芋煮？計画@mhik

登場キャラクター:兄　弟　鈴

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昔々、あるところにかなり大きなお武家様の家がありました。
その家には跡継ぎの兄弟が２人いました。
兄は文武両道の素晴らしい方でしたが、体が弱く病気がちでした。
弟は兄には遠く及びませんが、体が丈夫な方でした。
家臣たちはどちらを跡継ぎにするかで大いにもめていました。
ところが、兄が重い病気にかかってしまい、生死をさまよう事態となってしまいます。
兄派の家臣たちは様々な手を尽くして病気を治そうとしますが、なかなかうまくいきません。
跡継ぎも弟派が優勢となり、もはや兄はなすすべなしと思われました。

そんな時、兄の元へ鈴(すず)という娘がやってきました。
亡くなった名医の一人娘だと名乗った鈴は、兄にとてもよく効く薬を飲ませました。
すると、あれだけ苦しんでいた病気がたった三日で治り、兄は見違えるように健康な体になりました。
病気がちな体を克服した兄はその才能を見事に表し、大勢の家臣が喜んで跡継ぎにと推薦し、兄が家の後継ぎとなりました。
跡継ぎとなった兄は、命の恩人である鈴を妻に迎え、跡継ぎとして立派にその責を果たしていました。
鈴は、最初は自分はあくまで浮浪者だと拒んでいましたが、徐々に親密な仲になっていきました。
兄と鈴はとても仲睦まじい夫婦で、とてもお似合いだと民からも親しまれていたそうです。

面白くないのが弟です。
兄があのまま病気であってくれたのなら自分が跡継ぎになれるはずだったからです。
それに、自分に付いていた家臣たちも兄が健康になった途端掌を返すように兄のほうに付いたことも許せませんでした。
弟は、あれほど手を尽くしてもよくならなかった兄の病気を治した鈴が怪しいと思い、知り合いのつてを頼って陰陽師に調べさせました。
すると、陰陽師が驚くべき報告をしてきました。
鈴は、とある山奥の神社に祀られている狐が正体だというのです。
その狐は人間好きで、よく人と遊んだり、祀ってもらうお礼に人のために様々な恵みを施したりしているといわれていました。
兄は、その神社を気に入っており、重病にかかったとき、その神社に病を押してお祈りしに行ったのです。
兄を不憫に思った狐は、鈴として兄の元に現れ、兄の病気を治してやりました。
やがて、鈴として兄と接していた狐は段々兄に心惹かれていき、二人は今や相思相愛の仲であるのです。

これを聞いた弟はたいへん怒りました。
弟はその神社のことを知りませんでしたが、噂は聞いたことがありました。
人間が大好きだというならば、なぜ自分のことを考えないのか。なぜ兄にばかり手を差し伸べるのか。
兄さえ良ければ自分のことはどうでもよいのか、と。日に日に弟の怒りは強くなっていきました。
当然弟は鈴の排除を企てます。
弟は大衆の前で陰陽師と共に鈴の正体を暴き、この者は兄をたぶらかす妖狐であるといって鈴を無理やり兄から引き離して殺してしまいました。
それでも怒りの収まらぬ弟は、鈴のことを口実に狐の祀られていた神社まで破壊してしまいました。
これにショックを受けた兄は再び病気になってしまい、そのまま亡くなってしまいました。
これでこの家は自分のものだ、と弟は笑いが止まりませんでした。

しかし、この行為に狐は大きな恨みを抱き、大妖怪として復活したのです。
復活した狐は、弟の家を襲って家を大火事にし、弟を焼き殺してしまいました。
さらに、弟の暴露により、自分のことを悪霊だと決めつけて批判していた人たちも次々と殺していきました。
街の人々は、鈴様の祟りだといって、しばらくの間家に悪霊除けの札を張って閉じこもっていましたが、むしろ札を張った家が燃やされていき、人々は恐れおののきました。
やがて、恨みをはらし、満足した狐でしたが、なぜか成仏することができませんでした。
そこで狐はようやく怒りのあまり我を忘れ、自分の大好きな人間をたくさん殺してしまったことに気付き、深く絶望してどこかへ去って行ってしまいました。
以来、街では亡くなった人を弔い、狐を鎮めるために「狐火の塚」を建立し、このことを語り継いでいます。
また、神社も修理しようという話になりましたが、その後の世情の混乱により忘れられ、果たされることはなかったそうです。

めでたしめでたし。


























































「………どうかしたか？なにやら考え事のようだが」
「…………うむ、ここまで長い時間人と関わることが久々でな、少し昔のことを思い出しておった」
「そうか。まあここは憩いの場である流刃寿司だ。気にせずゆっくりしてほしい」
「ふふ、ありがたいの。ところでさっき儂が教えたいなり寿司はできたのかえ？」
「ああ、寿司屋としてまだ未熟な自分に教えてくれて感謝の限りだ。では流刃寿司のいなり寿司第一号をどうぞ」
「むう、これは見事な目玉焼き…………」

登場キャラ　玉藻 流刃