『鯨のお詣り』
小穴隆一/著
中央公論社/刊
昭和15年10月30日発行
概要 
体裁:四六判/函/本文340頁/総ルビ
装画:著者
定価:2円80銭
函入上製本で2円80銭は高いように思えるが、同時期のほぼ同じ体裁の『或阿呆の一生』（昭和年）や竹久夢二『雑草』（昭和16年）定価が3円なので、特に高額というわけでもないようである。
装幀について
装幀は、著者による。
類似した体裁の装幀本に芥川龍之介『或阿呆の一生』（岩波書店）、滝井孝作『郷愁』がある。また、サイズは異なるが『歯車』（昭和22年、岩波書店）も類似している。
「後記」によると、板の彫りは伊上次郎が担当している旨が記載されている。次郎は伊上凡骨の息子で、凡骨は『黄雀風』の表紙の彫りを担当している。
収録作品
蛍のひかり
車夫仲間
妓女
あをうなばら
桃源
山鉾のおもちや
龍之介先生
わたりがは
��
芥川龍之介全集のこと
二つの絵
入船町・東両国
河郎之舎
影照断片
遠征会時代
鯨のお詣り
東郷大将
鯉
伯父
子供
一游亭雑記
又三郎の学校
詩
- 偶興
- 雨中山吹
- 儚なきはことすぎて
- 秋色
- 答人
- 一游亭句集
前半は見聞した風俗についてのスケッチ。
次いで芥川龍之介についての文章が並ぶ。
最後は、自分の故郷や親類をテーマにしている。
メモ
- 芥川龍之介が支那へ行く前に星製薬（星新一の父親の会社）へ立ち寄った、云々。（103頁、「二つの絵」）
- 「岡本一平の子供」（岡本太郎のこと）が芥川龍之介の似顔を書いている、という言及があるけれど、未見。どこかに収蔵されているのだろうか。（53頁、「龍之介先生」）
- 「黄雀風」とか「湖南の扇」とかの表紙に書きこんである詩は、彼の好みや注文に依つたものではなく、全く私の勝手仕事の物故（226頁、「影照断片」）
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