最終更新:ID:EFed4ncmMQ 2022年06月17日(金) 01:38:54履歴
作者:せきつ生花
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もしよろしければ先にこちらの方をお読みください
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「それでお婆さんの荷物を運んであげたらそのお礼にご馳走になっちゃいまして」
「そう、よかったじゃない。街の人達とは仲良くできそうね」
「はい!龍仙女さんに言われた通り、街の人を助けて助けて助けまくってますから!」
ニカッと笑う拳僧。龍仙女はやれやれと言った風に微笑む。
「それよりも問題は龍仙女さんの方ですよ。あの領主に何か変なことをされてませんか?」
「大丈夫よ。昨日は果物をご馳走になっただけだし……」
「ここだけの話、街の人からは悪い噂しか耳にしませんよ?龍仙女さんの身に何かあったら……」
「あのねぇ……」
「いだだだだだっ!?」
龍仙女は拳僧の頬をつねる。
「貴方が私を心配するなんて100年早いの。少しは姉弟子のことを信用なさい」
「はははいい!信用してまふ……!」
「ねぇ、お兄さんとお姉さんはどーいうかんけいなの?」
活発な服装に身を包んだ少女がそんな質問を投げかけながら二人に駆け寄る。その後ろにはもじもじとした少女がついていた。
「私とこのお兄さんは一緒の師匠につかえる弟子なの。私が姉弟子でこのお兄さんが弟弟子」
「あねでし?おとうとでし?……ってことはきょうだいだよね!?」
「うーん……それはちょっと違うかな……」
「えー!ざんねーん」
「なんでそんなことを気にしてるの?」
今度は龍仙女は質問を投げかけた。活発な少女は後ろの少女を指さし、こう答える。
「この子とね、しょーぶしてたの!あのお兄さんとお姉さんはどーいうかんけいかな?って!わたしは『きょうだい』、この子は『こいびと』ってよそうしてたんだよ!でも二人ともちがってたみたいでざんねんだなー」
「ふ、ふーん……そ、そういう詮索はお姉さんよくないと思うなー……」
龍仙女の声は少しだけ動揺の色が混じっていた。
「来たか」
「はい……」
龍仙女は再び領主の私室へと呼び出された。
「昨日は結局本題の話ができなかったからな。私達には話さねばならぬことが山ほどある」
「……であればこの場所でなくてもよろしいのではないでしょうか……?」
「公にしたくない話もあるのでな……」
領主は蝋燭の横に炭のようなものを置き、それにも火を灯す。毒々しい色をした煙が上っていき、部屋の天井に広がっていく。換気できる窓はどこにもない。
「ここだけの話、私はそなたらを助けたいと思っておるのだ」
「助けたい……?」
「そうだ。側近達の間では鬼神の責を負わせるためにそなたらを処刑するという話まで上がっておる」
「なっ!?」
「だが私としてはそれは避けたい。この書簡を読んだ限り、そなたらには何の罪もないからな」
領主は懐から書簡を取り出す。それはこの街を訪れる前に龍仙女が領主へと宛てたものだった。
「故に、この場所で話をつけることにしたのだ。何か不審に思わせてしまったのであれば謝ろう」
「いえ、そのお心遣いに感謝いたします」
恭しく頭を下げる龍仙女。その頬を一筋の汗が横切った。
「さて、前提を共有し終わったところで本題に移ろう。私は領主として建前上そなたらの責を問う必要があるのでな。事態終止のためにできればそなたらのことについても知りたい。話してもらえるかな」
「はい、わかりました」
二人はベッド前に設置された机に向かい合う形で席に着く。そして事のあらましを話し始めるのだった。
「そうか……大事な師が邪龍に囚われてしまったと……それは気の毒であったな」
「はい……」
「闇に囚われた師を取り戻す……か。それは難しいな。周囲の者達が納得せんだろう」
