句集  
流 星 群


本村俊弘








九〇 薄の穂  北から南へ  花開き


八九 累累と  空き瓶重ねる  夜の街  


八八 長袖で  重陽祝う  花一種


八七  秋虫よ  天まで響け  三日月夜


八六  イ五八が  突き刺さる  五島灘  


八五 長月に  茗荷酢漬けの  夏野菜


八四 ミサイルは  日の本へ行く  星祭り


八三 鶏頭が  崩れ落ちる  猛暑かな

八二  猛暑の  避難通路は  デパ地下へ


八一  ゲリラ雨  消した川の名は  水無川


八〇  打ち水の  言葉忘れる  ゲリラ雨


七九   床屋出て   メンソレタムに   秋の風


七八   蒟蒻に   味が滲みる   還暦かな


七七   茣蓙を敷き   寄せ来る波は   子守唄


七六   .夢の夏   モスル狙撃手   我を撃つ


七五   盆の入り   供花となりしは   菊ばかり


七四   仏壇に   セザンヌを待つ   果実あり


七三   ペルセウス   流星群   天に降る


七二   九日に   黙祷すれど   蝉時雨


七一   落雷の   轟く夜は   白亜紀か


七〇   坂の街   塩田となりし   額かな


六九   薬味なく   冷やし素麺   男飯


六八   新聞を   束ねて運ぶ   重き日々


六七   .蜘蛛の糸   闇に混ざりて   わが顔に


六六 トンボ飛び   トビウオ羽ばたく   夏休み


六五 五島灘   蝶連れ行く   船に揺れ


六四 麵茹だり   茗荷刻む   蝉の声


六三 午後三時   蚯蚓が一匹   途で果て


六二 突き出しの   舌の山椒で   梅雨明ける


六一 蟻を観て   火蟻は何処と   眼を凝らし


六〇   梅雨明けず   待ち草臥れて   蝉時雨


五九   卵割り   君を見るのは   世界初


五八   七夕に   降水帯   巻き付いて 
  (二〇一七年七月七日(金))☆朝倉市/東峰村/日田市)


五七   満月の   夜に華やぐ   紫陽花ぞ


五六   梅雨の間   竹の子伸びて   青き空


五五   梅雨入りの   青田に伝う   波紋行く


五四   逃げ水や   何処へ流れる   わが命


五三   .双子座に   生まれし月に   柘榴咲く


五二   枇杷の汁   肘から床へ   滝となり


五一   茶摘みも   岩海苔摘みも   飯の中


五〇   糠床を   掻き乱す日の   小糠雨  


四九   煮凝りに   金柑入れた   祖母遥か


四八   我が港   入船出船で   ツバメ去る


四七   霰降り   雷轟く   水田かな


四六   窓枠の   黄砂触りて   漢字書く   (2017年5月)


四五   富士を背に   ひかりの中を   歩く蟻  (2017年5月)


四四   春の潮   有明海苔の   結び食む  (2017年5月)


四三   燕鳴く   旅路の果ての   日本かな  (2017年5月)


四二   黄砂舞う   目から鱗の   皐月雨  (2017年5月)


四一   早苗月   花に託した   思い数多  (2017年5月)


四〇   言葉摘み   一芯二葉の   俳句かな  (2017年4月)


三九   サクラ散り   満開なりし   ハナミズキ   
(2017年/平成29年4月)


三八   サクラ満ち   お悔やみ欄に   六歳の名 
 (2017年/平成29年4月7日/長崎新聞朝刊)


三七   烏賊を割き   闇夜の皿に   燐光る 
(2017年/平成29年4月)


三六   豊中に    陽炎稲妻   瑞穂の國 
(2017年/平成29年3月)※国有地格安払下げ問題


三五   菜の花に   真一文字の   飛行機雲 
(2017年/平成29年3月)


三四   白うさぎ   舞って香る   沈丁花  
(2017年/平成29年2月)


三三   花粉飛び   くさめの先の   炊き立てかな  
(2017年/平成29年2月)


三二   霙降る  大寒の朝の   絹豆腐    
(2017年/平成29年1月20日)


三一   墨をつけ   老いの闇を   書き初める 
       (2017年/平成29年1月2日)


三〇   お刺身は   焼き芋の脇で   暑くなり 
(2016年/平成28年12月31日)


二九   冬至明け   陛下の言に   大火案ず  
(2016年/平成28年12月23日)  


二八   赤き傷   包丁研ぎの   冬至かな  
(2016年/平成28年12月)


二七   分け入って  味見重ねる  年の暮れ  
(2016年/平成28年12月) 


二六   師走落ち   重箱洗う   夜の水  
 (2016年/平成28年12月)


二五   子ども無く   芒だらけの   村になり  (
2016年/平成28年11月)


二四   ふる里は   空き家並びて   月冴える  
(2016年/平成28年11月)



二三   神楽月   雪降り滑る   富士見坂  (
2016年/平成28年11月)※11月に関東地方に積雪あり。


二二   イチョウ葉   花と競り合う   散り際よ 
(2016年/平成28年11月)


二一   銀杏の    実を拾えない    記憶勃つ 
(2016年/平成28年12月)※昔、かぶれて入院したことあり。


二〇   音もなく   バッタ飛び出す   秋の恋  
 (2016年/平成28年10月)


一九   LED   我より生きて   枯れ葉映ゆ   
 (2016年/平成28年11月)


一八   炎天下    茶のカマキリ   道渡る   
 (2016年/平成28年)


一七   尾花揺れ   夏よ去らばと   秋刀魚焼く  
 (2016年/平成28年)


一六   かき氷   まわってまわって  日が暮れる 
(2016年/平成28年)


一五   風邪ひきて   生姜下ろす   酷暑の夏  
(2016年/平成28年8月) 


一四   甲羅干し   時も休む    孤島かな 
 (2014年/平成26年4月27日)


 一三   初雪も    閉伊川 越えぬ    宮古かな


一二   防波堤   いや生いの月に   津波立つ


一一   桜散り   四月の雪に   怯えたり
 (2010年4月19日埼玉県に雪)


一〇   日捲(ひめく)りの   暦の中に   津波なし


九    夏果てて   暮れゆく海に   西瓜浮く


八    闇夜こそ   沈丁花の    香りかな


七    驚きの   眼の海の   金目鯛


六    蝙蝠の   乱舞する日の   花火かな


五   才覚の   無い男にも   牡丹雪 
(2013年/平成25年1月15日(火)の大雪の日に)


四   住吉へ   鳴かず飛ばずの   鷽と来る


三   肌寒き   空木の庭に   穀雨降る 
(2013年4月20日土曜日)


二   亀宿る  時も流れぬ   孤島かな


一   舞い降りた   鷺の水面に   富士の山 
 (2013年/12月10日:通勤電車)
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