最終更新:ID:04e79N3ebA 2023年08月19日(土) 20:41:58履歴
「獲物の事をちゃんと調べないなんて、人間って思ったより馬鹿なんだね」
ある日の夜、僕は与えられた庭の一角で死体を見下ろして呟いた。
僕を買った男が死んで、その娘は命を狙われた。その子は僕の所に駆け込んで来て、匿って欲しいと頼んできた。彼女とはよく話してたから気まぐれで助けようしたのだけど、そいつらが僕まで殺そうとするから締め上げてしまった。
「適当に処理しちゃえ」
植物が生えた花壇に死体を放り投げ、隠れていたお嬢様に声をかける。
「出てきていいよ」
植物の陰から出てきた彼女の顔色は悪く、今の出来事がショックだった事が分かる。
座り込んでしまった彼女に近寄り、かがんで視線を合わせる。
「酷い顔だね、お母様に裏切られた事がよっぽどショックだったんだ?」
蟲惑魔である僕に人間の気持ちなんて分からない。かなり失礼な事を言ったはずだが彼女は頷くだけだった。
「それでどうするんだい?ここから逃げる?」
これで逃げるところを襲ったらどうなるだろう、人間に買われた時は生まれを呪ったけど自由になれるなんて運が良いな僕は。
なんて考えながら彼女の返事を待っていると予想外の言葉が返ってきた。
「抱いて欲しい?本気で言ってるのかい?」
貴方は蟲惑魔でしょう、と言われ僕は笑ってしまった。
「くくっ、あはははは!おかしくなった?そこまで知ってて頼むんだ!」
でもまぁ、悪くないな。この綺麗なお嬢様は美味しそうだし、食前の準備運動に犯しても楽しめそうだ。
「僕は構わないよ、断る理由も無いし」
彼女に背を向けて歩き、自分の植物部分を置いた花壇の上に座る。
「その気があるならここまでどうぞ?」
逃げてもこの範囲内なら蔦で捕まえられる。どうするか楽しみにしていると、そのお嬢様は服も下着も脱いでまっすぐ花壇に上ってきた。
「いらっしゃい、楽しんでくれると嬉しいな」
彼女を引き寄せ、唇を奪う。口内に舌を入れて歯茎の表から裏まで舐め回し、互いの舌を絡めて蜜を送り込む。
「気分はどうかな?」
彼女の背後に回って耳元で囁く。送り込んだ蜜で獲物を発情させて搾り尽くす、蟲惑魔の生態を知ってるなら驚きもしないだろう。
お嬢様の顔が赤くなり、呼吸が荒くなる。しっかり効いているらしい。
「どこを触って欲しい?」
片手を身体に絡めて固定しながら耳を甘噛みし、もう片方の手で腋の下から腰まで指を滑らせる。
好きにして、と返事をされたのでそうする事にした。
「なら順番に行こうか。まずはこの胸から」
自分と同じくらいだろうか、手のひらより少し大きい胸を下から持ち上げるように揉む。
「気持ち良いかな?うんうん、ならこうして……」
お嬢様は喘ぎ声を抑える事もせず快楽を傍受していく。しばらく揉んで、今度は指先で乳輪をなぞる。
「緩く刺激してあげる」
何周も指先を回し、乳首が勃つのを確認する。
「身体が気持ち良いって主張してるのが分かるかい?」
こくこくと頷く彼女に気を良くした僕は、更に言葉を続けて手を動かす。
「ここ、潰したらどうなるかな」
片方の指先で乳首を潰し、ぐりぐりと刺激する。
注意が逸れている内にそのままもう片方の乳首をつねり上げた。
すると彼女は小さく叫び、身体を震わせる。
「イッちゃったかな?」
彼女の口から涎が垂れ、股間からはじょろじょろと音がする。気持ち良すぎてお漏らしまでしたらしい。
「そんなに良かったんだね」
彼女の背を植物に預け、今度は向かい合うように座る。股間に手をやるとそこは先程出した水とは違うもので濡れていた。
「もうこんなにして、いやらしいお嬢様だね?」
中指でその割れ目を上から下までなぞり、往復させる。粘り気のある液体が絡んでいく。
恥ずかしいから言わないで、と言う彼女が可愛くて僕は動きを止めずに言葉を紡ぐ。
「ちゃんと教えてくれないと分からないな」
指の動きを遅くする。するとお嬢様は慌てて叫ぶように気持ちいいです、と返してくれた。
「良くできました」
