作者睡蓮 イラストむらさき 原案ずんちでる わんわんお 
龍が如く8にハマっていて書くのが大分遅れました。すいません。続きは今月中に出します。
本編
「さて、ではずんだ虫料理の定番中のド定番。ずんだ餅を作っていきましょう。自動餅つき機に炊けた餅米をセットしたら後は勝手にお餅ができます」
「やっとでれたのだ！テメッくちょさよ！きちゃないをてをはなすんちゃ！」
「くちょにんげんのさよ！よくもママずんを！ぜっちゃいぶっころしてやるのだ！！」
「くちょ、アイツだけずるいのだ！ぼくもだちぇ！」
「このあくま！じごくにおちりょ！みちづれにしちゃるちゃ！」
小夜ちゃんはクーラーボックスから暴れるずんだ虫を何匹か取り出した。さっそくコイツらでずんだ餅を作るのか。
「チッ……廃棄さよ」ﾎﾟｲｯ
「ああああ゛ああ゛ああ゛ああああああ！！！」
しかし、小夜ちゃんは自分が手塩にかけて養殖してきたはずのずんだ虫なのに何かが気に入らなかったのか、忌々しく唇を歪めて舌を打ち、掴んだ個体を苛ついた様子で地面に叩きつけた。
「がっ、あだっ、ぶぶっ、やめちぇぇぇ！！ちゅ、ちゅぶれる」ｸﾞﾁｭ
そして、執拗に何度も踏んでついに潰してしまった。地面にずんだ虫の成れの果てが泥と混ざってこびりついている。
「な、何やってんの小夜ちゃん？」
「私としたことがとんだミスをしました。クーラーボックスが1個しかないからお菓子用を料理用と混ぜてしまったせいで、お菓子用で甘やかしていたずんだ虫がクズに変異してしまいました。というか、やはり仕込みから調理まで時間をかけすぎた」
そうか。美味しく食べるためとはいえぬくぬくと何不自由なく育ててきた個体が、他用途の個体と混ぜたことで自分らは食用という現実を知っちゃったのか。
さらにはそれを設備の整ってない仮設住宅に長らく置いていたんで不要に苦しめて味も濁ってしまったのか。そんな個体でずんだ虫料理の看板であるずんだ餅を作るのは、小夜ちゃんの料理人のプライドが許さないのだろう。
というか、あれ？
「小夜ちゃん、料理用とお菓子用の個体を一緒くたにしても見分けつくの？」
「ええ。こうなってはしまいましたが、戦争が起きる前は寝る間も惜しんで育ててきたずんだ虫ですからね。どれがどーゆー目的で育てた個体かは、見たらすぐ分かります」
「へー……」
みんな同じに見えるずんだ虫の顔を区別できるのってあの琴葉茜だけと思ってたけど、こんな身近にいたんだ……。もしかしたら小夜ちゃんもペット妖精屋を副業で始めたらいいセンいくかもね。
いや、結局売り場に出す前にペロッと食べちゃいそう。
「いや、でも何匹か私をまだ信じてくれてるのが……あ、コイツはどうでしょう」
小夜ちゃんはそう言ってクーラーボックスを開けて、中のずんだ虫を見下ろした。くちょにんげんのさよとかくちょさよとかメスブタとか、肥育室出身のずんだ虫からの小夜ちゃんの評判は案の定最悪だ。
「ああっいました！」
小夜ちゃんが艶っぽい声を漏らして尻尾を振った。まだ僅かに小夜ちゃんの望みの個体がいたっぽい。
「はぁはぁ……く、くるちかったのだ……にんげんさん、たすけてくれてあ、ありがとうなのだ……おちびちゃん、おれーをいうんちゃ……」
「ありが、とーなのだ……」
クーラーボックスの中から成ずんと中くらいのサイズに成長した子ずんを小夜ちゃんは耳を掴んで引き抜いて、近くのすり鉢の中に入れた。あぁ、うん。
「コイツらはにんげんさんのことを、ひとのかわをかぶったさよとか、ごーもんマニアのドへんたいとか、ヤクザよりくじゅとかいってたけど、にんげんさんはぼくたちにずんだもちをたくさんくれたやさしーひとなのだ！だからみみをかたむけなかったのだ！」
ボロクソ言われてるじゃん。人の皮を被った小夜て。
「そうですかぁ。そんなひどいことを……大丈夫ですよ。ひどいところに閉じ込めてすいませんでした。今お詫びのずんだ餅を作りますから、ちょっとここでお待ちください」
