作者 睡蓮 
この作品はずんちでるさんの謳歌味亭シリーズを僕睡蓮の妖世紀シリーズの世界観で書いた2次創作です。
謳歌味亭シリーズはすでにみなさんご覧になってるかと思いますが、両シリーズをご覧になってからだとより一層楽しめると思います。
初体験！ずんだ虫料理！
映像の妖世紀 第1話
謳歌味亭シリーズはすでにみなさんご覧になってるかと思いますが、両シリーズをご覧になってからだとより一層楽しめると思います。
初体験！ずんだ虫料理！
映像の妖世紀 第1話
本編
2023年8月8日。
過激派組織FAIRIESが起こした妖精戦争において、宮城県仙台市をFAIRIESの保有するずんだ虫で大多数を構成する私設軍隊『妖精軍』が襲撃。死闘の末に自衛隊は辛勝。妖精軍は北海道方面に撤退した。
だが、仙台の街は荒廃し、市民にも多数の死者が出た。地獄さながらの灰燼と化した故郷から退避せざるを得なくなった仙台市民は、隣の福島県の仮設住宅街に身を寄せるが、誰もが妖精軍に怯え、先を見通せない砂を喰むような日々を過ごしていた。
その中の1人、とある少女もまたFAIRIESによって心の拠り所を奪われ、死んでいないだけの失意の日々を送っていたのだった……。
＊＊＊
私は櫻歌ミコ。
仙台で謳歌味亭というずんだ虫料理専門の食堂をやっていた。今はそのずんだ虫にお店を破壊され、仙台自体も残党狩りでまだ民間人が立ち入れる状況じゃないから、福島の仮設住宅で暮らしながら謳歌味亭の再起を図っている。
とはいえ学生の私に銀行が融資してくれるはずもないし、どうすれば再建ができるのか見通しが立たないというのが現状だ。
見通しが立たない理由はもう一つ……。
「あのおじさん、汁入れすぎだって……育ち盛りだからって油揚げ2枚入れてくれたのは嬉しいけど……あっつ！」
私は並々とおつゆが入ったきつねうどんのどんぶりを2つ両手に持ちながら、慎重に仮設住宅のプレハブ小屋の斜面のきつい階段を登り、肘でドアノブを下げてから足でドアを開けた。
「小夜ちゃん入るよー」
そう言って入った部屋は暗い。暗いし、急ごしらえのプレハブ小屋は全体的に湿度が高くてカビ臭い。でも、無償で政府が用意してくれたんだから文句は言えない。水道は無理だけど電気はある程度は自由に使えるし。トイレは別だけど換気が悪いからむしろ助かる。
「小夜ちゃーん？」
返事がない。
「ころ、ちぇ……はやく……ごろすの、だ……！！」
……なんか穏やかじゃない声が聞こえてきた。でも、これは小夜ちゃんの声じゃないから気にする必要はない。私はサンダルを脱ぎ、部屋に入った。
「小夜ちゃん。小夜ちゃんの分もうどんもらってきたよ。一緒に食べ……」
「ああ、ミコちゃん……ふふ」
「ああがごがががががががが！！ぜんしんが！！いちゃいちゃいいちゃい！！」ﾋﾞﾀﾝﾋﾞﾀﾝ
「なんでもゆーことききまちゅ！だちでぐだっ……あ゛あ゛あ゛あ゛！！」ﾓｿﾞﾓｿﾞ
そこには、瓶や虫カゴに詰めた皮がないずんだ虫に囲まれてうつ伏せに寝っ転がる小夜ちゃんがいた。
この白髪の猫耳の女の子が小夜ちゃん。ずんだ虫料理の発案者で、料理開発や食用ずんだ虫の飼育まで全てを担当していた子だ。店を提供したのは私だけど、ずんだ虫料理に関して仕切っていたのは小夜ちゃんだった。
毎日厨房で鍋を振るい、泣いて命乞いをするずんだ虫を3枚に下ろす小夜ちゃんの姿は本当に活力に満ちていて、すごく可愛らしかった。
「ふ、ふへへ……」
その小夜ちゃんが暗い部屋で1人、アスファルトに焼きついた轢かれたカエルみたいな格好で寝そべっている。わかりやすく言えば、［出］の字の出っ張りを手足と見て、4画目5画目を下向きにした感じ。まるで抜け殻だ。
あの日、小夜ちゃんは私がいくら言っても謳歌味亭を枕にこの身が尽きるまで妖精軍と戦うと武将みたいなことを言い出したが、最終的に自衛官の人に説得されて、渋々ドアに張り紙を貼って店を出た。
『大切なお客様の皆さん。申し訳ありませんが謳歌味亭はしばらくの間休業とさせてもらいます。もしかしたらもう仙台には戻れないかもしれないし、帰ってこれてもお店が残ってるかも、またずんだ虫料理を皆さんが食べにきてくれるかも分かりません。