「……」
俯く龍仙女。領主は話を続けた。
「仮に師を正気に戻したとして、全てが万事解決とはいくまい。鬼神により多くの者が被害を受けた。失われたものは戻ってこないが、それでも報いを受けさせろという声は数多く上がるだろう。そうなれば当然、そなたらの師は処刑される」
「……」
「賢明なそなたのことだ。それくらいはわかっておるのだろう?」
「……はい」
龍仙女の顔色は暗かった。頭ではわかっていたが、実際に突きつけられれば相応に堪える。眼は潤み、肩を震わせながらも、その事実と向かい合おうとしていた。
「……一旦話を止めよう。今のそなたには重すぎる話であったな」
「いえ……当然の帰結ですから……覚悟を決めていましたから……グスッ…」
悲しみや不安を圧し殺す様に静かに泣く龍仙女。領主は席を立ち、そんな彼女の背後へと回り込んだ。
「随分と汗をかいておるな。私が拭いてやろう」
「い、いえ、大丈夫で……ひっ!?」
龍仙女が断る前に、領主はふわふわとした布で彼女の汗を拭い始めた。
「や、やめてください…っ!」
「まあ聞け。公にはできぬ大事な話なのだ。まあ、独り言だと思って聞いてくれ」
「え……?」
領主は龍仙女の汗を拭い取りながら、言葉を続ける。
「ここだけの話だが、師の処刑を取り下げられるよう私がそなたらの後ろ盾となってやってもいいぞ?」
「ぁ…くっ……ほ、本当ですか?」
「ああ、力になろうとも。もちろんこちらから条件は提示させてもらうし、絶対に処刑を取り下げられるという保証はできんがな……」
「はぁ……あっ!……こ、心強いです……ひぅ……!」
領主の手は、顔から首へ、そしてさらに下の方へと徐々に徐々に進んでいく。龍仙女はそれを察知してはいた。だが、今それを指摘すれば領主からの協力を得られないのではないかという疑念が頭をよぎり、抵抗できずにいた。
「はぁ……あうぅ……じょ、条件とは……い、一体なんでしょうか……?んっ……!」
布越しに領主の手が龍仙女の胸元を一撫でする。反射的に振り上げようとした腕を、龍仙女は理性で必死に抑えた。
「簡単なことだ。そなたら天威流の力を我が国の戦力として加えさせてほしい。我が国の軍に手解きをし、有事の際には我が国の戦力として戦に加勢するのだ」
「なっ……あうっ!?」
領主の腕が装束の下にまで入り込んできた。グリグリと乳房を撫で回すその感触に、龍仙女は身震いする。
「……そんなことは…できませんっ!て、天威流は、そのようなあ、あんっ…あ、争い事に…加わるためのも…ものではありません…から…っ!たとえ師がっ……しょ、処刑されることになろうとも……それだけは……ああっ!……認められません……んんぅ…ッ!」
龍仙女の装束がズルリと落とされ、上半身がさらけ出される。彼女はそれを隠すことさえ叶わず、領主の手にされるがままだ。
「ではこちらが要請した標的の暗殺依頼を請け負ってもらうというのはどうだ?」
「はぁ、はぁ……むり…です…っ!」
領主からの提案を拒否する龍仙女。時の権力者達に争いの道具として使われることは天威流の流儀に反している。たとえ師の処刑でも天秤にかけられるものではなかった。
「そうか……ならば……」
「はぁ、はぁ……ぁんん……あうぅ……」
豊満な乳房を下から押し上げるように撫で上げられる。張りと弾力に富んだその乳房は、下から支える手が離れた瞬間、ぶるんぶるんと激しく揺れ動きながら元の形を取り戻していく。
「んああッ!……あっ!あっ!ああっ!」
(どうせ天威流を争いの道具として使うような提案をされ続けるなら……こんな責め苦を受けなくても……)
龍仙女が領主の腕を払い除けようと決心したその時だった。
「そなたを私の妾として迎え入れるというのはどうだ?」
「えっ……!?」
領主からの意外な提案に龍仙女の思考が一瞬止まった。だが領主の手は止まらない。臍の周りを撫で回し、さらにその下の方へと徐々に侵食していく。
