- セイバー
- 自身のサーヴァント。夢を照らす稲光。
「あなたは、一体……?」
「……僕が、マスター?」
夕立の日。謎の鎧兵士に囲まれる絶体絶命の危機の中、鮮烈な雷霆と共に現れた異邦の女性。自身をセイバーと名乗った。
静香の手紙に同封されていた触媒によって偶然召喚に成功したものと推測される。
装束の作りから日本の英霊であることは分かったが、あまり立花道雪に関する知識は持っていない。
強力な英霊ではあるだろうが足の悪い彼女に頼ることを不安視していたが、ベルリン到着後のの敵の襲撃に際して、
あわや命を落としかねない自分を救うべく、転げながら飛び込んできた彼女の姿に考えを改める。
「……ごめん。本当に、本当に……ありがとう」
義を通して戦う気高さと、非情な現実を跳ね除ける強さを併せ持つ、まるでかつて目指した英雄の姿のようであった。
以後、正しくマスターとサーヴァントとしてベルリンの聖杯戦争を戦い抜くこととなる。
普段は寡黙に徹しているセイバーであるが、互いの知りうる事柄について情報交換を繰り返す中で
カノンは彼女の中にある好奇心旺盛な素顔を感じ取る。それは英雄的ではないが、少し友人との記憶を思い出すものだった。
だからだろうか。戦いに使う魔術から、幼い頃読んだ本の話へ。関係のないところまで話を弾ませてしまうのは。
「セイバー、その……ええと。もう銃器に関する知識はこれで十分だと思う」
「だから、魔術の、話とか―――いや、真面目なんだよ。今僕にできることを整理しておけば、戦いでも役に立つから」
ぎこちない姿に苦笑しながらも、セイバーは居場所を求める彼を受け入れるように振る舞っていた。
「うん。ありがとう、セイバー……そうだね。もし君が立てなくなったら、その時は、僕が引っ張るよ」
「いつだって、現実の事は生きてる人間にしか変えられない。伝承とか伝説は盲信するんじゃなくって、人が生きる上での道標であるべきなんだと思う」
「マスターとサーヴァントも、たぶん同じだと思う。どっちかだけじゃ戦えない。セイバーが僕の道標で、僕は……」
互いに肩を寄せ合いながら眠りにつく。早くに母を喪い、拒絶したまま父も亡くしたカノンにとって、
それは失われた親子の絆を埋め合わせるものだったのかもしれない。
そして聖杯戦争も佳境に至る頃。彼らは聖杯を奪取することに成功。
しかし静香と不知火が互いに敵のマスターと戦闘に入り、カノンは静香の指示で聖杯と共に脱出。
安全を確保した後に、破壊を試みようとするが―――彼には、味方を見捨て逃げ延びることに迷いが生じていた。
それを見抜いたのだろう。セイバーが口を開く。
「これで、聖杯戦争は終わる。だけどカノン。その前に一つ聞かせて」
「貴方は、何のために戦って、ここまで来たの?」
セイバーは自身の過去を、戸次鑑連より切り離された曖昧な「立花」という幻想という正体を明かす。
そして、強敵との戦いと、カノンの心に触れることで「立花道雪」という個を見出すために戦ってきたと。
「だから今は―――貴方の夢を、私に見せて。私は、それを照らす雷光になる」
その言葉に、カノンは再び戦場に戻る事を選択した。
この戦争を利用する者と、この手で決着をつけるために。死地にある仲間を救うために。そして―――
「急ごう、セイバー。僕はもう、ただ生き延びるんじゃない。だけど、何かのために死んだりもしない」
「――――――勝って!生きるんだ!!」
夕立が来る。雷鳴が轟き影が踊る。本拠地を再び強襲した彼らは死力を尽くして戦い、全ての元凶を討ち倒すことに成功した。
砕け散る聖杯の欠片と共に、セイバーの身体が閃光の中に溶けていく。
彼女の在り方は、正しく刹那の雷鳴の如く。僅か一瞬とさえ思えたこのサーヴァントとの出会いは、生涯彼の胸に生き続けた。
- 香楽木静香