でも、私は生まれ育った仙台とこのお店と皆さんが大好きです！いつかまた皆さんと会えたらその時は、今よりもっと美味しいずんだ虫料理を作ってみせます！ずんだ虫は死ねさよ！！！』
……最後の1節は、走りかけた車から飛び出した小夜ちゃんが、すでに書いた文章の上に赤いマッキーでデカデカと一文字に書き殴った。
小夜ちゃんは最初の頃は自分も辛いだろうに気丈に振る舞って自分より小さい子達を励ましたり、炊事係に立候補して他のレストランや料亭の従業員に劣らない仕事ぶりを見せた。
ある時だった。借りてきたスクリーンで久しぶりに見たニュースで仙台の様子が報じられ、あちこちに死体を隠すモザイクや倒壊した建物が映る惨たらしい映像の端に、一瞬謳歌味亭が映った。
変わり果てた、焼け落ちた謳歌味亭が。その時隣にいた小夜ちゃんの顔は今でも忘れない。口をパクパクさせるだけで言葉を失い、嘔吐しそうなのを必死で抑えていた。
それでも小夜ちゃんは人前では涙を見せず、毎日炊事係を休むことなく勤めた。小夜ちゃんも料理を振る舞ってる間は悲しいことを忘れられたんだと思う。
『あが、あが……』
『コイツらFAIRIESとは無関係っぽそうだが、念には念を入れて殺しとかないとな』
『あ、それ良かったらもらえますか？』
それから数日経ち、小夜ちゃんは自警団の人が殺したずんだ虫を引き取ると、少ない砂糖の代わりに麦芽で甘みを引き出したずんだ餅をたくさん作って、私も手伝ってここに住む人達が元気になるよう願って振る舞った。
多くの人はずんだ餅に好意的だったけど、配り歩く中に1人、後から知ったけど妖精軍に婚約者と両親を殺されたお姉ちゃんがいた。
『アンタ自分が何してるか分かってんの？』
『え？あ、あの、皆さんに謳歌味亭名物のずんだ餅を……』
小夜ちゃんがそれを知ってるはずもなく、怒ってやってきたお姉ちゃんに他の人と同じようにずんだ餅を差し出した。それがお姉ちゃんからしたら挑発に思われたのかも。
『私は家族も何もかもずんだ虫に奪われたのよ！！そんなヤツらの死体を私達に食えって……アンタ人を馬鹿にするにも限度があるでしょ！！』
激昂したお姉ちゃんは小夜ちゃんをビンタして突き飛ばし、小夜ちゃんは持っていたお盆に山盛りのずんだ餅に塗れて尻餅をついた。
『いてぇさよ！』
足音荒く去っていくお姉ちゃんをぼんやりした顔で見つめ、気づいた私が小夜ちゃんに駆け寄ると、小夜ちゃんは見上げて私と目が合わせた。
『お、お嬢ちゃんケガはないか？』
『小夜ちゃん大丈夫！？何あの人！？』
『ミコ、ちゃ……』
ずんだ虫料理が拒絶されたことで今まで堪えていたものが決壊したんだろう。しがみついて、私がそれまで聞いたこともないくらい大きな声でわんわん泣いてしまった。そりゃ泣きたくもなる。無理もない。
ただ、よほどショックだったんだろう。この日からずっと、小夜ちゃんは塞ぎ込んだままだ。
最初の頃は殻に籠るよりかは感情を剥き出しにしてスッキリした方がいいと思ってたけど、かれこれ1月これだ。トイレ以外は部屋に閉じこもって一切出てこない。風呂も入らずたまにタオルで身体を拭いてるだけ。食事だって私が持ってこなければ食べるかどうか。
端的に言えば、生気が失せてしまった。
「もう、はやく……らくにして、ちゃ……」
「おがーっぢゃが！いづがずんだもぢっをたべさせでぐれるってやぐそくしだの゛っだだ！！ぞれまでは！！ぃぎぬくの「くるちくるちくるち！もうたすかってもまともなずんせーはむりちゃ！さっさとてんごくさんにいきたいちゃ！」
「あああ……もう、みたくないちゃ……おめめさんえぐりたいちゃ……しなせて、おねがい……」
私は小夜ちゃんの周りを取り囲む子ずんと、小夜ちゃんの枕元にある恐らく親ずんが入った虫カゴに目を向けた。何やら四肢を切られて皮を剥がれた子ずんが、オレンジ色の液体を吸わせた真綿の瓶の中で弱々しく呻いている。
下に溜まった血の量から相当長く責苦に遭っているのが分かる。その顔はもはや何も感情がないただ真顔で、生還より早く死ねることを願って諦観しているようだった。
「小夜ちゃん。コイツらはずんだ虫料理の仕込み？」
「え？違いますよミコちゃん。コイツらはただ苦しめてるだけです。捕まえたずんだ虫一家を全てたりないにして皮をひん剥いた後、子ずんはタバスコに浸した真綿に詰め、パパずんは絞ったずんちと汚いドブ川の水に浸し、ママずんは虫カゴで塩水の中を泳がせています」
