多いです。それ以外にも17世紀に製作されたり編纂された本である『日本史』『日本教会史』『日本西教史』『日本戦国史』などがありますし、さらにはそれらをラテン語に翻訳されたもの、はそれを様々に言語に翻訳された版などもあります。
既に書いてありますが、17世沖からは黒人を差別的に扱うナショナリズムなども拡大されます。
「negro」は、差別的な意味の「cafre」と書き換えられていたり、エチオピア人という記載が消え「モザンビークの奴隷」という表記が増えます。それを翻訳や、原本でもそんな編纂本・翻訳本を参考にされて訳されている物もあります。基本的に、「弥助の史実」について調査する場合は、イエズス会の史料は1598年以降の版や、それを元にした翻訳本は利用しない、とした方がいいかと思います。
勿論ですが、写本や編纂本と原書の違いや、版毎の違いなどを比較する事により、当時の「当時の認識」や「世論」を知る為であれば、それらの資料も一次資料として使えます。
何を目的にその資料を使うか、です。
日本ではこの1939年以降は、弥助は奴隷説が広まり、『イエズス会の記録』だけでなく『信長公記研究本』でも「弥助奴隷説」が一般として広がります。
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よく知られているのですと『日本年次報告』や『日本通信』ですが、これ自体も写本が存在します。例えば1581年の物は、1583年や1598年にも製作されており、比較すると原文には無かった文章が追加されているものも多いです。それ以外にも17世紀に製作されたり編纂された本である『日本史』『日本教会史』『日本西教史』『日本戦国史』などがありますし、さらにはそれらをラテン語に翻訳されたもの、はそれを様々に言語に翻訳された版などもあります。
既に書いてありますが、17世沖からは黒人を差別的に扱うナショナリズムなども拡大されます。
「negro」は、差別的な意味の「cafre」と書き換えられていたり、エチオピア人という記載が消え「モザンビークの奴隷」という表記が増えます。それを翻訳や、原本でもそんな編纂本・翻訳本を参考にされて訳されている物もあります。基本的に、「弥助の史実」について調査する場合は、イエズス会の史料は1598年以降の版や、それを元にした翻訳本は利用しない、とした方がいいかと思います。
勿論ですが、写本や編纂本と原書の違いや、版毎の違いなどを比較する事により、当時の「当時の認識」や「世論」を知る為であれば、それらの資料も一次資料として使えます。
何を目的にその資料を使うか、です。
日本ではこの1939年以降は、弥助は奴隷説が広まり、『イエズス会の記録』だけでなく『信長公記研究本』でも「弥助奴隷説」が一般として広がります。
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トンデモ考察
ロックリーの本なんかもこれに入りますが、ノンフィクションとは言えない、フィクション内容ですね。
『信長公記』に関する研究本も色々ありますが、その中身も色々あります。
まず、『信長公記』に関しては、何の版を主として、何と比較してその説を出してきたかをはっきりさせないといけませんね。
それらの研究本では『弥助奴隷説』『弥助刀持ち（小姓）説』『弥助物持ち説』など色々出ており、弥助の人種も『アフリカ人説』だけでなく『インド人説』や『中東人説』など、様々にありますね。その中に『弥助サムライ説』もあります。
司馬遼太郎の研究本がなかなかいつも通りの司馬節なのでよく覚えているのですが、「弥助はインド人奴隷で、インドの僧の息子」「弥助は槍の名手」とあります。まぁ、これは「ヴァリニャーノがインド人奴隷を連れていた」というのと、「（元は弥六と書かれていたが版で書き換えられ）弥助が槍の名手」という本を参考にしたのは、色々調べていく中で分かりましたが。
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『信長公記』に関する研究本も色々ありますが、その中身も色々あります。
まず、『信長公記』に関しては、何の版を主として、何と比較してその説を出してきたかをはっきりさせないといけませんね。
それらの研究本では『弥助奴隷説』『弥助刀持ち（小姓）説』『弥助物持ち説』など色々出ており、弥助の人種も『アフリカ人説』だけでなく『インド人説』や『中東人説』など、様々にありますね。その中に『弥助サムライ説』もあります。
司馬遼太郎の研究本がなかなかいつも通りの司馬節なのでよく覚えているのですが、「弥助はインド人奴隷で、インドの僧の息子」「弥助は槍の名手」とあります。まぁ、これは「ヴァリニャーノがインド人奴隷を連れていた」というのと、「（元は弥六と書かれていたが版で書き換えられ）弥助が槍の名手」という本を参考にしたのは、色々調べていく中で分かりましたが。