- シズカさん。手紙を送った依頼人、最初の仲間、空恐ろしい人。
出会ってから手紙の内容の続きを聞く中で、父がこの依頼を受けずに済んで良かったと思うほどの酷薄さが第一印象となる。
一方で、他に向かう当ても無いことから、彼女が求める戦力として聖杯戦争根絶の任務に参じることとなった。
「……わかりました。どうせ他の道も無いので、その協力に応じます。では装備の手配をお願いしますね」
当初は自身が軽んじられているものと悟り、互いに協力する以上に理解してもらうつもりも、理解する気も無かった。
ランサーの撃破後、ヴィルマと交わした会話の中で生じた疑念が引っかかり、それを静香に打ち明ける。
きっと、彼女の鉄の意志にとっては鼻で笑われるような話だろう。そう思ってまともな回答は期待していなかったが、
意外にも静香はカノンの悩みを肯定するような言葉を発する。それがきっかけとなり、彼女が内に抱いているものの実態を知る。
「ありがとう、ございます。……戦う理由なんて、迷ったところで何になるのかわかりませんけど……その、いつかは」
以降は当初のぎくしゃくした関係は抜けて、共に戦場の経験を持つことから意外と息の合ったコンビに発展する。
また、聖杯戦争に対する緊張がほぐれたのか、静香のものが伝染ったのか、この辺りから口調が砕けてきた。
「はい、交換条件としてこのルーンを貰おうかと。見返りは三割ほど痛い系の尋問を減らせば妥当かと思うのですが……」
その後、聖杯を巡る決戦の場において、静香が殿を務める形でカノンは聖杯と共に逃がされる。
それは聖杯破壊という目的を鑑みてもっとも確実な判断だったのだろう。しかし彼女を死地に置き去りにしたことが、
スコルツェニーとの接触以降に再び燻り始めた迷いを顕在化させることとなった。状況に流されるまま、彼女を死なせるのだと。
しかし、セイバーの言葉により戦う意志を固めたカノンは、静香の命令に反して再び戦場に戻ることを選んだ。
「いったん中佐に任せて、暫く安静にしてください。残りの仕事は僕が引き継ぎます」
「―――争いによって争いを根絶する。でしたよね?シズカさんみたいな生き方は僕にはできないと思ってましたけど、今だけはできる気がします」
「僕も、シズカさんも、戦争のことが嫌いですから。―――この戦争、滅茶苦茶にしてやりましょう」
聖杯破壊の後、ベルリン脱出の中で別々の方面に向かう事となり別れた。以降に交流があったのかは謎に包まれている。
「何か用があれば、また手紙をください。シズカさんに対しては、僕はいつでもフォルケンマイヤー代行としてお手伝いします」
「ただ、その時は依頼料は弾んでくださいね?父さん用の脅しは僕には通用しませんよ!」
- アーチャー
- シズカさんのサーヴァント。
静香と知り合った後、聖杯戦争の説明も兼ねて姿を表す。その自然な立ち振る舞いから毛皮を被る異様は気にならなかった。
静香との同盟故に協働の回数が多く、その狙撃技術と敵の注意の外から飛んでくる矢に何度も助けられる。
互いに寡黙同士であり、静香が多弁であることも手伝って直接会話する経験は少ないが、
孤高の熟練兵とは異なる、自然の中に生きていた孤独な人としての姿が印象に残っている。
「………」「………」
- ヴィルマ・フォン・シュターネンスタウヴ
- ヴィルマ。初めて相対したマスター。
先に武装親衛隊が次々と殺害されたことから、彼女を警戒して姿を見せた瞬間に足元に発砲する。
そして頭部に照準を構え直すが、その時に初めて女性であることに気付いて僅かな動揺を見せた。
「っ……次は当てる。答えろ。お前達は何者だ」
結局、質問は彼女の冷徹な言葉に遮られ、サーヴァント同士の戦闘が始まるが、彼女を直接撃つことはできなかった。
その後、コンスタンティンのサーヴァントとの戦いで咄嗟に巻き込まれた彼女を庇い、共に防空壕に閉じ込められる。
