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孤独を知らない男・第一話

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
11『孤独を知らない男』:第一話男ハンター×擬人化ドスゲネポス孤独の人擬人化(ドスゲネポス)・否エロ537〜538、540

『孤独を知らない男』:第一話

 
 
 
ズズズズゥゥゥン…………!!
 
重々しい轟音と共にモノブロスが砂漠に倒れ伏す。
周囲に砂塵が舞い、飛び散る鮮血が夜空の月にかかる。
鮮血の出所はモノブロスの首筋の裏。
太刀が深々と突き刺さっているその場所だ。
 
「ふぅ」
 
モノブロスの首に跨がるようになっていた俺は、
絶命した巨大な一角竜の首から太刀を引き抜いた。
刃の大部分は血で汚れ、先端付近には脳漿まで付着している。
首から頭にかけてを一撃で貫いてやった証だ。
俺は砂漠の大地に降り立つと、ケルビの皮で血と脳漿を刃から綺麗に拭き取る。
今回のモノブロスのサイズはなかなかのものだ。早速解体にとりかからねば。
太刀を傍の地面に深く突き立てると、俺は剥ぎ取り用ナイフを取り出す。
 
「……そうせっつくな。」
 
ところで、俺の周りにはゲネポスの群れが集まりつつある。
どいつもこいつも腹をすかせた顔で、物欲しげにこちらを見つめてくる。
だが俺はそいつらを追い払ったり斬り殺したりはしない。
何故なら、決してそいつらは俺を襲ったり、獲物を横取ったりしない事を俺は知っていたからだ。
とは言えさっさとモノブロスの肉を剥ぎ取って与えなければ、
流石に痺れを切らして俺に襲ってくるかもしれん。
だからこそ俺は急いでモノブロスの死体を解体し始めたのだ。
 
「ほらよ。」
「ギャアッ」
 
最初に剥ぎ取った肉の塊を無造作に群れの方へ投げると、
早速その肉にゲネポスが群れ始めた。
しかしこれではまだ足りないだろうから、まだまだ解体を続けねばならない。
デカいモノブロスだ…解体には暫くかかっちまうな。


俺の名はジェロス。ゼロスなんて呼ぶやつもいる。
発音的にはどちらも正しいから、どちらで呼んでも結構だ。
俺はハンターギルドに属していない、所謂ならず者のハンターだ。
理由は単純。家訓にあるのと、ギルドの規律が嫌いなだけである。
俺の家はギルドが存在する以前から代々続いているハンターの家系で、
はなっからギルドの規律なんてクソくらえという考え方だった。
おかげで代々続く貧乏家系でもあるが、独自の狩猟法と戦闘術で今まで生き残ってこれている。
 
その根幹に存在するものは、獲物に対する『敬意』だ。
ギルドに属しているヤツらは自然界というものに全く敬意を払っていない。
必要以上に殺し、狩っておいて剥ぎ取りもしない。
大型モンスターを狩るのに邪魔だからというだけの理由で殺すこともある。
まったくもって愚か者だ。お前ら誰のおかげでメシ食えてると思ってる。
お前らが生活できるのはギルドのおかげじゃない。俺達に命を捧げてくれるモンスターのおかげだ。
彼らには最大限の感謝と敬意を払い、自身は慎ましやかであるべきだ。
 
これが我が家の家訓で、俺自身もそう思っている。
だから俺の家系は目標以外のモンスターは絶対に狩らない。
ま、その家訓のおかげで未だに俺はギルドに属さずにいられるんだがね。
狩り場で殺すのは確実に一匹だけだから、ギルドも見逃してくれてるって訳だ。
見境なしにモンスターを狩ってたらとても自由ではいられない。
 
