最終更新:ID:fsTazdnuyw 2017年06月24日(土) 20:44:31履歴
登場キャラクター:まじかるらびっとがーる プロフェッサー・ラビーナ
「へえ、ここまで辿り着いたの」
「まあ当然といえば当然かもね」
「わざとわかりやすいところに居たわけだし」
兎のような耳を頭につけた妙齢の女性が話し続ける。
軍服のような衣装と、その頭のうさ耳、そして足元に集う可愛らし子兎たち。
彼女の名は、まじかるらびっとがーる。
不釣り合い、というよりは単純に似合わない、ような見た目ではあるが、その異様な空気はそれを口に出すことを許さない。
「まあ『見てる』んでしょう? なら、もう少し話しましょうか」
そこには誰もいない。
しかし、確かに『見て』いた。
プロフェッサー・ラビーナは確かに見ていた。
「こそこそすることもないでしょうに、私と貴方の仲なんだから」
ラビーナには、彼女が何を言っているかわからなかった。
ただ何となく推察はできる。
おそらくは並行世界のことだろう。
ラビーナは、目に並行世界と交信できる義眼を仕込んでいる。つまり、そのいずれかにまじかるらびっとがーるとの繋がりが引っかかるようならば、気づくはずなのだ。
「あっ、そうか……知らない、というか憶えてなくて当然だった、だって」
「私が今まで歩いてきた世界、全部消滅させちゃったんだから」
実にあっさりと言ってのけた。
普通ならば、ある一つの世界線で誰か一人が死んだ程度で世界が終わるなんてことはない。
もっと言えば、世界を壊滅状態に追い込もうとも真の意味で世界が『消滅する』ことはあり得ないのだ。
「いやー、私は謳歌したし、もういいかなーって全部」
「ね」
ラビーナは何も言わない。言葉を発しない。
「ねえ、今の私の瞳……どんなになってる?」
そう言うと、まじかるらびっとがーるはラビーナの『見ている』所へ顔を出す。
彼女の瞳は、血溜まりのように赤黒く濁っていた。
「私の目がこんなになったのは、三十一歳の頃だった……かな、ちょうど梨桜の二度目の継承が終わった次の日くらい、かしら」
「左眼を開くと、今まで、そしてこれから、多分すべての並行世界……かな? 確信じゃないけど多分そう、手を伸ばせばその世界に干渉することもできた」
「右眼を開くと、今度はフィルムを辿るように時間の流れを感じられる、ようになった、これも前のと同じで干渉できるようになってた……但し、今いるこの世界だけだけどね……」
「両眼を開けば、全ての時空と事象に干渉できる……世界を、線を取り除くようにすっと、消してしまうことだってできた」
「多分私は、魔法少女としては底辺のレベルだと思う……陰陽術士としてはある種の達成者ではあっても、魔法少女としての到達者ではない」
「…………さてね、何が言いたいんだか」
まじかるらびっとがーる、彼女は自問自答しているようにも見えた。
成果は出た。しかし、それに納得がいっていないのか、それとも他の何かがあるのか。
「ああ、一応最後に一つ」
「子供を攫うな」
冷たく言い放った彼女は、淀み切った瞳でにやりと微笑む。
真紅に黒を垂らしたような赤黒い瞳は、不気味としか言えなかった。
「梨桜が死んだとしても、希望を失わない者がいればその世界はやっていける」
「そういう信念を持った子供が誰もいなくなった時、その世界は終わる」
「そして、そんな理由で終わることはできないから私が『消す』」
「貴方がそれを繰り返す限り世界はどんどん『消える』」
「その重みを知っておくことね」
一方的に捲し立てる。果たして、それがラビーナに聞こえていたかどうかはわからない。
ラビーナが何も言わない以上、まじかるらびっとがーるの言葉は無為なものだ。
しかし、まじかるらびっとがーるはラビーナの顔を見ながら話しているのだ。彼女が反応を示すとも示さずとも。
「…………わざわざ私を探してくれてありがとね、それじゃ」
そういうとそこにいたうさ耳の女性は虚空へと姿を消した。
まじかるらびっとがーる、彼女に例え何を言われようとラビーナがすることは変わらない。ただ、己が信念に実直に。目的のため、ただ真っ直ぐに。
忠告の意味がなかったわけではない。ただ――
「だろうね、彼女は言うことを聞かないだろうね」
「私? 私は表舞台にゃ立たないよ、みんな頑張って」
「特にコットンちゃん、せっかく生き返らしたんだからさ」
