img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:まじかるらびっとがーる 陰陽魔装少女りおたん



 私には才能がなかった。




 私はとある一族の娘として生を受けた。父は陰陽術士、母は魔法使いらしい。

 正直とんだお笑いぐさだ。私の人生はとんだメルヘンな環境で始まっていた。

 残念ながら私には陰陽師としての才はなかったらしい。父が嘆いているのを一度見たことがある。

 父は修行にのめり込むようになった。

 才のない無能な娘を当てにするより、自分で我が一族の悲願を成就させる、その思いの方が強かったんだろう。今、子を持つ身となった自分ですらそれはわかっていない。

 何に取り憑かれ、何を成そうとしたのか、まるでわからないままだ。


 一族の呪いなんてものもあった。何でも、私を守ってくれる有難い呪いなんだとか。実際その時になるまで、私は怪我一つない快活な少女だったらしい。


 その呪いの本当の恐ろしさに気づいたのは私が十四歳になった頃あたりだったと思う。


 当時、既に亡くなっていた母の遺書を無理やり読まされ、その指示の通りに動いたら私は魔法少女になっていた。

 呆れるくらい、突拍子もない話。しかし、私の周りの環境は、それを御伽噺で済ませない無駄な説得力があった。

 名前は『まじかるらびっとがーる』、魔法は兎を自在に操るとか何とか。

 何ともまあ……ファンシーなことで。

 とにかく、晴れて魔法少女の仲間入りした私は、






 その翌日に殺された。



 あまりに呆気なく、意識が闇に溶けていく。首が熱い。何かが、私の中から漏れ出ていくのを感じた。

 しかし、夢と希望に満ちた私の人生は、ここで終わることを許されなかった。




 気が付くと朝で、自然と布団から目が覚めた。

 何が起きているかは次第に理解できた。時間が、巻き戻っている。

 思いの外、ショックは少なかった。きっと私は色々と冷めているのだろう。



 それから、私の長い長い魔法少女生活が始まった。



 そして、いつしか気づく。私には魔法少女としての才もなかった。

 凡人の中ではまあ才能はある方だった。しかし、魔法少女という括りの中では、せいぜいが下の中といった有様だった。

 才のない魔法少女の末路など決まっている。分かりきっていたことだ。




 ある時、思った。才がないなら、努力だ。幸い試行回数を稼ぐのにはうってつけな環境だ。



 そう思い、私は長く長く続く同じ時間の中をただただ延々と魔法の修行と陰陽術の成長に当てた。

 成果は引き継がれるらしい。魔法の効力自体も次の周回に入った段階でどんどんと強化されているようだった。

 ここら辺の話は、正直あまり特筆すべきところもない。暇なときにでも、またこうやって記録を書き写しておこう。




 百を超えた。

 回数は一応数えていた。数えてはいたが、不意打ちでの死、復活地点での死、そういったものは正直数えられる類の物ではなかったと思う。



 千を超えた。

 魔法少女相手にも、自前の陰陽道が効くとわかりそれを自分の魔法に組み込んでいった。当時かなり上位の魔法少女達にも渡り合える、それくらいの実力はついた。私の努力は無駄ではなかった。そう感じた。



 万を超えた。

 魔法の国にも積極的に足を運ぶようになっていた。当時の私は、実力主義の魔法少女が率いる派閥に所属していた。それと同時に、名の知れた戦闘サークルにも名を連ねていた。



 億を超えた。

 私は五十を超えるまでに生きられるようになった。そろそろ、先に進むときだ。次の周回から、私は嫁入りの修行も同時に行うことにした。そして婿探しだ。正直、今までやってきたことの中でここが一番難所だった。



 兆を超えた。

 どれだけ強大な魔法少女でも、運が良ければ殺せる、それ程までになっていた。しかし、それで慢心することも多々あった。大したことのないような相手に不覚を取ることもあった。しかし、これが世界だ。これが世の理だ。私は受け入れた。



 周回数が十兆に到達した頃、もういいだろうと思い、私は正規の手段に従って呪いの継承を行うことにした。もっとも、婚活が上手いこと行かず、七回程やり直したのは多分、私の人生の汚点だと感じている。



 今、私の娘は足掻いているのだろうか。

 平行世界での記憶のリンクは、私が長年培った技術によってマスコットのマガツヒが継承できるようにしている。



 親馬鹿とも取られそうではあるが、あの子には才能がある。私があれ程欲しかった陰陽道と魔法少女の才能の両方が。


 梨桜には、是非頑張ってもらいたいものだ。





 発狂は逃避だ。

 死は怠慢だ。

 どこまでも無様に生き延びろ。

 そうだそれでいい。それが貴女の糧となる。

 だから、また死ね。




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