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とんでもない事を書かれているのが幾つもありますね。
先ほども出ている、原書の誤訳をそのまま載せているというのは、そういう訳は実際にあるので構いませんが。
中には、前半だけは原本の原文のものですが、後半は創作の文章のものがあったり。
そもそもが全部が創作された文章のものもありました。
他にも、ソースとされている物が17世紀に製作されている本であったりしますし、ラテン語のものもありましたね。
16世紀後期の書き方をしていないものを典拠としてあるところも多く、まぁ、間違いですので利用する時は要確認です。
他にも、日本の研究本を海外で訳されたものをソースとしていたものもありますね。
調べていくと、考察の典拠は海外で翻訳された日本の研究本で、その研究本は1977年に出版されたイエズス会にある文章の研究本であり、そのイエズス会にある文章が1770年代にイエズス会で編纂されたラテン語のものであり、その編纂本自体が原本と記載が違う。というものまでありますね。
――途中でどれだけ意訳や誤字・誤変換や意図的な文字変更、追記などがあったのでしょうかね？
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先ほども出ている、原書の誤訳をそのまま載せているというのは、そういう訳は実際にあるので構いませんが。
中には、前半だけは原本の原文のものですが、後半は創作の文章のものがあったり。
そもそもが全部が創作された文章のものもありました。
他にも、ソースとされている物が17世紀に製作されている本であったりしますし、ラテン語のものもありましたね。
16世紀後期の書き方をしていないものを典拠としてあるところも多く、まぁ、間違いですので利用する時は要確認です。
他にも、日本の研究本を海外で訳されたものをソースとしていたものもありますね。
調べていくと、考察の典拠は海外で翻訳された日本の研究本で、その研究本は1977年に出版されたイエズス会にある文章の研究本であり、そのイエズス会にある文章が1770年代にイエズス会で編纂されたラテン語のものであり、その編纂本自体が原本と記載が違う。というものまでありますね。
――途中でどれだけ意訳や誤字・誤変換や意図的な文字変更、追記などがあったのでしょうかね？
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日本の史料でもそうですが、イエズス会の資料もそれが何版でどうやって書かれたものかまで追求していく必要があります。
日本の文献も海外の文献も情報汚染が激しいので。
ラテン語で出てくる、イエズス会やキリスト教を賛美する様な記載になってる、というのは疑うポイントです。
また、1581年の書簡だと、それが写本された1583年版の内容だと記載が増えていたりします。1598年版以降は、かなり内容が膨らまされている物が多いです。ですので、しつこいほど原本を探す方がいいです（1581年の1581年版は、全部がある訳でないので探しても出てこない事があります。その場合は、1583年版を少し疑いつつ内容を読む事になります）。また、何年版から増えているかというのを探したり比較していくと、それが後で追加された物かどうかが分かります。
特に、17世紀に入ってから複数の宣教師により編纂されたもの、ラテン語訳されたものは、大抵、装飾や追記がされている『二次創作本と言われても仕方がない内容』が入ってきています（これは日本の資料も同じですが）ので、必ず、原本の原文や、原本の原文に近い年代のものまで探し出し調査する必要があります。また、版毎の比較調査をして追加されている部分を明らかにし、それが創作された内容なのかどうかを、それとも新規の文献が見つかり加わった物なのか、そのような事をしながら創作部分をそぎ落としていく事が必要になります。
例えば、またイエズス会の『日本教会史』や『日本史（通称フロイス日本史）』『日本西教史』『日本戦国史』などは、17世紀になって書かれたり、編纂されたり、翻案されたり、それ以降の版で改定しているものは基本的に『全て二次資料』です。よく出てくるもので村上氏の日本語訳など『日本語翻訳本から』の内容も出して来る人もいますが、それはやはり『全て二次資料』でしかありません。
