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作者:せきつ生花
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 かつて相剣師達が治めていた大霊峰。
 そこには未だに周知されていない隠れ家のような場がいたるところに存在していた。

「ここは私しか知らない秘密の隠れ家です」
 霊峰の奥地に聳え立つ大樹。その麓にある虚へと莫邪は案内する。

「ここなら誰にもバレません……だから大丈夫ですよ?」
 こちらへと振り返った莫邪に腕を捕まれ虚の奥へ引っ張られていく。虚の中は思っていたよりも広く、そして暗い。

「確かここに……ありました」
 カチッカチッ……そんな音が反響した後、虚の中に灯りがともった。行灯の灯りは大樹の色とも相まって温かな雰囲気を醸し出す。

 素敵な場所だ……素直に思ったことを口に出そうとし、止める。莫邪はぼんやりとした様子で目を瞑り物思いに耽っているように見えた。まるで見えない何かを見上げているかのようで……

「……あっ!もうしわけありません!貴方がいるのにこんな……」
 俯く莫邪。己を責めているかのような彼女の頭を撫で、大丈夫だと伝える。彼女はその手を自分の頬へと持っていき、頬を擦り合わせ呟いた。

「暖かい……」

 どれ程の時間そうしていたのだろう?
 莫邪はその間、ずっと頬で掌の温度を感じ続けた。
 それはまるでこちらの存在を確かめるかのように。
 他に誰もいないと自分に言い聞かせるかのように。

「お待たせしてもうしわけありません。もう大丈夫ですよ」
 本当に大丈夫かと問う。無理しなくてもいい。あくまで莫邪の心が最優先だと。

 そんな問いに彼女はこう答えるのだった。

「大丈夫です。私の相に貴方を刻ませて下さい」

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「ん…ん…んん……」
 薄布越しに互いの舌を触れ合わせる。
 互いの舌は決して交わることはない。正直もどかしくないと言えば嘘になる。だがそれでも続ける。互いの舌の温度を感じ合う。

 これほど親しい間柄になっても莫邪は己の身体を覆う薄布の下を見せようとはしない。むしろ親しくなるほどにその下を見せることを嫌がった。彼女がそう望むならそれでいい。

「んん…ん………ふぅ……」
 とろりと蕩けた目で莫邪が見つめてくる。頬を撫でると少し擽ったそうにしながら、その掌に頬を擦り擦りと寄せてくる。いつもの怜悧な彼女からは想像もできないほどに愛らしい反応に思わず心を奪われた。


「ひゃぅ……!」


 莫邪の甘い喘声が虚に反響する。腋と胸の間に手を添えると、それだけで彼女の身体はひくひくと全体を震わせた。

 莫邪の反応は薄布越しとは思えないほどに敏感だ。それは長年の厳しい鍛練の末に獲得した感覚の冴えか、それともまだ別のことに起因するものなのか。

「んんぅ……もっと……ちゃんと触ってくれてもいいんですよ?」
 莫邪は肩から着物を下ろし、その綺麗な上体を露にする。首をほんの少しだけ傾げてこちらを蠱惑するかのような上目遣いで迫る。

「ほら…きてください。……ずっとこうしてると少し寒いんですよ?」

 心の中で理性のたがが外れる音がした。



 気がつくと彼女を壁に押さえつけ、その胸を鷲掴みにし、その首筋に吸いついていた。

「んゃ!ゃめぇ……んりゅぅ……うぅんっ!」

 莫邪の目を見る。いつもの凛とした目でも先程の蕩けた目でもない。涙で潤み、怯えの色に染まった目だ。

 急いで莫邪の身体から離れた。理性の抑えを失くし、獣性のままに彼女の身体を貪ってしまったことに対する激しい罪悪感と後悔、そして自身への嫌悪の念が押し寄せる。頭を地面に擦り付け、彼女に謝罪する。

「はぁ…はぁ……あ…あやまるのは私の方です。もうしわけありません。挑発してしまったのは私なんですから……顔を上げてください」

 言われた通りに顔を上げる。すぐ近くに莫邪の顔があった。行灯の光は彼女の向こう側。暗がりと逆光で彼女の顔はよく見えない。だけどそれはいつも見る顔とは少し違うもののように……


「んちゅ……」


 唇に感じたのは薄布越しとは違う生の感触。いつもより少しだけ柔らかで、いつもより少しだけしっとりしていて、いつもより少しだけ温かな……そんな感触。

 互いの唇が離れるとすぐに莫邪は薄布で顔を隠す。

「少しだけ……ほんの少しだけ頑張りました!ふふっ!」

 彼女らしからぬ大袈裟な身振り、彼女らしからぬ上ずった声音。黒い薄布越しでもその顔が真っ赤なのは手に取るように分かるのだった。


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