「い゛ッ……!?」
龍仙女の身体がビクリと跳ねた。領主の腕が秘所の周りを弄り始めたのだ。
「あッ!あッ!あッ!や、やめッ!そこは、そこはあああッ!!!」
「どうした?私の妾になるのは嫌か?」
思考が快楽に侵蝕されていく中、龍仙女は必死に思考を巡らせた。
(りょ、領主様のこの提案は……私が妾になるだけで師匠が助かるのなら……)
「どうした?答えられないのか?」
領主は責めの手を緩めない。龍仙女から望みの言葉を聞き出すまでは続けるつもりだ。
「な……っ!な、な……なりま……」
『ねぇ、お兄さんとお姉さんはどーいうかんけいなの?』
不意に、龍仙女の頭の中であの少女の言葉が鳴り響いた。
その言葉と共に脳裏に蘇るのは、放っておけない弟弟子の姿、ニカッと笑う弟弟子の姿、共に師匠を取り戻すと誓った弟弟子の姿、大好きな大好きな……
「あ……ああ……ッ!」
(言えない……言えないよ……言いたくないよ……っ!領主様の妾にしてくださいなんて言えない……っ!だって私には……)
「んんッ!…んぅ〜ッ!」
(でもこのお誘いを断ったら師匠が……師匠が……)
「どうした?急に何も言わなくなったじゃないか」
領主は尚も龍仙女を責め続ける。既に布は汗と汁でグショグショになっていた。
(流石にこれで身体を拭くと言い訳し続けるのはいささか苦しいか?……仕方ない。今日のところはこれで終わりにするか)
領主はグショ濡れの布を脇に放り、龍仙女の向かいに再び腰を下ろした。
「最後に返事くらいはしてほしいものだな?正直に言ったらどうだ?あくまで私はそなたの意思を尊重するぞ。少なくとも……今はな」
龍仙女の目は虚ろだった。長時間に渡って責められ続け、何度も何度もイカされ続けた彼女は、今尚もビクビクと身体を震わせ続ける。数刻息を整えた後、龍仙女はゆっくりと口を開いた。
「考えさせてください……考えるお時間を……私にください……」
龍仙女は目尻から涙を溢れさせる。それは胸中の葛藤を現してるかのようだった。
「そうか……それでいい。急に受け入れられるものでもないだろう。存分に考えてくれ。明日もまたこの部屋で待っておるぞ」
「はい……感謝いたします……」
龍仙女ははだけた装束をどうにか着直しし、部屋から退出していった。よろよろと歩むその後ろ姿を眺めつつ、領主は静かに息を吐く。
「今日も耐えたか……思っていたよりも遥かにしぶといな……」
蝋燭の火を吹き消し、炭に水を注ぐ。どちらも媚薬として一級品の効果を持つ代物であったが、龍仙女は耐え切った。
「だがそれでいい。耐え忍べば耐え忍ぶほど、堕とした時の味は格別なものとなろう……!」
脇に放った布を手に取り、杯の上で絞り上げる。盃に注がれたのは濃縮された龍仙女の汗と汁の結晶。
領主は杯を揺らして楽しんだ後、それを一気に飲み干した。
「龍仙女よ……そなたはいずれ私のものとなるのだ……!」
「ん……っ!」
屋敷の客室で龍仙女は自身の身体を拭いていた。それは浴室で領主と鉢合わせしたくないがゆえの判断だった。
「……っ!」
ピクリと身体を震わせる。未だに快楽の余韻が残っているのか、龍仙女の皮膚は非常に敏感になっていた。
「少し風に当たりましょう……」
龍仙女は部屋の窓を開け放った。涼しい風が彼女の火照った身体を徐々に徐々に冷ましていく。
「あっ……」
階下の景色、夕焼けの街並みの中に見つけたのは弟弟子の姿。両手にたくさんの荷物、背中に見知らぬ老婆を乗せ、道案内されながら街の雑踏の中を行く。
(きっと私がいなくても拳僧くんはやっていけるでしょうね……)
両手で頬杖をつきながら、龍仙女は拳僧を目で追い続ける。指先に感じた仄かな湿り気。その時初めて己が涙を流していることに気づいた。
「……ッ!」
叫びたい。気づいてほしい。抱き締めてほしい。連れ出してほしい。
心の内に暴れ狂う情動に任せて、この場から飛び降りてしまいたかった。
だが、龍仙女は踏み留まった。窓の縁に手を残したままうずくまる。
