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作者:ベリーメロン



 服を脱げ。
 目の前の男から端的に吐き捨てられたその言葉を受け、ロゼは胃から込み上げてくる吐き気を抑えながら服に手を掛けた。
 上官であるこの男に先ほど殴られた頬が痛むが、それもこれからされることを考えればまだましだろう。
 煤だらけの黒い軍服を脱ぎ捨て、下着とタイツのみの姿になったところでロゼは上官を見つめた。
 そんなロゼに告げられたのは跪けの一言。

「……」

 何をさせられるのか、理解はしている。スパイ任務と初陣の両方が失敗した懲罰。否、正確には懲罰とは名ばかりの、この男がロゼの身体を貪るだけの時間だ。
 いつもこうやって、上官は訓練で望まれた成績を出せなかったロゼを懲罰と称して玩んできていた。

「はい」

 短い応答と共に膝を床に付けて座り込めば、ロゼの目の前でズボンのファスナーが降ろされていく。
 出てきた醜悪な肉の棒にロゼは顔をしかめかけたが、感情を鉄面皮に押し込んだ。
 悪臭漂うソレが幼い顔立ちのロゼの頬に押し当てられる。赤い瞳を一瞬だけ潤ませたロゼだったが、やがて自ら肉棒に舌を這わせていく。

「んっ……ふぅっ……ちゅぷっ……れろぉ……」

 亀頭の先端から根本まで、丁寧に唾液を塗していく。時折聞こえる上官の声を聞き流しながら、ただ無心で口淫を続ける。
 やがて準備を終えた彼女はゆっくりと肉棒を咥えていく。小さなロゼの口には不釣り合いに大きいソレを、喉元まで使って頬張った。

「おぶっ……んぐっ……」

 息苦しさに涙を浮かべる。だがそれでもロゼは懸命に肉棒へ吸い付き続けた。機嫌を損ねれば、男はより酷くロゼに当たってくる。
 だが上官はロゼのやること全てに文句を付けたいのだろう。彼女の小さな頭を掴んで無理やり前後に揺すってきた。

「んぶっ……ん゛ん゛ぅっ……んぶぅっ……!」

 何度も繰り返される激しいストローク。ロゼの小さな口には大きすぎるモノが出入りし、粘っこい液体が飛び散っていく。
 鼻腔を突き抜けるような刺激臭にロゼは思わず嘔吐したくなったが、それすら許されない。
 喉奥を何度も突き当てながら上官はロゼの口内を玩んでいく。
 やがて限界を迎えた上官は腰を引くこともせずそのまま精を解き放った。
 肉棒より勢いよく吐き出された白濁液がロゼの食道へと流し込まれていく。

「ん゛ぐぅっっ……ん゛んぅっ……」

 目尻に涙を貯めて、ロゼは歯を立てずに肉棒から精液を吸い立てていく。
 こんはもの本当は飲みたくない。今にも吐き出して、この上官の顔面へ吐き捨ててやりたい。だがそうするわけにはいかない。
 口が解放された後もロゼは教えられた通りに口内で精液を噛みしめ、舌に乗せて開いて見せた。

「はぁ……はぁ……」

 ゆっくりとそれを飲み干すロゼに、上官は満足したように頷いている。

(しねば、いいのに……)

 心底不快だ。こんなことをさせて満足するこの男が。
 閃刀姫であるレイに苦渋を舐めさせられてきたからといって、他人である自分に当たってくるこの軍の人間達がとても不快で大嫌いだ。
 だがそれを表に出すことは、ロゼにはできない。
 ロゼは軍に作り上げられ、育てられた。閃刀姫がいないなら作ればいいと。何人もの孤児が肉体を改造されて死に、唯一の成功例がロゼ。あの閃刀姫―レイに勝つために。

(うらやましい……)

 ロゼの敵であるレイは、ごく普通の家庭で生まれ、ごく普通に育ってきたというのに閃刀姫になった。
 彼女の周りはとても温かく、スパイとして乗り込んだロゼにまで普通に話しかけてくる。
 自分とのこの差はなんだ。なんで自分はこんなに苦しいし、こんな男に媚びなければならない。何故だ。
 すっかり慣れた鉄面皮の裏側で、ロゼ軋む程に歯を噛みしめる。