なぜ助けたのか。ヴィルマに尋ねられた時、脳裏では戦地で同じように死んでいく人の姿を思い起こしていた。
「……あなたのように、落ちて潰れて死んだ人がいた。その時は僕は何も―――それだけです。理由なんて」
ランタンを失った自身と足を痛めた彼女で一時協力して脱出するが、その際の会話で彼女の戦う理由を知る。
ただ人に強制されたままに戦う―――それをカノンは否定するが、逆にヴィルマに自身の理由を聞かれた時、彼は答えられなかった。
「理由なんてない。戦うことに理由を求めちゃいけない。だって、戦うこと自体が間違いで―――」
「だけど、あなたは戦ってる。……どうして?」
「――――――わかりません」
その問いは長らくカノンの奥底に引っかかり、同時にヴィルマの存在をどこか放っておけない人と感じるようになる。
その後、聖杯戦争の最終局面で再び彼女と相対することとなる。―――共闘した不知火の仇として。
彼女のサーヴァントの相手をセイバーに託し、カノンはヴィルマをサーヴァントから引き離すことに成功した。
このまま彼女を撃てば決着がつく―――しかし、彼はそのまま銃口を下ろしてしまった。
「……これで終わりです。僕はあなたを撃たない。僕とあなたが、戦う理由なんて最初から―――」
以前の会話から、戦う事を強制されてきた彼女を敵と思えなくなっていたカノンは停戦を求める。
しかし、全てを奪われ続けたヴィルマにとってはその言葉すら己を苛み、耐え切れずに心中の思いを吐き出してしまう。
「―――いらないよ。何も、涙一粒だって……」
それ以上は、何も言えなかった。
ただ、震える彼女の体を抱きしめて、冷たい彼女の手を握りしめた。
それだけしかできなかったけれど。何の救いにもならないかもしれないけれど。それでも、彼女の傍にいたかった。
戦後は彼女を捜す中で、紆余曲折を経て魔術により深く関わるようになる。
ロンドンで再び出会った際、多弁な性格に成長した彼はその才能を大きく伸ばしていた。君を見つけた時、今度はずっと傍にいられるように。
魔力供給の際は眼を覚ました後これ以上なく慌てふためいていた。
連戦で宝具を何度も使い本人も大魔術を行使して本当に命が危ういほど消耗していたため必要ではあったのだが、長らく禁欲を是としていたことからそういった行為に全く耐性が無かったらしい。
- バーサーカー
- ヴィルマのサーヴァント。
召喚されたセイバーが英霊兵を撃破し、撤退するSSを捕まえて事情を吐かせようとしたカノンの前にヴィルマと共に登場。
セイバーと共に初の戦闘を、サーヴァント戦を経験し、向こうが十分と判断して撤退したことで幕切れとなった。
「逃げた……いや……逃がされ、た。のかな……あ、ちから、が……」
良く喋るという点はセイバーに似ている気もするが、王と武士、赤と青、蹂躙と強襲などと多くの点で好対照な相手である。
本来は敵側というべきサーヴァントなのだが、何故か共闘の機会が複数回あり、その度に王の先見の明と身も蓋も無さに驚かされる。
「アレは?銃?―――未来でも、作られているのか」
最終盤、謎の兵器が破壊された後の格納庫内で彼との最後の戦いに臨むが、ある目的からカノンはヴィルマの確保を最優先とし、
その間セイバーがバーサーカーを抑えることを基本戦術とする。
「バーサーカーをお願い。こっちは―――こっちでケリを付ける」
呼吸を合わせた同時攻撃により、退避するヴィルマからそれを追うバーサーカーを引き離し僅かな隙間を作り出す。
そこにセイバーの第一宝具で大型クレーンを暴走倒壊させ、お互い分断した状態でマスター同士・サーヴァント同士の決闘に移る。
彼女の供給量では多少距離を開けたところでバーサーカーの障害にはならないが、ある程度開けた空間でかつ、共にマスターが