小夜ちゃんがずんだ虫にリュックサックを漁る。
「わかっちゃ！おちびちゃん！いまずんだもちがたべれるからね！このにんげんさんがつくったずんだもちはあまあまでとってもおいちーのだ！」
「ええ、楽しみにしといてください」
「ずんだもち！ずんだもち！きいただけでちーちーがでそうなのだﾎﾞｫｫｫｫア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァッア゛ァッア゛ァッア゛ア゛ア゛！！！ギャイカバババザャアアア゛アオガガガギゴガゴガガプパァァォビアォォォォッッ！！！」
顔を見合わせ、2匹がホッとして顔を綻ばせたところに小夜ちゃんがおちびの顔面に向けて、バーナーの火炎放射を情け容赦なく浴びせかけた。
「おち、びちゃ……？えっ？えっえっ？」
小さなおちびの頭はバーナーの柱の如き太さの炎にすっぽりと収まり、真紅の炎の中でおちびは金属の摩擦音に似た金切り声を上げる。何が何だか状況を飲み込めないママずんは真横にいながらも、生きたまま焼かれる我が子を固まって見つめていた。
「ちょっと焼き色つけすぎましたか？まぁいいでしょう」
「あ、いひ、あ……ひぅ……」ｼﾞｭｩｩｩ
少しして小夜ちゃんがバーナーを切ると、おちびの顔面は惨たらしくほとんど完全に炭化していた。
焼き色というかもうほぼ焦げており、大福みたいだった頭は黒くひび割れてささくれ立ち、胴体に石炭をくっつけたみたいだった。
目や口があった箇所は焼き潰されて空洞だけが残り、パリパリに焼けた皮膚が削げ落ち、ところどころで緑色の血肉がズル剥けになって露出しており、僅かな黄緑色の頭皮の部分を燃え残った火の残滓が食んでいた。
これでも死ねないおちびは、何故前が見えなくなったのか何故顔中が痛くてたまらないのかさえ分からず、ただ震える手で変わり果てた顔を撫で回していた。
「あが、が、がか……ほ、はーひゃ、いひゃひ……はひほひへはひ……いひゃいしひゃわかひゃはい……ひゃ……」
溶けた脂肪が焼けるじゅうじゅうという蒸発音が火傷痕のあちこちから小さく鳴り、漂うずんだ虫の旨そうな匂いにお客様の唾を飲み込む音がした。
「しょんな、おちびちゃんのかわいしゅぎるおかおしゃんが、コゲコゲに……なっちゃ……なんで、こんな……むごいことを……」
「あああ……あひぃ、ひゃい、いちゃひー……いちゃいのりゃぁぁぁぁぁぁ！！！まっくらできょわいのりゃぁぁぁぁぁ！！おかーちゃどこ！？どこぉぉぉぉ！！」
「ぼくはここなのだおちびちゃん！いまなおしてあげるからあんしんちて！！」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ
空っぽになった眼窩から涙を滴らせて喚くおちびの痛みをなんとか和らげようと、ママずんがおちびの顔面を舐める。いくらなんでもあの火傷は無理だ。
「うえっ！？ちなのだ！おちびちゃんのかおじゅーからちがでてりぅぅぅっ！！とまっちぇぇぇぇ！！」
ほら、顔の皮下組織から血が漏れ出てる。それが火傷に染みておちびは吐血してもがき苦しんでいる。
「あなた達を食べるためにおちびちゃんを焼かせてもらいました。香ばしい苦味がいいアクセントになるんですね。最後に残す言葉はありますか？聞いてますから私に殺されながら言ってください」
小夜ちゃんがすりこぎをすり鉢の中の2匹めがけて振り下ろした。
「ﾎﾞｶｯあぎゃぁぁ゛ぁっ！！い゛ﾍﾞｷｯちゃいぃぃぃぃ！！」
すりこぎがママずんの枝豆耳の付け根にめり込んで血が噴き出る。素人なら身震いする光景だが、小夜ちゃんは憶することなくすりこぎで何度も何度も2匹を殴打する。おちびの方は一撃で首がもげて死んだらしい。
「やめりょぉぉぉぐﾒﾁｬｱぎゃっ！くしょにんげんんんんﾄﾞｽｯﾊﾞｷちょっとでもおまえをしんじﾊﾞｷｯちゃぼくがおバカしゃんﾄﾞｶｯばっ！だったのだぁぁﾍﾟｷｨぁ！！！」
