2011年度研究会第1回-3

第3報告

日本における公営住宅制の歴史的変遷

　報告者：永井攻治氏（明海大学経済学部講師）
　司会者：坂本昭雄氏（当学会理事）

報告要旨

日本における公営住宅制度の歴史的変遷

公営住宅法は1996(平成8)年の改正までに、大小あわせて16回程度の改正がおこなわれた。
そのなかでも、入居者に対する大幅な家賃政策の改正に関わるものは1959(昭和34)年度改正と1996(平成8)年度改正である。
　1959(昭和34)年改正は、収入超過者に対する明け渡し努力義務や、割増賃貸料制度の規定を課した。
それは、公営住宅における収入超過者への是正措置の先駆けとなる。

　次の大改正は1996(平成8)年である。この改正はまず、東京都における公営住宅条例の改正に端を発する。
それは、公営住宅に居住していても利便性に応じたメリットを負担する必要があるとの趣旨から、公営住宅における家賃算定方式を従来型の法定限度額方式から応能・応益家賃方式に替えるものであった。
それが現在の公営住宅の家賃体系の基礎である。

　また、最近の改正では2005(平成17)年の住宅関連三法の成立がある。
この改正は、従来型の公営住宅のスタイルから脱却し、
①公営住宅の市場化、②水平的公平性の実現、③バリアフリー住宅としての役割が深まった。
　これらの歴史的現状を踏まえて、本報告では
①公営住宅制度がどのようにして今日の姿を作り上げたのか、
②制度の改正時の問題点と特徴は何か、
③今日の公営住宅家賃制度の問題点を是正させるためにはどのような方法が望ましいかを考察した。

（永井　攻治　記）

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