「それで？」
「タバスコと塩水を肉に直接触れてるママずんと子ずん3匹は予想通り甘美な悲鳴を上げたんですが、1番最初に脱落したのはパパずんでした。変な病気になって朦朧とした意識の中で、お前らがホイホイくちょにんげんについてったせいでって子ずんを罵って、怒った子ずんと仲良く罵倒合戦をしてから死にました。
ママずんの虫カゴでふやけてグズグズになってる肉片がパパずんです。ママずんが泣きながら、わたちたちはかぞくよー！こんなときこそきょーりょくするのだ！って喚いてるの、実に滑稽でした。
次に子ずんが1匹、私に猫撫で声で命乞いするのであにゃるをアロンアルファで塞いで瓶を逆さにしてやったら、翌朝目玉飛び出て死んでました。内臓を吐いた時の絶叫のライブは本当に感動的でした」
「……」
「ママずんは自殺以前に一睡することも許さず、我が子の苦しむ様を肴に耐えがたい苦しみを味合わせることにしました。何回かおちびちゃんをもうらくにしてあげてーと懇願されましたが、自然に死ぬまで私はもう塩水を追加と、綿にタバスコを補充することしかやりません。
ああ、ママずんは幼児退行を何回かやってますが、その度に体に粗塩を直に揉み込み、死んだ子ずんの顔を間近に見せつけるてやると泣き腫らした心底落胆した顔で正気に戻ります。これがまた面白くて」
「小夜ちゃん……」
お経を唱えるようにブツブツとずん虐を語る小夜ちゃん。あれから小夜ちゃんは変わってしまった。毎日部屋にこもって何をしてるかと思えば、ずんだ虫をあの手この手でいじめ殺してばかり。
前の小夜ちゃんはずんだ虫を殺すのはあくまで調理のため、ただストレス発散のため私欲で殺したりは……殺したりは……いや、割としょっちゅう遊び殺してたな。この際関係ないけど。
「それって楽しい？」
「楽しい、ですか……？いや、楽しくはないです。ただ、ずんだ虫の叫びを聞くと気が紛れるんですよ。それだけです。コイツらの苦悶の叫びを聞くのが私の安らぎなんです」
小夜ちゃんは虚な目でそう言って起き上がった。お父さんのダボダボのTシャツを着ているから、身体を起こすと襟がずれて華奢な肩が二の腕まで露わになった。
私は小夜ちゃんに器を渡し、座った。
「小夜ちゃん。髪伸びたね。あの背が2mくらいある床屋さんに頼んで切ってもらえば？私やってもらったけど、仕事しないと腕が鈍るからありがたいって喜んでたよ」
「はい。そうですね」
「それと、ちゃんと鍵かけないとダメだよ。ここだって危ない人いるかもなんだし。小夜ちゃんの親、今地方に買い出し行っててしばらく帰ってこないんだから」
「はい……」
そ、そっけない。
話しかけても話しかけてもこれだ。私に心を開いてくれなくなってしまった。前はあんなに食べるのが好きだったのに箸もそんなに進んでない。前はぶっちゃけふっくらしてたけど、心なしか痩せてきてる。あと汗くさい。
正直これはこれで薄幸系美少女でかわいいと思いはするけど、それ以上に体調が心配だ。
「ミコちゃん。いいんですよ私に構わなくて。もっと同い年の若くてシュッとした子と遊んだ方がいいですよ？」
なんかやたら若い女の子にモテるイケオジみたいなこと言ってるし……。
「ねぇ、またずんだ虫料理作る気はない？私、またバカのアホ炒め、いや小夜ちゃんの料理なら何でもいいから食べてみたいな。ずんだ虫なら捕まえてくるからさ」
「……」ﾌﾞﾁｯ
私が俯きがちな小夜ちゃんと目を合わせてそう言うと、小夜ちゃんは横に置いていた虫カゴの中で、痛みに気絶しているママずんの枝豆耳をつまんで引きちぎった。
「あ゛お゛お゛お゛お゛お゛お！！？えだまめさんが！！しょんな、もうあかちゃんにごはんさんあげられないちゃ……いためつけるだけいためつけて、いつになったらころしてくれるのだ……」
そうして立ち上がってブラインドを上げ、窓を開けると血の滴る枝豆を持つ手を外に出した。
「ごはんさん！えだまめさんなのだ！」
すると、仮設住宅の残飯目当てにここらへんにたむろしている野良子ずんが小夜ちゃんの手の枝豆に飛びついた。
「あぎゃ！はなちぇ！くちょにんげゃぁぁぁぁ！！」ﾍﾞｼｯ
「はい」
「えっ？」