「うっ……くぅ……」
日が沈み、夜の帳が下ろされる。
龍仙女は声を圧し殺しながら静かに涙を流し続けるのだった。
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「それでお婆さんの荷物を運んであげたらそのお礼にご馳走になっちゃいまして」
「そう、よかったじゃない。街の人達とは仲良くできそうね」
「はい!龍仙女さんに言われた通り、街の人を助けて助けて助けまくってますから!」
ニカッと笑う拳僧。龍仙女はやれやれと言った風に微笑む。
「それよりも問題は龍仙女さんの方ですよ。あの領主に何か変なことをされてませんか?」
「大丈夫よ。昨日は果物をご馳走になっただけだし……」
「ここだけの話、街の人からは悪い噂しか耳にしませんよ?龍仙女さんの身に何かあったら……」
「あのねぇ……」
「いだだだだだっ!?」
龍仙女は拳僧の頬をつねる。
「貴方が私を心配するなんて100年早いの。少しは姉弟子のことを信用なさい」
「はははいい!信用してまふ……!」
「ねぇ、お兄さんとお姉さんはどーいうかんけいなの?」
活発な服装に身を包んだ少女がそんな質問を投げかけながら二人に駆け寄る。その後ろにはもじもじとした少女がついていた。
「私とこのお兄さんは一緒の師匠につかえる弟子なの。私が姉弟子でこのお兄さんが弟弟子」
「あねでし?おとうとでし?……ってことはきょうだいだよね!?」
「うーん……それはちょっと違うかな……」
「えー!ざんねーん」
「なんでそんなことを気にしてるの?」
今度は龍仙女は質問を投げかけた。活発な少女は後ろの少女を指さし、こう答える。
「この子とね、しょーぶしてたの!あのお兄さんとお姉さんはどーいうかんけいかな?って!わたしは『きょうだい』、この子は『こいびと』ってよそうしてたんだよ!でも二人ともちがってたみたいでざんねんだなー」
「ふ、ふーん……そ、そういう詮索はお姉さんよくないと思うなー……」
龍仙女の声は少しだけ動揺の色が混じっていた。
「来たか」
「はい……」
龍仙女は再び領主の私室へと呼び出された。
「昨日は結局本題の話ができなかったからな。私達には話さねばならぬことが山ほどある」
「……であればこの場所でなくてもよろしいのではないでしょうか……?」
「公にしたくない話もあるのでな……」
領主は蝋燭の横に炭のようなものを置き、それにも火を灯す。毒々しい色をした煙が上っていき、部屋の天井に広がっていく。換気できる窓はどこにもない。
「ここだけの話、私はそなたらを助けたいと思っておるのだ」
「助けたい……?」
「そうだ。側近達の間では鬼神の責を負わせるためにそなたらを処刑するという話まで上がっておる」
「なっ!?」
「だが私としてはそれは避けたい。この書簡を読んだ限り、そなたらには何の罪もないからな」
領主は懐から書簡を取り出す。それはこの街を訪れる前に龍仙女が領主へと宛てたものだった。
「故に、この場所で話をつけることにしたのだ。何か不審に思わせてしまったのであれば謝ろう」
「いえ、そのお心遣いに感謝いたします」
恭しく頭を下げる龍仙女。その頬を一筋の汗が横切った。
「さて、前提を共有し終わったところで本題に移ろう。私は領主として建前上そなたらの責を問う必要があるのでな。事態終止のためにできればそなたらのことについても知りたい。話してもらえるかな」
「はい、わかりました」
二人はベッド前に設置された机に向かい合う形で席に着く。そして事のあらましを話し始めるのだった。
「そうか……大事な師が邪龍に囚われてしまったと……それは気の毒であったな」
「はい……」
「闇に囚われた師を取り戻す……か。それは難しいな。周囲の者達が納得せんだろう」
「……」
俯く龍仙女。領主は話を続けた。
