img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:ウルフファング ブラック・デザイア

「ウルフファング…」
ブラック・デザイアは戸惑う素振りで眼前の魔法少女を上から下へ、さらに下から上へ目を泳がせた。
目の前に立つ彼女は168cmのすらりとした長身、頭巾から流れ出しゆらりと光る銀髪が目立つ、赤頭巾の少女。
赤い頭巾とブードナット…要するに童話"赤ずきん"に出てくる少女、赤ずきんそのままの格好。
動物の耳を思わせる毛の生えた三角形と同じく尻尾を思わせるものがアクセサリのように付いている。
ウルフファングの表情に合わせて小刻みに動いているところを見るとこれは単なる装飾ではなく本物のようだ。
そして長物と巨大なライフルを身に着け、更にその身に少女という繭を鋭く食い破った、危険な成長を匂わせる鋭利な威圧感を纏っている。
ブラック・デザイア思春期の少女の中では身長が高い方だ。
しかしウルフファングの目線ははブラック・デザイアのそれよりも上をいっていた。
その為受ける印象は、本で見た猟師のそれであるように感じた。
実際に見たことはないのだが。

「あら、ブラック・デザイヤちゃん?でしたっけ?どうしたのでしょうか?救われたいのですか?」
デザイヤではなくデザイアなのだが、ブラック・デザイアはゲームでの自分の名前にこだわりがあるわけでもそういう性格でもなかった。
「救う…?」
言われてみればそういう事を言いそうなおっとりした声質をしているような気もする。だが、いきなり救うなどという単語が飛び出して来た事がブラック・デザイアの興味を引いた。ブラック・デザイアは俯き顎に軽く手をあてながら軽く悩む表情を作ってほんの少し逡巡する。
自然に、普通の中学生がそう反応するように。そうして顔を上げ、ゆったりとした厚手の服に身を包んだ長身の魔法少女――ウルフファングの自分と、アバターであるブラック・デザイアと同じ赤い瞳を真直ぐにそして不思議そうに見つめてゆっくりと答える。
「いえ…私は、特にいま悩んでる事とかはありませんけど…」

「いえ…私は、特にいま悩んでる事とかはありませんけど…」
その言葉を聞いて、ウルフファングはそうでしょうね、と思う。あまり面識のない人物にいきなり救いだの何だの言われても困るだけだ、それくらいの事は流石に分かる…まぁ私は救いなのだけれども。
そんな事よりも重要なのは、眼前に立つ白装束の少女は敵か味方か?戦闘は回避できるのか?戦闘になったとして、どの様な能力を使うのか?その様なことである。
そしてその全てが分からない今、ウルフファングはこの場から離れるべきという結論を下した。戦うのはまだ早いと…
「私に用がないのなら、お暇させていただきますが?」
これで引いてくれればいいのだが…
「あらそう?ならどうぞお帰り下さいな」
とブラック・デザイアが言った。
そうですか、なら、とウルフファングが後ろに下がった刹那、稲妻が走り、爆音が響いた。
ブラック・デザイアの槍が投擲されたのである。
「きゃぁあ!?」ウルフファングの悲鳴が木霊する!ブラック・デザイアはしたり顔になるが、すぐに違和感に気付く、私の槍は爆発しない…と。
ブラック・デザイアは剣を構え直し、爆煙が消えるのを待ち、ウルフファングのいた場所を凝視する。消えたところには彼女の姿はなく、円筒形の何かだけが残されていた。
もし、ブラック・デザイアがミリタリーに明るかったなら、それが閃光弾の類だと気がつけたかもしれない。
しかし、それを知らないブラック・デザイアはその物の破裂、閃光を目の当たりにしてしまう。
しばらくして視界が回復した時、そこには彼女以外誰も存在していなかった。
「一杯、喰わされたわね…」

ところ変わって廃倉庫の中、ウルフファングは思案していた。
あの能力はわかる範囲でならシンプルな強化系であり、そしてあの場所に仲間は潜んでいなかった。つまりあのまま戦うのも正解だと考えられた。
しかしそれも過ぎたこと、この様なこと、つまり戦闘の可能性が続くなら、少しでも優位を取るために、可能な限り集団での行動を取るべきですね…。
「私は偉大でも、悲しいことに今の私には力がないのです…」
悔やんでいても仕方ありません…成果があるとするなら、聞いてはいましたが、自分に手榴弾を当ててみて、魔法の道具以外では魔法少女同士の戦闘でダメージは見込めないことや、しかし魔法少女同士の戦闘でも閃光弾などなら、多少の効果は見込めることがわかったこと、その二つでしたね。
それならば劣化煙幕にしかならない、手榴弾を減らして閃光弾を増やすことにしましょうか…
魔法少女の戦闘について、私が知る事は少ないですが、ここから幾らでも知ることは出来るのです…
「最善の手は、まだまだ残されている様です…選択しなければ…」

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