「ねぇ?」
「へえ、ここまで辿り着いたの」
「まあ当然といえば当然かもね」
「わざとわかりやすいところに居たわけだし」
兎のような耳を頭につけた妙齢の女性が話し続ける。
軍服のような衣装と、その頭のうさ耳、そして足元に集う可愛らし子兎たち。
彼女の名は、まじかるらびっとがーる。
不釣り合い、というよりは単純に似合わない、ような見た目ではあるが、その異様な空気はそれを口に出すことを許さない。
「まあ『見てる』んでしょう? なら、もう少し話しましょうか」
そこには誰もいない。
しかし、確かに『見て』いた。
プロフェッサー・ラビーナは確かに見ていた。
「こそこそすることもないでしょうに、私と貴方の仲なんだから」
ラビーナには、彼女が何を言っているかわからなかった。
ただ何となく推察はできる。
おそらくは並行世界のことだろう。
ラビーナは、目に並行世界と交信できる義眼を仕込んでいる。つまり、そのいずれかにまじかるらびっとがーるとの繋がりが引っかかるようならば、気づくはずなのだ。
「あっ、そうか……知らない、というか憶えてなくて当然だった、だって」
「私が今まで歩いてきた世界、全部消滅させちゃったんだから」
実にあっさりと言ってのけた。
普通ならば、ある一つの世界線で誰か一人が死んだ程度で世界が終わるなんてことはない。
もっと言えば、世界を壊滅状態に追い込もうとも真の意味で世界が『消滅する』ことはあり得ないのだ。
「いやー、私は謳歌したし、もういいかなーって全部」
「ね」
ラビーナは何も言わない。言葉を発しない。
「ねえ、今の私の瞳……どんなになってる?」
そう言うと、まじかるらびっとがーるはラビーナの『見ている』所へ顔を出す。
彼女の瞳は、血溜まりのように赤黒く濁っていた。
「私の目がこんなになったのは、三十一歳の頃だった……かな、ちょうど梨桜の二度目の継承が終わった次の日くらい、かしら」
「左眼を開くと、今まで、そしてこれから、多分すべての並行世界……かな? 確信じゃないけど多分そう、手を伸ばせばその世界に干渉することもできた」
「右眼を開くと、今度はフィルムを辿るように時間の流れを感じられる、ようになった、これも前のと同じで干渉できるようになってた……但し、今いるこの世界だけだけどね……」
「両眼を開けば、全ての時空と事象に干渉できる……世界を、線を取り除くようにすっと、消してしまうことだってできた」
「多分私は、魔法少女としては底辺のレベルだと思う……陰陽術士としてはある種の達成者ではあっても、魔法少女としての到達者ではない」
「…………さてね、何が言いたいんだか」
まじかるらびっとがーる、彼女は自問自答しているようにも見えた。
成果は出た。しかし、それに納得がいっていないのか、それとも他の何かがあるのか。
「ああ、一応最後に一つ」
「子供を攫うな」
冷たく言い放った彼女は、淀み切った瞳でにやりと微笑む。
真紅に黒を垂らしたような赤黒い瞳は、不気味としか言えなかった。
「梨桜が死んだとしても、希望を失わない者がいればその世界はやっていける」
「そういう信念を持った子供が誰もいなくなった時、その世界は終わる」
「そして、そんな理由で終わることはできないから私が『消す』」
「貴方がそれを繰り返す限り世界はどんどん『消える』」
「その重みを知っておくことね」
一方的に捲し立てる。果たして、それがラビーナに聞こえていたかどうかはわからない。
ラビーナが何も言わない以上、まじかるらびっとがーるの言葉は無為なものだ。
しかし、まじかるらびっとがーるはラビーナの顔を見ながら話しているのだ。彼女が反応を示すとも示さずとも。
「…………わざわざ私を探してくれてありがとね、それじゃ」
そういうとそこにいたうさ耳の女性は虚空へと姿を消した。
まじかるらびっとがーる、彼女に例え何を言われようとラビーナがすることは変わらない。ただ、己が信念に実直に。目的のため、ただ真っ直ぐに。
忠告の意味がなかったわけではない。ただ――
「だろうね、彼女は言うことを聞かないだろうね」
「私? 私は表舞台にゃ立たないよ、みんな頑張って」
「特にコットンちゃん、せっかく生き返らしたんだからさ」
「ねぇ?」
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