「仮に師を正気に戻したとして、全てが万事解決とはいくまい。鬼神により多くの者が被害を受けた。失われたものは戻ってこないが、それでも報いを受けさせろという声は数多く上がるだろう。そうなれば当然、そなたらの師は処刑される」
「……」
「賢明なそなたのことだ。それくらいはわかっておるのだろう?」
「……はい」
龍仙女の顔色は暗かった。頭ではわかっていたが、実際に突きつけられれば相応に堪える。眼は潤み、肩を震わせながらも、その事実と向かい合おうとしていた。
「……一旦話を止めよう。今のそなたには重すぎる話であったな」
「いえ……当然の帰結ですから……覚悟を決めていましたから……グスッ…」
悲しみや不安を圧し殺す様に静かに泣く龍仙女。領主は席を立ち、そんな彼女の背後へと回り込んだ。
「随分と汗をかいておるな。私が拭いてやろう」
「い、いえ、大丈夫で……ひっ!?」
龍仙女が断る前に、領主はふわふわとした布で彼女の汗を拭い始めた。
「や、やめてください…っ!」
「まあ聞け。公にはできぬ大事な話なのだ。まあ、独り言だと思って聞いてくれ」
「え……?」
領主は龍仙女の汗を拭い取りながら、言葉を続ける。
「ここだけの話だが、師の処刑を取り下げられるよう私がそなたらの後ろ盾となってやってもいいぞ?」
「ぁ…くっ……ほ、本当ですか?」
「ああ、力になろうとも。もちろんこちらから条件は提示させてもらうし、絶対に処刑を取り下げられるという保証はできんがな……」
「はぁ……あっ!……こ、心強いです……ひぅ……!」
領主の手は、顔から首へ、そしてさらに下の方へと徐々に徐々に進んでいく。龍仙女はそれを察知してはいた。だが、今それを指摘すれば領主からの協力を得られないのではないかという疑念が頭をよぎり、抵抗できずにいた。
「はぁ……あうぅ……じょ、条件とは……い、一体なんでしょうか……?んっ……!」
布越しに領主の手が龍仙女の胸元を一撫でする。反射的に振り上げようとした腕を、龍仙女は理性で必死に抑えた。
「簡単なことだ。そなたら天威流の力を我が国の戦力として加えさせてほしい。我が国の軍に手解きをし、有事の際には我が国の戦力として戦に加勢するのだ」
「なっ……あうっ!?」
領主の腕が装束の下にまで入り込んできた。グリグリと乳房を撫で回すその感触に、龍仙女は身震いする。
「……そんなことは…できませんっ!て、天威流は、そのようなあ、あんっ…あ、争い事に…加わるためのも…ものではありません…から…っ!たとえ師がっ……しょ、処刑されることになろうとも……それだけは……ああっ!……認められません……んんぅ…ッ!」
龍仙女の装束がズルリと落とされ、上半身がさらけ出される。彼女はそれを隠すことさえ叶わず、領主の手にされるがままだ。
「ではこちらが要請した標的の暗殺依頼を請け負ってもらうというのはどうだ?」
「はぁ、はぁ……むり…です…っ!」
領主からの提案を拒否する龍仙女。時の権力者達に争いの道具として使われることは天威流の流儀に反している。たとえ師の処刑でも天秤にかけられるものではなかった。
「そうか……ならば……」
「はぁ、はぁ……ぁんん……あうぅ……」
豊満な乳房を下から押し上げるように撫で上げられる。張りと弾力に富んだその乳房は、下から支える手が離れた瞬間、ぶるんぶるんと激しく揺れ動きながら元の形を取り戻していく。
「んああッ!……あっ!あっ!ああっ!」
(どうせ天威流を争いの道具として使うような提案をされ続けるなら……こんな責め苦を受けなくても……)
龍仙女が領主の腕を払い除けようと決心したその時だった。
「そなたを私の妾として迎え入れるというのはどうだ?」
「えっ……!?」
領主からの意外な提案に龍仙女の思考が一瞬止まった。だが領主の手は止まらない。臍の周りを撫で回し、さらにその下の方へと徐々に侵食していく。
「い゛ッ……!?」
龍仙女の身体がビクリと跳ねた。領主の腕が秘所の周りを弄り始めたのだ。
「あッ!あッ!あッ!や、やめッ!そこは、そこはあああッ!!!」
