img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:クレインダンス

もはや命を失った肉片の転がる山を私はスクラップ一歩手前の体を引き摺り立ち去った。
右目は潰れて機能を失い、同じく右腕は肘から先を損失して血ともオイルともつかない赤黒い液体が固まって付着している。
そして左脚も千切れてはいないものの圧壊して体を支えるのがやっとの有り様。
他にはボディに何か所もの歪みと凹み、五体におよそ無事な所は認められなかった。
変身を解けば解除はされるだろうが次に変身した時も欠損したままではたまらない。
私は魔法で取り込んでいたゼノちゃん製しょっぱいビーム光線銃を体内で変換、少しでも回復に充てながら下山した。

片方しかなかった私の目に下山して最初に飛び込んできた光景は、魔法少女同士の戦闘の余波によるものだろう、約四分の三が灰燼と化した我が街だった。
人的被害も相当なものだろう、この時ばかりは一人暮らしをしていたことに感謝した。

私の魔法は機械を取り込みその力を使用すること、そして取り込んだ機械は体に受けた損傷の回復にも使える。
先程のゼノちゃん光線銃がいい例だ。さらに機械を取り込みこの痛々しく損傷した体を直さなくてはならない。
…のだが大規模戦闘があった後だ、壊れた機械でも直るのだが如何せん見つかる量が少ない。
さらに他の魔法少女たちや人々から姿を隠しつつ探さねばならないのだから骨が折れる。まあ今の姿に骨があるのか知らないが。
もっと言えばこの姿は否応なく目を引くはずだ。懸念する材料はいくつも出てくる。
それでも私は生き延びたい一心で廃墟の街並みに身を潜めることにした。


この国の復興は何度見ても驚くべき速度だと思う。
各地から建機が集まり続々と復興作業が進んでいく、この分なら町の見た目が元通りになるのもそう遠くはないだろう。
事実既に廃墟の内七割ほど復旧が進んでいると聞く。誰かしら魔法少女でも関与しているのではないかと疑った。
ともあれこうしてやってきた建機は私自身の体を直す材料にもなる。
人気の無くなった夜半に放置されたショベルカーなどに忍び込み、私は内部機械をひたすら貪った。
そう、"貪る"だ。皮肉にもこの機体(からだ)を直すために、怪我や病を負った肉体を治すために栄養を付けるが如く私は機械を取り込んでいった。
まるで生命の個が他を喰らい、己の血肉へと変えるように吸収を続ける。これはまさしく魔法少女となった私、クレインダンスの食事なのだ。
腕も、脚も、眼もほぼ元通りとなり魔法少女として力が戻ってきた事も感じる。
これならばあと少し取り込めば完全復帰できるだろう、私が取り込んだ機械の分復興が遅れることに少し申し訳なさも感じるが。
「ご馳走様でした」
冗談めかしつつ呟いて、私は再び灯りを取り戻し始めた夜の町に姿を消した。

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