 そして懲罰はまだ終わっていない。
 次の命令はベッドに腰掛け、乳房を晒せというもの。
 言われるがままに下着を外せば、薄い膨らみが露わになる。

「んっ……」

 羞恥から微かに声が漏れるが、それもすぐに堪える。
 目の前の男はロゼの身体を見て下卑た笑みを浮かべていた。それがたまらなく嫌で仕方がない。
 だが、そんな感情も今は押し殺す。
 ロゼは一度静かに目を閉じてから、ゆっくりと口を開いた。

「触ってください」

 セクハラではない。これは懲罰だ。そう結論付けるために、上官は自分から触れと言うようにロゼに教え込んでいた。
 ロゼの言葉に従い、男の手がロゼの胸に無遠慮に触れる。
 まだ発育途中のロゼの胸を揉みしだきながら、上官はもう片方の手でロゼの乳首を強く摘まんだ。決して優しさのない力で。

「んっ……ふぅっ……」

 痛みに僅かに眉をひそめたロゼだったが、それでも無言のまま耐え続ける。
 ただひたすらに耐え続け、やがて終わるその瞬間を待つ。

「んんっ……くっ……んぅっ……」

 ねちっこく。独り善がりな愛撫。それで濡れてしまうほど、ロゼの身体は終わっていない。
 早く終われ。そう思っても口にするわけにはいかない。
 そしてロゼの願いとは裏腹に、無精髭だらけの口が乳房に迫ってくる。

「んぅっっ……ふっ……」

 じゅぷぷっと音を立てながらロゼの胸にしゃぶりつく二回り以上年の離れた上官。
 気持ち良いと思っているのか、乳首をぐりぐりほじってくる舌先にロゼは悩ましげに眉を潜める。
 やがて上官は歯を立てて、強く噛みついてきた。

「いっ……」

 ロゼが小さく悲鳴を上げる。だがそれだけだ。
 もっと力を入れてしまえば、ロゼの柔肌など噛み千切れてしまいそうな強い痛み。
 ロゼが苦痛に息を漏らすのを楽しんでいるのだろう。男の醜悪な本性が見え透いていた。
 やがてゆっくりと口が離されれば、ロゼの白い乳房には赤い歯形がついていた。出血こそしていないが、しばらくは取れてくれないだろう。

「はぁ、はぁ……」

 鉄面皮が少しだけ崩れ、ヒリヒリとした痛みに涙目になる。ロゼの微かな表情の変化を楽しみながら、上官は次の命令を下した。
 自分で慰めろと。

「は、い……」

 返事をしてタイツを脱ごうとしたが止められる。脱がずに破れと言いたいようだ。
 悪趣味な命令に嫌とは言わず、秘部の辺りを自らの手で裂いて穴を開けた。
 そのままショーツをずらして中へ指を入れ、自らの割れ目に沿わせる。

「ふぅ……う……ん……」

 ゆっくりと指を上下させ始める。だが上官は不満げに鼻を鳴らした。
 ちゃんとやれとのことだ。

「……はい」

 上官の命令に、ロゼは言われた通りに自慰を始める。
 陰唇をなぞるように、時にはクリトリスを弄り回しながら、懸命に自分を昂らせていく。
 その様子を上官は楽しそうに眺めていた。

(きもちわるい……)

 心の底から嫌悪感を抱きながらも、止めることはできない。
 乳房にも手を伸ばし、自ら揉みしだく。乳首を摘まんで捻ったりもする。

(きらい……きらい……)

 嫌いだ。こんなことをしている自分も、こんなことをさせているこの男も大嫌いだ。こんなことをするくらいなら死んだほうがマシだとすら思う。
 でも死ぬことすら選べない。
 物心つく前から孤児だったロゼにとっては死は何よりも恐ろしい。飢えも、病気も、寒さも、何もかも。

