24無題Nameとしあき 20/07/13(月)11:49:52No.13268373そうだねx6
私は自然観察のフィールドワークを趣味としている。その日は仕事の関係で訪れた地で、空き時間を利用して山を歩くことにした。それほど深いところまで行くつもりはなかったので必要最低限の装備を整えていざ出発というところでガイドに付けていた現地の男性が声をかけてきた。

「森に入るならモスキートプスに気を付けろ。この辺りのは大きいからな。毎年旅行者が何人もやられてる」

25無題Nameとしあき 20/07/13(月)11:50:07No.13268375そうだねx7
モスキートプス。聞いたことはある。蚊のように血を吸うジュラシックの一種だ。私が真っ先に思いついたのは流行り病の類だった。こういった国では蚊によって病気が媒介されることも少なくない。おそらくモスキートプスも同様で、だから気を付けろということなのだろう。

私は了解したと伝え出発した。虫除けスプレーを念入りにふりかける、持参した蚊取り線香に火をつける。これで問題はない。そう思って歩き始めて20分くらいしたころ、それは目の前に現れた。

「フイフイ、血吸ってもいいプス?」

26無題Nameとしあき 20/07/13(月)11:50:28No.13268376そうだねx7
モスキートプスだった。だが咄嗟にそう判断できなかった。目の前に立つそれは私の身長を余裕で越える、2m近くある巨漢だったからだ。大きいにもほどがある。

「ちょっと臭いプスけど、まあ何とか我慢するプス。一口だけ、一口だけプスから」

そういってトプスが口を伸ばす。腕に異物が挿入される感覚を覚えてすぐ、私の意識は遠ざかっていった。

27無題Nameとしあき 20/07/13(月)11:50:45No.13268378そうだねx7
目を覚ますとガイドの男がこちらを覗き込んでいた。起き上がろうとするも体に力が入らない。

「大量に血を吸われたんだ。あいつらは一息で1リットルほど吸う。だから気を付けろと言ったのに」

あんなものどう気を付ければよかったのだと私は聞くとガイドは呆れたように答えた。

「血を吸っていいかと聞かれたろう? 断れば大人しく諦める。黙っていてもダメだ。毎年言葉のわからない旅行者が被害に遭うんだ」

それ以来他国のフィールドを歩くときは必ずガイドを連れて行くか、最低限現地の言葉を覚えてから行くことにしている。

次:「ここのまゆマジロは大きいのか?」 「ああ、でかい。1〜2mはある」

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