つぷり、と中指を蜜壺に侵入させる。それだけで彼女の身体が跳ねて僕の指を締めつけた。
「まだまだしたい事はあるのに、先が思いやられるね」
中指を曲げて蜜壺の天井を撫でると、また身体が跳ねる。その様子が面白くて、今度は天井に指を触れさせて手を前後に動かしているとある場所で指を締める力が強くなる。
「ここかな?君の気持ちいい所、僕の指が擦ってるのが分かる?」
言葉も出ず、頷く事しか出来ないお嬢様を責めていく。途中で指を増やしてそこを重点的に刺激する。
またイきます、と言うのでそのままイかせてあげた。
ぷしゃりと音を上げて潮を吹く彼女。僕の腕がそれを浴びるが気にしない。
「良い感じに解れたね」
再びお嬢様の背後に回り、その背を自分の身体に預けさせる。息は更に荒くなり、そろそろ限界も見えて来た。
「これを挿れておしまいかな」
操る植物の蔦をお嬢様に見せて膣口に当てがう。
怯える様子もなく、ありがとうと感謝までされる。
「君、やっぱりおかしくなってるよ」
もう楽しむ必要も無いし、蔦を一気に押し込んだ。
何かを突き破る感触を覚えたがどうでもいい。
蔦が前後する度に彼女の身体が跳ね、命の灯火が消えていく。
「良いね、その顔。そそるよ」
快楽で溢れる涙と涎。それらを舌で掬い、口に運ぶ。最後に蔦を引き抜くと身体が一際大きく跳ね、彼女は脱力する。それを花壇に寝かせ、僕は座ったまま彼女を見下ろした。
ここまでの行為を思い返す。このお嬢様、素直で面白いし、反応も可愛い。食べるのは勿体無いな。
「ごめん、やっぱり食べるのはナシ。もう少しだけ楽しませてもらおうかな」
優しくキスをして先程とは違う、栄養のある蜜を送る。
彼女は既に寝息を立てており、穏やかな寝顔を月の光が照らしていた。
それから僕は屋敷に入って暮らし始めた。
彼女が僕の事をいたく気に入ったのもあるが、獲物から目を離したくなかったのもある。
外に出るのもついて行くことになったし、面倒だと思ったが付き合った。
幸い服はあの男が僕用のサイズを大量に揃えていたので不自由しないで済んだ。
中でもお嬢様のお気に入りは黒いスーツとネクタイ、白いシャツのセットだった。
カッコいいわ、とはしゃぐ彼女を見ているとめんどくさい着付けもまぁ良いかと思ってしまう。
食前の準備体操気分で交わっても、食べる気にはなれなくてこの生活が続いて行く。
いちいちお嬢様、と呼ぶのが面倒で最近はお嬢、と呼ぶようになった頃に僕の心を決める出来事が起こる。
「蟲惑魔の本?」
何冊かの本が僕の前に置かれた。
お父様の書斎から見つけて来たの、せっかくだから読みましょうと彼女は言った。
「結局あいつとは何もしなかったな」
本のページを適当にめくる。買われて嫌な顔をする僕を恐れもしなかったあの男。
呼ばない時は娘の話し相手にでもなってくれ、なんて言われたっけ。
「妻がいても愛玩用に他の女を買うんだ、そこに愛なんてあるのかな?」
分からないと返事をするお嬢。そうだねと生返事をしてページをめくり続けると、一つの項目が目に止まる。
「獲物に執着する蟲惑魔?」
どうしたの?と横からページを覗き込む彼女。2人でその項目を読んでいく。
『蟲惑魔が獲物を捕食する前の準備として性交を行うのは知られているが、時折それが終わっても獲物が喰われずキープされる事が確認されている。
やがて普通に会話するようになったり、自らの身体を好きにさせるようになっていく。
狙われた獲物は逃げる事は出来ないが、蟲惑魔と夫婦の様に暮らしていく。要観察案件』
「これって……」
まるで今の僕だ。獲物を喰おうとして、やめた。
彼女の為なら面倒な事なんて何も無いし、この身体を好きにさせても良いかなと思う。
ジーナ?と呼ぶお嬢の声で現実に引き戻される。
「ごめん、ちょっと考え事してた」
本のページをめくって誤魔化す。他に興味のある項目はなかった。
その日の夜、2人で眠る前にお嬢の髪を整えながら、昼に読んだ項目を思い出す。
人間の生き方は分からないけど、この子を愛しいと思う気持ちがそれなのだろうか?