「こいつで最後。」
 
最後のモノブロスの肉をゲネポスの群れに放る。
ヤツらは与えた肉の半分ほどはくわえて帰っていった。
多分、子供にやる分だろう。微笑ましいことだ。
 
「ギャアッ!」
 
しかし、大きなトサカと図体が特徴的な群れのリーダー、ドスゲネポスだけが去らずにいた。
俺の方を向いて、自己主張するように一声鳴いている。
ああ、そうだったな…忘れていた。
 
「よしよし、よくやったぞトネス。」
 
俺は立ち上がって、ドスゲネポスの頭を撫でてやる。
するとドスゲネポスは目を細めながらクゥ〜と細い声で鳴き、
気持ちよさげに首をゆっくりと下げていく。
変わったヤツだな…と前々から思ってはいるのだが、
狩りの後には必ず頭を撫でてやらねばこいつは去らないのだ。
俺はドスゲネポスの首が下がった勢いで、頭から首へと指を滑らせていく。
人間で言えばうなじの部分で、その気持ちよさは同じなのかヤツはますます下を向くように首を下げる。
喉から鳴らす声も、心無しか高揚してきたようだ。
 
「…よし、ここまで。」
 
そこで俺は手を止める。ドスゲネポス−−俺はトネスと呼んでる−−は首への刺激が途絶えたことに気付き、
首をあげて少し恨めしそうに俺の目を見つめた。
しかしこのままではずっとこいつの体を撫で回し続けねばならなくなる。
それは流石に御免被るし、その行為はこいつに対する侮辱にもなりかねない。
頭を撫でることさえ、俺は本来はしたくないのだ。
それは自然界とこいつの野性を侮辱することになる。
名前をつけたのも、単に個体識別がしやすいからそうしただけである。
 
「もう群れに帰るんだ。リーダーがこんな所で油売ってるなよ。」
 
抗議の声すらあげそうなトネスの口を手で制して、俺はそう諭した。
トネスが俺の言葉を理解できるはずもないが、真意は動作で伝わったようだ。
そのまま、『彼女』はトストスと砂漠を駆けて群れへ戻っていく。
 
「……ふぅ。
さて、と。」
 
ゲネポスの群れがようやく全員去ったのを確認して、俺は残りの作業に取りかかる。
肉の部分はゲネポスにやったが、他の部位は全て俺のもの。
甲殻、角、背甲、牙、竜骨、心臓。ギルドに所属していないので全て独り占めできる。
ギルドのサービスは受けれないが、これがこのやり方の良い所だ。
ギルドからの暗殺者を悉く返り討ちにしてきた御先祖様に感謝する一瞬である。
いくら謙虚であると言っても、ギルドに反発して所属を拒んでいるのだ。
組織はナメられたら終わり。過去に暗殺者が放たれたことは何度もあるらしい。
 
「この雄大な大自然、ゲネポスたち、そしてモノブロスにも感謝だな。」
 
背負えるだけ背負ったモノブロスの部位を担ぎ直し、俺は祈りを捧げる。
狩り殺したモノブロスに対する感謝と敬意、そして猛々しい霊魂よ我に乗り移り我と共に勇猛とならん、と。
そして俺は、モノブロスの亡骸の傍にそっとドキドキノコを供えた。
なんでもこうすると、霊魂が狩人に乗り移らなくても現世で迷うことなく生まれ変われるんだと。
奇妙なしきたりだが、大した損害もないので俺は欠かさずやっている。
 
ゲネポスたちと協力しての狩りは無事成功。
背負い切れず余った素材は明日取りに来る。
供養も済んだし、これで暫くは生活に困らない。
帰りは俺が金で雇った馬車と御者を使う。
世間からつまはじきにされた跳ねっ返り小僧のわりには順調な人生だ。
俺は最後に大地から太刀を引き抜くと、意気揚々と帰途についた。
 
俺の名はジェロス。ゼロスなんて呼ぶやつもいる。
発音的にはどちらも正しいから、どちらで呼んでも結構だ。

<続く>
2010年08月18日(水) 08:50:44 Modified by gubaguba




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