「小夜ちゃん、早くトドメを刺した方がいいんじゃない？」
アイスを食べてかなり体調が回復したので、私は立ち上がって小夜ちゃんの隣に行った。
「幸せな状態から一気に絶望に突き落とすのがいいんですよ。楽に殺したらむしろ中途半端な味になります。それに、心配しなくても今さらずんだ虫の罵声にキレ散らかす私ではありません」
いやそう言っていつも小夜ちゃん……。
「くちょぉぉぉぉぉ！！！このくしょがき！！おまえいつもぼくたちのよこでイスにすわって、ハァハァいいながらへんなぶんしょーコソコソかいてたの、しってるのだ！！まよこでみてたからあんきしてるのだ！！こうなっならぜんぶバラしちゃるちゃ！！」
ん？メスずんが何かやる気らしい。
「ずんだもんは、ぬれそぼったうぶげのしたにある、まだおとこをしらないさよのひしょにかたくなっただんこんをおしあてたのだ。さよちゃん……ぼく、もうがまんできないのだ……いやだったら、いますぐぼくからはなれるのだ……いいんですよ、ずんだもんさん、わたしのロリマン「死ッねさよォルア゛ア゛ァッッ！！！」ﾊﾞｷｨﾒｷﾒｷﾒｷﾍﾞｷｮｧｯ‼︎‼︎
「……」
「……」
小夜ちゃんが未だかつて聞いたことないダミ声のシャウトを喉からひり出し、衝撃波を纏うすりこぎを振り下ろした。轟音を響かせてすり鉢ごとずんだ虫は粉となって弾け、下の机まで叩き割った。まぁ、こうなるよね。
「ミコちゃん」
「な、何？」
「何も、聞いてないですよね？」ﾄﾝﾄﾝ
小夜ちゃんが折れた血みどろのすりこぎで肩を叩きながら私に笑顔を向けた。顔にママずんの顔の皮をへばりつけて。アカン小夜ちゃんガチ殺意漏れてる。漆黒のオーラ出ちゃってる。
「はい」
「よかったぁ」
まぁバッチリ聞いてたけど前から知ってるし今更……。
「しかしやらかしましたね。せっかくのずんだがグチョグチョになってしまいました。これでは残った具材をかき集めても作れるずんだ餅は1個だけですね」
「何やってんの小夜ちゃん」
まぁずんだ餅はなくても別にいいメニューだったから、この際いいか。それより私も体調良くなったんだし会計に回ろう。
「ゆ、指が！！凍傷になりそうなのだ！ミコちゃん助けてほしいのだ！」
「もうやめちぇ！おちびちゃんはころすためにうんだんじゃないちゃﾎﾞｶｯぶぼぉ！！「うるせぇぞ売り子ずんだ虫！」
「だれかたちゅけて！わたしたちにんげんさんになにもわるいことしてまちぇん！これまでもこれからも！」
いや、私もアイス作りを手伝った方がいいか……。ずんだもんのヤツ夏場に凍えてる。アレほぼ中身の子ずんが自分からアイスになりに行ってるけど、筒を持ちながら盛るのが意外にキツいのか。ガンバ。
でも釣り銭用の棒金は崩しておかないと。私が手提げ金庫の中を開けた時、視界の隅のあるものに気がついた。
「全然売れてないね……」
小夜ちゃんと一緒に作りまくったずんだジャムがあまり売れてない。ずんだアイスの実演販売に気を取られて視界に入らないんだ。
まずい。保存料使ってないからずんだジャムは長く持たない。一応死ねば仏だし、山ほど死んでもらったずんだ虫を腐らせてしまってはアイツらも浮かばれないだろう。
何かいいアイデアはないかな……。
「あっ」
閃いた。私は財布を掴んで屋台を出た。
「小夜ちゃん！ずんだもんさん！ちょっと出るね！」
「ミコちゃん！？」
「ちょっと！もうアイス作れないのだ！作りたくないのだ！ミコちゃん行かないで！」
「ちゃむいちゃむいちゃむいちゃいいちゃいちゃ！！からだぎゃこおっていぐうううううう！！アイスしゃんになっちぇいくううううう！！！！」ﾊﾟｷﾊﾟｷﾊﾟｷ
＊＊＊
「ただいま！パン買ってきた！トースターあったよね小夜ちゃん！使うよ！」
「何する気ですかミコちゃん？」