名前を呼ばれたので返事をする。彼女の続けた言葉に僕は手を止めてしまった。
私の事をいつ食べてくれるの?
今はもうその気は失せて、共にありたいと願っている。
「お嬢」
震える声で返事をする。嫌だ、離れたくない。
言うしかない、言葉にしなければ分からないから。
「ごめん、もう君を食べる気は無いんだ」
彼女の手を取り、思うままに言葉を紡ぐ。
「あの夜、僕は確かにお嬢を食べようと思ったんだ。生かしておく理由も無かったしね」
お嬢は珍しいものを見るような目をしていた。それで?と続きを促してくる。
「素直で面白い、反応も可愛いからもう少し楽しもうって……それを続けて今日まで生かして来たんだ」
ちょっと酷くない?と抗議の声が上がる。
「そう思ってたんだ。今でも可愛いと思ってるのは嘘じゃないよ」
今度は笑顔になる彼女の事を見て、僕も笑顔になった。
「僕から離れないで、ずっと一緒に居て欲しい」
お嬢の手を握って返事を待つ。もし嫌だと言われたらどうしよう、その時は本当に食べるしかないかな。
彼女は良いわよ、と返事をして取った手を握り返してくれた。
「嬉しい。信じるよ、お嬢」
僕が言えた事ではないが口ではなんとでも言える。この子が逃げ出したりは……しないか。
けど不安になるな、確実な何かで繋ぎ留めたい。
だったらもっと気持ち良くして欲しい、と彼女に言われる。どうやら口に出ていたらしい。
「そんな事で良いならいくらでもしてあげるよ」
お嬢の服を脱がしていく。そういえば彼女に頼まれて抱くのはあの夜以来だ。
あの時とは違い、優しく唇を重ねる。ゆっくりと舌を入れ、お互いの舌を絡めていく。今まで感じたことのない空気が、2人の間を流れる。
(そういえば、今までは一方的にしてたっけ)
お嬢を壊すような責め手で快楽を与え、息が弱った所を食うつもりだったから気にした事がなかった。
(優しく責めるほうが好きなのかな)
舌を絡めたまま、股間に手を伸ばす。蜜壺に指が入るとお嬢の身体が震えた。普段とは違ってゆっくりとした動きでその天井を撫でる。
口を離し、意見を聞くことにした。
「優しくした方が良いかな」
力なく首を振る彼女。いつもみたいにして欲しいと言われた。
「いつも通り、ね」
手に力が入ってしまう。それはお嬢を壊しかねない動きをすると言うことだ。嫌な汗が背中に流れるのを感じる。
信じてるから、私を壊して。
彼女の言葉が僕の緊張を解く。今まで通りにすれば良いと言う励ましの言葉なのかもしれない。
「なら、楽しんでくれると嬉しいな」
音を鳴らし、お嬢の気持ち良い所を刺激する。
喘ぎ声が漏れ、開発された身体が絶頂し潮が腕にかかる。
もっと、もっと。その声に導かれるように僕は彼女を壊していく。
指を抜くといつものようにお嬢の背後に回る。
耳を甘噛みし、両手で胸を可愛がる。勃った乳首を指で刺激し、指先で潰して快楽の渦に突き落とす。
片手を離して胸から下腹部へ指を滑らせる。
再び股間に辿り着くと指先で淫核を探す。
「お嬢、気持ち良いかい?」
見つけてもわざと触れず、その周辺を指で撫でる。
息を荒くして黙るお嬢は、あの言葉を待ち望んでいるようだった。
「ちゃんと教えてくれないと分からないな」
