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作者:せきつ生花
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prev:序章

「うぅ……暗いです……怖いです……皆の所に帰りたいよぉ……」

 泣きべそをかきながら通路を進むキトカロス。瞳から零れた雫が真珠となって通路にコトリコトリと落ちていく。だがいつまでもくよくよしてられる場合じゃない。

「うぅ……私ったらなんて弱虫なんでしょう。こんなのじゃ皆に会わせる顔がありません……!(ペチペチッ!)気をしっかり持つのです!私は誇り高き人魚姫!悪い人達に負けるわけにはいきません!それに誰かが襲ってきても私にはこの剣がありますから……!」

 キトカロスは自身の剣をギュッと握りしめ、自身を励ます。そんな彼女の姿を物陰から見つめる影があった。



「おい姉ちゃん、アンタ新入りだろ?」

 鉄製の鎧兜に身を包んだ兵士がキトカロスへと話しかける。

「は、はい!……貴方は?」

「へへっ!俺はこの牢獄である仕事を仰せつかってる者でね……すまないが俺の仕事に協力してくれや……!」

 直後、兵士は間合いを詰めキトカロスの真正面に立った。荒い鼻息と好色に満ちた目線がキトカロスの肢体をなめ回す。

「きゅ、急になんなんですか貴方は!離れてください!」

 剣をブンブンと振り回し、兵士を遠ざけようとするキトカロス。だが兵士はキトカロスの腕を掴みその動きを封じる。

「……っ!離してっ!」

「おおっといけねぇなぁ?こんな所で剣を振り回しちゃダメだぜ?これは押収させてもらう!」

 兵士は慣れた手つきでキトカロスから剣を取り上げた。

「ほほう?いい剣じゃねぇか」

「返してください!」

 剣を取り戻そうと飛びかかるキトカロス。だが兵士はキトカロスの背後に回り込み、この体にギュッと抱きついた。

「きゃあっ!」

「ボディーチェックの時間だ。協力してくれよ?」

「やめてっ!離してっ!」

 キトカロスは必死に暴れるが兵士は密着したまま全く離れない。ドレスの下に手を滑り込ませ、何か危険物を隠し持ってないかを入念にチェックしていく。

「うおおっ!なんて乳してやがる!これは中に何か隠し持ってないか調べんとなぁ!」

「いやあああっ!」

 ドレス下の肢体を撫で回され続けるキトカロス。手が触れた箇所から走るゾワゾワとした嫌悪感に身を震わせながらも、小一時間にわたって行われる兵士によるボディーチェックに抵抗する術はなかった。



「ボディーチェック完了だ」

「はぁ…はぁ…あうぅ…」 

 ぐったりと通路に横たわるキトカロス。当たり一面に転がり落ちて真珠はその行為の激しさと屈辱を暗に示していた。

「この剣は押収してくぜ。これからよろしくなぁ」

「ま、まってぇ……」

 剣を片手に通路を進んでいく兵士の背を、キトカロスは涙ながらに眺めることしかできなかった。

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