よく、日本語訳のそれらの本では『フロイス著』となっていますが、実際はどの著を翻訳したものなのかまで調べると、フロイスが書いた著を翻訳したものではなく、フロイスの書簡を基にはしていますが他の人物たちが作った書籍の、版案がすすんだ書籍の翻訳本、と史料としてはかなり離れた位置にある書籍だと思えばいいものを利用している人も多いです。言うなれば……『フロイスが書いた書簡、それが後世になり別の人物が編纂や写本や翻案されたり改定されたで、追記や改竄、創作などの内容を含んで製作された書籍を基に自身の考えも入れて作った書籍、それを日本語訳した書籍』を「一次史料だ」として出している、という事とあまり変わらないですよね。
これ、話題の某イギリス人の書いた「信長と弥助」の書籍の事でもありますが、日本で発刊されている翻訳本の事でもあります。
また、これは日本の史料でも同じです。
一次史料としてよく出される『信長公記』ですが、これも原本は分からず、その写本や活字本の版が70版以上あります。その中には、古い原書に近い版だと20世紀では言われていた（中には太田牛一の自筆本と言われていた）版も幾つかありますが、最近の科学的分析により17世紀後半〜19世紀初頭の版だと判明してきている版もあります。版を重ねているので、追記や改竄となっている部分も様々にありますので、自分で様々な版を比較したり、最近の研究論文を確認して、どの版のどの部分が、戦国時代の一次史料として使える部分であるかを探し出す必要があります。
また、太田牛一も伝聞で書いている部分も多いです。『家忠日記』も同様ですので、出来るだけ古い原書に近い版や、古いその他の書物などを比較しながら確認する必要があります。
「研究本」「現代語訳本」はありますが、それの元になる『原本』がどのような版で何年に製作された版か、その時代の他の版やもっと古い版ではどう書かれているかも確認する必要があります。
これらをよく勘違いして『一次史料を確認した』と出している人がいますが、それらは二次史料や場合によっては創作内容でしかない為、記載情報には注意して扱われているか（他の版と比較するなどをきちんとしているかなど、チェックされているかなど）に注意して、情報を利用しましょう。
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日本の文献も海外の文献も情報汚染が激しいので。
ラテン語で出てくる、イエズス会やキリスト教を賛美する様な記載になってる、というのは疑うポイントです。
また、1581年の書簡だと、それが写本された1583年版の内容だと記載が増えていたりします。1598年版以降は、かなり内容が膨らまされている物が多いです。ですので、しつこいほど原本を探す方がいいです（1581年の1581年版は、全部がある訳でないので探しても出てこない事があります。その場合は、1583年版を少し疑いつつ内容を読む事になります）。また、何年版から増えているかというのを探したり比較していくと、それが後で追加された物かどうかが分かります。
特に、17世紀に入ってから複数の宣教師により編纂されたもの、ラテン語訳されたものは、大抵、装飾や追記がされている『二次創作本と言われても仕方がない内容』が入ってきています（これは日本の資料も同じですが）ので、必ず、原本の原文や、原本の原文に近い年代のものまで探し出し調査する必要があります。また、版毎の比較調査をして追加されている部分を明らかにし、それが創作された内容なのかどうかを、それとも新規の文献が見つかり加わった物なのか、そのような事をしながら創作部分をそぎ落としていく事が必要になります。
例えば、またイエズス会の『日本教会史』や『日本史（通称フロイス日本史）』『日本西教史』『日本戦国史』などは、17世紀になって書かれたり、編纂されたり、翻案されたり、それ以降の版で改定しているものは基本的に『全て二次資料』です。よく出てくるもので村上氏の日本語訳など『日本語翻訳本から』の内容も出して来る人もいますが、それはやはり『全て二次資料』でしかありません。
よく、日本語訳のそれらの本では『フロイス著』となっていますが、実際はどの著を翻訳したものなのかまで調べると、フロイスが書いた著を翻訳したものではなく、フロイスの書簡を基にはしていますが他の人物たちが作った書籍の、版案がすすんだ書籍の翻訳本、と史料としてはかなり離れた位置にある書籍だと思えばいいものを利用している人も多いです。言うなれば……『フロイスが書いた書簡、それが後世になり別の人物が編纂や写本や翻案されたり改定されたで、追記や改竄、創作などの内容を含んで製作された書籍を基に自身の考えも入れて作った書籍、それを日本語訳した書籍』を「一次史料だ」として出している、という事とあまり変わらないですよね。
これ、話題の某イギリス人の書いた「信長と弥助」の書籍の事でもありますが、日本で発刊されている翻訳本の事でもあります。
また、これは日本の史料でも同じです。