小夜ちゃんはその子ずんを鷲掴むと、振り返って私の膝の前に叩きつけた。衝撃で子ずんの頭が割れて畳の床に体液が染み込み、私はそれを訳が分からずしばらく見つめてから小夜ちゃんを見上げた。
「料理なんて不自然に食材こねくり回したものより、塩も砂糖も使わないありのままの姿が1番美味しいんですよ」
「何自然派ママみたいなこと言ってんの小夜ちゃん」
それ子どもの頭にキャベツ被せる人が言うセリフじゃん。
「いちゃい、いちゃいよぉ……ぼくちだらけなのだ……これじゃパパずんに、まびかれちゃうのだ……」
「そこの……おちび、たすけ……て……」
「の、だぁ！？ば、ばけもの！！こわいのだこわいのだこわいのだにげるのだ！！あれ？ぼくとべなくなっちぇる！？くしょにんげんぼくになにをしたn」ｸﾞｷｯ
小夜ちゃんの作品に怯えた子ずんが脳震盪で叫んで鬱陶しいから首を捻って締めた。
「おいしかったですミコちゃん。私ちょっと横になりますね」ｺﾞﾛﾝ
小夜ちゃんはうどんを半分ほど食べると、私に背を向けてごろりと寝っ転がった。私は何か言おうと思ったけど、今の小夜ちゃんはそっとした方がいいと思って、部屋の隅にあるお盆に器を載せて立った。
「ゆっくり休んでね小夜ちゃん」
私はそれだけ言って部屋を出た。このままじゃダメだ。謳歌味亭を立て直す以前に、あのままじゃ小夜ちゃんはヤドカリみたいに引きこもったまま社会復帰すら怪しい。何とかしなければ……。
「ん？」
すると、ドアの隙間から小夜ちゃんの声が微かに漏れてきた。まさか1人で辛くて泣いてるのかと思って私はドアに耳を当てた。
「おっ゛ほぁ♡んあっ……///ひぅぅ……にゅ……！うあッ！あっ……！あっ……はぁっはあっ……！！ん゛っ♡ローターすっごい快感さよ……///も、もういっかい……次は電マで……あはぁ///」
「……聞かなかったことにしよう」
本当に何とかしないと……。
「小夜ちゃん、私はどうするべきなのかな……」
器を洗って返した帰り、掲示板にやたらカラフルなポスターが貼ってあった。私は何となく近づいてポスターを眺めた。見た瞬間に電流が走った。
「これだ……！」
＊＊＊
「ふふふ……あなたの目の前でおちびちゃんの目玉をくり抜いてあげます」
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！」
「やめちぇぇ！！そんなことしたらおちびがもりでいきていけないのだぁぁぁ！！」
「小夜ちゃん！バザーがやるって！！一緒にやろう！」
「ミ、ミコちゃん……？」
翌朝、私は真っ先に小夜ちゃんの部屋に飛び込んだ。小夜ちゃんはまた捕まえてきた赤ずんの目に縫い針を突き刺す直前だった。
「こんなのゆめなのだあああ！！おちびちゃんが！おちびちゃんまでわたしよりさきにてんごくさんに！！」
「くちょぉ〜……おにーちゃ、ぼくよりしゃきにらくになるなんて、ずるいにょだ……」
例の拷問中の一家は子ずんが1匹死んでいた。待望の死を与えられたからなのか何となく幸せそうな顔をしてる。
「バザー……？」
「うん！仮設住宅に住んでる人達で得意なものを作って売るんだって！謳歌味亭復活のチャン「お断りします」早いよ！！」
びっくりした。こんな秒で拒否られると思わなかった。
「で、でも小夜ちゃん。私がこのチラシ持ってたら常連さんだった人達が謳歌味亭も店出すのかって期待してたよ？みんな小夜ちゃんのずんだ虫料理を待ってるんだよ！？」
私がそう言うと、長い前髪に潜む小夜ちゃんの赤い瞳がぐにゃり形を歪め、私を睨め付けた。
「みんな？みんな！？ミコちゃんは忘れたんですかあの時のことを！！この仮設住宅にはずんだ虫に家族を殺されたり家を焼かれた人が大勢いるんですよ！！しかもいつ仙台に帰れるかも分からない中、妖精軍がまた攻めてくるかもと怯えているんです！そんな状況でずんだ虫を料理を振舞うなんて、殺人事件の遺族に犯人が獄中出版した本を送りつけるようなもんですよ！！」
「ミコちゃん、聞く耳を持ってくれないかな？」
しかも意外と的確な例えを出してくるな。
「もう謳歌味亭もずんだ虫料理も世間からしたら需要0どころか害悪でしかないんですよ！頭きたさよ！！ムシャクシャするからお酒を飲むさよ！」
すると小夜ちゃんはおもむろにリュックを開けて中から何か薬品らしき飴色の瓶を取り出してラッパ飲みしようとしたではないか。私は焦り、すぐさま小夜ちゃんから瓶を奪おうと掴みかかった。