離れている事こそがバーサーカー戦での勝機、第二宝具による全方位多重屈折攻撃を可能とする。
「……向こうも、決着がついたみたいだね」
その後、正しくヴィルマのサーヴァントとして本領を発揮した彼と最後の共闘を果たす。
- 龍興不知火
- サムライさん。シラヌイさん。突如これまでと全く異なる空気を纏って現れた男。
訪日に行ったユーゲントの話でもあのような男がいるとは聞いたことが無かった。凄まじい時代錯誤を感じて困惑している。
どうやら独自に聖杯を追い、静香と同じくその排除のために動くため暫定的に味方という事になる、と思う。
「え、え……?あなた、一体何ですか……?」
中盤から協力関係となり、彼の言葉や佇まいからそれまでの彼を形作って来た信念を垣間見る。しかし……
「……気を付けてください。あなたのような人が死ぬのを、沢山見てきました」
個人の信念の下に戦う不知火と、祖国に殉じた兵士達。人と国の違いはあれど、信念は必ず人を殺す。
次に出会った時、彼はその末路を、一人の侍の亡骸を目の当たりにしてしまった。
「(―――耐えろ。呑まれるな。ここで斃れたら、それこそ許されるものじゃない)」
- キャスター
- シラヌイさんのサーヴァント。
クリスタとの戦闘中に乱入しこちらに味方した謎の剣士……剣士である。剣持ってるし。
その圧倒的剣士感は思わず真セイバーなのではと疑い、隣のセイバーがショックを受けるほど。
「それにしてもあのサーヴァントのクラスは……」「真のセイバーかな?」「セイバーは私よ!?……わたしよ……?」「ごめん」
実際のクラスはキャスター。事前にセイバーが説明したキャスター像とは全く一致しない、不知火共々浮いた存在。
しかし共闘時は前述の通りセイバーと漫才に興ずるなど、カノンにしては珍しく肩の力を抜いて話している相手。
同時に、それだけ現実に苛まれるカノンにとって彼女が非現実的な存在たるという意味でもある。
「ユーゲントが今みたいになってから教会に入る子供はいなくなったけど、聖人ぐらいは知ってる……僕には縁遠い人のことだね」
そのまま物語後半も共闘を続けるが、カノンが聖杯破壊のため離脱した間に不知火が戦死してしまう。
純朴ながら正しく聖人たる彼女だが、なまじそういった先入観を抱くほどに剣を振り回す姿とかけ離れ困惑している。
尚、不知火を失ったキャスターに対して、カノンは魔力容量を鑑みて二重契約を行えないため他を頼ることになる。
- クリスタ・ブラウアー
- SSの人。クリスタ。突如襲撃を受けて以降、自身の命を狙ってくる暗殺者。
ベルリン到着後の初めての休息で、戦地の記憶にうなされていたカノンを襲い、手始めに手榴弾5個を投げ込んで来た。
爆発をすんでのところで躱し、死体を確認しに部屋に入ったクリスタと白兵戦を演じることとなる。
「……悪夢でも醒めない方が、幸せだったかな……?」
自身よりさらに小柄な女性だが、兵士としては明らかに勝っており、瞬く間に追い詰められていく。
かつて教育を受けた軍人よりもさらに冷たい視線は本能的に死を想起させるものであり、容易く射竦められてしまう。
「―――!?(ダメだ。声が、出な―――)」
異変を察知したセイバーが転がり込んできたことで窮地を脱するが、再びどこからともなく取り出した対戦車ロケットを放ち、
それをセイバーが切断する間に撤退した。
以降、度々破壊活動を行いつつカノン達の命を狙ってくる。
- フルスタ
- クリスタの正体。聖杯戦争中付きまとってきた死の恐怖の元凶。
最終決戦の後、生き残ったマスター達と脱出する直前に正体を現した彼女と再び相対する。
ロシア語は完璧には解せなかったが、異国の言葉から敵国の工作員であったことは理解できた。
既にセイバーはいない。満足な装備もない。相手の負傷を差し引いても、やはり勝ち目はない。