「どうした?私の妾になるのは嫌か?」
思考が快楽に侵蝕されていく中、龍仙女は必死に思考を巡らせた。
(りょ、領主様のこの提案は……私が妾になるだけで師匠が助かるのなら……)
「どうした?答えられないのか?」
領主は責めの手を緩めない。龍仙女から望みの言葉を聞き出すまでは続けるつもりだ。
「な……っ!な、な……なりま……」
『ねぇ、お兄さんとお姉さんはどーいうかんけいなの?』
不意に、龍仙女の頭の中であの少女の言葉が鳴り響いた。
その言葉と共に脳裏に蘇るのは、放っておけない弟弟子の姿、ニカッと笑う弟弟子の姿、共に師匠を取り戻すと誓った弟弟子の姿、大好きな大好きな……
「あ……ああ……ッ!」
(言えない……言えないよ……言いたくないよ……っ!領主様の妾にしてくださいなんて言えない……っ!だって私には……)
「んんッ!…んぅ〜ッ!」
(でもこのお誘いを断ったら師匠が……師匠が……)
「どうした?急に何も言わなくなったじゃないか」
領主は尚も龍仙女を責め続ける。既に布は汗と汁でグショグショになっていた。
(流石にこれで身体を拭くと言い訳し続けるのはいささか苦しいか?……仕方ない。今日のところはこれで終わりにするか)
領主はグショ濡れの布を脇に放り、龍仙女の向かいに再び腰を下ろした。
「最後に返事くらいはしてほしいものだな?正直に言ったらどうだ?あくまで私はそなたの意思を尊重するぞ。少なくとも……今はな」
龍仙女の目は虚ろだった。長時間に渡って責められ続け、何度も何度もイカされ続けた彼女は、今尚もビクビクと身体を震わせ続ける。数刻息を整えた後、龍仙女はゆっくりと口を開いた。
「考えさせてください……考えるお時間を……私にください……」
龍仙女は目尻から涙を溢れさせる。それは胸中の葛藤を現してるかのようだった。
「そうか……それでいい。急に受け入れられるものでもないだろう。存分に考えてくれ。明日もまたこの部屋で待っておるぞ」
「はい……感謝いたします……」
龍仙女ははだけた装束をどうにか着直しし、部屋から退出していった。よろよろと歩むその後ろ姿を眺めつつ、領主は静かに息を吐く。
「今日も耐えたか……思っていたよりも遥かにしぶといな……」
蝋燭の火を吹き消し、炭に水を注ぐ。どちらも媚薬として一級品の効果を持つ代物であったが、龍仙女は耐え切った。
「だがそれでいい。耐え忍べば耐え忍ぶほど、堕とした時の味は格別なものとなろう……!」
脇に放った布を手に取り、杯の上で絞り上げる。盃に注がれたのは濃縮された龍仙女の汗と汁の結晶。
領主は杯を揺らして楽しんだ後、それを一気に飲み干した。
「龍仙女よ……そなたはいずれ私のものとなるのだ……!」
「ん……っ!」
屋敷の客室で龍仙女は自身の身体を拭いていた。それは浴室で領主と鉢合わせしたくないがゆえの判断だった。
「……っ!」
ピクリと身体を震わせる。未だに快楽の余韻が残っているのか、龍仙女の皮膚は非常に敏感になっていた。
「少し風に当たりましょう……」
龍仙女は部屋の窓を開け放った。涼しい風が彼女の火照った身体を徐々に徐々に冷ましていく。
「あっ……」
階下の景色、夕焼けの街並みの中に見つけたのは弟弟子の姿。両手にたくさんの荷物、背中に見知らぬ老婆を乗せ、道案内されながら街の雑踏の中を行く。
(きっと私がいなくても拳僧くんはやっていけるでしょうね……)
両手で頬杖をつきながら、龍仙女は拳僧を目で追い続ける。指先に感じた仄かな湿り気。その時初めて己が涙を流していることに気づいた。
「……ッ!」
叫びたい。気づいてほしい。抱き締めてほしい。連れ出してほしい。
心の内に暴れ狂う情動に任せて、この場から飛び降りてしまいたかった。
だが、龍仙女は踏み留まった。窓の縁に手を残したままうずくまる。
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