「えっちょ……やめなさい小夜ちゃん！！未成年でしょ！！」
「嫌なことは飲んで忘れるさよ！浴びるさよ！あおるさよ！邪魔しないでくださいミコちゃん！」
「チャンスなのだ！くちょにんげんどもがもめてるうちにおちびとここからにげる「おぎゅあ」ﾌﾞﾁｬｯおちびぃぃぃぃぃぃ！！！むごい……けさ、うまれたばっかだったのだ……ごめんね、せめてたべてあげるからわたちのなかでいきつづけてｎ」ﾑｼｬﾑｼｬｸﾞﾁｭｫ
「落ち着いて！というかこれ本当に酒……メ、メチルアルコール！？小夜ちゃんやばい！これはガチでやばいヤツだから渡しなさい！」
そもそも酒ですらない！小夜ちゃんキャラ的にペプシで酔うタイプじゃん！どこで手に入れたこんなの！
「こんなもん飲んだら死ぬよ！！」
「別にいいさよ！この世に未練なんかないさよ！！」
「ああもう……小夜ちゃんごめん！」ﾄﾝｯ
「ぐぼぁ！？」ﾄﾞｻｯ
私は小夜ちゃんのうなじに手刀を当てて気絶させた。
まったくヒヤヒヤさせるなぁ……。大丈夫かな。この子他にシンナーとか怪しいハッパとか持ってないかな。
私は白目を剥いて突っ伏す小夜ちゃんの手からメチルアルコールの瓶を奪い、他に何が入っているのか知るためリュックの中に手を突っ込んで漁ってみた。
「うっわぁ……」
・ディルド
・電マ
・リモートバイブ
・ローション
・ローター
・TENGA
・インナーボール
何コレ。男優の7つ道具？
TENGAに至っては小夜ちゃん生えてないのに何故……？クソッ私が不甲斐ないせいで、無垢で清らかな小夜ちゃんがどんどん道を踏み外してきている。このままでは小夜ちゃんは完全に将来に希望を失くし……！
『やっぱりホストは最高さよ！私の傷を埋めてくれるのはホストだけさよ！オラァそこの三下ホストさっさとクリュッグ持ってこいさよ！』
『アゴが痛いさよ……でも担当を今月1位にするために今日もお風呂に沈むさよ……』
『売り掛け500万返さなきゃ……食費切り詰めるためにゴミ捨て場のずんだ虫で飢えをしのぐさよ……』
限界ホス狂いになってしまう！！！
「ぐッ……」ｽﾞｷﾝ
ダメだ。考えただけで吐き気と頭痛がしてきた。これで現実になったら私ショック死するな。私は壁に頭を叩きつけて妄想を打ち消した。
と、とりあえずここは一旦出よう。小夜ちゃんは今は聞く耳を持ってくれないだろう。でも、私は諦めないよ。このバザーは小夜ちゃんが元気になる千載一遇の好機に違いないから。
「うわ、こんなのいつ踏んだんだろ」
私は気づいたら足裏にへばりついていたずんだ虫の死骸を、玄関の靴ベラで削ぎ落として外に捨てる。振り返ったら部屋中ずんだ塗れだった。
黄緑色の塊が地面に染み込み、ずんだずんだと喚いて何も知らないずんだ虫がそれを食べ、やってきたカラスに啄まれる。
「ちゃべにゃいで！ちゃべにゃいで！ああああなにもみえないちゃ！ひこへないちゃあああ！！！きょわいょぉぉ……！！」
「たちゅけてぱぱじゅーん！！」ﾊﾞｻﾊﾞｻ
「まっちぇ……ぼくのこどもをさらわにゃいで……ちぇめていっちょにころちて……」ﾁｰﾝ
心底嬉しそうにずんだ虫を生きたままクチバシで解体していくカラス達。やはりずんだ虫を前にするあの喜びっぷりを見たら、私が小夜ちゃんにやれることは1つしかない。
＊＊＊
「小夜ちゃーんずんだ餅作ってきたよ。一緒に食べよ」
「えっ？」
翌日の昼、私は早起きして作ったずんだ餅を小夜ちゃんのところに持っていった。小夜ちゃんは昨日と同じ格好で寝っ転がっていた。
昨日の夕方捕まえたよく肥えた子ずんを水だけ大量に飲ませ、一晩放置してずんちや不純物を出させてから、今さっきすり潰してこしらえた新鮮なずんだ餅だ。餅は突き立てとはいかないから備蓄の切り餅だけど、贅沢は言えない。
もっとも小夜ちゃんが腕によりをかけ、ずんだ虫の段階から厳選して育てた極上品と比べたらカスい代物だろうけれど、小夜ちゃんにずんだ虫の味を思い出してもらうきっかけにさえなればいい。
「私も小夜ちゃんに鍛えられたからこう見えて結構自信作なんだ」
高級感を出すために餅とずんだ餡を別々にして、小夜ちゃんの目の前で餅に盛ることにした。七輪で餅を焼いても良かったけど一酸化炭素中毒は怖いからね。