一次史料としてよく出される『信長公記』ですが、これも原本は分からず、その写本や活字本の版が70版以上あります。その中には、古い原書に近い版だと20世紀では言われていた（中には太田牛一の自筆本と言われていた）版も幾つかありますが、最近の科学的分析により17世紀後半〜19世紀初頭の版だと判明してきている版もあります。版を重ねているので、追記や改竄となっている部分も様々にありますので、自分で様々な版を比較したり、最近の研究論文を確認して、どの版のどの部分が、戦国時代の一次史料として使える部分であるかを探し出す必要があります。
また、太田牛一も伝聞で書いている部分も多いです。『家忠日記』も同様ですので、出来るだけ古い原書に近い版や、古いその他の書物などを比較しながら確認する必要があります。
「研究本」「現代語訳本」はありますが、それの元になる『原本』がどのような版で何年に製作された版か、その時代の他の版やもっと古い版ではどう書かれているかも確認する必要があります。
これらをよく勘違いして『一次史料を確認した』と出している人がいますが、それらは二次史料や場合によっては創作内容でしかない為、記載情報には注意して扱われているか（他の版と比較するなどをきちんとしているかなど、チェックされているかなど）に注意して、情報を利用しましょう。
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私も分からない時は利用したり、原文をメモを忘れた時には何処だったかを探すのに利用する時もあります。
ただ、その際も6〜7のAIを並行して利用し、さらに頻繁にページを更新して更地にした上で「本当に戦国時代の一次史料となる原本の原文にあるか」をしつこいほど確認しながら利用します（そうしないと、AIは前の回答に固執し続け嘘を言い続ける事がありますので）。私の場合は、調教しすぎて軽く噂話を調査したいので気軽に使っても、まず公的文書を探しに行くというAIになってしまいましたが……。
また、AIが出してきた回答は、自身できちんと再確認の調査をしましょう。かなりの確率で、間違っています。
で、最近でも「イエズス会の記録で、弥助が信長に紹介された時の原文」を探し直すのに使うと、とんでもない回答が出てきました。
ルイス・フロイス『日本通信』の『1581年（天正9年）に書かれた書簡で、弥助が信長に初めて謁見した様子を詳細に記述』というAI回答で
私も散々に原書の原文を読んできましたが、こんな文章を見た事がありません。
というので、明らかに間違いと分かる部分（文章全体だけではなく、単語単位でもイエズス会の当時の原本となる書簡で使われていない単語が使われておりおかしかったので。思えば、随分とフロイス書簡を読みポルトガル語に慣れたものです）を問い詰めていくと、これはどこか単一のサイトを参照にしたものではなく、複数のサイトを参照しAIが創作した文章ということが判明しました。いや、AIの利用は気を付けましょう。
「>」と最初にあるように、どこかのネット内にサイトに書かれていた文章を参照しているようです。
こういう「文章自体を創作しているらしい人達もいる」事が調査を難しくしていますね。
このAIが出てきた文章、幾つもおかしい所があります。たぶん、注意して見ている部分が違うと思いますが、私が「おかしい」と思うのは文章の内容そのものではありません。
日本の文献でも、原本に書かれていない文章というのはよく見つかります。
かならず原本まで確かめる、というのをしつこくする必要があります。
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ただ、その際も6〜7のAIを並行して利用し、さらに頻繁にページを更新して更地にした上で「本当に戦国時代の一次史料となる原本の原文にあるか」をしつこいほど確認しながら利用します（そうしないと、AIは前の回答に固執し続け嘘を言い続ける事がありますので）。私の場合は、調教しすぎて軽く噂話を調査したいので気軽に使っても、まず公的文書を探しに行くというAIになってしまいましたが……。
また、AIが出してきた回答は、自身できちんと再確認の調査をしましょう。かなりの確率で、間違っています。
で、最近でも「イエズス会の記録で、弥助が信長に紹介された時の原文」を探し直すのに使うと、とんでもない回答が出てきました。
ルイス・フロイス『日本通信』の『1581年（天正9年）に書かれた書簡で、弥助が信長に初めて謁見した様子を詳細に記述』というAI回答で