「んぅ……んあっ……ふっ……♡」

 思考とは裏腹に、身体は自慰によって熱くなってくる。

「んっ……あ……んんぅっ……♡」

 いつの間にかロゼの手は激しく動いており、ショーツどころか黒タイツまでぐしょ濡れになっていた。
 そんなロゼを見て、上官は満足気に笑う。

「んんっ……くっっ……♡」

 もうすぐ達しそうだというところで、上官はロゼに待ったをかけた。
 絶頂寸前で止められてしまって辛い。身体の奥底から疼きが込み上げてきて苦しい。

「はぁ、はぁ……ん……」

 なんとか耐えながら呼吸を整えていると、上官は四つん這いになって尻を向けろと言ってきた。
 それが何を指すのかをロゼはよく知っている。

「ぅっ……くっ……は、い……」

 どうしようもなく胸糞悪くなりつつ、ロゼはベッドの上で四つん這いになった。
 上官もベッドの上に上がり、小柄なロゼへとのし掛かってくる。
 股ぐらから伸びた肉棒が、ロゼの秘部に押し当てられて

「んぐっ……んんぅぅぅっ……」

 ずぶんっ!っと一気に肉棒が挿入された。自慰によって濡れきった膣は、拒むこともせずにそれを受け入れてしまう。
 最初の時もこの体勢で処女を奪われた。

「んぅっ……ふっ……あっ……んっ……♡」

 獣のように背後から覆い被さられるような体勢での挿入。
 狭い未発達な膣内を圧迫される苦しさと屈辱感と、自慰のせいとはいえ感じてしまう絶望感。
 ロゼの口から漏れ出る声には甘いものが混ざり始めていた。

「ふっ……んっ……んんっ……♡」

 パンッパンッと腰を打ち付けられながら、ロゼは必死に声を抑える。
 こんな男に感じさせられているのが堪らなく嫌だった。後背位でなければ不快感に歪んだその表情を、包み隠さず見せつけていただろう。
 しかしロゼの思考を読むように、上官は声を抑えるなと命令してきた。

(さい、てい……)

 命令には従わなければならない。
 ロゼは声を抑えるのをやめた。

「んぁっ……ふっ……ああっ……♡」

 一度溢れ出た喘ぎ声は止まらない。
 屈辱と不快感に顔を歪め、ロゼは歳に似合わない艶かしい甘い声を溢していく。

「はぁ、はぁ……あうっ……♡」

 本来なら感じるはずがない。自慰での絶頂をギリギリで止められたせいだ。
 それでも身体は反応してしまう。

「んんっ……ふっ……あっ、あああっ♡」

 気持ち悪い。嫌だ嫌だと思いながらも、快楽に溺れてしまっている自分がいるのが本当に嫌になる。
 こんなこと、気持ち良いわけがないのに。

「はぁ、はぁ……んぅ……あっ、んあっ♡」

 肉の打ち付け合う音と、淫猥な水音、そしてロゼの甘い声が響いていく。
 最奥をひたすらに犯されて、ロゼの小さな身体は芯から揺らされる。

「んあっ……んぅっ♡あっ……ひぅっ♡」

 薄い膨らみを掻くように揉みしだかれれば、ロゼは悶絶させられた。
 嫌いな男に全てが握られているのが不快なのに、身体は感じさせられてしまう。悔しさにシーツを噛む。

「んむぅっ……んんっ、あっ……あうっ……♡」

 シーツに噛みついて堪えようにも激しい行為はロゼの抵抗を容易くくだいた。
 さらにスパートをかけるようにロゼの小さな身体に腰が打ち付けられ、最奥に肉棒を突き立てられる度にくぐもった喘ぎ声が溢れ落ちる。
 それが何度も続けられていく。

「んぅっ……ふっ……んっ……んんんぅぅぅっっっ♡」

 ロゼの小さな身体が大きく跳ねた。同時に上官も限界を迎えたようで、彼女の中に精液を流し込んでいく。

「はぁ、はぁ……ん……く……」

 絶頂後の倦怠感に襲われつつも、ロゼはゆっくりと起き上がった。
 早く仕上げて終わらせなければ、また次を求められてしまう。

「んっ……ちゅぷっ……れろぉ……」

 舌先を使って丁寧に舐めて掃除をする。
 これ以上は続けられたくない。もう終わってほしい。その一心での奉仕だ。

「れろ……ん……れりゅ……」

 口の中に苦味が広がり、思わず吐きそうになる。だが我慢して懸命に舐める。
 しかしそれが仇となった。懸命に奉仕をする小柄な少女に、下卑た欲はさらに強まっていく。
 上官の声に、奉仕を中断させられたロゼ。今度は仰向けに寝転べと言われた。
 当然のごとく、ロゼには拒否権がない。