酵母からこだわったパンを売ってる屋台から、食パンをいくつも仕入れてきた。これをトースターに入るよう薄切りにしてトーストにする。その上にずんだもんのヤツが震えながら作った氷漬けの子ずんたっぷりのずんだアイスを盛りつけ、その上からずんだジャムをたっぷりとかける！
「よいちょ、あたましゃん……いたすぎるにょだ……よいちょ、でも、にげ、なきゃ……ころちゃれ、る……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ
お、さっきの1回目のアイス作りでいた生き残りの子ずんが、机に置いた紙皿の束をよじ登っている。頭割れてるのにまだ動く力があるのか。
「うわっ……」
ついでだ。これものっけちゃえ。
「完成！ずんだアイスクリームトーストのずんだジャムと子ずん添え！800円！」
「しょんな、もういきられない、のだ……？」
温かいトーストに溶けたアイスが染み込み、それをたっぷりとのせたジャムと一緒に頬張る。かなり贅沢なスイーツだ。
早速1つ注文が入った。
「い、いただきます」
「おにーずん……」
見た目は、苦しみ抜いて死んだと分かる顔付きのずんだ虫の生首がたっぷりトーストに盛ってあるから中々にグロテスクだ。注文してくれた大学生っぽいお兄さんが、項垂れるトッピング(子ずん)を眺めつつ恐る恐る頬張った。
「う、うまい！アイス単体でもうまいがパンと一緒に食べることで旨味がさらに広がる！たくさんのジャムもいいアクセントだ！」
まぁまずいわけがない。まずくなる要素0だもん。なんかお兄さんの口腔から声が聞こえる。
(うおおおおおおおあきらめにゃい！さいごのさいごまであきらめにゃいちゃ！うんでくれたおかーちゃ！しんでいったおにーずんのぶんまで、ぼくはいき)ﾌﾟﾁｭ
「何か口の中で子ずんがベロや歯をペチペチ叩いてておもろいw」
「んぅっ！？」
小夜ちゃんも自分で作って試食して、思わず漏れた声に口元を抑えながら耳と尻尾をパタパタ振って飛び跳ねる。
「ミコちゃん！これすっごくおいしいです！流石ミコちゃん！1から作るずんだ虫料理はパッとしないけどアレンジャーとしては一流ですね！」
一言多いよ。
「おい！アイスクリームトースト3つ！」
「アイス単体で4つください！」
「両方くれ！」
アレンジメニューの登場で、謳歌味亭の屋台はさらに盛況となった。ずんだもんから交替してアイスを作る小夜ちゃん。手際良くトーストを焼き、アイスにジャムを盛るずんだもん。
「皆さん！ジャムは単体でも売っています！お会計時にご注文をお願いします！」
そして会計担当の私。
この謳歌味亭はあくまで仮の姿。それなのに中々どうして厨房は川の流れのように停滞することなく円滑に回り、お客様は途切れず、今までで1番繁盛している。悔しいが認めざるを得ない。ずんだもんの実力を……。
「きょーだい……うまれかわっても、またいっしょになるのだ……うっうっ……」
「ヘコヘコも、ごはんさんも、おそらをとぶこともできないまま、たべられるだけにずんちゃはうまれてきたの……だ……？」
「おねがいちまちゅ……おちびちゃんなんかどうだっていいから、ずんぽだけは、ママずんのあにゃるだけは……」
「おとうちゃ、いやクソオス！オメーさいてーなのだ！ころちゃれるまえにおまえをころすのだ！」
「にんげんしゃん、ぼくはたべていいからおちびだけはにがして……どんなふうにころしてもいいから、いとしいわがこだけは……」
「せめてしぬまえにあにゃるさんにっこーよくだけでも……」
「もうおにーちゃでもいいからヘコヘコするのりゃ！」
食材となっているずんだ虫達はみんな、すでに調理された個体の断末魔から自分の運命を悟り、暴れるだけ無駄と分かったのか最後の時を兄弟で抱き合ったり、命乞いしたりして泣いて過ごしている。
「さ、あなた達の番ですよ」
「……のだ……」
「もう、このずんせーはすてたのだ……」
「かぞくをつくっちぇ、みんなでずんだもち、たべちゃかっちゃ……」
