img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:ウルフファング ガオンNU カトリーヌ スッピーちゃん 玉藻 ドルイド・ミステール


12月某日。
ウルフファングはクリスマスパーティーに招待され、街のとあるホテルを訪れていた。

「…しかし高そうなホテルですね」

普段ならそうそう足を踏み入れることはないだろうが、ここがパーティーの会場だ。

会場に入ってみると、他の参加者はすでにそろっていた。
小宴会場といったところか、しかし参加人数に比べると十分すぎるほどの部屋だ。
中央のテーブルには豪華な料理が並んでおり、部屋の奥にはやたら大きなクリスマスツリーが鎮座していた。

集まった魔法少女はウルフファングを含めて6人。
特徴的なのは、皆が動物の耳を生やしていた。
知らない者から見るとコスプレ集団のように映るかもしれないが、正真正銘本物の獣耳だ。


「まだ食べちゃダメがお…んぬ?待ちきれないんがおんぬ…」

「これこれ、皆が揃ってからにせい」

今にも食らいつきそうに料理を凝視しているのは白虎の魔法少女、ガオンNU。
その横でとうとう料理に伸ばしたガオンNUの手をぺしりと叩いたのは和装に狐耳の魔法少女、玉藻。
和装ということでこの雰囲気から浮いているが、耳の間に乗っているサンタクロースの帽子のせいでさらに浮いている。

「わーすごーい!おっきなツリーがあるよ!」

「ほら、あんまり走ると転びますわよ(しかしこういうところは落ち着かないんぬ…)」

向こうに見えるのは、はしゃいで走り回っているスッピーちゃんと、少々落ち着かない様子のカトリーヌ。
それぞれ犬と猫の耳と尻尾を生やしている。

「ウルフファングさん!来てくれたんですね!」

私の到着に気付きこちらに駆け寄って来たのは鹿の耳と尻尾を持つ、ドルイド・ミステール。
トナカイのつもりなのだろう、今日は角を付けている。
彼女が今回のパーティーの企画者だった。

「招待いただき感謝します、ミステール…しかし良いのですか?パーティーの費用はすべて貴方持ちだとか」

「ええ、皆さん私のやりたいことに付き合っていただいているのでこれくらい…本当はもっと良い場所を用意したかったのですが…」

ああでも私にも使えるお金には限界が…とぶつぶつ言い始めるミステール。
そういえば彼女は良家のお嬢様だと噂に聞いたことがある。
お約束のようにそういう感覚がずれているのか、可能ならこのホテルごと貸し切りかねない気がする。

「む、来おったかウルフファングよ…うむ、やはりこれはお主の方が似合うの」

いつの間にかそばに来た玉藻はウルフファングの赤頭巾を取り、自分のサンタ帽を押し付ける。

「ちょっ、何するんですか…」

「サンタとトナカイがクリスマスカラーでバランスもいいと思っての」

「…しかし貴方がいるとは意外でした、よく招待しましたねミステール」

他の面子と比べると、いかにも大物といった玉藻を誘うのはハードルが高いのではないかと思う。

「あ、いえ…玉藻さんは…」

「儂の方から押しかけてきたんじゃよ、面白そうなことをすると思っての」

かかか、と笑う玉藻。

「…まったく、貴方という人は」

「それよりもそろそろ始めんかの?待ちきれん者もおるようじゃ」

「おなか減ったがおんぬー!」

「わんわんっ!まだダメだってばー!」

「そこの3人も止めるの手伝いなさい!」

テーブルの方ではそろそろ限界のガオンNUをスッピーちゃんとカトリーヌの二人がかりで引っ張って止めている。

「そ、そうですね、それでは始めるとしましょう!」

こうして魔法少女たちのクリスマスパーティーが始まった。


───────


「このお肉めっちゃ美味しいんぬ!うるふぁんちゃんも食べるがおんぬ!」

「貴方はもう少し落ち着いて食べなさ…む、ホントに美味しいですねこれ」

(こんなご馳走めったに食べれないんぬ…)

「ケイトったら顔にソースついてるよ!とってあげるね!ぺろぺろぺろぺろ」

「こ、こら待ちなさい!ぬあああああああああ!!」

「ふふっ、お二人は仲良しさんですね」

「見てないで助けるんぬミステール!」

「えっ?今ぬって…」

「…言ってませんわ」

「これで油揚げがあればのう…」

「ご、ごめんなさい、和食は用意できなかったみたいで…」

「冗談じゃ、お主は真面目じゃのう」


しばし料理を食べながら談笑する魔法少女たち。
そんな中、玉藻がステージの方で何かを引っ張り出してきた。

「あら、なんですのそれ」

「カラオケですか?さすが設備がそろっていますね…」

「せっかくの宴じゃ、余興に儂の歌唱力を見せてやろうと思っての」

「ぬも歌うんがおんぬ!」

と、カラオケ大会が始まった。

最初に歌ったのは玉藻とガオンNU。曲は玉藻の選曲で流行りのアイドルの曲だった。

「どうじゃ?儂の歌は?」

「たまもちゃんがこんな歌を歌うのは意外だったがおんぬ」

「貴方随分と現代に順応してますね…古くから生きている妖狐と聞いていますが…」

感心するような、呆れたような、何とも言えない表情のウルフファング。
でも歌唱力はいうほど…と見ていたら、考えを読まれたのか睨まれてしまった。

次に歌ったのはスッピーちゃん。カトリーヌもスッピーちゃんに引っ張られ一緒に歌わされた。
歌った曲はスッピーちゃんがこれなら歌えるよ!と選んだ犬と猫の出てくる童謡だった。

「なんで私まで…」

「ねえねえ!どうだった?」

「お二人ともとても上手でしたよ」

「わんわんっ!はい、次はミステールお姉さんの番だよ!」

「…え?」

「いや、流れ的に貴方とウルフファングさんの番でしょう?」

ガチリ、と固まるミステールはウルフファングに救いを求める目を向ける。

「どうしたのです?」

「わ、私歌は詳しくなくて…それに人前で歌ったことがないので…」

「私だってそうそう人前で歌なんか歌いませんよ…」

「おっと、逃げるのはなしじゃぞ?皆歌ったのじゃからの」

結局、玉藻に退路を断たれた二人は、サンタとトナカイが出てくる定番のクリスマスの歌を歌った。

「ど、どうでしたか…?」

「二人とも可愛かったがおんぬ!」

「えへへ…良かったです」

自分のイメージではない選曲でかなり気恥ずかしかったが、嬉しそうなミステールを見てまあ良いでしょうと思うウルフファングだった。



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