指の動きを少し鈍くする。すると彼女は迷わず気持ち良いです、と答えてくれる。
「良くできました」
淫核を指で潰す。小さく悲鳴が上がり、身体が跳ねる。
そのまま指を蜜壺に滑り込ませ、再び急所を刺激する。
「気持ち良いのが続いてどうなってるか分からなくなってきたかな?」
返事はなく、指が動く度に身体が跳ねて潮が飛ぶ。そろそろ限界だ、最後に指を奥まで沈めて絶頂させた。
ジーナ。と僕の名前が呼ばれる。
「今夜はここまで、また明日ね」
指を引き抜いて身体を抱き寄せる。虚ろな瞳で僕の顔を見つめる彼女に優しくキスをする。
「おやすみ、お嬢」
優しく言葉をかけると彼女の瞼が閉じ、穏やかな寝息が聞こえてきた。
そのまま彼女を強く抱きしめて僕も目を閉じる。
どうか彼女との幸せが穏やかに続きますように。
おはよう、ジーナ。
彼女の声で目が覚める。
「おはよう、お嬢。早起きだね」
貴方の寝顔が見たくなって。と言われて笑ってしまう。
「そっちが先に寝ちゃうから仕方ないね」
僕の頬を撫でるお嬢の手に自分の手を重ねる。
「昔の夢を見たよ。初めてお嬢を抱いた日から、一緒に居て欲しいって言うまでの夢」
私も、と言われ不思議な気持ちになる。
「珍しい事もあるんだね、今日はどうするんだい?」
やってみたい事があるから準備したい、と言うので聞いてみる事にした。
「君が望むなら何でも構わないよ。逃げるのだけは許さないけど」
お嬢の口から飛び出した「新しい蟲惑魔が欲しい」という言葉に頭を抱える日々が始まったのは、また別の話だ。
ある日の夜、僕は与えられた庭の一角で死体を見下ろして呟いた。
僕を買った男が死んで、その娘は命を狙われた。その子は僕の所に駆け込んで来て、匿って欲しいと頼んできた。彼女とはよく話してたから気まぐれで助けようしたのだけど、そいつらが僕まで殺そうとするから締め上げてしまった。
「適当に処理しちゃえ」
植物が生えた花壇に死体を放り投げ、隠れていたお嬢様に声をかける。
「出てきていいよ」
植物の陰から出てきた彼女の顔色は悪く、今の出来事がショックだった事が分かる。
座り込んでしまった彼女に近寄り、かがんで視線を合わせる。
「酷い顔だね、お母様に裏切られた事がよっぽどショックだったんだ?」
蟲惑魔である僕に人間の気持ちなんて分からない。かなり失礼な事を言ったはずだが彼女は頷くだけだった。
「それでどうするんだい?ここから逃げる?」
これで逃げるところを襲ったらどうなるだろう、人間に買われた時は生まれを呪ったけど自由になれるなんて運が良いな僕は。
なんて考えながら彼女の返事を待っていると予想外の言葉が返ってきた。
「抱いて欲しい?本気で言ってるのかい?」
貴方は蟲惑魔でしょう、と言われ僕は笑ってしまった。
「くくっ、あはははは!おかしくなった?そこまで知ってて頼むんだ!」
でもまぁ、悪くないな。この綺麗なお嬢様は美味しそうだし、食前の準備運動に犯しても楽しめそうだ。
「僕は構わないよ、断る理由も無いし」
彼女に背を向けて歩き、自分の植物部分を置いた花壇の上に座る。
「その気があるならここまでどうぞ?」