"> Et quia de servis Lusitano, qui Nobunagam sequuntur, aliquid dicendum est, unum hic referam, quem Nobunagam a Lusitanis accepit, nomine Iascu, natione Aethiopem. Hic cum ad Nobunagam pervenisset, admiratus est illum Dominus, tam pro colore eius nigro, quam pro statura procera, et corporis robore. Et quia nolebat eum inter alios servos versari, mandavit, ut in palatio suo educaretur, et a suis militibus instrueretur in usu armorum, et rebus bellicis."ジョアン・ロドリゲス『日本年報』の『1582年（天正10年）に書かれた年報』で、弥助が信長の行列に参加した様子を記述と回答があり、
">また、信長に従うポルトガル人の奴隷について少し述べましょう。その一例として、信長がポルトガル人から受け取った「ヤスケ」という名のエチオピア人のことを挙げます。ヤスケが信長に謁見すると、信長は彼の黒い肌、長身、そして強健な体格に感銘を受けました。そして、彼を他の奴隷とは区別して扱い、自分の宮殿で育て、兵士たちに武器の使い方や戦闘術を教えるように命じました。"
"> Iasque, Aethiops quidam, quem Nobunagam a Lusitanis acceperat, in pompa illa cum caeteris Nobunagæ satellitibus incedebat, ensem ad latus gerens, et hastam longam manu tenens."――なんじゃこりゃ？というのが出てきました。
">信長がポルトガル人から受け取ったエチオピア人の「ヤスケ」は、他の信長の家臣たちと一緒にその行列に加わり、腰に刀を佩び、手に長い槍を持っていました。"
私も散々に原書の原文を読んできましたが、こんな文章を見た事がありません。
というので、明らかに間違いと分かる部分（文章全体だけではなく、単語単位でもイエズス会の当時の原本となる書簡で使われていない単語が使われておりおかしかったので。思えば、随分とフロイス書簡を読みポルトガル語に慣れたものです）を問い詰めていくと、これはどこか単一のサイトを参照にしたものではなく、複数のサイトを参照しAIが創作した文章ということが判明しました。いや、AIの利用は気を付けましょう。
「>」と最初にあるように、どこかのネット内にサイトに書かれていた文章を参照しているようです。
こういう「文章自体を創作しているらしい人達もいる」事が調査を難しくしていますね。
このAIが出てきた文章、幾つもおかしい所があります。たぶん、注意して見ている部分が違うと思いますが、私が「おかしい」と思うのは文章の内容そのものではありません。
【言語】こう言った、文章の内容以外の部分が、私にとって「あきらかにおかしい」と調査するきっかけになります。前に珍しく、信長の事を「征夷大将軍」と書いている部分があったので、かなり調査をしました（その部分は原文にもきちんとありました）。
ラテン語で書かれていますから、まず一次資料ではありません。当時の書簡は、多くはポルトガル語で一部はスペイン語で書かれています。ラテン語版は意訳が多いので、一次史料として使えません。
【日付】
もしこれの記載が本当にあるなら、1581年4月の記載として存在するでしょう。例えばこの文章の元ネタになったであろう二次資料となる書籍でも4/14、原本を辿れば4/11に関連してくる記載が存在します。
【弥助の名前】
「Iascu」「Iasque」は「弥助」を日本語から外国語訳する際の候補として出てきますが、実際、フロイスなどは弥助の事をその様に書いている記載は原本にはありません。
【奴隷という描写】
日本には奴隷制度は当時もありませんね。あるのは奉公制度です。また、フロイスが弥助の事を「奴隷」と記述している書簡はありません（構成で編纂されたり写本された中には出てくるのですが、フロイス本人の書簡には出てきません。フロイスは奴隷貿易に反対していましたし、人種差別も少ない人物だったようです。
【信長の名前】
「quem Nobunagam」と書いてありますが、当時の今頃(1581〜1582年頃）は信長の事をその様に書いていません。
日本の文献でも、原本に書かれていない文章というのはよく見つかります。
かならず原本まで確かめる、というのをしつこくする必要があります。
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