私が重箱の蓋を開け、ずんだ餡を小夜ちゃんに見せたその時。
「ヒィッ……！」ﾊﾞｼｯ
小夜ちゃんがかすれた低い声を漏らして私の手から重箱を弾き飛ばした。畳にずんだの枝豆の粒が放射線状に飛び散り、咄嗟のことに私は思考がついていけなかった。
「さ、小夜、ちゃん……」
「ごめんなさい、ミコちゃ……っ……こわいんです……ずんだ餅を、見ると……あのときのことを、おもいだして……っ……う……」
小夜ちゃんは肩を振るわせ、ひどく怯えた顔で鼻水を垂らしながらすすり泣き、そう言った。
そこで私は全てを理解した。小夜ちゃんはずんだ虫料理を作る気がなくなったんじゃない。作れないんだ。
それだけあの時のことは小夜ちゃんにとってトラウマだったんだ。そんなことも分からず、私は自己満足で小夜ちゃんの心の傷を抉るようなことを……。
「ご、ごめん……さよ、ちゃん……」
私は自分がとんでもないことをしてしまったことを悟った。泣き出す小夜ちゃんの涙と鼻水とよだれが顎下で混ざり、喉を伝って着るシャツに染み込む。
そして、一歩後ずさるとそのまま怖くなって靴も履かずに部屋を出て転げ落ちるように駆け出した。自分への情けなさと小夜ちゃんへの申し訳なさで、私も目から熱い涙が止まらなかった。
「…………」
「おかーちゃ……もう、きられた、てあしさん、あんまりいたくないちゃ……くるちくないにょだ……」
「ほんとーなのだ……？わたちもだよおちびちゃん……きっともうすぐてんごくさんにいけるのだ……むこうでいっしょにおそらを、とぼーね……」
「………」ﾎﾟｲｯ
「あっ、ごはんさんなのだ……おいち……」ﾓｸﾞｯ
「さいごのばんしゃん……」ﾑｼｬﾑｼｬ
「………」ﾊﾟｸｯ
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！」」ﾋﾟｸﾋﾞｸｩ‼︎
「え、えいよーほきゅーしたら、ぜんしんがまた、もえりゅぅぅぅぅぅ！！いぢゃぁぁぁ゛あ゛あ！！！」
「くるちくるち！おかーちゃからだじゅーが、いちゃくて、か、かかゆいにょだぁぁぁぁぁ！！おねがいでぢゅにんげっしゃっ！いますぐずんちゃをぶっころちぇ！！」
「………！！」
＊＊＊
「殺す、殺す……」ｼｬｯｼｬｯｼｬｯｼｬｯｼｬｯｼｬｯ
殺す。私は小夜ちゃんをあんな風にした主犯、FAIRIESのド腐れ姉妹を決して許しはしない。
謳歌味亭を焼いたのはいい。どうせボロい定食屋だ。私達の謳歌味亭があんなちっぽけなもので終わると思われては困る。地を這うずんだ虫を扇動して仙台をめちゃくちゃにしたのもまぁ、いいだろう。
だがアイツらは私の親友を、小夜ちゃんを壊した。ずんだ虫以下の害獣め。駆除以外の選択肢はない……！
「お嬢ちゃん、す、すごい鬼気迫る顔で包丁研いでるね。なんか怖いよ」
「殺してやる……」ｼｬｯｼｬｯｼｬｯ
「え？誰を？」
今から帯広に行き、小夜ちゃんとイオンで一緒に買ったこの包丁(税込3800円)で琴葉姉妹を殺して私も死ぬ。
「櫻歌ミコは最後まで小夜ちゃんのことを想っていたと伝えてください」
「うん。うん？」
私が夜通し研いだ包丁を革ケースに入れた時、背後で大人達が忙しなく走っていった。何でも、夜中に女の子が脱走したと。ふーん……。
「は！？」
＊＊＊
「やられた……守衛が消えた一瞬で門の隙間から出ていった。こりゃずっと待ち伏せてたな。お前は何で持ち場を離れた？」
「すいません……水筒が空になってつい水道に……」
「この子、確かあの、オーガズムみたいな名前の定食屋の子だな。最近見ないから親戚の元にでも引っ越したと思っていたが、いたのか」
「まずいな。午前2時半に消えて今6時半。4時間も経ってたら子どもの足でもかなり遠くまで行くぞ」
小夜ちゃんが仮設住宅から脱走した。
朝に自警団の人達が別件で防犯カメラを見返していたら偶然発見したらしい。今、住宅内に戻っていないか大人達が辺りを探して回っている。
小夜ちゃん……どうして……最悪の事態が頭をよぎった。なぜ私はあの時小夜ちゃんから逃げてしまったんだ。包丁なんか研いでないで一晩中一緒にいればよかった。私は自分を責めた。
「この子、まさか謳歌味亭に戻ったんじゃないか？あそこが焼けたと知ってからかなり塞ぎ込んでた」
「ありえるな……だが仙台は今戻っても落胆しかないと思うが……」