逃げてもこの範囲内なら蔦で捕まえられる。どうするか楽しみにしていると、そのお嬢様は服も下着も脱いでまっすぐ花壇に上ってきた。
「いらっしゃい、楽しんでくれると嬉しいな」
彼女を引き寄せ、唇を奪う。口内に舌を入れて歯茎の表から裏まで舐め回し、互いの舌を絡めて蜜を送り込む。
「気分はどうかな?」
彼女の背後に回って耳元で囁く。送り込んだ蜜で獲物を発情させて搾り尽くす、蟲惑魔の生態を知ってるなら驚きもしないだろう。
お嬢様の顔が赤くなり、呼吸が荒くなる。しっかり効いているらしい。
「どこを触って欲しい?」
片手を身体に絡めて固定しながら耳を甘噛みし、もう片方の手で腋の下から腰まで指を滑らせる。
好きにして、と返事をされたのでそうする事にした。
「なら順番に行こうか。まずはこの胸から」
自分と同じくらいだろうか、手のひらより少し大きい胸を下から持ち上げるように揉む。
「気持ち良いかな?うんうん、ならこうして……」
お嬢様は喘ぎ声を抑える事もせず快楽を傍受していく。しばらく揉んで、今度は指先で乳輪をなぞる。
「緩く刺激してあげる」
何周も指先を回し、乳首が勃つのを確認する。
「身体が気持ち良いって主張してるのが分かるかい?」
こくこくと頷く彼女に気を良くした僕は、更に言葉を続けて手を動かす。
「ここ、潰したらどうなるかな」
片方の指先で乳首を潰し、ぐりぐりと刺激する。
注意が逸れている内にそのままもう片方の乳首をつねり上げた。
すると彼女は小さく叫び、身体を震わせる。
「イッちゃったかな?」
彼女の口から涎が垂れ、股間からはじょろじょろと音がする。気持ち良すぎてお漏らしまでしたらしい。
「そんなに良かったんだね」
彼女の背を植物に預け、今度は向かい合うように座る。股間に手をやるとそこは先程出した水とは違うもので濡れていた。
「もうこんなにして、いやらしいお嬢様だね?」
中指でその割れ目を上から下までなぞり、往復させる。粘り気のある液体が絡んでいく。
恥ずかしいから言わないで、と言う彼女が可愛くて僕は動きを止めずに言葉を紡ぐ。
「ちゃんと教えてくれないと分からないな」
指の動きを遅くする。するとお嬢様は慌てて叫ぶように気持ちいいです、と返してくれた。
「良くできました」
つぷり、と中指を蜜壺に侵入させる。それだけで彼女の身体が跳ねて僕の指を締めつけた。
「まだまだしたい事はあるのに、先が思いやられるね」
中指を曲げて蜜壺の天井を撫でると、また身体が跳ねる。その様子が面白くて、今度は天井に指を触れさせて手を前後に動かしているとある場所で指を締める力が強くなる。
「ここかな?君の気持ちいい所、僕の指が擦ってるのが分かる?」
言葉も出ず、頷く事しか出来ないお嬢様を責めていく。途中で指を増やしてそこを重点的に刺激する。
またイきます、と言うのでそのままイかせてあげた。
ぷしゃりと音を上げて潮を吹く彼女。僕の腕がそれを浴びるが気にしない。
「良い感じに解れたね」
再びお嬢様の背後に回り、その背を自分の身体に預けさせる。息は更に荒くなり、そろそろ限界も見えて来た。
「これを挿れておしまいかな」
操る植物の蔦をお嬢様に見せて膣口に当てがう。
怯える様子もなく、ありがとうと感謝までされる。