それでもカノンは、ヴィルマを庇うように前に出て、拳銃をフルスタに突きつけた。
3人共、此処で死ぬわけにはいかないのだから。それまで恐れていた視線に、彼は初めて正面から睨み返しいた。
「そこを退いてください。今度は……今度こそ、撃ちます」
- ライダー
- SSの人(クリスタ)のサーヴァント。
その特異な能力と立ち回りから、直接相対する機会は少ないか皆無に等しい相手。
クリスタに容易に収納可能な重火器を与えることで彼女をサポートしており、専らクリスタによる対人戦闘に特化している。
さらに変身能力によりクリスタと自身の姿を入れ替えて攪乱したり、別人に成り代わる変装も可能としているトリッキーさを見せる。
当人は魔力不足故か殆ど戦えない状態なのだが、あたかも戦闘可能であるような演技と戦うフリによって巧みに弱点を隠し続けた。
「コンスタンティンの言ってたクリスタって人があのSSの人なら、サーヴァントを持ってるはずなんだけど……」
「物をしまうことのできるスキルや宝具……?候補は色々あるけど、姿も見えないとどれが該当するか……」
- ゼノン・ヴェーレンハイト
- ゼノン。この聖杯戦争を仕掛けた黒幕であり、カノンの最大の敵。
初遭遇は英霊兵を従えた強襲であり、一体であればセイバーは難なく倒せたそれが無尽蔵に現れる様に圧倒される。
全ての兵がマスターの魔力で賄われれるとは信じ難かったが、狙撃で仕留めようとしても弾が命中しない。
偶然ではなく、こちらの攻撃が外れていく能力と、回避したことから彼が無限の兵力を動かせる事実に愕然とする。
「なんだ……アレは……本当に神の力が……?」
スコルツェニーの案内で聖杯の元へ向かう際にも注意を呼びかけられたが、それ以前に勝利するビジョンがまるで浮かばず、
静香が抑えている内に聖杯を掠め取って逃走することが精々であった。
しかし、彼が仕組んだ聖杯戦争であれば、彼を生かす限り同じことは繰り返される。神という妄言を実証するためだけに。
セイバーの力添えにより、この戦争を本当の意味で終わらせるため、改めてゼノンを倒そうと己を奮い立たせた。
「ゼノン・ヴェーレンハイト、僕は戦争が嫌いです。そして、この聖杯戦争を起こしたあなたのことも嫌いです」
「―――だから、あなたを倒しに来ました。二度とこんなくだらない儀式に……くだらない戦争に、誰かを巻き込まないように」
「あなたにとっての「選ばれていない人たち」は、誰一人としてあなたの、誰の道具でもないんだよ!!」
しかし、ゼノンはカノンの行動を読んで手駒を放ち、連戦で時間を稼いだ隙に隠されていた聖杯を回収してしまう。
手に入れた聖杯を使い目的を完遂しようとするが、逆に彼はラインの黄金の汚染を受けて悪竜へと変質していった。
対するカノンは生き残ったマスターとサーヴァントによる総力戦に加わる。
聖杯の恩寵を受ける悪竜の力に圧倒されるが、その力が神のものではないことを看過し、彼の魔術を無効化した。
「……いいや、それは神の御業なんてものじゃない」
「弾を避けたのはあなたの魔術によるもの。今の姿は聖杯の力によるもの。全てあなたの行動が起こした結果で、神は何もしちゃいない」
「何も変わりません、あなたも僕たちも。夢に踊らされて、現実に囚われて、結局自分自身で打開するしかない人間です。―――それで沢山じゃないですか」
魔術が解けたことでゼノンの魂は崩壊し、暴走を続ける悪竜の力はサーヴァント達の協力で打ち倒された。
ファヴニールが倒された直後に魔力切れで昏倒していたが、ヴィルマから魔力供給を受けて復帰。
そして、最初からの目的の通り、聖杯を誰にも使わせることなく破壊すると全員の合意で決める。
「残しておいても、これを兵器以外の何かに使う人は今はいないと思います。そうしたら、また新しい戦争が始まる」