「言ってる場合か！警察は呼んでも1時間は来ない！自衛隊はもっと遅い！車を出せ！仙台に向かうぞ！残りは付近を探せ！」
大人達は口々に叫び、所有するバンやトラックに乗り込んだ。私はその中で指示を出すリーダー格と思われる一番ガタイのいいハゲた頭にねじり鉢巻のおじさんの腕を掴んで引き止めた。
「待って！私も連れていって！」
「何言ってんの子どもは……いや、君は確か謳歌味亭の……どうしますカシラ」
お前リーダーじゃないのかよ。無駄に大工の親方みたいな風格醸し出してんじゃないよ。
「悩む時間が無駄だ。乗せてやれ」
私はトラックの荷台に乗り込み、顔面に吹きつける強風に顔をしかめて小夜ちゃんの無事を祈った。
＊＊＊
2時間近く車に乗っていただろうか、夜通し包丁を研いでたせいで眠いからウトウトしていたところを、誰かが吹いたホイッスルで叩き起こされた。
「止まりなさい！ここは現在立ち入り禁止です！」
「クソッ自衛隊の検問か……」
鳴らしたのは自衛官だった。トラックから降りて前を見ると、自警団の人達と自衛隊が何やら交渉していた。
「女の子が封鎖区域の仙台に……？わかりました一応確認してみますが、仙台内は依然ずんだ虫の残存勢力と戦闘が続いています。向かうには時間を要します」
「わかりました。謳歌味亭の場所は近くにガストがあって……」
「そう言った目印となる建物は大方焼け落ちているので、地図を持っていますから場所を教えてください」
ダメだ。これはかなり時間がかかるな。こうしてる間にも小夜ちゃんはずんだ虫に襲われているかもしれないのに。私の焦燥を掻き立てるかのようにどこかから乾いた銃声が立て続けに響いた。
クソッもう待ってられない！！時間の無駄だ！
「あっおい待ちなさい！！」
私は駆け出して自衛隊の装甲車の横を滑り抜け、封鎖された仙台の中へと入っていった。後ろからおじさん達や自衛官が追いかけてきたので近くの塀の裏に咄嗟に身を隠してまくと、また走り出した。
走りながら気づいたが、小夜ちゃんは謳歌味亭にはいない。あそこは調味料関係や小夜ちゃんが大切にしてる調理器具類は全て逃げる時に運び出している。何よりもう灰になっている。
いるとすれば、小夜ちゃんのずんだ虫肥育室がある家だ。
私はそこに向かって一直線に駆け出した。
＊＊＊
「ひどい……」
これが私の生まれ育った街、なの？
どの建物も黒焦げだし、どこを見てもずんだ虫の死体が散乱している。それは腐って骨が見えていて、うっかり踏むと簡単に潰れてねっとりと糸を引いた肉片が靴底にこびりついた。
そういうのがマンションの高層部の壁や避雷針とか、なぜそんなとこにという場所にまで隅々に転がっている。
ゴキブリやハエの量も凄まじい。赤茶けたずんだ虫をよく見たら巣食うゴキブリの塊だったし、特にハエやアブはずんだ虫の屍肉で肥えてて500円玉よりデカいサイズのもいる。
真夏のゴミ捨て場を何倍にもキツくしたような不快な酸っぱい臭いが鼻をついた。
横転したバスにケツを下敷きになって死んだずんだ虫の周りにもずんだ虫が倒れている。つがいを助けようとして煙に巻かれたのか。出産中に死んで、あにゃるから子ずんのケツをひり出したままのヤツも多い。
全力疾走したいけど、下を見ずに走ると死体を踏んで転びそうだ。でも生きてるずんだ虫と出会した時に備えて包丁は抜いていた。
「うっ……」
もちろん死体はずんだ虫だけじゃない。人型ずんだもんや人間の死体もたくさんある。ずんだ虫の山に手足だけが飛び出ていたりして、膨大な数に自衛隊も処理が追いついてないことが分かる。
この豆臭さに混じる別の異臭はまさか人が……
「うっ……ぇ゛つ……」ﾎﾞﾄﾎﾞﾄ
そんな考えが頭をよぎった時、私は胃を握り潰されたような不快感を覚えて道路に吐いた。
縦に真っ二つにされた自衛官の腐乱死体を見たからだ。
鋭利な切り口で、この人の物と思われるライフルが同じように両断されて側に落ちている。こんなことができるずんだ虫なんているの……？
小夜ちゃんの身が危ない。早く行かないと。私はまだ使えそうな自販機に小銭を入れてコーヒーを買い、口をゆすいでからまた駆け出した。
「はぁ……はぁはぁ……」
