【定義】
��80巻本『華厳経』巻37・十地品に見える「三界所有、唯是一心」の言葉を省略したものとされており、三界が他に対しない一心であるという唯心論的世界観を示したもの。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では47巻、75巻本では41巻。寛元元年（1243）閏7月1日示衆された。その場所だが、75巻本では「禅師峰」とし、60巻本古写本・『建撕記』古写本では「吉峰寺」とする。前後の関係を見れば、「吉峰寺」が正しい。
【内容】
道元禅師は冒頭にて、『華厳経』の唯心論的思想を極めて端的に表現した偈頌をもって、同巻の主題としている。
しかし、これをもってただ三界が心であるとは理解できず、道元禅師は直ちに以下のように否定される。
つまり、ここには三界は、ただ三界に於いて内的に把握されるべきであり、外的な観察者の視点を入れることを許さないということである。そして、ここまで突きつめた三界に於ける一法究尽的解釈があって、初めて三界唯心といわれるのである。三界が心であるとき、もはや三界と心は対しようがなく、また心に於いて還元せられた一切の事象を呼んで三界することも出来ない。
繰り返しになるが、三界はただ三界として存在しているのであり、そこに様々な如来が居ようと衆生が居ようと、ただ三界なのである。
だからこそ、唯心はただ心というだけであり、三界ではない。また、三界の他には三界があるのではなく、したがって、各々の存在もまた三界であるとき、三界は初めて「牆壁瓦礫・山河大地」という個々物そのものなのである。いわば、同著はこの自らの生きる世界に対して、如何に対象化せずに把握するかという直観に貫かれていると理解すべきなのである。ここで、唯心と三界との関係を考えてしまった場合、それ自体が三界も唯心も自らの外に考えているに過ぎない。それは避けるべきである。
��80巻本『華厳経』巻37・十地品に見える「三界所有、唯是一心」の言葉を省略したものとされており、三界が他に対しない一心であるという唯心論的世界観を示したもの。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では47巻、75巻本では41巻。寛元元年（1243）閏7月1日示衆された。その場所だが、75巻本では「禅師峰」とし、60巻本古写本・『建撕記』古写本では「吉峰寺」とする。前後の関係を見れば、「吉峰寺」が正しい。
【内容】
道元禅師は冒頭にて、『華厳経』の唯心論的思想を極めて端的に表現した偈頌をもって、同巻の主題としている。
釈迦大師道わく「三界は唯、一心にして、心の外に別法無し。心・仏、及び衆生、是の三は、差別無し」。
しかし、これをもってただ三界が心であるとは理解できず、道元禅師は直ちに以下のように否定される。
三界は全界なり、三界はすなはち心といふにあらず。そのゆえは、三界はいく玲瓏八面も、なほ三界なり。三界にあらざらんと誤錯すといふとも、総不著なり。内外中間、初中後際、みな三界なり。三界は三界の所見のごとし。三界にあらざるものの所見は、三界を見不正なり。
つまり、ここには三界は、ただ三界に於いて内的に把握されるべきであり、外的な観察者の視点を入れることを許さないということである。そして、ここまで突きつめた三界に於ける一法究尽的解釈があって、初めて三界唯心といわれるのである。三界が心であるとき、もはや三界と心は対しようがなく、また心に於いて還元せられた一切の事象を呼んで三界することも出来ない。
あきらかに参究すべし、「諸仏応化法身」は、みなこれ「三界」なり、三界は無外なり。たとへば如来の無外なるがごとし、牆壁の無外なるがごとし。
繰り返しになるが、三界はただ三界として存在しているのであり、そこに様々な如来が居ようと衆生が居ようと、ただ三界なのである。
しるべし、三界外に一衆生界蔵を有せしむるは、外道大有経なり、七仏経にあらざるなり。唯心は一二にあらず、三界にあらず。出三界にあらず、無有錯謬なり、有慮知念覚なり、無慮知念覚なり。牆壁瓦礫なり、山河大地なり。
だからこそ、唯心はただ心というだけであり、三界ではない。また、三界の他には三界があるのではなく、したがって、各々の存在もまた三界であるとき、三界は初めて「牆壁瓦礫・山河大地」という個々物そのものなのである。いわば、同著はこの自らの生きる世界に対して、如何に対象化せずに把握するかという直観に貫かれていると理解すべきなのである。ここで、唯心と三界との関係を考えてしまった場合、それ自体が三界も唯心も自らの外に考えているに過ぎない。それは避けるべきである。
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