「君、やっぱりおかしくなってるよ」
もう楽しむ必要も無いし、蔦を一気に押し込んだ。
何かを突き破る感触を覚えたがどうでもいい。
蔦が前後する度に彼女の身体が跳ね、命の灯火が消えていく。
「良いね、その顔。そそるよ」
快楽で溢れる涙と涎。それらを舌で掬い、口に運ぶ。最後に蔦を引き抜くと身体が一際大きく跳ね、彼女は脱力する。それを花壇に寝かせ、僕は座ったまま彼女を見下ろした。
ここまでの行為を思い返す。このお嬢様、素直で面白いし、反応も可愛い。食べるのは勿体無いな。
「ごめん、やっぱり食べるのはナシ。もう少しだけ楽しませてもらおうかな」
優しくキスをして先程とは違う、栄養のある蜜を送る。
彼女は既に寝息を立てており、穏やかな寝顔を月の光が照らしていた。
それから僕は屋敷に入って暮らし始めた。
彼女が僕の事をいたく気に入ったのもあるが、獲物から目を離したくなかったのもある。
外に出るのもついて行くことになったし、面倒だと思ったが付き合った。
幸い服はあの男が僕用のサイズを大量に揃えていたので不自由しないで済んだ。
中でもお嬢様のお気に入りは黒いスーツとネクタイ、白いシャツのセットだった。
カッコいいわ、とはしゃぐ彼女を見ているとめんどくさい着付けもまぁ良いかと思ってしまう。
食前の準備体操気分で交わっても、食べる気にはなれなくてこの生活が続いて行く。
いちいちお嬢様、と呼ぶのが面倒で最近はお嬢、と呼ぶようになった頃に僕の心を決める出来事が起こる。
「蟲惑魔の本?」
何冊かの本が僕の前に置かれた。
お父様の書斎から見つけて来たの、せっかくだから読みましょうと彼女は言った。
「結局あいつとは何もしなかったな」
本のページを適当にめくる。買われて嫌な顔をする僕を恐れもしなかったあの男。
呼ばない時は娘の話し相手にでもなってくれ、なんて言われたっけ。
「妻がいても愛玩用に他の女を買うんだ、そこに愛なんてあるのかな?」
分からないと返事をするお嬢。そうだねと生返事をしてページをめくり続けると、一つの項目が目に止まる。
「獲物に執着する蟲惑魔?」
どうしたの?と横からページを覗き込む彼女。2人でその項目を読んでいく。
『蟲惑魔が獲物を捕食する前の準備として性交を行うのは知られているが、時折それが終わっても獲物が喰われずキープされる事が確認されている。
やがて普通に会話するようになったり、自らの身体を好きにさせるようになっていく。
狙われた獲物は逃げる事は出来ないが、蟲惑魔と夫婦の様に暮らしていく。要観察案件』
「これって……」
まるで今の僕だ。獲物を喰おうとして、やめた。
彼女の為なら面倒な事なんて何も無いし、この身体を好きにさせても良いかなと思う。
ジーナ?と呼ぶお嬢の声で現実に引き戻される。
「ごめん、ちょっと考え事してた」
本のページをめくって誤魔化す。他に興味のある項目はなかった。
その日の夜、2人で眠る前にお嬢の髪を整えながら、昼に読んだ項目を思い出す。
人間の生き方は分からないけど、この子を愛しいと思う気持ちがそれなのだろうか?
名前を呼ばれたので返事をする。彼女の続けた言葉に僕は手を止めてしまった。
私の事をいつ食べてくれるの?
