ずんだもん水風船
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saiyan_party 2023年01月08日(日) 02:27:04履歴
本文 作：祭屋 
「皆さんこんばんわ〜、〇×△です〜」
「今夜も私が大好きな不思議妖精、ずんだもんについてお勉強していく・・・つもりだったのですが〜」
明るく楽し気なBGMが止まり無音に、笑顔だった白衣の男も苦い顔をしている。
一体何が起こったのだろうか？毎回の楽しみにしている身としてはしょうもない釣りであることを祈るが・・・？
「少しばかり困ったことになりまして〜、事情説明と今後についてお話させていただきます〜」
画面が暗転し、〜数刻前〜のテロップと同時に切り替わると一面緑。明るい様子からして朝〜昼ごろの山中の様子だ。
ハンディカムによるものなのかいつもとは違う画質が新鮮である。
「おはようございます？こんにちわ？？どちらにしても明るいうちに皆様にお会いするのは初めてですね、新鮮〜」
「しばらく後付けのナレーションで失礼いたします〇×△です〜」
ちなみに何で毎回夜って設定なの？という質問に対しては
『世間的には後ろめたいこと・大っぴらにすべきでないことをやっている自負はあるので夜の方が相応しいと思って』というスタンスらしい。
「私がずんだもんを大好きで、趣味でいろいろ調べているのは今更語るまでもないお話ですが〜」
「本邦初公開となります、ここ私が所有するお山で〜す」
「この山に棲んでいる妖精ずんだもんに“実験”への協力をしてもらっているのですが〜」
なるほど、このチャンネルの“実験”に使われるずんだもんの供給元はそうだったのか。
俗にいう『街ずん』にはあまり見られない一種の従順さ・純粋さは『天然もの』『山ずん』ゆえだったのかと納得した。
従順さや手に入れやすさに定評のある『養殖ずん』かと思っていたが山持ちだったとは・・・想像以上のスケールの大きさと僅かばかりの羨ましさを感じる。
そんな自分の思いは置いておいて、ザクザクと草木をかき分けカメラは進む。
「そういった事情もあって実験協力者を集めたりだとか、単純に手入れ等での見回りを兼ねて今回カメラを回していたのですが〜」
[はあ・・・はあ・・・いったいなんなのだ？どうして・・・]
絵に描いたように、脇の茂みから一匹の妖精ずんだもんが現れる。
体中傷だらけでこっぴどくやられている様子だ。他の野生動物に襲われたのだろうか？
「おやおや〜？どうしました？何かあったのですか？？」
[はっ？にんげんさん・・・！？]
撮影者に驚いたのかとっさに逃げようとするずんだもん。
しかし疲労のためか満足に動くことができず、そのうち諦めたのか固く目を瞑り震えるだけとなる。
「私の言葉がわかりますか〜？大丈夫、君をいじめたりはしませんよ〜」
「彼を落ち着かせた私は危害を加えるつもりがないこと、何が起こったのか教えてほしいことを伝えました〜」
「幸いながら彼が賢く穏やかな個体であったことでそれらはスムーズに済みました。簡単な応急処置も施すこともできました〜」
「ついでに、以降のおしゃべりは後付けでなく当時のそのままでお送りします〜。お聞き苦しかったら申し訳ないです〜」
[じつは・・・すこしまえに よそからずんだもんがあらわれたのだ]
[そのずんだもんは じぶんのことを“とかいは”といっていたのだ。ちからがつよくてらんぼうな“とかいは”は へいわだったぼくたちのむれをあらしだしたのだ]
[ごはんさんをうばったり、おちびちゃんをいじめたり、ほかのままずんたちを かまわずむりやりにへこへこしたりと やりたいほうだいなのだ]
[ぼくはむれのだいひょうとして らんぼうはやめるようにおねがいしにいったのだ。だけどぜんぜんきくみみをもたずに やられてこのざまなのだ・・・]
[にげることしかできなかったぼくは だめなずんだもんなのだ。むれのみんなにもうしわけがないのだ・・・]
そこまで語ると代表ずんだもんはがっくりと肩を落とす。
ずんだもんと一口に言っても賢く、善良な個体が導く群れもあればそうでない群れなどさまざまであるらしい。
それらについて専門で研究をする学者もいるようだ。そういった人間にとっては興味深い一幕なのかもしれない。
「そういうことでしたか〜」
[そうなのだ。てあてしてくれてありがとうなのだ にんげんさん、ぼくはもういちど“とかいは”におねがいを・・・]
「およしなさい。今度こそ殺されてしまいますよアナタ」
男から冷たい声が漏れる。尋常ならざる雰囲気に代表ずんだもんがうろたえた顔をする。
[じゃ、じゃあぼくはどうすればいいのだ・・・？]
「安心してください。私が何とかしましょう。」