「―――どの道、この国は沢山の血を流すことになります。せめてこれだけは、無かったことにしましょう」
- アサシン
- ゼノンのサーヴァント。恐らくはいくつかある偽名の一つを名乗っている。
当初、密偵として動いていた彼女とそれとは知らず接触。近くの屋敷のメイドという素性をそのまま受け入れたが、
自身もこの辺に流れ着いた少年という立場を崩さず、世間話程度で互いに聖杯戦争の情報を流すことはなかった。
「もうじき、僕ら子供も女の人も動員した部隊なんて編成するかもしれませんね。それだけ近くに敵が来ているみたいです」
「いえ、単に喋るのが苦手なだけです。それにこんな話をSSに聞かれるのは面白くないですし」
その後、ランサーの戦闘に巻き込まれて死亡した―――と思いきや生存しており、戦闘の跡地を眺めていた。
その様に若干の不審感を抱くも、十分な証拠を掴めないまま別れる。メイドとしての接触はこれが最後となった。
「あぁ、あれ、ソビエトの砲撃だったそうです。酷いですね。まだたくさん死体が瓦礫に埋まってるって聞きました」
「それにしても、お互い無事に生きてて良かったです。ただ、次はまずいかもしれません。他所に行くアテがあるなら……」
その後、ゼノンの強襲の折にアーマード・アサシン形態にて直接相見える。
あどけなさをも感じさせる少女がいきなり自分に劇薬を投与し、無骨な装甲へ完全に取り込まれるという光景に唖然とするが、
直後に全てをステータスに振り切った暴威によって大きく戦場を荒らされてしまう。
この段階に至るとまともな勝負にならずキャスター、バーサーカーとの協働で相手取り、思いがけず久方ぶりの対戦車戦闘に移る。
「対戦車戦闘用意!―――連合国のよりはノロそうだけど、こうもデカいと貫通力が問題かな……」
- コンスタンティン・ボールシャイト
- コンスタンティン。敵のマスター。癪に触る相手。
英雄願望に没頭し、自身をより良く見せるように飾り立てる。そして甘言によって少なくない人を惑わせる。
どことなくユーゲントの風景を想起させることから直視に堪えない相手。あまり関わりたくない。
「また、英雄か。皆して同じようなことを言って……」
とはいえ、サーヴァントは相当強力だったらしく、途中巻き込まれたヴィルマを咄嗟に庇ったこともあり戦闘が長期化する。
これ以上長引かせては深刻な被害が出ると判断し、自身のサーヴァントに宝具の開放を命じた。
しかし戦闘終了後は宝具に魔力を持っていかれて倒れてしまい、そのまま静香に担がれて帰還。
以後は尋問されるコンスタンティンを尻目に、専ら回収した彼の拳銃に施されたルーンへと興味を示していた。
「あ、すみません。これはどう使うんですか?」
「助命については善処します。ただ、シズカさんが僕の進言を無視したら諦めてください……」
- ランサー
- コンスタンティンのサーヴァント。
多数の英霊兵と共にベルリンで暴走し、討伐対象となった彼に静香と共に挑むこととなる。
しかし英霊兵の援護を差し引いても、2対1の不利を全く意に介さない剛力ぶりに苦戦させられる。
さらに状況の確認に来たバーサーカーとヴィルマにも襲いかかり、カノンはヴィルマを庇って穴の開いた防空壕に落下してしまう。
脱出後にアーチャーと単独行動中のバーサーカー及びセイバーによる防戦から反撃を開始。
「ヴィルマさん、すみませんがバーサーカーも援護に加えてください。あなたは留まってると危ないので……よいしょ。僕が運びます」
バーサーカーが正面に引き付けながら、悪意を含まないアーチャーの奇襲で致命傷を与え、ランサーが宝具で堪えた隙をセイバーの宝具による雷で仕留めた。
しかし、何故かコンスタンティンが従える彼は高潔なる将の
真名に反する凶行を引き起こしていたが……?