それからさらに20分ほど経過し、小夜ちゃんの自宅に着いた。大砲の的にされたのか家は粉々に倒壊してる。そこら中にずんだ虫のバラバラ死体が散らばっている。こんなんで小夜ちゃんはいるの……？
「ん！？」
私がガラスの破片に気をつけながら敷地へと入った時、家の裏側、小夜ちゃんが肥育室に使ってる地下室の方で物音がした。私は急いで音の鳴る方向へ回った。
「小夜ちゃん……よかった……」
いた。泥と埃に塗れた髪を汗ばんだ額に張り付かせ、ぶかぶかのシャツにこんな荒地を歩くには明らかに不向きなクロックスを履いて座り込み、一心不乱に地面に落ちてる瓦礫を掴んでは遠くに投げている。
私に気づいてもない……。
仕方なく、私も小夜ちゃんの隣に座ってゴミを拾っては投げた。幸い地下室は家屋から離れてるので少し瓦や石をどかしたら地下室に続く戸が現れた。
「ふん！」ｷﾞｨｨ
非力な小夜ちゃんに代わって取っ手を掴んで持ち上げると、小夜ちゃんは息をするのも惜しむように梯子を急いで降り、私も慌ててそれに続いた。
入るとずっと換気してないから少しカビ臭い匂いはするが、雨水やネズミなどは侵入してないようだった。妖精軍に嗅ぎ付かれてもいない。
「ああ……あった！」
すると、小夜ちゃんが嬉しそうな声をあげて虫カゴの一つを抱きしめた。虫カゴの中には餓死したずんだ虫が2匹苦しみ抜いた絶望の顔でひっくり返っている。
「ずんだ餅用に甘やかして育てた個体です。わりかし最近まで生きてたっぽいから傷んでないです！」
「小夜ちゃん？まさか元気になったの！？」
「はい……！ミコちゃんが私にくれたずんだ餅が私に命を吹き込んでくれました！再びずんだ虫料理を作ってみようと思えたんです！」
「よかった……嬉しいよ小夜ちゃん……！」
私のずんだ餅は無駄じゃなかった。小夜ちゃんが明るさを取り戻してくれた！
「あんなカッッッスいずんだ餅、大事なお客様に出すわけにはいきません！謳歌味亭の名折れになります！」
本当にカスいって言われたら腹立つな。
小夜ちゃんは虫カゴを小脇に抱えて、私に近づくとピョンと小さく跳ねて私の首に抱きついた。鼻と鼻が触れ合う距離で小夜ちゃんが私に言った。
「ミコちゃん！一緒にやりましょうバザー！謳歌味亭再興のため、最高のずんだ虫料理をみんな振る舞いましょう！」
「うん！とりま帰ったら一緒にシャワーね」
小夜ちゃん口と腋からよっちゃんイカみたいな臭いする。
何はともあれ小夜ちゃんの目が輝いている。私にはそれが全てだ。昨日までは人生に疲れ切った澱んだ瞳が、今は希望とやる気が溢れ出さんばかりにハツラツとしている。
「あ、が……ゲッ！くしょにんげんのさよ！？もうにどとあわないですむとおもったのになんでいるちゃ！？」
すると、小夜ちゃんが持ってるのとは別の用途のずんだ虫が息を吹き返した。そういえばずんだ虫ってごはんさんごはんさんうるさいけど、食事がなくても生きていけるんだっけ。てことはコイツらみんな仮死状態なのか。
小夜ちゃんはその虫カゴを持ち上げて顔を近づけると、ニチャァと粘液質な唾液の水音を立て口を開いた。
「今まで辛い中よく耐えてくれました……これからはまた新たな地獄が待っているさよ……」
「ころ、して……」
……大丈夫かな。希望とやる気以外になんか変なもん混入してない？そう震え上がるずんだ虫を眺める小夜ちゃんの瞳は真紅の妖しい煌めきを放っていた。
続く。
このページへのコメント
地味にカラスと小夜ちゃんの食い意地を同じように見てるミコちゃんで笑ってしまった
なんというか、今回は全編ぬらぬらというかねちょねちょというかトロトロというかくちゅくちゅというか、とにかくそんな感じですな
この感覚、嫌いじゃないぜ(ﾈｯﾁｮﾘ
小夜ちゃんの号泣シーンエッッッッッッ
睡蓮さん放尿だけじゃなく汁関係全部好きそう
様々な人々の心を狂わせた戦争の、そしてFAIRIESの罪は重い……
妖精の新語録『ごめんね、せめてたべてあげるからわたちのなかでいきつづけて』が出てきてニヤニヤしちゃいました()
荒廃した街や、小夜ちゃんの限界な精神状態の表現好きです……
どうしようもないのかと思わざるを得ない程絶望的な前半の流れからのミコちゃんのずんだ餅で小夜ちゃんが元気を取り戻す後半の流れが良い…これは後編のバザーが楽しみですねぇ。
ディルドや電マで気持ち良くなってる小夜ちゃんのｺｯｼｮﾘも良い