「アナタはよくやりましたよ立派です。大丈夫、自分の力の及ばないことに誰かの手を借りるのは恥ずかしいことじゃありません」
代表ずんだもんを説得し、彼の案内で都会派ずんだもんを名乗る個体の元へ向かう。
そしてたどり着いた先では・・・
[やーやー！やめちぇ！おちびちゃんがみてるのだ！！こんなのいやなのだ！！]
[うっせーのだ！へこへこ！へこへこきもちーのだ！！ここのめすどもは こなれてなくてさいこーなのだ！！！]
転がったつがいのオスとその子ずん達、そして嫌がるメスを好き放題にど突きまわすずんだもんの姿があった。
考えるまでもない、奴が件の都会派だろう。
近くに見える藁で作られた住居のようなものからしてここが群れが住んでいるところのようだ。
そこからは早かった。男の手がむんずと都会派を掴み、メスから引きはがして用意してあったカゴの中に乱暴に放り込んだ。
[ぐへっ！？くちょ！いったいなにがおこったのだ！？]
「代表さん、アナタは他のずんだもんたちをお願いします。怪我の具合によっては私がなんとかしましょう」
[わかったのだ。あの・・・]
「彼にはいろいろと解ってもらいましょう。手荒にしても構いませんか？」
[うっ・・・お、おまかせするのだ・・・]
よくない想像をしたのか代表ずんだもんの顔が青ざめる。
[くちょ！くちょ！！だせ！へこへこのつづきをするのだ！！]
「・・・」
[ああああああああああああああああああああああ！？]
喧しく叫ぶ都会派が入ったカゴを激しく振りたくる男。
群れを荒らされた代表もだが、自分の山で好き放題されている男にとって都会派の横暴はとても許すことはできないだろう・・・。
「ではまた後日伺います。場所はこちらでいいですか？」
[だいじょうぶなのだ。なにからなにまでありがとうなのだ]
「フフフ、お礼を言うのはまだ早いですよ・・・」
画面が暗転する。どうやら山での録画はここまでのようだ。
「と、いうわけでこちらが自称都会派のずんだもんになります〜」
[はなちぇ！くちょにんげん！！ここからだすのだ！！！]
映し出されたのは悪態をつく目つきの悪いずんだもん。
人里に降りてきたずんだもんはもれなく口が悪くなるというが謎である。
「これまで私いろいろと実験を考えては実行してきたのですが〜、今回に限ってはノープランなんですよね〜」
「先ほどまでご覧いただいた事情もありちょっと頭にきているので〜、今日はフリーで気の赴くままにやろうかと思います〜」
そこまで言うとカゴから都会派ずんだもんを取り出し、板に向かって仰向けに寝かせた上で身体に釘を打ち付けた。
うつ伏せであれば昆虫標本のようになったのだが、などとおかしなことを考えてしまう。
[はぎゃああああああああああああああああああああああああ！いちゃいいちゃいいちゃいいいいいい]
バタバタと手足を動かす。そのせいで打ち付けられた点を中心にぐるぐる回っている姿が滑稽だ。
「お望み通り出してあげましたよ〜。その調子で暴れたら逃げられるかもしれませんね〜？」
[ふじゃけんな！ふじゃけんな！！]
悪態をつきながらさらに回転を続ける都会派。
その様子をしばらくお楽しみください。とタイミングよくあらわれるテロップに思わず噴き出してしまう。
[はあ・・・はあ・・・くちょ、くちょお・・・]
「落ち着いたようなので尋問を始めましょうか。アナタはどこから来たんですか〜？」
[うるちゃいのだ！はなちぇ！はなちぇ！！]
「最初からわかってましたが聞く耳を持ってくれませんね〜。ではこの道具を使って嫌でも答えてもらいましょう」
そう言って大きめのペンのようなものを取り出す。
リューターと呼ばれる研磨用の工具だ。ギュイーンと音を立てて都会派のつま先に迫る。
「アナタは〜どこからきたのかな〜？」
[うるちゃい！うるちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！？]
あっという間に都会派のつま先が緑のまだらに変わる。紅葉おろしネタ擦ってるなこのチャンネル。
「ほ〜ら、答えないと〜た〜いへんですよ〜？」
[あががががががががが！とかいちゃ！とかいからきたちゃ！！たべものがすくなくて しかたなかったのだああああああ！！！]
「それは大変でしたね〜？都会では〜メスも少なかったんですか〜？」
[ぎやああああああああああああああ！いないちゃ！みつけたら へこへこするのはあたりまえなのわああああああああああああああああああ！！]
尋問しながら四肢を削り取っていく。都会派がバタバタとどれだけもがいて回転しようとも男の操る先端が逃がしてくれず、みっともなく悶え続けることになる。
「関係のない小ずんにも乱暴をしていたらしいですがそれは〜？」
[あいつら ぬくぬくそだってなまいきちゃ！ぼくがこんなにくろうしてるのにがあああああああああああああああああああああああああ]
