2012年度研究会第2回-3

第3報告テーマ　

東京都の分譲マンション需要促進策
－東日本大震災後の購入意識の変化とこれからの需要向上策について－

　報告者：大村邦彦（明海大学講師）
　司会者：永井攻（明海大学専任講師）

報告要旨

今から約一年と半年前に東日本大震災が起こり、建物崩壊や耐震性、液状化問題などマンション需要において多大なる影響を与えた。これから購入しようとする需要者が何を意識して購入しようとしているのか、東京都における政策や需要向上策を研究してみた。しかし、意外にもその需要結果は、中古分譲マンションに対しては震災後、連月極力買い控え現象が起こっているものの、新規分譲マンションにおいては、前年比、微減に留まり、震災の影響は限定的であると確認できた。むしろ新規では、耐震性や建物強度よりも物件の販売価格が需要との相関性が強く、購入に際しより大きな影響を与えていることが読み取れた。　

　国の施策である住宅建設五箇年計画を踏まえ、快適な生活水準、共同住宅８０㎡の住環境を達成させながら、いかに販売価格を抑制し、購入意欲の強い一般サラリーマンやファミリー世帯需要者が多く購入でき、需要を促進できるかを次に検討したものである。

・新規分譲マンション価格を4000万円前後～6000万円以下の物件価格に多く設定して販売する。

・都心から近い、まだ注目度のない東京一物件の安価な羽田モノレール沿線上の湾岸エリアに供給数の多いタワーマンションを建設する。

・住環境におき、購入意欲の強いファミリータイプ世帯を取り込むため、敷地内に別棟として保育園や老人ホーム等を設置し、マンション購入者には利用優先の特権付き分譲販売を行う。　

　等その他を含め五点である。しかし需要促進もさることながら、今後、地域コミュニティーをいかに大切に築いていくかを検討課題とした内容のものである。

（大村邦彦）

関連ページ：2012年度研究会第2回-2／2012年度研究会第3回-1