「本当に、本当にあの人がこんなことをしたのか。……地獄の跡地みたいだ。懐かしくて、嫌になるな」
運命の巡り合わせが違っていたのであれば、彼の真の姿を、英雄の姿をこの目で見たかった。
- フォルケンマイヤー先生
- 父。魔術師としての身分を隠してミュンヘンの小さな学校の教師を勤める。
体が弱く病気がちであったが、近隣からは良き教師として親しまれ、当人も魔術の探究以上に教職に意義を見出しつつあった。
家は無名、魔術の成果は乏しいものではあったものの、各地の古い伝承などに通ずる識者でもあり、その点に限れば
在野ながら評価の高い人物であったとされる。
(恐らくはその知識を買われて、今回の聖杯戦争に関する手紙を送られたものと推測される)
ヒトラーユーゲントの教化によって前線を志願する息子を止められず、失意の内に持病が悪化。程なくして息絶えた。
- オットー・スコルツェニー
- ウォルフ博士/スコルツェニー中佐。ベルリン行きの列車で出会った男。
当初、変装のため素性はわからなかった。家族と共に西に逃れることを忠告されるが、思わず力のない返事をしてしまう。
「大丈夫です……父も母も、もういません。友人の一人も、いません。一人で行ってくるだけですから」
ただし、自身の身を案じての言葉であることは感じ取ったようで、次に現れた親衛隊に対してシラを切ろうとした。
「すみません、僕は何も……その人、本当にこの列車に乗ったのでしょうか?」
その後、聖杯の在り処を案内する役として現れた彼と再会する。SSの臨検で聞かれた特徴―――傷を隠して変装している―――から、
ウォルフ博士の正体が東部にいるはずのスコルツェニー中佐である事にはある程度察しがついていた。
「やっぱりとは思っていました。ただの博士にしては見事な変装で、SSに言われるまではわからなかったですが」
「ウォルフ博士」としての言葉に嘘はないと思っているものの、この聖杯戦争を取り巻く儀式強硬派と反対派の争いこそが
ドイツ内部の分裂に起因するものであり、それに組み込まれる自身が未だに状況に操られているのではないかと不安を募らせる。
そして、「スコルツェニー中佐」にその疑念を打ち明けることは叶わなかった。
聖杯の破壊後、再び姿を現したスコルツェニーに、カノンは静香の命を救ってくれたことへの感謝の意を伝える。
既に迷いは解け、求める言葉はない。彼から脱出を促されたカノンは、彼の無事を祈りながら脱出経路へと進んでいった。
「どうかご無事で!『ウォルフ博士』!!」
FGO礼装
礼装名 |
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道に雪落ちて |
情報 |
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ILLUST | レアリティ |
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雪の降る戦場の跡 小銃を担ぎ瓦礫の上に立つカノンが掌に一粒の雪を受け止める | ★★★★★(SSR) |
保有スキル1(限界突破前/後) | 能力値(初期値/最大値) |
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自身のQuickカード性能をアップ(10%) 自身のBusterカード性能をアップ(10%) 自身のスター集中度をアップ(400%) | LV | 1/100 |
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保有スキル2(限界突破前/後) | ATK | 0/2000 |
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自身のQuickカード性能をアップ(15%) 自身のBusterカード性能をアップ(15%) 自身のスター集中度をアップ(600%) | HP | 0/0 |
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COST | 12 |
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解説 |
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道に落ちた雪は、消えるまで場所を変えない。即ち得た主君に尽くすこと、是を本懐とする。 降り積もった雪は、やがて春に融けて露となる。その時僕たちは自由になる。 |