「わかり、ました……」

 ベッドの上で仰向けに寝転ぶロゼ。再びのしかかってくる上官を、彼女は受け入れることしかできない。
 再び圧迫感を訴える膣に、ロゼは瞳を潤ませてそれを諦めたように受け入れていく。







 数時間後、ようやく上官による「懲罰」が終わった頃には、ロゼはすっかり消耗してしまっていた。

「はぁ……はぁ……あ、ぐ……♡」

 肉棒がずるりとロゼの幼い膣から抜かれ、力なく垂れたそれが行為の終わりをしめしている。
 疲れきった身体でロゼはそれに舌を這わせ、掃除まで完了させた。
 そこまでして、やっと懲罰はこれくらいにしてやるとの声。

「ありがとう、ございます……」

 睨み付けるのを我慢して、ロゼは淡々と心にもない礼をつげる。
 上官は満足気に笑い、ロゼの頭を撫でてきた。愛情ではない。ただ利口なペットを撫でるのと変わらないソレだ。

「く、ぅ……」

 ロゼはその手を払い除けたかったが、そんな気力も残っていない。
 終わったことに安堵しつつ、ロゼはふらつきつつも汚れてしまった身体に服を纏っていく。
 軍服を上から羽織ってしまえば、匂いはともかく跡は見えないだろう。

「失礼、します……」

 一刻も早くシャワーを浴びたい。汚いものを洗い流したい。嫌なことを忘れ何も考えずにベッドで眠りたい。
 そのまま部屋を出ていこうとすると、上官が何かを思い出したかのようにロゼを呼び止めた。
 それはロゼ専用の閃刀兵器がようやく完成し、それであの憎き閃刀姫―レイを討つというもの。
 その時が来たのだとロゼは察しつつ、ふらつきながら部屋を後にした。







 そうして酷く簡素な自室に何とか帰ってきたロゼは、疲労感に抗ってシャワーで不快な汚れを洗い流していく。
 膣内にたっぷりと出された精液も出来る限り掻き出すのも忘れない。その際に甘い声が溢れてしまって、泣きそうになった。
 シャワーを終えれば髪を乾かすのも忘れて、裸のまま安物のベッドに倒れ込む。ピルだけは口に放り込み、シーツにくるまっていく。

(ねむ、い……)

 すぐにでも意識を失いそうなほどに疲弊しきっていた。
 それでもロゼは中々眠りにつけない。目を閉じて少しでも休息をとろうとしても、嫌なことばかり思い出してしまう。

「う、くぅ……ひぐっ……」

 ロゼは嗚咽を漏らしながら、身体を丸めた。鉄面皮に隠していたものが少しずつ溢れていく。
 気持ち悪い。上官も、この軍の連中も、こんな国も、こんな世界も大嫌い。
 レイが羨ましい。レイが憎い。そして醜い感情をレイに向ける自分が大嫌い。
 なのに死にたくない。死ぬのが怖い。死なないために価値を示し続けなければならない。

「う、ぇ……おえっ……」

 思考が畳み掛けるように回り、何も入っていないはずの胃の中身が逆流しそうになる。しかしそれも一瞬のこと。
 ロゼはゆっくりと目を開き、天井を見つめた。

「……ロゼは、勝ちます」

 ポツリと呟いた言葉。
 しかしそれ以上は何も言わず、眠りにつく。
 自分専用の閃刀兵器。それさえあれば何かが変わるはず。レイを討ち取れば、勝利をおさめれば、この地獄も終わるはず。
 それが酷く都合の良い自分勝手なものなのを自覚しつつ、ロゼは眠りのなかに逃避していくことしかできなかった。



 ロゼは知らない。
 ロゼ専用の閃刀兵器――閃刀姫−ジークは、閃刀姫と呼ぶにはあまりにも烏滸がましい代物であることを。
 ロゼ自身の全てを燃料として稼働する鉄の棺であることを。
 そして、その先にあるものが、破滅なのか救済なのかを彼女はまだ知らない。

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