The Japan Association for Transnational Studies

 国際総合研究学会の第46回(2010年度第1回)研究会は、2010年6月20日(日)午後2時から桜美林大学淵野辺PFCキャンパス402号教室において開催されました。折から梅雨前線が本州南岸に停滞30度を越す蒸暑でしたが、新しい学会名になった最初の研究会は36名出席という大盛況になりました。お三方の発表テーマは奇しくも生活の中に見出した学問的探求として報告者の問題意識が色濃く映し出されていました。報告者、フロア一体となった何時もながらの充実した3時間でした。

 第一報告は東京海洋大学大学院博士前期課程の石田健太氏の「食品ロスを招く諸要因の分析・改善」と題する報告でした。エコの観点から世間の関心を集めている食品ロスの問題に多角的に迫り、今何が食品産業に求められているかを追求し、日本の食料安全保障への洞察まで論考を展開した報告者の視座はフロアのこの問題への関心を喚起しました。

 第二報告は明海大学専任講師永井攻治氏が「年金生活者の不安を考えるー2004(平成16)年改正の年金制度の特徴と概要―」と題して発表されました。報告者は予てから巷間行われている年金論議は論拠あるいは事実の誤認によるものが多いとして中長期的持続性確保こそが年金生活者の不安解消の最重要課題として2004年改正を分析した示唆に富み、また共感を呼ぶ論考でした。

 第三報告は女子美術大学大学院教授兼日本色彩研究所理事長近江源太郎氏による「万国旗の色彩分析―“色の効用”の視点から─」と題する報告で、当学会研究会では初めて取り上げられたテーマでした。万国旗の色彩分析における色の位置づけ、色が提供する文化の色、価値の色、国の色など人類の歴史が積み上げてきた色の物語がフロアを魅了しました。


関連ページ:第45回(2009年度第4回)研究会ニュースレター第47回(2010年度第2回)研究会ニュースレター

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