小夜ちゃんは成ずんを何十匹もまとめて寸胴鍋に叩き入れると、水をお鍋にひたひたに入れてから火にかけた。諦観して死を受け入れていたずんだ虫も、最期の時は流石にかなり暴れ出した。
鍋がコンロから落ちないように小夜ちゃんが蓋に重石を載せる。
「ギャァァァァァァァァァ！！あついあつい、あちゅあぢゅぁああああああぁぁぁあ！！！ころせっ、もうころせ……だちぇだちぇ……ぽっ、ほお……か……」
「おぎゃーおぎゃー！おかーちゃ！おとうちゃぁ！！きょーだい！！あづ、い、たちゅけてほちぃの、りゃぁぁぁぁ！！」
「おちびちゃんさきにむこうにいってるからね！てんごくさんであったらこんどこそ……やっぱりいやなのだぁぁぁぁぁ！！おちびのせいちょー、もっとみちゃかっ、ちゃ……」
これは最後のメインディッシュ用の仕込みだ。今は使わない。
「ずんだ餅、あるかな」
その時だった。
若い女の人が、電卓を叩く私にそう話しかけてきた。
「あ、すいません。ずんだ餅は……うっ」
この人、あの人だ。
前に小夜ちゃんが仮設住宅でずんだ餅を作っていたら、ずんだ虫で作ったものを食わせるなと怒って小夜ちゃんをビンタした人。
まさか、またウチにアヤをつけにきた……？懲りずに私達が謳歌味亭の屋号で屋台を出したから、また邪魔しに来たか？
「ミコちゃん」
身構えた私の肩を叩き、小夜ちゃんがお姉さんの前に箸を添えたずんだ餅の皿を出した。さっきの残りを集めて作ったのか。でも、何でずんだ餅を用意していたの？
「あなたが来るだろうと思ってました。どうぞ召し上がってください」
小夜ちゃんがニコリと笑って皿を差し出す。お姉さんが箸を取り、ずんだ餅を怖々と口に運び、咀嚼した。
「おい……しい……。すごくおいしい。ありがとう」
お姉さんは下唇についたずんだを舐め取りながら、恥ずかしそうにそう言った。
「でしょう」
小夜ちゃんが胸を張る。
「それと、あの時はごめんなさい……叩いたりして、大人気なかったわ。悪いと思ってる」
「気にしないでください。私も気にしてませんから。それよりもこれから1番の目玉商品を作るので、ぜひ食べていってくださいね」
さ、小夜ちゃん……。
正直私が身構えたのはお姉さんがってより、今度こそ我を失いそうな小夜ちゃんを取り押さえなきゃと思ったからだけど、そんな心配は全然不用だった。成長したね。小夜ちゃん。
「………あははははは！！」ﾋﾞｷﾋﾞｷ
「………！」
笑う小夜ちゃんの首筋から顎下にかけて血管がバキバキに浮き上がってる。これ憤怒を自制心で押さえつけてるだけかもしれない。
「ぶっ殺さよ」ﾄﾞﾝｯﾊﾞﾝｯ
「あぎゃぁぁぁ！！やめぎぃっ！ぐぇぅ」
ほら、まな板の上に置いたずんだ虫を理由もなく包丁で叩き割った。こういうとこ小夜ちゃん怖いんだよね。
「小夜ちゃん、そろそろアレを作るのだ」
ずんだもんが小夜ちゃんに話しかける。その手には大きな土鍋を持っている。
「ええ、やりましょうか。私の渾身の最新作。ずんだ炊き込みご飯を……！」
続く。
このページへのコメント
見られたくない小説をわざわざ本人の前で諳んじる等、なまじ記憶力が高いのも不快害虫ポイントMAXですね……
『死ッねさよォルア゛ア゛ァッッ！！！』等の声を、ボイスドラマのような形式で聞いてみたいなと思いました！
むらさき様のイラストもカラーで豪華！頭を抱えてる子ずんかわいい………
小夜ちゃん・・・ずんだもんでｺｯｼｮﾘ小説は・・・
ずん子とつむぎが・・・
迫真の挿絵ｗｗｗ
これはバーナーで炙った奴のイラストも見たくなりますね
続きが楽しみです
顔面を黒焦げになるまで焼かれた子ずんの描写の力具合がすげーのだ。小夜ちゃんも官能小説書いてるんだね……
間違えて返信で投稿してしまいました。
ゆるちて
>「ぶっ殺さよ」ﾄﾞﾝｯﾊﾞﾝｯ
god i wish that were me nanoda.
人の皮を被った小夜とぶっ殺さよがツボに入りました。
むらさきさんの挿絵がこれまた素晴らしい…