「う〜ん、アナタはとても身勝手で許されないですね〜。私じゃなくても怒ってますよこれは〜」
[はあ・・・はあ・・・ないのだ。てもあしも・・・]
「ついでにここも〜」
[ぐあああああああああああああああああああ！ずんぽ！ずんぽがああああああああああああああああああああああああ]
「アナタたちみたいな街で育った個体がね〜、天然ものに近づいちゃ困るんですよ〜？」
「善良な群れを荒らして〜、汚い種までばら撒いて〜、私の身にもなってくださいね〜？？」
「何のために天然とそれ以外で棲み分け・区別をしているのかよ〜く考えてくださいね〜」
それができれば苦労はしない。もちろん男もわかった上で言っているだろう。
[はあ・・・はあ・・・じぇったい、ぜったいふくしゅうしてやるのだ！ぶっころちてやるのだ！！]
「おお、それは恐ろしい〜。では二度とそんなことが言えないようにしなくては〜」
そう言うとチューブのようなものを取り出し、ダルマになった上に生殖器まで失った都会派の尻に深く刺し込んだ。
[がっ！？ぬけ！いますぐぬくのだ！！]
「思いっきり踏ん張ってひり出せば抜けるんじゃないですか〜？ホラホラ頑張って〜」
カメラがチューブを伝い、男の手先を映す。その先には水道の蛇口があった。
キュッと捻られ、都会派のハラに水が流し込まれる。
[ふんーーーっ！んんーーーーーっ！！]
自らに起ころうとしていることに気づいているのかいないのか、いきみ続ける都会派だがその腹はみるみるうちに膨らんでいき・・・
[ぐぼぼぼぼぼぼぼぼ！やめ、やめりょ！ぐるぢ、ぐぐぐぐぐぐぐぐ]
そして、ぼんっ！という音と共に都会派だったものは盛大に飛び散った。
すんでのところでカゴを被せてあったので後片付けも安心だ。
バラバラになった肉片が透明なケースにこびり付き、緑色の体液を引きながらずり落ちていく様を観察出来てお得な気分にすらなる。
「ふう〜、今回は水の勢いが強くてあっという間でしたね〜。皆さんが試すときはもっとゆっくりじっくり泣きわめく様を楽しむ余裕を持った方がいいかもしれません〜」
「今回の彼は自分の身に起こったことがよくわかっていなかったようなので〜、前もって説明してあげたりした方が長く楽しめるかと思います〜」
「まあ、説明を受けて理解できるかどうかは別の問題ですけどね〜」
そこまで言うと画面が暗転して後日談。のテロップ。
冒頭の森の映像になる。
[あっ、にんげんさん。このあいだはたすかったのだ！ありがとうなのだ]
「いえいえ。私は大したことはしていませんよ」
「ところで代表さん、アナタに相談があるのですが・・・」
・今回は難を逃れたがこれから冬になり様々なものに飢えた第二第三の都会派ずんだもんが現れかねないこと。
・代表ずんだもんのような聞き分けのある善良なずんだもんたちの群れを失いたくないこと。
・幸い群れは小規模であり自分の庇護下に入れば住処と食べ物には困らないこと。
・代わりに自分の仕事を手伝ってほしいこと。
以上を告げ、代表ずんだもんもそれらを受け容れたらしい。
男が言うには部屋の一室を貸し与え、とりあえず今は“実験”の後片付けを代表をはじめとする物わかりのいい個体に任せているとのこと。
賢い彼らのことだ、おそらく男の“実験”が何を意味し、何が行われているのかを理解するのにそう時間はかからないだろう。
そしてその時どうするのか・・・？きっと賢明な判断をするに違いない。
そうならなかった場合は・・・どちらにしても男と我々の愉しみが増えるだけだろう。
[これからよろしくおねがいするのだ。にんげんさん！]
最後に映し出された代表ずんだもんの笑顔が、妙に印象的だった。
thank you for watching
あとがき
今回虐成分少なくてごめんなさい。水詰めて爆発がどうしてもやりたかったんです。
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このページへのコメント
今回も面白かったです
折角天然の山ずんを別けてたのに望まぬ交配によって台無しに・・・許すまじ
山に侵入者対策しようにも妖精みたいなの相手だと現実的じゃないのが悔やまれますね
どうか善良な山ずんには平穏な暮らしを・・・糞害虫な自称都会派は好きなだけ使って良いのでどうか・・・。
人間の真似して都会派とか言っても、ずんだもんじゃクソみたいな場所に住んでましたってアピールにしかならないんだおなぁ。
やはり、都会の街ずんはクソだわ……人間も善良なずんだもんも脅かすとか生かす価値が無さすぎる。
もういっそのことトラックを使った誘引型の罠(内部にずんだ餅とその匂い、ずんだもんの音声、そして入ることは出来ても出ることはできない入り口を設置)で街ひとつ回って街ずんを一斉捕獲&駆除してやりてぇ……!!!(怒)