今はもうその気は失せて、共にありたいと願っている。
「お嬢」
震える声で返事をする。嫌だ、離れたくない。
言うしかない、言葉にしなければ分からないから。
「ごめん、もう君を食べる気は無いんだ」
彼女の手を取り、思うままに言葉を紡ぐ。
「あの夜、僕は確かにお嬢を食べようと思ったんだ。生かしておく理由も無かったしね」
お嬢は珍しいものを見るような目をしていた。それで?と続きを促してくる。
「素直で面白い、反応も可愛いからもう少し楽しもうって……それを続けて今日まで生かして来たんだ」
ちょっと酷くない?と抗議の声が上がる。
「そう思ってたんだ。今でも可愛いと思ってるのは嘘じゃないよ」
今度は笑顔になる彼女の事を見て、僕も笑顔になった。
「僕から離れないで、ずっと一緒に居て欲しい」
お嬢の手を握って返事を待つ。もし嫌だと言われたらどうしよう、その時は本当に食べるしかないかな。
彼女は良いわよ、と返事をして取った手を握り返してくれた。
「嬉しい。信じるよ、お嬢」
僕が言えた事ではないが口ではなんとでも言える。この子が逃げ出したりは……しないか。
けど不安になるな、確実な何かで繋ぎ留めたい。
だったらもっと気持ち良くして欲しい、と彼女に言われる。どうやら口に出ていたらしい。
「そんな事で良いならいくらでもしてあげるよ」
お嬢の服を脱がしていく。そういえば彼女に頼まれて抱くのはあの夜以来だ。
あの時とは違い、優しく唇を重ねる。ゆっくりと舌を入れ、お互いの舌を絡めていく。今まで感じたことのない空気が、2人の間を流れる。
(そういえば、今までは一方的にしてたっけ)
お嬢を壊すような責め手で快楽を与え、息が弱った所を食うつもりだったから気にした事がなかった。
(優しく責めるほうが好きなのかな)
舌を絡めたまま、股間に手を伸ばす。蜜壺に指が入るとお嬢の身体が震えた。普段とは違ってゆっくりとした動きでその天井を撫でる。
口を離し、意見を聞くことにした。
「優しくした方が良いかな」
力なく首を振る彼女。いつもみたいにして欲しいと言われた。
「いつも通り、ね」
手に力が入ってしまう。それはお嬢を壊しかねない動きをすると言うことだ。嫌な汗が背中に流れるのを感じる。
信じてるから、私を壊して。
彼女の言葉が僕の緊張を解く。今まで通りにすれば良いと言う励ましの言葉なのかもしれない。
「なら、楽しんでくれると嬉しいな」
音を鳴らし、お嬢の気持ち良い所を刺激する。
喘ぎ声が漏れ、開発された身体が絶頂し潮が腕にかかる。
もっと、もっと。その声に導かれるように僕は彼女を壊していく。
指を抜くといつものようにお嬢の背後に回る。
耳を甘噛みし、両手で胸を可愛がる。勃った乳首を指で刺激し、指先で潰して快楽の渦に突き落とす。
片手を離して胸から下腹部へ指を滑らせる。
再び股間に辿り着くと指先で淫核を探す。
「お嬢、気持ち良いかい?」
見つけてもわざと触れず、その周辺を指で撫でる。
息を荒くして黙るお嬢は、あの言葉を待ち望んでいるようだった。
「ちゃんと教えてくれないと分からないな」
指の動きを少し鈍くする。すると彼女は迷わず気持ち良いです、と答えてくれる。
「良くできました」
淫核を指で潰す。小さく悲鳴が上がり、身体が跳ねる。
そのまま指を蜜壺に滑り込ませ、再び急所を刺激する。
「気持ち良いのが続いてどうなってるか分からなくなってきたかな?」
返事はなく、指が動く度に身体が跳ねて潮が飛ぶ。そろそろ限界だ、最後に指を奥まで沈めて絶頂させた。
ジーナ。と僕の名前が呼ばれる。
「今夜はここまで、また明日ね」
指を引き抜いて身体を抱き寄せる。虚ろな瞳で僕の顔を見つめる彼女に優しくキスをする。
「おやすみ、お嬢」
優しく言葉をかけると彼女の瞼が閉じ、穏やかな寝息が聞こえてきた。
そのまま彼女を強く抱きしめて僕も目を閉じる。
どうか彼女との幸せが穏やかに続きますように。
おはよう、ジーナ。
彼女の声で目が覚める。
「おはよう、お嬢。早起きだね」
貴方の寝顔が見たくなって。と言われて笑ってしまう。
「そっちが先に寝ちゃうから仕方ないね」
僕の頬を撫でるお嬢の手に自分の手を重ねる。
「昔の夢を見たよ。初めてお嬢を抱いた日から、一緒に居て欲しいって言うまでの夢」
私も、と言われ不思議な気持ちになる。
「珍しい事もあるんだね、今日はどうするんだい?」
やってみたい事があるから準備したい、と言うので聞いてみる事にした。
「君が望むなら何でも構わないよ。逃げるのだけは許さないけど」
お嬢の口から飛び出した「新しい蟲惑魔が欲しい」という言葉に頭を抱える日々が始まったのは、また別の話だ。
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